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sapphism_no_gensou:7632

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[Nicolle] 「この冒険に出てから、すでに5時間が過ぎて いる」

[Nicolle] 「あたし達はいまだ、道半ばで、だというのに、 すっかりお腹を空かせて、しかも微妙に迷子 にまでなっている」

[Nicolle] 「隊員の士気は、いまだ、高い、と思う。 あたしをのぞいて。つーより、隊長が絶好調 だ。平均値を一人であげてやがる」

[Nicolle] 「あたしゃ思うんだが、こういう探検隊って、 得てして、ろくでもない目にあう気がする よ……」

[Alma] ニコルさん!

[Narration] 突如、真横から名前を呼ばれ、ニコルは思わず後じさる。

[Nicolle] な、なんだぁ? アルマか、どうしたんだ?

[Narration] 声をかけてきたのがアルマだということに気づき、ニコルはとりあえず、一歩下がった左足をもとの位置に戻す。

[Alma] はぁ、はぁ……。

[Nicolle] どうしたんだ? そんなに急いで。

[Alma] ええ、もう、ニコルさんの姿を見つけて、急いで走ってきたんです。

[Nicolle] だから、なぜ。

[Alma] わたし!

[Narration] 切れた息を十分に整えられないほど、アルマは感情を抑えきれずに声を出す。

[Alma] すごいものを見つけてしまったんです!

[Nicolle] わわっ! 待て、ちょっと待て!

[Narration] あたりに響くアルマの声に、ニコルは慌てて、その口をふさぐ。

[Chloe] ………………。

[Narration] 背中越しに鋭い視線を感じる。この先、1デジベルでも騒ごうものなら、容赦なく振り下ろされる踵を持った者の視線を。

[Nicolle] と、とにかく、話は聞いてやる。しかし、外で、外で、な! 頼むから、ここでこれ以上、大声を出さないでくれ。

[Narration] ニコルは小声でアルマを諭しながら、その体を引きずって、テラスへと向かっていった。

[Nicolle] はぁ? 宝の地図?

[Alma] ちゃんと話を聞いてください。地図じゃありません。

[Narration] そう言って、アルマは手にした折り畳まれた紙を、テーブルの上に広げる。

[Nicolle] なんだこれ、落書き?

[Alma] ちがいます! これこそきっと、秘密の遺跡へとわたし達を導いてくれる古文書にちがいありません!

[Nicolle] なんでそんなものが、ポーラースターの図書室にあるんだよ。

[Narration] アルマがニコルに見せているのは、少し色の褪せたレポート用紙に書き付けられた、詩ともメモ書きともつかない文章だった。

[Nicolle] どうみたって、そこらで売ってるレポート用紙じゃないか。

[Alma] 夢がないんですね、ニコルさん。書かれていることこそが重要なんです。

[Nicolle] 書かれていることっていってもなぁ……。

[Nicolle] こちとら、曲がりなりにもルネサンスの街フィレンツェの出身だぜ? こんな文章に感銘を受けたら、ご先祖様に怒られちまう。

[Alma] 文学的な価値の問題ではありません!

[Nicolle] はいはい。何をハイテンションになってるんだか……。

[Alma] こ・こ・を! ご覧になってください!

[Nicolle] わわわっ、首が曲がる! なになに? 三つ子の鯨の息吹、その末っ子を……。なんだか、本当に下手な文章だな。これがどうしたって?

[Alma] わかりませんか? これが意味するものが。

[Nicolle] わかりません。

[Alma] カリヨン広場の噴水は、三つ同じものが並んでいるんです!

[Nicolle] はぁ?

[Alma] わかりませんか? これが意味するものが。

[Nicolle] わかりませんっちゅーに!

[Nicolle] それともなにか? この落書きが、カリヨン広場の噴水を通って、そのままどっかの宝島につながっているとでも?

[Alma] そうなんです!

[Narration] ニコルの、すこしおざなりになった指摘にも、アルマは顔を輝かせて答える。

[Alma] この文章の謎を解き明かし、その導くとおりに進めば、きっと素晴らしい場所にたどりつけるんですわ!

[Nicolle] はぁー、なるほどね。じゃ、がんばって行ってらっしゃい。

[Alma] ニコルさんは、今日、とても暇だって、言ってましたよね。

[Nicolle] う……。言ったっけ?

[Alma] ええ、授業の終わりに、そうおっしゃって、教室を出ていかれたのを憶えてます。

[Nicolle] おいおい、まさか、こんなことに付き合えっていうんじゃ……。

[Alma] なにか、面白いことがあるなら、誰か誘ってくれ、今日は退屈で仕方ないんだって……。

[Nicolle] ぐ……。

[Alma] 仲間は多い方が心強いですし。

[Narration] にっこりと笑うと、アルマは立ち上がる。

[Alma] では行きましょう! 探検に!

[Narration] アルマは目を輝かせて、そう宣告した。

[Alma] ええと、三つ目の噴水を右から回って……、あら、ここからだと、職員用の通路の入り口がよくわかるんですね。

[Soyeon] あ、ほんとだ。なに? あそこに入っていくの?

[Nicolle] ちょっと待て、ソヨン、お前、いつの間に現れたんだ?

[Alma] こっち、こっちです! ほら、廊下が見えてきました! きっとあと、20メートル進めば、階段があるんですね!

[Niki] ……! …………!

[Alma] あ、そうですわね、ニキさん。わたし、あやうく右と左を間違えるとこでした。

[Nicolle] だからちょっと待て、ニキ、なんでいつの間についてきてるんだ?

[Alma] まぁ……、学園の地下がこんな風になっているなんて、知りませんでした……。

[Anne Shirley] 船の上なのに地下とは、これいかに。

[Nicolle] ……いや、アンについては、何を言っても無駄かも知れないけどさぁ……。

[Nicolle] ……すっかり大所帯じゃないか……。

[Narration] ニコルはいつの間にか人数の増えた一行を見渡して、ため息ともつかないものをもらす。

[Narration] 最初は確かに、アルマとニコルだけだった。しかし、ソヨン、ニキ、アンシャーリーまで加わって、いまやこの探検隊は5人と一匹にまでメンバーを増やしていた。

[Alma] あら、いいじゃないですか、ニコルさん。なんだか、ピクニックみたいで。

[Nicolle] ピクニックだったら先週の日曜にいかなかったか? 空中庭園にお弁当を持ってさ。

[Alma] あら、だってこれは探検なんですよ。気分が全然ちがいます。

[Soyeon] ところで、アルマ、いったいどこに行くの?

[Nicolle] だからなんで、何も知らずについてくるんだ。

[Alma] 実は、こんなものを手に入れてしまいまして。

[Soyeon] へぇ〜。

[Narration] ぼやくニコルをよそに、アルマはソヨンに紙片を見せる。

[Soyeon] それで、ここに何があるの?

[Alma] さぁ?

[Soyeon] さぁって……、何があるかもわからないのに、探しに行くの!?

[Alma] ええ、それこそが探検じゃないですか!

[Nicolle] どうだい、わかっただろう?事態の深刻さがさ。

[Soyeon] ……そうだね。

[Eliza] さぁ、あいにく、ここに書かれていることに、心当たりはありませんが……。

[Narration] 探検のさなか、一行はカフェテリアにたどり着き、食事と休憩をとり、そこで働く者から情報を得ようと試みた。

[Narration] 渡された紙片に目を通したイライザは、続けて、サンドイッチなど手軽なものを中心にした食事をとっている一行をながめ渡す。

[Eliza] おそろいかと思いましたら、ピクニックというわけですか。

[Alma] いえ、探検です。

[Eliza] まぁ、それは楽しそう。

[Nicolle] すっかり気に入ってるようなんだ、そのフレーズが。

[Narration] いちばん最初から付き合っているニコルは、食傷気味と言わんばかりにぼやいてみせる。

[Eliza] それで、この先はどちらへとお進みになるんですか?

[Alma] そうですね……。

[Narration] キャプテンの称号を得ているつもりか、アルマは紙片をテーブルに広げてみせる。

[Alma] 森って言葉が最後の方に出てくるんです。たぶん、空中庭園か、温室のことだと思うんですけど……。

[Eliza] まぁ、そんなところにまで行くつもりなんですか。

[Eliza] くれぐれも気をつけてくださいね。今日はもしかしたら、少し風が強くなるかもしれないと言われておりますから。

[Eliza] 暗くなる前に、お戻りくださいね。

[Alma] はい、ありがとうございます。

sapphism_no_gensou/7632.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)