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seisai_no_resonance:sce01_00_08_0
階段を下って廊下へ出る。
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幸いなことに人影は無く、学園長室と書かれた扉まで
来ることが出来た。
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「ごくり……」
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ここまで来て立ち止まっていたら、学園に侵入した分だけ
不利になっちゃう。
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それに転入の件……どうなっているのか確かめないといけない。
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心づもりが決まると、私はドアを一際強くノックした。
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そして――。
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「どうぞ」と言う声に誘われ、学園長室に踏み出す。
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「失礼しますっ」
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「あら、あなたは……?」
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年配の女性が奥の椅子に腰をかけていた。
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どこか上品な雰囲気を醸し出すその女性は私の顔を見て、
驚くように片眉をあげている。
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私は両手で入口の扉を閉め、一歩前へ歩み出した。
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「崎(BROKEN:8_20)
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「…………」
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その女性はどこか驚いたの表情のまま、唇を微かに動かす。
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「あの家の――んんっ、い、いえ、高遠の娘が戻ってきたような」
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「……えっと?」
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「……失礼、つい独り言を」
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咳払いをした後、女性が立ち上がり、テーブルの前へ
ゆっくりと歩み出る。
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「崎(BROKEN:8_20)
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「高遠鼎さん、こちらから話を差し上げる前に、
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「それって、どういうことですか……?」
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「今頃、あなたのご実家には転入許可を取り下げる旨が
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「転入を……取り下げ?」
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学園長の言葉に耳を疑うが、冗談で言っているようには見えない。
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「私の立場からは詳しくお話し出来ませんが、事情が変わりまして
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目の前が真っ暗になりかけるが、慌てて頭を振るう。
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「……で、でも、一度は許可を出してくれたはずです!」
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「それを取り下げる通達があったのです。学園側としては、
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「通達って……」
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そんなことをしそうな人達――頭の中に嫌な単語が過ぎった。
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「松籟会の人達……ですか?」
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学園長は顔色一つ変えず、私を真っ直ぐに見つめている。
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「高遠さん、随分と島のことをご存じなのね」
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「島に着く前に……松籟会の女の子に船から突き落とされて、
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「どうして私を遠ざけようとするんですか?」
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私の問いかけに対して、学園長は一度だけ目を閉じた。
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「私は松籟会には属していません。その内情は与り知らぬところ
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「高遠鼎さん、あなたは今すぐにこの島から離れることです。
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「……それ、脅しに聞こえます」
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「繰り返しますが、私は松籟会には属していません。
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「ですから、これは警告です」
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学園長はそれだけ告げると、机にある電話へ手を伸ばす。
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「私です。誰か人を借りられるかしら?」
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「――――!?」
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このままじゃ、学園から……島から追い出される!
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「待って下さい!(BROKEN:8_20)
(BROKEN:8_20)
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「高遠さん、それはあなたの命を天秤にかけてまで、
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学園長が電話を切ると、私へ振り返った。
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その視線は険しく、それだけで怯んでしまいそうになる。
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「七年も行方不明だったお母さんが島にいるって聞きました!」
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「私はお母さんに会いたくて、この島に来たのに……
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「……誰からその事を?」
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「っ…………」
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勢い余ったところ、足をすくわれた感じがした。
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ここで名前を出したら……末来さんに迷惑をかけてしまう。
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「高遠さん、あなたのお母様がこの島にいるとして……
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「母親であるならば、娘の無事を願う――そうは思いませんか?」
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学園長の言葉は至極正論……それでも。
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「……娘がその願いに応えるほど、素直な子じゃないと思います」
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「ふふっ、面白い回答ね」
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学園長はそう言いながら、笑みを見せてくれる。
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「……性格も遺伝するのかしら、
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「えっ……?」
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「お母さんのこと……知ってるんですか?」
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「当然――<RB='たかとうみく'>高遠未来<RB>さんもこの学園に在籍していましたから。
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その言葉と共に、背後の扉が音を立てて開かれた。
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seisai_no_resonance/sce01_00_08_0.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)