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sapphism_no_gensou:6451

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[Narration] 杏里に抱きしめられると、イライザは心から嬉しそうなため息をついた。

[Narration] 軽くついばむようなキスを自分から求め、にっこりと笑う。

[Eliza] こうして杏里様に抱いていただくのは、私にとっていつも最高の幸せでしたのよ。

[Anri] イライザ、もうその「様」ってつけるのやめようよ。キミも、もうメイドじゃなくなるんだし。

[Eliza] まだメイドですわ、杏里様。

[Narration] ことさら敬称を強調するようにイライザは言った。

[Eliza] 明日になれば、私は学生の身分に戻ります。もうメイドとして杏里様と接することはなくなります。

[Eliza] だから、これがメイドとして杏里様に愛していただく、最後の機会になるでしょう。

[Anri] ボクは別に、イライザがメイドでも学生でも、どっちでもいいんだけど。

[Narration] 杏里は首をかしげた。

[Anri] イライザはひょっとして、メイドのままでいたかったのかな?

[Eliza] そんなことはありませんけど……。

[Narration] そう言いながら、どこかイライザの口調は寂しげに聞こえた。

[Eliza] でも、こうなってみて、私ははじめて、世の中や自分の事を知ったと思います。

[Eliza] 幸せの象徴だと思っていたものは、みんな脆く崩れ去ってしまうものばかりで……。

[Eliza] 最後まで手元に残るものが何かということ、そしてそれこそ大切なものだと、知ることができました。

[Narration] それは、杏里には実感として理解できるものではなかった。

[Narration] もともと彼女は形だけの幸せにこだわるタイプではなかったし、それ以前にたいへん単純な人間だったからである。

[Anri] うん……まあ、イライザがそう言うのならそうなんだろうね。

[Narration] 仕方なく、歯切れの悪い同意をしてみる。

[Anri] けど、そうすると……すっかり戻るつもりではないんだね。

[Eliza] ……何が、でしょうか?

[Narration] 意味がわからず、イライザは不安そうに聞き返した。

[Anri] ほら、前のイライザって、なんだか女王様みたいに威張っていて、よくボクに嫌味を言っていたじゃない。

[Eliza] ──ああっ!

[Narration] イライザの頬が真っ赤に染まった。

[Eliza] あの頃のことは、どうか言わないでください!

[Eliza] 思い出すだけでも、恥ずかしくて恥ずかしくて……!

[Narration] かつて家柄をかさにきてイジメグループを率いていた彼女は、この船の学生としては格の低い者、あるいはおとなしい少女から鬼のように怖れられていたものだった。

[Eliza] 何も知らなかったんですわ。親の威光を自分のものと錯覚して……。杏里様にも、ずいぶんひどい事を言いましたものね。

[Anri] うん、いろいろ言われた。

[Anri] 妾腹とか、成り上がりの貧乏人とか、生まれの卑しい変態だとか……。

[Eliza] ──いやっ、もう許してください!

[Eliza] ああ、もう私ったら……考えてみたら、これまできちんと謝ったこともありませんでしたわね……。

[Narration] 打ちのめされたようになったイライザに、杏里は気楽に笑いかけた。

[Anri] 別に気にしてないもの。それに、ああして嫌味を言われてたころから、イライザって可愛いなと思ってたし。

[Eliza] 杏里様の脳天気……あ、いえ、お心の広さには、いくら感謝しても足りないぐらいですけれど。

[Narration] それでも、イライザには痛恨の思い出ではあったのだ。声を落として懺悔する。

[Eliza] ごめんなさい、杏里様……。私は、本当に愚か者だったのですわ……。

[Anri] うーん……。

[Narration] 杏里はいかにも「どうでもいいのに」と言いたげな顔をしていたが、イライザが本気で落ち込んでいるのはわかったので、あえて口は挟まなかった。

[Narration] かわりに、悪戯を思いついた子供のような顔になって、エプロンの内側に手を忍ばせる。

[Eliza] きゃっ……杏里様!?

[Anri] キミが悪い子なのは、よくわかったよ、イライザ。だから、お仕置きをしないとね。

[Eliza] まあ……!

[Narration] イライザは目を丸くし、ついで誘うように微笑んだ。

[Eliza] ……承知しました。どうぞ、ご存分にイライザめを折檻してください。

[Anri] うん、イライザ……。優しくて、甘い折檻を……ね……。

[Narration] 杏里の指が胸先のしこりを転がすと、そこはすぐに固くなった。

[Narration] この一年ばかり杏里に開発されまくったイライザの肉体は、簡単な責めですぐに準備ができてしまう。

[Narration] いつも以上に優しく、情熱的に、杏里はイライザの性感帯をくすぐっていく。

[Eliza] あっ、いけません……杏里様、そんなところを……いや、くすぐったいですわ、やめて……。

[Narration] 身をよじりながら、決して本気ではない抗いを見せるイライザ。

[Narration] 杏里はその動きをからめ取って押さえつけながら、さらに敏感な部分を刺激した。

[Eliza] や……あ、いけません、そんなに……強すぎます、もっと、どうか優しく……!

[Anri] ウソはいけないよ、イライザ。

[Narration] 喜びにあふれる泉を指先ですくいながら、その上に顔を出した快楽のボタンを爪で引っ掻く。

[Eliza] あっ!!

[Anri] ここはこんなに喜んでいるし……なにより、キミの泉はとっくにあふれてしまっているよ……?

[Narration] 秘洞の入り口で軽く指を出し入れすると、それだけで水っぽい音がした。

[Eliza] ああ……恥ずかしい……。

[Anri] 強くした方が気持ちいいんだろう、イライザ?

[Narration] 淫核を爪でコリコリとこすると、イライザは嬌声をあげた。

[Eliza] はあぁっ──!はい、杏里様……気持ちいいっ!!

[Anri] じゃあ、もっと乱暴でもいいね?

[Eliza] はい──はい、乱暴に……激しくして……ああっ、すごいです……!

[Narration] もっとも敏感な芽を硬い爪でいじりまわされ、イライザは痛みと快楽の狭間で酔いしれた。

[Eliza] はあっ……あああ……っ、んああぁぁぁっ、いやっ、いやいやっ!!

[Narration] 杏里は執拗にその一点だけを責め続けた。

[Narration] そして快楽が痛みにかわる寸前、すっと力を抜いて他の箇所の愛撫にかかる。

[Narration] ゆるやかな愛撫に意識がたゆたうと、また強い責めで絶頂の近くへと導かれる。

[Narration] 何度かそうした行為を繰り返すと、イライザの意識は夢と現実を行き来するようにぼうっ、となっていた。

[Eliza] ……ああ……いや……いかせてください……このままじゃ、おかしくなっちゃう……。

[Eliza] お願いです……杏里様……切なくて……苦しい……イかせて……。

[Narration] 半べそをかくように哀願する。杏里はまたゆるやかな愛撫を加えながら、悪魔の微笑みでイライザに告げた。

[Anri] そんなに切ないの、イライザ?

[Eliza] はい……もうダメ……あと少しで、イけるのに……!

[Anri] じゃあ、ちゃんと言わないとダメだよ。どこを、どうして欲しいの?

[Narration] イライザは恨めしそうに杏里を見て、視線をそらしながら言葉を口にした。

[Eliza] ……私のぬるぬるで汚れたあそこを、どうかいじってください……。

[Eliza] クリトリスを強く苛めてください……あと少し、こすってもらえれば……。

[Anri] そうすれば、どうなるの?言うんだ、イライザ。

[Narration] 恥ずかしい言葉を口に出来ず思わず押し黙ったイライザへ、杏里は冷酷な台詞を投げかけた。

[Narration] イライザの睫が震え、わずかに逡巡した。が、結局は欲望と──おそらくは、杏里の命令に従う喜びに耐えられず、言葉を紡ぎ出す。

[Eliza] ああ、杏里様……クリトリスを強くこすってください。そうすれば、そうすれば私、イってしまいますっ!

[Anri] こうして欲しいんだね、イライザ……。

[Narration] 杏里は激しく淫核を摘み、あふれる愛液をまぶしてつねりあげた。

[Eliza] ああ───っ! い、いい────っ!!

[Narration] 悲鳴のような絶叫とともに、イライザの全身が反り返った。

[Narration] イライザはメイドとして最後の絶頂を、杏里に抱きしめられながら、その腕の中で迎えたのだった。

[Eliza] ……こんなに乱れたの初めてです。

[Eliza] やだ、ちょっとアブノーマルに目覚めてしまったのかしら……。

[Narration] 杏里はそんなイライザの様子を見て、くすくすと笑った。

[Anri] ヘレナあたりなら、裸エプロンと聞いただけで青くなりそうだけどね。

[Eliza] それはあの、個人の趣味ですから。

[Narration] 清潔感ただようメイド服に戻ったイライザは、恥ずかしさを紛らわすように事務的な口調で言った。

[Narration] そうして、自分の全身を見回す。

[Narration] 杏里はその様子を静かに眺めていた。

[Anri] 名残惜しい……とか?

[Eliza] え……?はい、そうですね……。

[Eliza] 正直に言ってしまったら、メイドが好きというわけじゃありません。仕事は死ぬほど忙しいし、ストレスは貯まるし……。

[Narration] 珍しくイライザは本音を洩らした。

[Eliza] もし杏里様がいなければ、私、この境遇に耐えられなかった。それこそ、いまごろどうなっていたかわかりません。

[Anri] ボクが? なんにもしてないよ。

[Eliza] ──いいえ。私がこうなった時、杏里様だけが……まったく、様子がかわらなかったんですよ。覚えていますか?

[Anri] いや……。

[Narration] 杏里がかぶりを振る。イライザは懐かしむような表情をした。

[Eliza] 私がこのメイド服を最初に着て、仕事に出なければならなかった時……。

[Eliza] みんなの同情や、あからさまな蔑みの視線にさらされて、いっそ海に身を投げてしまおうかと思い詰めたとき……。

[Eliza] 杏里様ったら、廊下でバッタリ会った私に開口一番──。

[Anri] ──あ、思い出した。

[Narration] 杏里は顔を輝かせ、かつてと同じように芝居がかった仕草でその台詞を再現した。

[Anri] ──おお、イライザ、キミはなんてトレビアーンなんだ。そのメイド服に包まれた清楚な感じは、まさにボクの心を捉えて離さないよ!!

[Eliza] ええ。それに、それまで杏里様が私になんて言っておられたかは、覚えていますか?

[Anri] うん、確か……。

[Anri] ──おお、イライザ、キミはなんてトレビアーンなんだ。その制服に包まれた毅然とした感じは、まさにボクの心を捉えて離さないよ!!

[Narration] ふたりは顔を見合わせ、どちらからとなく笑い出した。

[Narration] ひとしきり笑うと、イライザが目尻の涙を拭きながら続ける。

[Eliza] 最初は、ひょっとしたら馬鹿にされているのかと思いましたのよ。これまで意地悪していた復讐じゃないかって……。

[Anri] そんなつもりは全然なかったんだけど。

[Eliza] ええ、すぐわかりました。だって杏里様、いつも本気なんですもの。

[Eliza] ……そういう大事なことに気づかせてくれたというだけでも、この制服にはたくさん思い入れがあります……。

[Narration] イライザは誇らしげに自分のまとった衣装を眺めた。

[Eliza] 杏里様、私がメイドでなくなっても……どうか、これまで通り、よろしくお願いします。

[Narration] ぺこりと頭を下げる。杏里は笑った。

[Anri] そんなもの、変えてくれって頼まれても、ボクには無理だよ。

[Eliza] ええ、本当に……そうですわね。

[Narration] 一抹の寂しささえただよわせて、イライザは呟いた。

[Narration] 明日からはクラスメートに戻る。そのことがまるで、何かの別れであるように、ふたりはしばし、その余韻を楽しみ続けた。

[Narration] 明けて、翌日──。

[Anri] イライザ、イライザっ!?

[Eliza] まあ、杏里様。どうなさいました、そんなに血相をかえて……。

[Anri] いや、どうしたもこうしたもさ、教室に来ないからヘンだなと思ってたら、クローエが教えてくれたんだけど……!

[Narration] そこまで言って、さすがに絶句する。続きは、おそるおそるといった口調になった。

[Anri] あの……イライザのお父さん、また失踪したって……ほんと?

[Eliza] ええ、そうらしいです。

[Narration] まったく何のてらいもなく、イライザはいつもの調子で言い切った。

[Eliza] どうも、何かの協定違反に引っかかったうえに、第三世界から暗殺者が送られたとか……。

[Anri] 暗殺者!?ハリウッド映画みたいだ……。

[Narration] さすがの杏里も驚いたが、イライザは一向に動じた様子がない。

[Eliza] それで、結局予定されていた学費が振り込まれなかったんです……なので、いままで通りメイドとして雇っていただくことになりました。

[Anri] なんと、まあ……。

[Narration] イライザはすっかり板についた使用人の会釈をして微笑んだ。

[Eliza] また、よろしくお願いします、杏里様。

[Anri] あ、うん、そりゃもちろん。

[Anri] ……いや、ひょっとしてイライザがショックを受けてるんじゃないかと思ったんだけど。それにしても、お父さん大丈夫なの?

[Eliza] はい。

[Eliza] ほとぼりを覚ますまで隠れることにしたけど心配するな、という両親からの暗号電報が届きました。

[Anri] ……イライザのお父さんって、軍人さん?それとも、スパイかなにか?

[Eliza] いえ、うちの父はただの貿易商でしたけれど。

[Eliza] この一年の苦労で、父も母もずいぶん変わったようです。

[Narration] 変わりすぎでは、というツッコミすら、杏里には入れられなかった。

[Eliza] まあ、私も最初にメイドになった時、こんな仕事、絶対自分にはつとまらないと思いましたけど、三日でなれましたし……。

[Eliza] 環境にあわせて逞しく生きるのって、うちの血みたいです。

[Anri] ほんとーに逞しいね……。

[Narration] それしか言えず絶句する杏里に、イライザはもう一度、頭を下げる。

[Narration] その瞳は喜びと、誇らしげな色に染まっていた。

[Eliza] これからも、杏里様のために働きますわ。どうぞ、いつでもお使いください!!

sapphism_no_gensou/6451.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)