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sapphism_no_gensou:6510

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[Tenkyouin] あたしは天京院鼎。ちなみにもう覚えていただけたと思うが、名前は「かなえ」と読む。

[Tenkyouin] もういまさら隠すこともないんでぶわ──っと言ってしまうが、あたしは杏里が好きだ。

[Tenkyouin] 愛してる! 欲情してる!

[Tenkyouin] ──っつーか思わず襲っちゃったし!

[Tenkyouin] ……でもあれからも、杏里は相変わらずだ。

[Tenkyouin] 年下、年下、年下……って、そんなに年下が偉いのか?

[Tenkyouin] 若いって武器か?いやそんな気もするが、努力でどうにもならないもんで好みを縛るなよっ!

[Tenkyouin] あたしにもチャンスをくれよぉ……。

[Tenkyouin] ……と、嘆いていた貧弱なあたしは昨日までのあたし!

[Tenkyouin] 凡人では努力でどうにもならないことも、天才ならば実現可能!

[Tenkyouin] あたしは時間さえ超えた!見よっ、この先進のメカニズム!

[Narration] ファンファーレに包まれて登場したのは巨大なカプセル型ベッド。

[Narration] もちろんミキサー付である。

[Tenkyouin] これこそあたしの発明した冷凍睡眠装置──コールドスリープ──だ!

[Tenkyouin] 平たく言ってしまえば、人間を凍りつかせて眠らせる機械。

[Tenkyouin] 凍ってる間は、その人間にとって時間は止まっているのと同じだ。

[Tenkyouin] つまりこれを使えば、あたしは自分の時間をとめることができる!

[Tenkyouin] その間に、杏里に追いぬいてもらおうって寸法だ!

[Tenkyouin] これであたしも杏里の年下!ちょっと知的なクールビューティー!

[Tenkyouin] 晴れて杏里にナンパされるってわけだあははははははははははははははっ!

[Tenkyouin] ──おっと、つい取り乱してしまった。

[Tenkyouin] ともあれ、善は急げというしな。早速、凍ろう。ビキンといこう。

[Tenkyouin] 待ってろよ杏里──いや待つのはあたしか?でも体感時間的に待つのは、やっぱり杏里?

[Tenkyouin] ……ああもうどっちでもいい!

[Narration] ひとりで興奮しまくった天京院は、コールドスリープベッドをセットした。

[Narration] 睡眠者の頭上に鈍く光るミキサーの刃が重苦しいが、これなくしては始まらないのでオーケー。

[Tenkyouin] ……えーと、3年ぐらいでいいか。あんまり年齢が離れても困る。

[Tenkyouin] さあ、めくるめく愛の日々に……かなえ、いきま────すっ!

[Narration] ──3年後。

[Tenkyouin] おはよー。

[Tenkyouin] ……うん、快調。眠りすぎにつきものの、身体のだるさもぜんぜんなし。

[Tenkyouin] ──ふっ、あとは杏里を捜すだけ……。

[Narration] と、計画の完璧性を疑っていなかった天京院は、隣りの光景を見て、また、凍りついた。

[Narration] 予備のベッドに杏里が寝ている。タイマーは同時にセットしてあったので、そちらもちょうどいまドアオープンな感じだった。

[Anri] ふわぁ……あ、ボンジュールかなえさん。

[Tenkyouin] な、な、なんで、杏里が、そこに寝てるんだ!?

[Anri] えー? なんか遊びに来たらかなえさん寝てるし、へんなベッドがあったから、ちょっと試しに。

[Narration] 天京院はおそるおそる日付を見た。

[Narration] 杏里がコールドスリープしたのは、天京院が眠った翌日だった。

[Tenkyouin] うわ────んっ!!1日しか差が縮まってない───っ!?

[Anri] なにが?

[Tenkyouin] 杏里のバカ────っ!!!

[Narration] 涙をちょちょぎらせて走り去る天京院を、杏里は呆然と見送った。

[Anri] なんだ?

sapphism_no_gensou/6510.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)