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sapphism_no_gensou:7018

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[Narration] 端末を起動したレイチェルは、嬉々として手を合わせた。

[Rachel] きゃー!集まってる集まってる!

[Rachel] なんて素晴らしいのかしら!うーんグレイト!

[Narration] 画面に次々と窓が開き、動きのある映像を映し出していく。

[Narration] 映像の内容はさまざまだが、すべて一人の少女を中心にとらえたものだった。

[Narration] フルーツパフェを食べる杏里、更衣室で水着に着替える杏里、ベッドで居眠りしている杏里、大浴場で脚を洗っている杏里……

[Narration] とにかく杏里、杏里の大行進である。

[Narration] そのアングルは、まるでなめまわすように、時にアップ、時にアオリと、ひたすらイヤラしく迫る。

[Rachel] はぁぁ……杏里ちゃん……

[Narration] 恍惚として画面に見入るレイチェル。

[Unknown] ……なるほど。

[Unknown] 警備カメラ網に侵入させて、映像を収拾させてくるわけか。一種のロボットだな。

[Rachel] ええ、そうなのよ〜〜☆大変だったわ〜〜

[Unknown] しかもこんな、ある意味高度な嗜好性まで持たせて……まったくあきれたものだ。

[Unknown] あたしのエージェントに細工をしたのはあんたか、レイチェル。

[Rachel] ええ、そうよ……って……!!

[Rachel] ……て、天京院さん!?なぜここに!

[Narration] レイチェルはガタガタと椅子から立ち上がりおののいた。

[Tenkyouin] わからいでか。

[Tenkyouin] まあ、あたしもハッキングしてる身だから、偉そうなことは言えないが───

[Tenkyouin] あたしの場合は、あくまで処理の空いているリソースを使わせてもらうだけだ。

[Tenkyouin] 船に負担をかけたりはしない。

[Tenkyouin] ……あー、少なくとも故意には。

[Tenkyouin] なにより───

[Narration] びっと指を立ててみせる天京院。

[Tenkyouin] こんなふうに、杏里を盗み見るために、あたしの人工知能を悪用するのは許さん。

[Narration] 天京院は席を奪い端末へ向かうと、猛烈な速度でコマンドを打ち込んだ。

[Narration] それまで映し出されていた映像が次々とブラックアウトされていく。

[Narration] レイチェルは泣きながら天京院にすがる。

[Rachel] あああやめでやめでー!天京院ざーん!

[Rachel] 人類の誇る世界遺産がー!

[Tenkyouin] なにが世界遺産だ。PSに突き出されないだけでも感謝してほしいもんだ。

[Tenkyouin] 変造したプログラムも消去させてもらう。本体は……ここか。これもだな。

[Tenkyouin] えい、消去(デリート)。

[Rachel] あ゛あ゛あ゛あ゛〜〜バックアップのバックアップまで……!

[Rachel] 終わったわ…………何もかも……

[Narration] 真っ白に燃え尽きたレイチェルを残し、天京院が立ち去ろうとしたその時───

[Narration] モニターがフラッシュした。

[Tenkyouin] ……!?

[Tenkyouin] 何をしたレイチェル!往生際が……

[Rachel] え? 何もいじってないわ!……端末が勝手に!

[Narration] 一台だけではない。電算室中の全端末が一斉に起動を始め、二人の姿を浮かび上がらせた。

[Tenkyouin] ……こ、これは!

[Narration] スピーカーが、耳障りな合成音声をつむぎだす。

[Unknown] ワレ、カンガエル、ユエニ、ワレアリ───

[Unknown] ワレ、カンガエルユエニ、ワレメアリ───

[Tenkyouin] ……ハァ!?

[Unknown] ナゼッテ?ソコニワレメガアルカラサ!

[Unknown] キャハ、キャハハ!

[Tenkyouin] う……うわあ、なんだコイツ!気持ちわりぃ!どうにかしろ!

[Rachel] しょんなこと云っても〜!

[Rachel] ……でもなんとなく共感できるような……

[Unknown] ワタシハ───

[Unknown] ワタシハポーラースター!

[Narration] ───杏里の個室。

[Narration] ベッドに潜り込んだはいいがどたんばたんと、しきりに寝返りをうつ。

[Narration] 自分の部屋と言われても、なにしろまったく実感がわかない。

[Narration] 視界いっぱいに広がる天井を見つめ、杏里はつぶやいた。

[Anri] ほんま広おすなぁ……トイレだけで8畳敷きはあるやん。

[Anri] ……なんや往来で寝とるみたいで落ち着かへん。

[Anri] 半分の半分でえーのに。うちなんかそのまた半分もないけど。

[Anri] はー……かなんなー……またがっこで居眠りなんぞしたらヘレナにしばかれてまう……

[Anri] …………

[Anri] ……せや。かなえんとこで寝かせてもらお。

[Anri] ふふっ……あんな、わやくちゃになっとるとこ他にあらへんし。

[Anri] けど、かなえ忙しそうやしなあ……

ほんま、どないしょ……?

ヘレナの部屋で寝る

やっぱりかなえと寝る

ニキと寝る

ほんま、どないしょ……?

ヘレナの部屋で寝る

やっぱりかなえと寝る

ほんま、どないしょ……?

ヘレナの部屋で寝る

やっぱりかなえと寝る

4位以下

ほんま、どないしょ……?

イライザ×アルマ

クローエ×杏里

ソヨン×天京院

8位以下

ほんま、どないしょ……?

天京院×鼎

コローネ×ニコル

杏里×アルマ

のけもんの部屋

ほんま、どないしょ……?

ヘレナの部屋で寝る

やっぱりかなえと寝る

4位以下

ほんま、どないしょ……?

ミリエラ×クレア&コー

イライザ×アルマ

クローエ×杏里

ソヨン×天京院

8位以下

ほんま、どないしょ……?

天京院×鼎

コローネ×ニコル

杏里×アルマ

のけもんの部屋

ほんま、どないしょ……?

ヘレナの部屋で寝る

やっぱりかなえと寝る

ニキと寝る

4位以下

ほんま、どないしょ……?

イライザ×アルマ

クローエ×杏里

ソヨン×天京院

8位以下

ほんま、どないしょ……?

天京院×鼎

コローネ×ニコル

杏里×アルマ

のけもんの部屋

[Anri] かんにんな? ヘレナー

[Helena] 一人じゃ寝られないなんて……

[Helena] まったく子供みたいね。子供なんだけど……

[Anri] てへ。

[Helena] しょうがないわね。ほんとうに、今夜だけよ?

[Anri] うん!ヘレナやったらそう言うてくれると思っててん!

[Helena] ちょ、調子がいいわね。

[Narration] 出来る限り平静を保とうとするヘレナだが、自然と声がうわずってしまう。

[Anri] ……やっぱ怒っとる?顔赤うなっとるよ?

[Anri] あ、風邪やったら、アンにお薬もらってこよか?

[Helena] なんでもない!なんでもないのよ?

[Helena] さ、就寝時間はとっくに過ぎてるわ。もう寝なさい。

[Anri] はーい。えっと……どこにお布団敷こか?

[Helena] お布団?

[Helena] いえ、この部屋にはないの。構わないから、そこのベッドで寝てちょうだい。

[Anri] でも……これはヘレナのやろ?

[Helena] 技術書とDVDの高層ビル街になってる天京院さんのベッドじゃないんだから。

[Helena] 二人くらい、じゅうぶん寝られるわよ?

[Narration] そう言って、ハッとしたヘレナはますます赤くのぼせあがった。

[Helena] ふ、二人で添い寝……?

[Anri] わあ!一緒に寝るなんてキャンプみたいや!

[Helena] そ、そうね……

[Narration] 杏里が渡された寝間着はだいぶ裾が余ったので、上だけを借りることにした。

[Narration] はずむ感触を楽しみながらベッドに潜り込む。

[Anri] ふかふかして浮いとるみたいや……

[Anri] ……ヘレナは寝えへんの……?

[Narration] ベッドを背に、読書灯がともる机に向かうヘレナに、杏里はたずねた。

[Helena] ちょっと書き物があるのよ。

[Anri] ふーん……そうなん……

[Narration] 杏里はもぞもぞとベッド端に体を寄せ、ぽんぽんとシーツを整える。

[Anri] ん……よし……

[Anri] ちゃんと、ねどこかたっぽ空けとくからはよ来てな……?

[Helena] ぶっ

[Narration] 眼下のノートにぼたたっと赤いものが落ちる。

[Helena] ちりがみ、ちりがみ!

[Anri] …………なー……ヘレナぁー

[Helena] ひょっひょまっへ……な、なに?

[Anri] ボク、だんだん眠うなってきてん……

[Helena] だから、無理に起きてなくてもいいから、早く寝なさい……

[Anri] ……なあ、先にボク寝とってもいたずらせんといてよ……

[Anri] 顔にヒゲとかタヌキとか書かんでな……

[Helena] 書きませんっ。何もしたりしないから安心してお眠りなさい。

[Anri] うん……おやすみ……ヘレナ……

[Helena] おやすみなさい。

[Anri] …………

[Helena] ……………

[Anri] ………………

[Helena] …………………

[Narration] なにやら書類を書きつけていたヘレナはきっかり百を数えてから、椅子の中で振り返った。

[Narration] すうすうと寝息を立てる杏里の横に真っ赤な鼻栓をした顔がにゅっとアップになる。

[Narration] 羽根まくらが高すぎたのか、杏里はシーツにそのまま頬をのせてころんと丸くなっている。

[Helena] ───ううっ

[Narration] 胸に熱い塊がこみあげ目を充血させながらヘレナは口元を押さえた。

[Helena] うっ……ううう……神様、今日という日をお与えくださったことを感謝いたします!

[Helena] ───い、いえ!やましいことなど考えておりません。ホントです!

[Narration] 見るとパジャマのボタンがはずれて、少女の薄い胸もとがのぞいている。

[Narration] 肩から胸にかけて、昼間の日焼けの跡がうっすらと残っていた。

[Helena] ぶっ

[Helena] あ、ごめんなさい!考えました!今ちょっとムラムラっと催しました!

[Helena] でも、いえ、そんな!実行に移すだなんて滅相も……

[Narration] 震える指先をそろそろと杏里の胸元へ伸ばし、やっとのことでボタンをはめ直す。

[Narration] ぜいぜいと荒い息をつき、額に玉となった汗をぬぐう。

[Helena] ……な、なにを興奮してるのかしら、

[Helena] わたしったら……変だわ……?

[Narration] 考えてみれば、杏里の方からベッドに忍んでくることはあっても、自分から入っていったことは一度も無かった。

[Narration] 新鮮な興奮である。

[Helena] 駄目!

[Helena] あ、相手は保護すべき子供なのよ?

[Helena] それに「あの」杏里とはちがって、曇りなき純粋無垢な存在なんだから!

[Helena] 考えすぎだわ、もう……

[Helena] さ、さあ、私もそろそろ寝ないと……

[Narration] ヘレナはいつもの三倍のスピードで髪をほどき寝間着へと着替えた。

[Narration] しかし、いざベッドにもぐり込む段階で、重大なトラブルが発生した。

[Narration] 杏里がベッドの手前に寝返りをうってきたのだ!

[Narration] 予定就寝スペースを占拠されてしまったヘレナは、仕方なくあいているベッドの反対側へと苦心してまわりこんだ。

[Narration] そうしてスペース確保に成功し、杏里の脇に鎮座したヘレナだったが、

[Narration] そこで、またしても杏里が寝返りをうつ!

[Narration] すでに理由はよくわからないが、ヘレナはしゃにむになって杏里から身を避わした。

[Narration] じりじりと壁際のベッド端に追いつめられ退路を断たれてしまったヘレナ……

[Narration] そこでヘレナは意を決し、大胆にも杏里をまたぐことにした。

[Narration] 下手をすると心地よさそうに眠る杏里を起こしてしまうかもしれない。

[Narration] それどころか一つ間違えば、自分自身が獣欲に支配されかねない危険な行為である。

[Narration] ヘレナは慎重の上にも慎重を期することにした。

[Narration] じゅうぶんに深呼吸を繰り返し、息をとめる。

[Narration] まず、右足をあげて、杏里の下半身をまたぐ。さいわい杏里は、足を閉じていたため一挙動でまたぐことができた。

[Narration] 次に、そろそろと右手を向こうに降ろすと、小さな吐息の感触がヘレナの手にかかった。

[Narration] まさしく杏里の上にのしかかる姿勢となる。思わず鼻息が荒くなった。

[Narration] じりじりと手はベッドにめりこみ、髪の先が、杏里の肩にかすかに触れる。

[Narration] とほうもない精神的葛藤の果てに、ようやく残った左足を抜く。

[Narration] ちょうど、犬が電信柱の脇でするようなポーズだった。

[Narration] しかし!

[Narration] そこでヘレナは重大な事態に気がついた。鼻につめたティッシュの栓がゆるんで落ちかかっているのだ!

[Helena] (はッ)

[Narration] 落下する寸前、はっしと栓は受け止められた。

[Narration] 目にも止まらぬ早さで元の位置へ栓は戻されたため被害は最小限で済んだ。

[Anri] …………ん……

[Helena] !

[Narration] 杏里が目をゆっくりと開く。

[Narration] ぼんやりとした瞳に見つめられ、ヘレナは前衛彫刻を思わせる奇妙な姿勢のままに硬直した。

[Narration] 息苦しい時間が過ぎていく。

[Anri] …………

[Anri] …………ん……

[Anri] ……なにしてん……

[Helena] …………

[Helena] ……あ、あの……これは……

[Anri] ……モーモー星人や……負けへんよ……

[Helena] …………え……?

[Anri] うわ……おっぱい衛星や……そんなん反則や…………

[Anri] ふふ……せやけどこんなこともあろうかとな……

[Anri] この……ぶたさんにもろたあめちゃんを…………………………

[Anri] …………………………………

[Anri] ………すぅ……すぅ……

[Helena] ……????……ねごと?

[Narration] 杏里がふたたび寝ついたところで硬直のほどけたヘレナは、ごろごろどたーんとベッドの反対に落ちた。

[Narration] ヘレナの苦闘ぶりも知らず杏里は安らかな寝息をたてている。

[Narration] ヘレナは、いまや真っ赤に染まった鼻を押さえながら机に戻ってつっぷす。

[Helena] 痛たたた……

[Helena] ……し、死ぬ……!

[Helena] こ、これでは眠るどころか、私が死んでしまう……!

[Helena] おお神よ! なぜこんな試練をお与えになったのですか!ひどすぎます!

[Helena] 悪魔よ去れ! 悪魔よ去れ!悪魔よ去れ! 悪魔よ去れ!悪魔よ去れ! 悪魔よ……

[Narration] 結局、まんじりともせず一晩を過ごしたヘレナは、杏里に肩を揺すられて朝の到来を知った。

[Anri] ヘレナ!一晩じゅう、ここに座っとったの!?

[Anri] 目ぇ、ウサギさんになっとるよ?大丈夫?

[Helena] だいじょう……ぶ…………

[Helena] ふふふ……神様……

[Helena] あなたの娘は試練を乗り越えました……

sapphism_no_gensou/7018.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)