User Tools

Site Tools


seisai_no_resonance:sce01_00_06_0
それで校門前から離れたのは離れたんだけど――。
>

「この学園の周りって森ばっかりなんだ」
>

近くの木々と学園を取り囲む塀を見比べる。
>

「うーん……」
>

守衛さんが言うには、転入の話が伝わっていない。
>

でも、私は転入届けをこの目で確認している。
書類はきっと海の底だけど……。
>

「荒業だけど――黙ってこのまま引き下がれないよね」
>

私は手近な木と学園の塀を見比べて、一度だけ頷いた。
>

「よっ、とっ!」
>

木を伝って、塀の上に……そこから学園内に侵入、と。
>

「ふぎゃっ!」
>

見たところ、中庭っぽい雰囲気だけど、外観と同じくして
離島にある学園とは思えないぐらい豪奢な作り。
>

さて、末来さんを探して状況を確認するか、
それとも受理したはずの転入届けの書類を――。
>

「そこの、上にいるやつ!(BROKEN:8_20)
>

考え事を廻らせていると、足下から声が聞こえてきた。
>

「うわっ!?(BROKEN:8_20)
>

着地した私にマントの裾を踏まれたのか、
女の子がその場で突っ伏している。
>

って、マント……?
>

「うぅ……は、(BROKEN:8_20)
>

私が飛び退くと、女の子が(BROKEN:8_20)
>

涙目になっていることから、相当痛かったみたい。
>

「だ、大丈夫……?」
>

それにしても、不思議な外見をした女の子だ。
>

肌の色も髪の色も、色素が抜けたような……
あと何よりも私が踏んづけてしまった変わった羽織である。
>

身長が私の肩よりも下、かなり低いようだし、
この外見からして……どこかの学芸会とかだろうか?
>

「大丈夫も何もあるものかっ!(BROKEN:8_20)
(BROKEN:8_20)
>

「ぅぅ……喋ると(BROKEN:8_20)
>

言い終わらないうちに(BROKEN:8_20)
>

何か台詞じみたことを言いかけてたみたいだし、
学芸会で来てる子なのかもしれない。
>

学園の人じゃなくて良かったと思う反面、
かなり悪いことをした気持ちになってしまう。
>

「ごめんね、お姉ちゃん、少し急いでて……
(BROKEN:8_20)
>

もしかしたら、迷子なのかもと思って、そんなことを聞いてみる。
>

「何故、父母の話が出てくる……むしろ、何者なのだ、お前は」
>

「あー、ええと……今ね、転入の手続きに来てるんだよ」
>

「転入だと……この時期に?」
>

小さい子が外見不相応に眉を顰めていた。
>

それにしても……このマント、フードに動物の顔がついてるんだ。最近の学芸会は手が凝ってるんだなあ。
>

「妙にきな臭いとは感じていたが――まさか、な」
>

ボソボソと女の子が喋った後……
身長の関係でぐっと私を見上げた。
>

「名を聞いておこう」
>

「ん、私の名前かな?」
>

「そうだ。名を教えることで、先ほどの狼藉を不問にして――」
>

「……?」
>

不意に女の子がまた途中で言葉を切る。
>

(BROKEN:8_20)
>

「ナギっち、みーつけたっ!!」
>

「ひわぁっ!?」
>

突然、マントの背後から女学生が現れ――背中から抱きしめる。
>

「ふふーっ、ナギっちにしては油断たっぷりだったねー。
(BROKEN:8_20)
>

マントの子を抱きしめたまま、私に視線をやる女学生。
>

何か……頭に猫っぽいものがいる気がするけど、気のせいかな?
>

「うううぅ、はーなーせーっ!」
>

外見相応にわめいてジタバタとするが、体格差か、
猫っぽい何かを頭に乗せた女学生から逃れられない。
>

「ええと……?」
>

「ところでキミは誰かな?(BROKEN:8_20)
>

「あ、転入予定の者です。色々あってこの子とお話してたんです」
>

まさか塀を乗り越えてきたなんてことは言えない。
>

「転入……?」
>

「へぇ、なんだか面白いことになりそ!(BROKEN:8_20)
>

と、マントの子の髪の毛をもふもふとする。
なんだかとても愛でられている様子。
>

「ううぅ、髪の毛で遊ぶなーっ!」
>

「こうなれば……奥の手だっ!」
>

マントの子が懐から何か小袋を地面に投げ捨てる。
>

「ニャーッ!?」
>

「ね、猫っ!?」
>

女学生の頭にいた猫が目を光らせて小袋を追いかけていく。
>

「わっ!(BROKEN:8_20)
>

走り出した猫の後を追って女学生が駆け出す。
>

「まさか、ここでマタタビを使うことになろうとはな……
(BROKEN:8_20)
>

マントの子が調子を取り戻したのか台詞っぽいことを言う。
>

「フッ、奴が戻る前に私は引かせてもらう。
(BROKEN:8_20)
>

バサッとマントを翻して、女の子が校舎の方へ走り去る。
>

そして、色々あった後……一人残されたのは私だけ。
>

「えーと……何だったんだろう……?」
>

転入って言葉に二人ともすごく反応してたのは確かだけど。
>

と、とにかく気を取りなおして、私服姿は目立つし、
急いで行動しよう。
>
seisai_no_resonance/sce01_00_06_0.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)