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sapphism_no_gensou:6330

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[Anri] ……飽きた。

[Narration] 杏里・アンリエットは大体にしてまめな性格であったし、のめり込むと必要以上に熱中するタイプでもある。

[Narration] ──が、その反動か、時たまこうして急に冷めた物言いを始めることが、ごくごく希にあった。

[Nicolle] あ……飽きたって、杏里!?

[Narration] つい数分前まで彼女に組み敷かれ、体のしたで甘いあえぎ声をあげていたニコルは、ぎょっ、とした顔で叫んだ。

[Nicolle] そりゃ……おい、そりゃあんまりじゃないかよ!?

[Narration] 思わず、いつものポーズをかなぐり捨てて叫んでしまう。

[Nicolle] 確かにあたしは、借金のカタで杏里のものになってるだけだけど、それでもプライドってもんがあるぞ?

[Nicolle] あたしが何かしたのか? その、借りを返さないなんて、あたしの主義に反するし、悪いトコがあったんなら、なんとか、あらためてみないでもないからさ?

[Nicolle] 飽きたから、はいサヨナラなんて言われたら、そんなもん……そんなもん、あたし、どうすりゃいいんだよう……。

[Narration] 最後の方はかすれ声だった。すっかり打ちひしがれた様子のニコルに、コローネが悲しそうな声をあげる。

[Narration] しかし、杏里の方はきょとん、としていた。

[Anri] なに言ってるんだい、ニコル?どうしてボクがニコルに飽きるの?サヨナラなんかしないよ?

[Narration] 本気で理解できないという顔をする。

[Nicolle] え……あれ?

[Anri] ボクが飽きたっていうのは、ニコルにしてもらう、プレイの方だよ。

[Narration] 杏里とニコルの間には、特別なギャンブル協定が結ばれていた。

[Narration] ふたりの勝負には、常にニコルと呼ばれるポイントが使われている。これはニコルが自由に、いくらでも発行できる、両者の間だけで価値を持つ貨幣のようなものだ。

[Narration] 杏里はギャンブルによってこれをニコルから巻き上げ、それを支払うことによって、ニコルから様々なサービスを受ける。

[Narration] もちろん杏里が望むサービスはそっち方面のものばかりであるから、ニコルは自分のプライドと秤にかけながら、彼女の欲する行為に値段をつけていた。

[Narration] 少し考えてみれば、これは明らかに歪んだ──というか、そもそも取り引きとして成立していないシステムなのだが、

[Narration] 彼女たちが満足している以上、ケチをつける者はない。

[Nicolle] プレイに飽きた……って……。

[Narration] ニコルは不安そうに訊いた。

[Nicolle] どういう意味さ、杏里?

[Anri] だから、いまメニューにあるプレイは飽きたんだってば。もう、この半年で上から下まで23回も往復してしまったもの。

[Anri] ここらで、新しいメニューを追加してもらってもいいかな、と思ってさ。

[Narration] 面白そうに提案してくる。が、ニコルは途方に暮れたような顔をした。

[Nicolle] そんなこと言われてもさぁ……。

[Nicolle] こう言ったらなんだけど、あたしもう、できることは全部してやったし、やられる方だって思いつくかぎりされたと思うんだけど……。

[Narration] 言って、ちょっと顔を赤らめる。

[Narration] まっとうなセックスから絶対に他人には聞かせられないアブノーマルなプレイまで、ずいぶんふたりはこなしていた。

[Narration] これ以上は、本当に人の道に外れるものになるだろうことは、想像に難くない。

[Narration] 杏里とて、そこまでするのは趣味ではないだろう……と、ニコルは思っていたのだが……。

[Anri] そりゃあ、そうなんだけどね。

[Narration] ニコルの思いを知ってか知らずか、杏里はしたり顔で頷く。

[Anri] けど、ボクの勝ちニコルもそろそろ膨大な額じゃないか。このままのメニューだと、一生かかっても使い切れないんじゃないかと思うんだ。

[Nicolle] う……。

[Narration] もちろん、それはニコルが賭けに勝つことで杏里から奪い返せるポイントではあるのだが、それは無理だろうと彼女は考えている。

[Narration] 杏里とてギャンブル全般に無敵ということはないのだが、何故かニコルとの勝負にだけは絶対勝つ。

[Narration] とにかく勝つ。負けたことがない。ニコルがイカサマを使っても──何故か勝つ。

[Narration] 近ごろでのニコルのインフレには、目を覆うものがあったのは否めない。

[Nicolle] じゃあ……どうしろっていうのさ?

[Narration] いささかヤケの口調で訊ねる。杏里の口元がニヤリと歪んだ。

[Anri] ニコル……。最初に会ったころ、ボクのお願いを断ったことがあったよね?

[Nicolle] ……なんだっけ?

[Narration] 本当に思い出せず聞き返す。

[Anri] 覚えてないかな?ボクが素直になって……って言ったら、そんなこと言えないって抵抗したよね。

[Nicolle] ああ……!

[Narration] あれはまだ、杏里に初めてやられて間もない頃だ。

[Narration] 素直に「気持ちいい」や「もっとして」と口にするよう言われても、当時のニコルにはどうにもそれができなかった。

[Narration] さすがに恥ずかしかったのである。

[Nicolle] でも、いまは別に……言ってるよ?

[Narration] つい先ほどまでの痴態を思い返して照れくさくなり、ニコルはぶっきらぼうに言った。

[Anri] うん、だから、ただ何か言ってもらうんじゃないんだ。

[Anri] どうせなら、色んなシチュエーションを用意してさ……。ニコル、イメージプレイってわかるかな?

[Nicolle] ……わかんない。

[Nicolle] けど、なんとなく意味はわかってしまった……。

[Narration] 杏里の顔は喜色満面に輝いた。

[Narration] ──思えば、これが事件の始まりだったのである。

プレイのシチュエーションを決めてください

幼●プレイ編

桃太郎編

プレイのシチュエーションを決めてください

幼●プレイ編

桃太郎編

新選組編

[Anri] なにか今ひとつだったかな……

[Nicolle] まあ、要領はわかったよ。で、あたしもシナリオを思いついたんだけどさ。

[Anri] うんうん、聞かせて? 聞かせて?

[Nicolle] えーと……

プレイのシチュエーションを決めてください

お医者さん編

SF・ポーラースターウォーズ編

プレイのシチュエーションを決めてください

お医者さん編

SF・ポーラースターウォーズ編

蒼い珊瑚礁編

[Anri] ふぅ……ニコルの考えたシチュエーションって、本当にイヤラしいや。エロ小説家の才能ある。うん。

[Nicolle] 「エロ」はよけいだよ。

[Anri] ニコルって、いつも、こんなことばかり妄想しているの?

[Nicolle] あ、杏里こそ……っ

[Anri] いやいや! ニコルには、到底かなわないな。もっと色んなシチュエーションを考案してみてよ。そうしたら、またボクがそのシナリオを買ってあげる。

[Nicolle] え……そう?じゃ、じゃあ……考えてみるよ……

[Anri] とりあえず、もう一度ふつうにしておこうかな?

[Nicolle] えっ、ま、まだするの……? あたし、もう眠くなって……

[Anri] だーめー。

[Anri] 次はね、ポーラースターの杏里とニコルという設定で……

[Nicolle] そんなの……何のヒネリも……アアっ……

[Narration] その後、居眠りばかりしていたニコルが、近頃はまじめに講義を受けるようになったと、評判になる。

[Narration] 実際には、意味不明の走り書きがノートに増えるばかりであったのだが……

[Nicolle] えっと……ファシズム政権下の屋根裏部屋で……少女は盲目で……

[Nicolle] 天竺へありがたいお経を……ってまたあたしがサルになるからこれはダメっ……

[Nicolle] あっ……先輩と後輩を逆転してやってみるってのも……うん……

sapphism_no_gensou/6330.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)