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sapphism_no_gensou:7024

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[Eliza] レイチェル様。監視カメラの切断終了です。

[Rachel] ありがとう、イライザさん。

[Nicolle] なんだ。船内に比べたらここのがまだ過ごしやすいじゃないか。

[Alma] でも天京院様はあそこでぐったりされてますわ。

[Nicolle] ……ほんとだ。

[Narration] 室外に出て強い日差しに当たった途端、天京院は剣山を失った生け花のようにしおれてしまった。

[Narration] 心配気な杏里やソヨンたちがとっておきのアイスコーヒーを魔法瓶から飲ませようとするが、

[Narration] 天京院はまるで怖いものでも見たように、真剣に嫌がっている。

[Narration] ここで代理のレイチェルによる、状況説明が終わった。

[Narration] レイチェルは話を区切り、わざわざ抱えて持ってきた黒板を教鞭でぺしぺしと叩いた。

[Rachel] そこで私が考案したのは『ちび杏里ちゃん     “萌え萌え”』作戦です!

[Narration] 全員「ちび杏里ちゃん     “萌え萌え”作戦〜〜!?」

[Anri] ちびあんりちゃんて───?

[Anri] ボクのこと……!?

 わ!

[Rachel] そう!

[Rachel] エロエロダメダメシップになってしまったポーラースターの弱点は───

[Chloe] なんですって───!

[Chloe] お父様とお兄様の血と汗と涙とその他もろもろの結晶を!

[Narration] かかとをふりあげたクローエをまあ面白そうだからと、ニコルがタオルを引っ張り座らせる。

[Rachel] 弱点は───杏里ちゃん、ずばりあなたです!

[Rachel] ポーラースターは“萌えワード”に弱いということが判明いたしました。

[Narration] 全員「“萌えワード”〜!?」

[Rachel] 杏里ちゃん、ちょっとこれを読んでちょうだい?

[Anri] うん、ええよ?

[Anri] えっとな……アハハ、なんやの?

[Anri] 「あれぇ……濡れてるよ…… これっておしっこじゃないよね」

[Narration] たちまち、芝生の中に埋め込まれていた監視カメラがボンッ!と火花をあげて吹き飛んだ。

[Eliza] あら……?まだあんな場所に……

[Clare] きゃ……覗かれてた!?

[Mirriela] きっと読唇術だ。SF映画で見たことあるぞ。

[Coe] ばか! すけべ! どばるだん!

[Soyeon] レイチェル先生も前かがみになってます!

[Alma] まあ……寝冷えでしょうか?

[Aisha] 違うと思う。たぶん。

[Narration] 苦しげに顔をあげたレイチェルが説明を続ける。

[Rachel] ハァハァ……杏里たん萌え〜……

[Rachel] こ、このように……、相手は杏里ちゃんの萌えワードに過剰に反応し、オーバーヒートを起こしてしまうの。

[Rachel] これによってポーラースターの処理を一時的に混乱させ、その隙に天京院さんが制御を取り戻します!

[Nicolle] でもさ、奴がマイクを切っちゃって杏里の言葉を聞かなかったら?

[Rachel] ……相手が他の美少女であったならそれも出来たかもしれないわね?

[Rachel] しかし、なによりも!杏里ちゃんの一挙一動を見守ることが、今のポーラースターの基盤なんです。人間で言うならアイデンテティなの。

[Coe] がーん!じゃあコーはだめなの?

[Clare] ……そりゃそうよ?杏里ちゃんは水泳帽で人の首締めたりしないもの。

[Coe] ぶぅ──まだおこってるぅ……

[Alma] ……それにしてもひどすぎます!だれがそんなひどい事を!?

[Chloe] そうね。ウィザースプーン一族に恥をかかせた大罪人だわっ

[Rachel] ……え?

[Narration] 全員「…………じー……」

[Narration] レイチェルが大粒の汗をだらだらと垂らしていると、天京院が挙手した。

[Rachel] は、はい!天京院さん。

[Tenkyouin] 重大な問題がある。

[Tenkyouin] 奴の進化速度は速い。短時間でケリをつけないとまた耐性をつけられてアウトだ。

[Tenkyouin] つまり、勝負の機会は一度キリ。スピード勝負だ。だが……

[Tenkyouin] 杏里、もう一度やってみてくれ。

[Anri] ええよ?おやすいご用や。

[Rachel] えっ……じゃ、じゃあこれを……っ

[Narration] きょとんとしている杏里に、レイチェルは鼻息を荒くして選びに選んだ紙片を手渡す。

[Anri] んー……え……ほんまに読むん……?

[Narration] 杏里の顔がみるみる赤くなる。

[Anri] あ……あ……

[Anri] 「あァん、ご主人様ぁ〜   そこ、うんピーで汚いから     

ペロペロしちゃ……」

[Narration] 声は小さくくぐもって、最後まで聞き取ることができなかった。

[Narration] 杏里は、耳まで赤くなり、帽子のなかに顔を伏せてふるふると震えている。

[Mirriela] あ、杏里ちゃんに何てこと言わせんだぁッ!

[Narration] 憤怒にかられた少女たちに飛びかかられ、レイチェルはたちまちタコなぐりになる。

[Rachel] 痛い痛い!先生、とっても痛いです!

[Rachel] ごめんなさい、ごめんなさい!ひィィ!

[Narration] 衝撃が通り過ぎ、しばし呆然としていたヘレナが慌てて叫ぶ。

[Helena] や、やめなさい!あなたたち!

[Eliza] みなさん! 校内暴力は退学ですよ!おやめください! おやめください!

[Anne Shirley] 今、キレやすい少女たちが社会問題になっています。

[Aisha] 船内問題に発展しているけど……

[Narration] マウントポジションになりトーンのかかった目で女教師を殴打し続けていたソヨンを、イライザが必死に引きはがす。

[Soyeon] [—–] !!  [—–]

!!!─── [—–]

!!!

[Narration] 赤く濡れたこぶしを見てハッとなり、ようやくソヨンは平静を取り戻した。

[Soyeon] ……はッ……あたし今、何を?

[Eliza] 大丈夫です、ソヨン様。何もありませんでした。

[Narration] 一足早く落ち着きを取り戻したミリエラは、その光景を見て青ざめる。

[Mirriela] (くそっ、レイチェルめ……っ そりゃソヨンちゃんだって怒るさ)

[Mirriela] (…………でも……)

[Mirriela] (……どさくさにまぎれて 後頭部に何発も蹴りを入れてた イライザさんって…………)

[Narration] レイチェルはボコボコのどてばきぐしゃになってバンカーにうち捨てられた。

[Narration] しかし、その死に顔は安らかでどこか幸せそうですらあったと云う……

[Rachel] ……死んでなぁ〜い……

[Tenkyouin] ……ああ、もう。この暑いのに、こいつらときたら……

[Tenkyouin] こういったケースのように、あまりにも過激な“萌えワード”は、杏里自身にもダメージがある。

[Narration] アイーシャは、まだ体をふるわせている杏里を抱いて「よしよし……」と頭を撫でている。

[Tenkyouin] ……

[Tenkyouin] 最悪の場合、攻撃を中断する羽目にもなりかねない。

[Tenkyouin] 先も言ったが、これは速度の勝負だ。それではもはや再起は望めないだろう。

[Alma] もしそうなりましたら……私達、このまま狂った船の虜となって、永遠に海を漂い続けるのでしょうか……?

[Nicolle] へぇ〜〜なんか……ロマンティックじゃん!?

[Helena] ちっとも美しくない!そんなの、決して許されるものですか!

[Tenkyouin] 無論だ。

[Tenkyouin] よし、みんなわかったな!作戦について学園長の許可はすでに得てある。

[Tenkyouin] 決行は明日の始業の鐘と同時、大講堂に集合してくれ!

[Tenkyouin] そして宿題だ!

[Tenkyouin] 皆には、今夜一晩かけて効果的な“萌えワード”を考えてもらいたい!

[Tenkyouin] くれぐれも第二のレイチェルにならないよう期待する!

[Tenkyouin] ───以上! 頼んだぞ!

[Narration] 全員「お、お───ッ……」

[Narration] ゴルフ場にどこか煮え切らないかけ声が響きわたった。

sapphism_no_gensou/7024.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)