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sapphism_no_gensou:5111

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[Nicolle] おわわっ! ちょっと待て、待った、待ってくれ、お待ちになれ、なってくれ、なりやがれ、こら、コロ! コロコローっ!!

[Anne Shirley] さぁ、第3コーナーをまわって、馬群のペースはいっそうあがって参りました。

[Nicolle] ひわっ!?

[Anne Shirley] 最終コーナーを回って、いよいよ最後の直線! 先頭はマチカネコローネ! 鞍上のニコル・ジラルドの鞭もうなるうなる!

[Nicolle] こらぁ! 横から変な実況を入れるんじゃない!こら、コロ! 止まれ、止まれったら!

[Anne Shirley] さぁ、ゴールはすぐそこだ!

[Niki] ……!……!!

[Nicolle] うわああああああああっ!

[Anne Shirley] そして伝説へ─────!

[Eliza] まぁ、それで、温室に保管してあった、腐葉土の山の中に……。

[Nicolle] そゆこと。全員仲良くね。

[Narration] シャワーから流れ出したお湯が床の上ではねる軽快な音が、広いシャワールーム中に響き渡る。

[Narration] 船にあるまじき広大な敷地を持つポーラースターの各所に設けられたレストハウスのシャワールーム。

[Narration] そこに、泥まみれとなったニコル、ニキ、アンの3人が運び込まれたのはつい10分ほど前のことだった。

[Nicolle] まったく、コロのやつ……。

[Narration] シャンプーのついた髪の毛をわしわしとかきまぜながら、ニコルは隣にいる十年来の愛犬の姿を見やる。

[Nicolle] なんだか知らないけど、散歩の途中で急に走り出してさ。

[Nicolle] ニキまで巻き込んでえらい惨事になっちまったよ。

[Eliza] それは、災難でしたね。ニキ様も。

[Narration] イライザが声をかけると、それまでおとなしく体を洗われるままだったニキが、コローネを抱きしめたまま、ふるふると首を振る。

[Nicolle] 悪かったな、ニキ。

[Narration] ニコルの声に、もう一度、ニキは首を振る。きゅっと抱きしめられたコローネが不思議そうにニキを見上げる。

[Eliza] ニキ様の方は、気になさってないようですね。

[Nicolle] とは言ってもなぁ。

[Anne Shirley] ちなみにあたしは。

[Anne Shirley] まったくの自業自得なわけだけど。

[Nicolle] ほう? 詳しく聞こうか。

[Anne Shirley] それは、コロちゃんに飲ませた、一粒のオクスリから始まったのでした。

[Nicolle] ちょっと待て!コロにいったい何を飲ませた!?

[Anne Shirley] 虫下しよ?

[Nicolle] なんの虫だ!?

[Anne Shirley] 見えない虫がよくとれるオクスリ。それはもう入れ食い状態。

[Nicolle] 見えない虫など、存在しない!

[Anne Shirley] あら、甘いわね、ニコル。見えない虫はきっついわよ?

[Anne Shirley] それはもう、目をこらすと、タイルの継ぎ目からじわじわとしみ出してくるほどに。

[Nicolle] うひいいいいいいっ!? 想像させるな!

[Anne Shirley] ほら見えた。

[Nicolle] 見えてない!

[Narration] どうやってか天井からつりさがったアンシャーリーと怒鳴りあうニコル。

[Narration] それを眺めやっていたイライザは、ひとつため息をつくと、まだおとなしく洗われるままになっていたニキとコローネにもう一度、声をかけた。

[Eliza] 災難でしたね、お二人とも。

[Narration] ニキとコローネは、同時に頭を振った。

sapphism_no_gensou/5111.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)