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seisai_no_resonance:sce02_00_02_0
学園内の中庭を抜けて歩くこと数分――。
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開けた場所に、三階建ての大きな洋館が佇んでいた。
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校舎に引けを取らないほど、豪奢なこの建物を見上げ、
私はまばたきを幾度か繰り返す。
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「こちらが学園の寮ですわ。私達を含む学生達は、
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「……まだ腑に落ちませんけど、従う他はありませんね」
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「寮に入る前に自己紹介を済ませておきましょうか――
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「……私は<RB='みわゆかりこ'>三輪縁子<RB>です。一年に在籍しています」
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「高遠鼎です、これからお世話になります」
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そんな二人に連れられて、こんなところまでやってきた理由……。
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それは学園長から告げた理事長の言葉にあった。
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「……な、何故です?(BROKEN:8_20)
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「お言葉ですが、学園長……私も縁子の意見に賛同いたします」
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「島の人間でないものが、星霊石を所持し、その力を行使する。
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「そうですわ。白昼、あのように力を使うような粗暴な輩、
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詰め寄る二人に対し、学園長は顔色一つ変えず淡々と言葉を返す。
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「意見は意見として耳に入れておきましょう。
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「っ……だからといって、大人しく従えと仰るのですか?」
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「その通りです。松籟会の介入があったのかは分かりかねますが、(BROKEN:8_20)
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「――加えて、これは学園長からの指示として、
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あの後、理事長なる人物からの指示を告げられ、
私はこの島に滞在することが許された。
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それに付け加えて、一度は取り下げられたはずの転入も
何故か認められたらしい。
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松籟会の人達がまた何かしたのかもしれないし、
姿を見せない理事長が働きかけてくれたのかもしれない。
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学園長の様子を見る限り、あまりに突然の決定に見えたけど……。
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話の後、学園長と相談がある末来さんを残し、
私は学園の敷地内にある寮へ案内してもらったところ。
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「ですので、制服や教科書などの必需品は後で部屋に届くよう手配(BROKEN:8_20)
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「えっ、あっ……は、はいっ!」
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つい考え事をしてしまって、神住さん……遠山先輩の話が途中からしか聞こえていなかった。
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「……では、次に寮内を案内しますわ」
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遠山先輩がすたすたと歩いて行き、三輪さんがその後に続いて、
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「高遠さん、先にこれだけは言っておきます。神住先輩のお手を
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「そんなつもりは……ないんだけど」
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「神住先輩は御花会を取りまとめる多忙な方、どこの家の者とも
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「――ご理解頂けたら、どうぞ寮へ参りましょう」
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三輪さんが踵を返し、寮の入口へ向かっていく。
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その背中を目で追いかけつつ、何とも言えない息が漏れる。
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「なんだか、なぁ……」
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成り行き上、こうなっているけど……
三輪さんにはあまり歓迎されていないことはよく分かった。
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遠山先輩に対して、随分と気を遣っているようだし、
その関係もあるのかな?
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「……って急がないと、また意地悪言われそうっ」
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私は慌てて二人の後を追うように寮の入口へ向かった。
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木製のドアをくぐり、寮内へ足を踏み入れる。
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「……すごい」
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まるで都会の高級ホテルに匹敵するような内装と広さ。
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「ここが学園寮のロビーです。今はまだ他の学生は授業中のため、(BROKEN:8_20)
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こんなに豪華なロビーも慣れてしまえば、
人がいないだけで物寂しく思えるのだろうか?
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想像してみたけれど……しばらく無駄に背筋が伸びそう。
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「くつろげる空間も用意されていますので、高遠さんも遠慮せずに(BROKEN:8_20)
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遠山先輩が言うように、奥にはテーブル席やテレビも見える。
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授業が終わっていれば、談笑している学生もいたのかもしれない。
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「この時間、寮にいらっしゃる先生から部屋の鍵を預かってきます(BROKEN:8_20)
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「はい、分かりました」
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遠山先輩が私の返事に微笑んだ後、奥にある部屋へ向かっていく。
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そして……またしても三輪さんと二人っきり。
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「……何か?」
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「あ、いえ、なんでも……」
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つい視線が行ってしまった時、見事に睨み返されてしまう。
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うーん……やっぱり歓迎されてないなぁ。
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「あ、でも、一つ聞いてもいいですか?」
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「……何でしょう?(BROKEN:8_20)
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「私って……あまり歓迎されてないですよね?」
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「…………」
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「よければ、その理由と……少し仲良くなるための方(BROKEN:8_20)
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ずはりと聞きすぎたのか、三輪さんが若干だけど呆れている。
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「聞いている内容が二つではありませんか……」
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「あはは……そういえば、そうですよね」
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はぁ……というため息を吐いた後、三輪さんが私を見た。
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「この学園に属する者は、島でも特別な家柄の者のみです」
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「特に星霊石を所持し、扱える者はごく少数――
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「そこに外の人間を入れることは、とても考えられません」
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「しかも、その危険性を一番存じていらっしゃる神住先輩に、
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敷居の高い学園という話は聞いていたけれど、さらにその中でも
特別な存在に混ざることになった私。
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意識の高そうな三輪さんからすると、気分の良い話ではない。
それも分かるような気もする。
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慣習のある組織ほど、外からの風は受け入れにくい。
そんな話を聞いたこともあるし……。
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「それで……仲良くなれそうな方(BROKEN:8_20)
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「必要時以外、口を利かないで頂ければ」
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その顔に微笑を混ぜつつ、見事に希望を断絶されてしまう。
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あはは……と苦笑していると、
部屋の鍵を持った遠山先輩が戻ってくる。
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「……どうなされたのかしら?」
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「いえ、少し学園のことを話していただけです。
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「でしたら、高遠さんお部屋まで案内しますわ」
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そう言った遠山先輩が手前にある階段へ向かっていく。
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「巫女候補の話は縁子から聞きましたか?」
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「いえ……候補ですか?」
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廊下を歩きながら、遠山先輩が私の返事に一度頷く。
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「あなたは巫女候補として預かるように言われています。
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「星霊石……?」
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会話の中で何度か耳にしているが、そのような名称のものを
所持している記憶は無い。
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「その腰に下げている勾玉のことです。素質のある者にしか
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「このお守りが……」
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素質のある者にしか扱えないというのは……風間由布という子が
姿を変えていたように、私も姿を変えれたことだろう。
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どうしてあんな力を発揮できたのか分からないけれど、
御陰で生きていられるのも事実……。
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お母さんも末来さんは、それを魂に祈ると言っていた。
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もう一度試してみたいところだけど……あまり公の場で使っては
いけない力だと、先ほどから何度も耳にしているし。
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「高遠さんには、これから巫女候補として、学園でも寮でも
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「その巫女候補で集まる団体、御花会にも所属して頂きます」
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「御花会……部活のようなものですか?」
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「そのような不粋なものと――」
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「縁子、織戸伏の習慣を存じない方の言葉です」
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「…………」
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遠山先輩の注意に三輪さんが爪を噛む。
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「御花会は今年の巫女を選抜して頂くための集まりです。
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「そこに勾玉……星霊石と呼ばれるものの使い方も入ってくる
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「最低限の知識と教養、そこに含まれていることですわ」
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「今日も放課後、寮の食堂で集まる予定ですわ。
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「はい、分かりました」
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私の返事に頷いた遠山先輩が廊下を歩き……
しばらく行ったところの部屋で足を止める。
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「あ……この部屋は……」
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「あの、どうかしましたか?」
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「…………」
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遠山先輩が何故か目を伏せ、ゆっくりと息を吐き出す。
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「なるほど、これは……一年生同士お似合いでは?」
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「……そのような考えが学園側にあったのかもしれませんわね」
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「高遠さんにとっても知らない顔ではないはずです。
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三輪さんが不思議と笑みを浮かべ、遠山先輩は眉をしかめたまま。
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この部屋に……何かあるんだろうか?
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「……高遠さん、これが部屋の鍵です」
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「私達の案内はここまでです。学園での生活の必需品が後で届く
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何故か余所余所しくなった遠山先輩から、部屋の鍵を渡される。
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「案内、ありがとうございました」
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「ではね、放課後の御花会で会いましょう」
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一礼した私に視線をやった後、遠山先輩が足早に廊下を歩む。
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「それでは」
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三輪さんもその後に続き、姿を消していった。
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「私の部屋、か……」
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鍵と部屋番号を見比べて、確認を取る――間違いは無い。
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星霊石とやらの力を使ったせいか身体が気怠く、少し休みたいのもあって、私は手早く鍵穴に鍵を差し込んだ。
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seisai_no_resonance/sce02_00_02_0.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)