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seisai_no_resonance:sce01_00_07_0
こそこそと隠れつつ、校内を進む。
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まだ朝礼が始まっていないらしく、廊下では制服姿の女の子が
何人か、立ち話をしている。
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どうにかして末来さんを見つけるか、転入の書類を探すか――。
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松籟会の話を聞いた以上、学園の外にいる方が危険なのは確か。
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かといって、こうして忍び込んでいるのも問題だけど、
刃物が出てくるよりは何倍もマシだろうと思う。
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「でも、困ったな……」
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他の生徒に見つからず、末来さんを探すのはかなり難しい。
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授業が始まれば、教室の中だろうし……そうなれば絶望的だ。
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「三年生って聞いたけど、教室は何階なんだろう?」
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背中を壁にひっつけながら、廊下の様子を窺おうと顔を出そうと、
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「やあ、何か困ってるようだね」
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「――――ッ!?」
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男性の顔が廊下からいきなり現れて声を上げそうになってしまう。
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「あっはは!(BROKEN:8_20)
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笑いながら、トトッとステップを踏むようにして、
私がいる踊り場にやってくる。
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な、何なんだろう……この人……。
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それにこの色素の薄い髪色、さっきのマントの子と同じだ。
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「あー、僕は怪しい者じゃないよ、キミとおんなじ。怪しくない」
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パッと両手を広げる仕草が逆に怪しく見えてしまう。
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「あのー……学園の方ですか?」
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ちょっと距離を取りつつ、その男性に尋ねてみる。
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「ん~、まあね。そんなことより、キミは何をしてるのかな?」
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「えっ……それは……その……」
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「答えられないようなこと?(BROKEN:8_20)
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「うっ……」
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「あっははっ、冗談だよ。冗談。本気にしちゃった?」
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な、何だか……遊ばれてる?
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「あの、私、急いでるんですけど」
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「まあまあ、待って。キミのこと、聞いてるよ。だいたいね」
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「私のこと?」
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「ま、どうせこうなるって分かってたし……
(BROKEN:8_20)
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「が、学長、さん……ですか?」
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学長って一番偉い人のような気がして、さすが戸惑う。
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「そそ――詳しい事情、知りたいよね?」
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戸惑ってる私に、男性は手に持っていた飴を差し出してくる。
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口つけてそうだし……いらない、と思っていると、
飴の先端を地面に向けた。
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「階段を一つ下って、すぐ近くにある職員室の隣が学園長室だよ」
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「…………」
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「あと、この飴ちゃんはあげないよ?(BROKEN:8_20)
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笑った後、男性はパクッと飴を口の中へ運んでしまう。
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「場所……教えて頂いて、ありがとうございます」
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「お礼とかいいよ。その方が楽しくなるだろうし、さ」
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「じゃ、僕は用事があるから。あとはキミの好きにするといいよ」
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手を挙げた男性が軽やかな足取りで廊下に消えていく。
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「……学園長さん、かぁ」
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変な人に凄い場所を教えられちゃったな……。
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もしかして、今の人って先生とかかな?(BROKEN:8_20)
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うーん、そうだしたら……随分と奇天烈な先生だなあ。
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「…………」
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でも、よく考えてみると、転入のことを一番知ってるのは
学園長かもしれない。
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私の転入を認めたのも学園長なわけだし……
そこから手の平を返すことだって出来る。
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虎穴に入らずんば、なんとやら――と。
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私は一度深呼吸した後、視線を階下へ向けた。
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seisai_no_resonance/sce01_00_07_0.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)