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seisai_no_resonance:sce02_00_00_0
「グウウゥ!?」
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炎に焼かれた化け物が後退していく。
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「はぁっ……はぁっ……!」
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剣を構え直そうとするが、思った以上に体力が消耗している。
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勾玉の力は想像を絶するものだった。
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だけど、その異常な力の分だけ私から体力を奪っていく。
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ここまで来ると立っていられるのが限界かもしれない。
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「くっ……でもっ……まだっ!」
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それでも諦められない、どこまでも戦ってみせる。
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再び炎を呼び出すため、手に力を籠めていく。
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その瞬間だった。
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「そこっ!」
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声と共に光の弾が化け物を撃ち抜いていく。
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「あの子は……!?」
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「このまま蜂の巣にしてあげるんだからっ!」
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撃鉄を打ち鳴らし、狙いを一点に絞る。
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連続して放たれる弾丸が光となって化け物に襲いかかっていく。
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姿こそ違うけれど、その顔には見覚えがある。
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風間由布――あの子に間違いない。
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でも、あの姿と銃器は……?
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「グウウゥッ!?」
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弾丸を直撃した化け物が仰け反り、その場に膝をついていく。
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「とどめっ――!」
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銃口が化け物に狙いを定めた時、最後の足掻きとばかりに化け物がその場から跳躍した。
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「しまった、狙いが……!」
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化け物が木々を盾にしながら森の奥へ飛び去っていく。
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「このっ!」
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追いかけるように撃ち込まれる弾丸は木々に邪魔をされ、
逃げる化け物の背には届かない。
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「くっ……手負いを逃すなんて……」
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銃器が虚空に消えると、由布さんは髪に片手を当てる。
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眩い光が彼女を包んだかと思えば、光は髪飾りの玉に集束し、
不思議な装束も消えて元の制服姿に戻っていた。
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「……無事のようね。でも、あんた、その姿……」
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「混乱しそうだけど……何とか無事みたい、あはは」
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空元気もままならず、膝が砕けた途端、
炎が消え、剣と共に勾玉へ集束していく。
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姿を変えていた装束から元通りの私服姿になり、
昂ぶっていた気持ちも不思議と鎮まっていった。
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「これは……どういうこと……?」
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「由布ちゃんっ!(BROKEN:8_20)
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恵さんが慌てた様子で駆け込んでくる。
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「ありがと、恵。でも、この状況……どう説明したら」
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「な、何、この……火事でもあったみたいな……?」
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勾玉の力が解かれると、僅かながら体力が回復してくる。
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肩で息をしながらも、私はその場から立ち上がり、
目の前にいる二人と向かい合った。
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「説明が欲しいのは……私も同じかな?」
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苦笑を浮かべながら、元の姿に戻った勾玉を見やる。
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今の力っていったい……?
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「由布!(BROKEN:8_20)
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「神住先輩、そう急がなくても……あの力は収まりましたし」
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「縁子、そういうわけにはいきませんわ。私は<RB='おとめかい'>御花会<RB>を任されて
(BROKEN:8_20)
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「……先走ったのはあの二人ですのに」
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近づいてくる声に私が眉を顰めているのに対して、
由布さんの表情が明るくなっていく。
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「神住姉様……!(BROKEN:8_20)
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「由布?(BROKEN:8_20)
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茂みの陰から、黒髪で目つきの鋭い少女を従えて、
柔らかなロングヘアの女性が現れる。
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二人とも同じ制服を着てる――学園の人で違いなさそう。
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「神住姉様っ……すみません、私……」
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「由布、大丈夫だったの?(BROKEN:8_20)
(BROKEN:8_20)
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神住という女性が、由布さんの頬に手をあてて顔を覗き込む。
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「無事です……でも、私が先走ったせいで……
(BROKEN:8_20)
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「へぇ……保科さんは本当にお止めになったのかしら?」
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刺々しい言葉をぶつけられて、由布さんの後ろで小さくなっていた恵さんの肩がビクッと震えた。
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「縁子、由布がわざわざ嘘をつく必要も無いですわ。
(BROKEN:8_20)
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「い、いえ、気にしていませんから……」
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「それよりも……さっきの光は?(BROKEN:8_20)
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神住という女性が焼けた木々や草原を見て眉をしかめた。
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「炎による攻撃と見て間違いは無さそうですが、
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「神住姉様、その子が……炎の力を、私達と同じように」
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由布が私を見ると、続くようにそれぞれの視線が集中してくる。
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「力を……同じように?(BROKEN:8_20)
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「はい、穢れを追い払えたのも……あの子の力です」
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「穢れを追い払った……?」
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「見たところ……どこの家の人間でも無さそうですが」
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神住という人がポケットから携帯電話を取り出した。
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「学園長に確認を取ります。縁子、その子を保護して下さい」
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「ほ、保護って……」
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縁子という子が私の前に立ち、舐めるような視線を向けてくる。
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「やはり、どう見ても(BROKEN:8_20)
(BROKEN:8_20)
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「――彼女は特別だよ」
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「あ……」
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ゆったりとした動作で顔を見せたのは、末来さんだった。
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「片倉先輩?(BROKEN:8_20)
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驚く縁子さんを横切り、末来さんが私に歩み寄る。
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「そう、特別なんだ。とてもね」
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「――勾玉の力を使ったようだね、鼎」
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「祈れ、と……お母さんからも末来さんからも言われましたから」
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目を伏せた末来さんが一度だけ頷く。
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「そう――これでもう本当に引き返せないね」
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「末来さん……?」
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末来さんの言葉が気になるが、縁子さんからすぐに別の質問が
飛んできてしまう。
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「あなた、片倉先輩とお知り合いで?」
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「えっ、お知り合いというか何というか……」
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「保護者のようなものだよ」
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末来さんが微笑み、私の頭を優しく撫でてくれる。
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「わっ……」
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ちょっと驚いてしまったけど、末来さんにこうされると、
なんだか気持ちが落ち着く。
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「…………」
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その様子を唖然とした表情で縁子さんが見ていた。
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「片倉先輩?(BROKEN:8_20)
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話が終わったのか、神住さんが電話を切り、
私と末来さんに訝しげな視線を送る。
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「……ともかく、学園長からの指示がありました」
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「由布、保科さん、あなたたちは部屋で謹慎です。片倉先輩と
(BROKEN:8_20)
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ま、また学園長室……?
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でも、今は末来さんがいる……そう思うだけで、
事が良い方向に向かってくれる気がした。
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「――それにしても、最初からここまで出来るなんて」
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ただ末来さんが戦闘の痕を見て、どこか悲しげに目を伏せる。
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その理由が分からず、しばらく末来の顔が頭から離れなかった。
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seisai_no_resonance/sce02_00_00_0.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)