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seisai_no_resonance:sce02_00_03_1
「わ……」
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部屋のドアを開いた時、思わず固まってしまう。
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その理由は二つ。
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一つは豪華なロビーや廊下と違い、
部屋の作りが思ったよりも普通だったこと。
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もう一つは――。
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「なっ…………!」
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運が良いのか悪いのか、着替えの真っ最中。
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この子にはしっかりと見覚えがある。
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「ご、ごめんっ!(BROKEN:8_20)
(BROKEN:8_20)
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「い、言われてって……あんた、学園に入れるの……?」
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「色々あって……そうなったみたい」
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それにしても、お嬢様っぽいイメージがあったから、
下着もそんな雰囲気かなと思ってたけど……。
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青と白で構成されたラインが庶民的で少し親近感が湧く。
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「な、何よっ……そんなジロジロと見て……!」
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「えっ?(BROKEN:8_20)
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この場合は女の子同士だし、と茶化すのが正しいだろうか?
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それともハプニングに対して、背を向けるなどの行動を取るのが、セオリーというものだろうか?
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「えーと、育ち盛り?(BROKEN:8_20)
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自分の胸に手を当てて、とりあえずの笑顔を作っておく。
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「…………」
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由布さんがベッドから枕を掴み、そのまま大きく振りかぶった。
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「わ……お、落ち着いて!(BROKEN:8_20)
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少し派手に茶化してみよう、という考えは間違いだったらしい。
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「どう見ても、あんたの方が立派だろうがぁっ!!」
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ガスッ――!!
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さすが射撃武器の使い手、見事に枕も顔面にクリーンヒット。
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「ぐふっ」
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とりあえず、やられた感じでそのままベッドに倒れ込む。
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「はぁ……いったい何なのよ……」
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着替えを再開した由布さんから盛大なため息が聞こえて来る。
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「ここって由布さんの部屋なの?」
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「……そうだけど?」
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「じゃあ、私達ってルームメイトになるのかな?」
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ベッドから身体を起こすと、私服に着替え終えた由布さんが、
訝しげな表情で私を見ていた。
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「ルームメイトって……あんた、ホントに学園に入れるの?」
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「うん、あの化け物みたいなのとやりあった後から、
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「そう、あの力は本物だと思うけど……でも……」
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何か思うところがあるのか、由布さんが私から視線を逸らす。
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「でも?」
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続きを聞こうとして訊ねた時、部屋のドアがノックされる。
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「由布ちゃん、入ってもいい?」
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「恵、いいところに……ちょっと入って」
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恵さん……?(BROKEN:8_20)
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「あっ!(BROKEN:8_20)
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「こんにちは、色々あって転入することになった高遠鼎です」
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部屋に入ってきた恵さんに挨拶と自己紹介。
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「……自己紹介、私にはしてもらってないんだけど」
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「あ、だって……いきなり下着姿だったし……」
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「あんたの入ってきたタイミングが悪いのっ!」
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「ご、ごめん、まさか部屋に人がいると思ってなかったし」
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もういい、とばかりに由布さんがため息をつく。
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「私は<RB='かざまゆう'>風間由布<RB>、一年に在籍――どこまで聞いているか分からない(BROKEN:8_20)
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「あたしは<RB='ほしなめぐみ'>保科恵<RB>、由布ちゃんと同じ一年生。あたしも一応、
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「じゃあ改めまして、私は高遠鼎。きっと同じ一年生に転入する
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「御花会にって……あんた、巫女候補に!?」
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「うん、そこも色々ありそうなんだけど……実際のところ、
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お手上げと肩をすくめると、恵さんがクスッと笑ってくれた。
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「あたし、高遠さんは穢れを初めて見たのに、
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「あの結果を見たら……候補として選ばれるのは当然かもだけど、(BROKEN:8_20)
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でも、と言ったところで由布さんが再び固まってしまう。
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「でも?」
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「高遠さん……この島の生まれなの?」
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「生まれた場所は分からないけど、育ったのは島の外だよ。
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一瞬、三輪さんの鋭い視線を思い出して、ぶるっと肩を震わせる。
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「島の外の人間なのに、どうして巫女としての資質が?」
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「それはお母さんが巫女だったから……とか関係あるのかな?」
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「わぁ、高遠さんのお母さんって巫女だったんだ!(BROKEN:8_20)
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「でも、高遠なんて家を聞いたことが無いわ。巫女の記録を辿れば(BROKEN:8_20)
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ニッコリと微笑む恵さんと難しい顔をしている由布さん。
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まるで左右対称みたいに見えて不思議な気持ちになる。
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それでいて、二人の間にある空気はバランスが取れているように
思えるからもっと不思議。
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「な、何よ……そんなにジロジロと見て……」
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「風間さんと保科さんって仲が良さそうに思えて。
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私の言葉に二人は顔を見合わせて、小さく笑った。
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「幼なじみって言ったら、この学園の子、みんなが幼なじみよ」
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「あたし達、島の子はこの島から出られないの。
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島から出られない……?
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私が恵さんの言葉に引っかかってる間にも話は進む。
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「ただ私と恵は同じ幼稚園で、以後ずっとクラスが同じなのよ。
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「由布ちゃん、腐れ縁はひどいよぅ~」
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「似たようなものじゃないのよ。ずっと一緒だったんだし」
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言い合って、すぐに二人はクスクスッと笑い合う。
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見ているだけでも分かる。この二人って凄く仲良しなんだ。
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「高遠さん?(BROKEN:8_20)
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「あ、うん、何でもないよ。ただ、ちょっと羨ましいなぁって
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二人は顔を見合わせて、不思議そうな表情をした。
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「私の場合ね、小さい頃から引っ越しとか多くて、幼なじみも
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「…………」
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何気なく言ったつもりでも、空気が重くなってしまう。
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「あ、えっと、気にしないで!(BROKEN:8_20)
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「あ、うんっ!(BROKEN:8_20)
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「えっ……それってどういう?」
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恵さんは自信満々に、由布さんは照れくさそうに頷いてくれる。
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「もしかして、友達になれるのかな?」
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「……高遠さんが嫌だって言うなら、無理強いはしないけど」
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「由布ちゃんったらまた素直じゃないの」
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「別に私そんな……」
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「高遠さんってもう呼べないよね。なんか他人行儀じゃない?」
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閃きましたと恵さんが手をパンッと合わせた。
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「よかったら、あたしのこと、恵って呼んで欲しいな?
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ほんわかしたイメージが先行していたけど、こうして話している
恵さんは生き生きとしてとても楽しそうに見える。
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「そうね。じゃあ、鼎――私のことは由布でいいから」
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ルームメイトになった由布は最初こそ冷たい印象があったけど、
今は恵といるのもあってか……少し穏やかに思えた。
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「あはは、カナちゃんなんて初めて呼ばれるから、
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実際、今も少しだけ頬が上気してるかもしれない。
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「ふふっ、一年生同士、仲良くしようね」
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そう言ってくれた恵に由布が頷き、私も二人に微笑みながら、
しっかりと頷いてみせた。
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seisai_no_resonance/sce02_00_03_1.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)