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sapphism_no_gensou:6390

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[Anri] あれ、なんか変だな……?

[Narration] 世界が大きく歪んだような気がして、杏里はふらふらと立ち上がろうとした。

[Anri] アンシャーリー、この紅茶、なんか変じゃないか?

[Anne Shirley] ええ、そうね、杏里。

[Anri] ええそうねって……あらららら……?

[Narration] ぐるんぐるんと世界が回る。杏里は自分が倒れたような気がしたが、一瞬の後にはそれすら定かではなくなってしまった。

[Anne Shirley] 眠るといいわ、杏里。

[Narration] 遠く、アンシャーリーの声が聞こえる。

[Anne Shirley] 眠って、夢の中で、少し旅に出ましょう。

[Anri] 旅……?

[Narration] ようやく、それだけ口を動かすと、杏里の意識は暗闇へと染まった。

[Anri] ボクはここに来る前は、京都に住んでいた。

[Anri] 座敷にあがる仕事をしていた母はいつも朝が遅くて、昼過ぎには出かけてしまうから、ボクは毎日ひとりで留守番だった。

[Unknown] ……寂しくなかった?

[Anri] いや、別に。

[Anri] 友達……と呼べるほど仲のいい子はいなかったし、それにどうも……。

[Anri] ボクはそのころから、女の子に女の子としてつき合うことに、何か違和感を感じていたから。

[Unknown] 男の子になりたかった?

[Anri] いや、そうじゃない。別に女の子なのが嫌だと思ったことはなかった。

[Anri] ただ、他の女の子に……男の子がしているように接してみたかった……。

[Unknown] いまみたいに?

[Anri] ううん、あの頃はそんなこと知らなかったよ。あれは、義姉さんが……。

[Unknown] お義姉さん?

[Anri] ボクよりいくつか年上の、親戚の義姉さんだった。骨董品集めが趣味の、ちょっと変わった人だった。

[Anri] いろいろ複雑な事情があったらしくて、ボクとまったく血のつながりがないんだって笑ってたことがある。

[Anri] 義姉さんも母も詳しいことは教えてくれなかったから、よくわからないけど。

[Unknown] そのお義姉さんが、どうしたの?

[Anri] よく、ボクの家へ遊びに来たんだ。

[Anri] ひとりで留守番してるボクの様子を見に来て、勉強を見てくれたり、ご飯を作ってくれたり、色々な話をしてくれたり……。

[Unknown] ──それだけ?

[Anri] いつもは、それだけだった……。

[Anri] でも、あの日……。

[Unknown] あの日……なにがあったの?

[Anri] 夏だった。とても暑い日だったけど、不思議と風は気持ちいい、そんな日だった。

[Anri] 義姉さんはあの日、なんだか変で……。ぼうっとしているような、怒っているような……。

[Anri] なんだか心配で、どうしたの……って言ったら、それには答えないで、義姉さんの方から訊いてきたんだ。

[Anri] 「杏里ちゃん、大人の愛しかたって、知ってる? 教えてあげようか?」……って。

[Young Anri] はあ……ああん、お義姉さん……。

[Narration] 杏里は腰をくねらせながら、どうしてよいかわからずに呻いた。

[Narration] 初めての体験に戸惑う杏里には、感じ始めても、そこからどうすればいいのか、本当にわからなかったのだ。

[Stepsister] 杏里ちゃん、気持ちいい?

[Young Anri] ううん……わかんない……。

[Narration] 杏里はぐたりと答えたが、義姉の目には彼女が快感を得ているのは一目瞭然だった。

[Narration] やさしく撫でさすっていた未成熟な秘裂から指を離すと、つ……と透明な糸が引く。

[Stepsister] 他人にさわられるのって、不思議な感じでしょう?

[Anri] ああんっ……!

[Narration] ぬるぬるとした指先を恥丘の上でのの字に廻されて、杏里はあえぎ声を洩らした。

[Narration] 義姉の愛撫は、そう呼ぶには稚拙なほどつたなかったが、杏里には十分だった。

[Young Anri] お義姉さん、変だよ……痺れたみたいになって、それに熱があるみたい……。

[Stepsister] いいのよ、それで。女の子だから、どうしてもそうなっちゃうのよ……。

[Narration] 杏里には、その義姉の言葉がどこか悲しげに聞こえた。

[Stepsister] ねえ、舐めてあげようか……?

[Young Anri] えっ……?

[Narration] それがどういう意味か、一瞬わからなかった。だが杏里にも人並み以上の性知識はある。すぐ義姉の思惑を読みとって、小さくこくんと頷いた。

[Young Anri] うん、お義姉さん……。

[Stepsister] じゃあ……。

[Young Anri] ふあああっ──!

[Narration] あつくざらざらとした舌が敏感な粘膜をこすると、杏里はそれまでとは比べものにならない刺激に腰を跳ね上げた。

[Young Anri] お、お義姉さんっ!それダメっ、やぁん、痛いよぉっ!

[Narration] 本当に痛かったわけではない。現在の自分には強すぎると感じる刺激から一時でも逃れたくて、杏里は嘘の悲鳴をあげた。

[Narration] 義姉には、それはお見通しのようだった。ようやく開き始めた花弁に容赦なくキスの雨を降らせ、縦筋にそって舌を差し入れる。

[Young Anri] ふああんっ、あぁ……っ!うふぅ、あっ、……ふぅぅぅん……。

[Narration] やがて杏里はおとなしくなり、与えられる快感に酔いしれるようになった。

[Narration] つ……と、義姉が顔をあげる。

[Stepsister] 杏里ちゃん、感じすぎるみたいね。自分でもしていたんでしょう?

[Young Anri] あ……それは……。

[Stepsister] 嘘をついても、すぐわかるわよ?

[Narration] 年上の、親代わりと言っても過言ではない女性に問いつめられ、杏里は観念して首を縦に動かす。

[Young Anri] うん……でも、パンツの上から撫でるだけだったよ……。

[Stepsister] あら、じゃあちょっと刺激が強すぎたかもしれないわね?

[Narration] くすくすと笑いながら、義姉は杏里の上へ身体を預けてきた。

[Stepsister] でも、ここからもっとすごいわよ。……杏里ちゃん、イクって体験したこと、ある?

[Young Anri] ううん。

[Narration] 杏里は素直に首を振った。

[Young Anri] さわってると、最初は気持ちいいんだけど、そのうちなんだか気持ち悪くなって……そうしたらやめちゃうから。

[Stepsister] そう……じゃあ、今日は最後までしましょうね……。

[Narration] 義姉がキスをしながら、自分の肌を重ね合わせる。

[Young Anri] あっ、お義姉さん、ああんっ──!

[Stepsister] 杏里ちゃん、わたしにも……ね、わかる?

[Narration] 義姉が杏里の手を義姉の胸へと導いた。杏里は夢中でそれをこね回した。とても、愛撫とはよべない動きだった。

[Young Anri] はあっ、ふうっ、んんっ……、ふわあっ……ふわっ……!

[Stepsister] 杏里ちゃん、かわいいわ……とってもかわいいわよ……!

[Narration] 杏里の息が早くなり、もう意味のある言葉を継ぐことさえ困難になった。

[Narration] 義姉の愛撫が、まだ未完成な杏里の肉体を急速に目覚めさせていく。

[Young Anri] はうっ、ふわあぁんっ、あっくっ、いいっ、ああんっ、いいっ!

[Stepsister] 杏里ちゃん──っ!!

[Young Anri] ああっ、あはぁんっ、やあぁぁっ、あっ、あっ、あ──────っ!!!

[Anri] それからしばらくして、義姉さんとは離ればなれになった。

[Anri] 一人暮らしを始めるといって親戚の家を出たそうだけど、住所は誰にも教えていかなかった。

[Anri] 一度だけ、残暑見舞いがボク宛てに届いたけれど、そこにも住所はなくて、ただひとことだけ「ごめんね」と書かれていて……。

[Anri] それっきりだ。

[Unknown] ……辛い思い出なのかしら?

[Anri] いいや。

[Anri] いまのボクには、きっと義姉さんはあの時、誰でもいいから救いを求めるぐらい苦しんでいたんだろうと想像することは出来るし……。

[Anri] ボクが、たとえ救いにならなくても、何かのきっかけになれたのなら、それでいいや。

[Unknown] ……そう。

[Unknown] そうして、あなたは女の子どうしで愛し合うことを知ったのね?

[Anri] うん。次の日には、近所の美代ちゃんを家に連れ込んで試してみた。

[Anri] 最初はちょっと嫌がってた美代ちゃんがメロメロになるのを見て、ついに自分の運命に出会ったんだと思ったよ。

[Unknown] あ……そう……。

[Narration] どこか呆れた様子の声が、急速に遠ざかっていく。世界が、またぐるぐると回りだしたのを杏里は感じた。

[Anri] あ、あ、あーーーっ!?

[Unknown] お疲れさま、杏里。夢の旅はこれでおしまい……さようなら。

[Anri] あれ、あれあれ───っ!?

[Narration] 遠い声は、もう杏里には聞き取れなかった。

[Narration] 杏里は、自分が覚醒しようとしているのだと、無意識のどこかで理解した。

[Narration] 目蓋を灼く白熱した光にうっすらと目を開いた杏里は、しばらく自分が何をしているのかわからなかった。

[Narration] のっそりと上半身を起こすと、そこは空中庭園の芝生の上だった。「入ってはなりませぬ」と書かれた看板の横で、大の字になって寝ていたのだ。

[Tenkyouin] ……なにやってんの?

[Narration] 顔をあげれば、友人が訝しげに見ている。杏里は頭を振って意識を覚醒させた。

[Anri] ん……夢、見てた。

[Tenkyouin] 昼寝とはいいご身分だ。

[Narration] 嘆息して、どこか大人しい杏里に不安になったものか、天京院は重ねて訊いた。

[Tenkyouin] 大丈夫かい。なんだか、まだ夢見てるような顔してるよ?

[Anri] あ、へーきへーき。なんか、懐かしい夢だったからさ。

[Narration] 言ってから、妙な表情になる。

[Anri] ……でも、何で義姉さんがアンシャーリーの顔してたんだろ? 義姉さんは生粋の日本人だった……よな?

[Tenkyouin] 何をぶつぶつ言ってるのかね。

[Anri] いや……ところでかなえさん、ボク、なんでこんなところに寝てたんだろうね?

[Tenkyouin] その年で記憶力欠乏障害かい?あたしが知るわけないだろーが。

[Anri] うーん……なんか、記憶がとぎれてるんだよね。

[Narration] 唸ったものの、杏里はいつものように、すぐさま気分を切り替えた。

[Anri] まあ、いいか。かなえさんは、どうしてこんなとこに?甲板に出てくるなんて珍しいじゃない。

[Tenkyouin] 物資補給のヘリがつくんだよ。頼んでたレアものの豆を積んでるはずなんだ。

[Tenkyouin] ちょうどいいから、あんたも荷物持ちに来てよ。

[Anri] このまえ造った、ミキサー付き台車はどうしたのさ?

[Tenkyouin] ……ぶつかったり巻き込んだり色々とあったんだが、とりあえず最終的には海に落ちて消えた。

[Anri] 壊れたんだね。

[Narration] 杏里は立ち上がった。酩酊感のようなものが残っていたが、それほどひどくはない。

[Anri] じゃあ、つき合うよ。

[Tenkyouin] 助かる。

[Narration] 天京院に並んで歩き出した杏里は、ふと立ち止まって振り返った。

[Anri] …………

[Tenkyouin] どうしたの?

[Anri] いや、なんか蝉の声が聞こえた気がしてね。

[Narration] 天京院は訝しげに耳をそばだて、杏里の言葉を否定した。

[Tenkyouin] あたしには聞こえないよ。

[Anri] じゃあ夢だ。

[Narration] 笑いながら、杏里はまた歩き出した。

[Narration] 日差しが強い。今日は暑い日になりそうだった。

sapphism_no_gensou/6390.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)