User Tools

Site Tools


sapphism_no_gensou:4801

Place translations on the >s

[Narration] 天京院鼎は変人である。

[Narration] だいたい人間というものは、普通より頭が良かったり、普通よりお金持ちであったり、そんなことで簡単に性格がゆがんだりする。

[Narration] まあ、天京院も確かに普通より頭が良くて、実家は金持ちだったわけだが、彼女の人格形成に大きく寄与したのは、親の資質であったらしい。

[Tenkyouin] ……いや、あたしの母親というのがまた変わっていてね。

[Narration] 訪ねてきた杏里にせがまれて実家の話をはじめた天京院は、どこか嬉しそうに母親のことを語り始めた。

[Tenkyouin] もともと華族の家柄に生まれたのに、機械工学の道に進んでねぇ。

[Tenkyouin] 世界的なプロペラの権威にまでなったんだよ。

[Anri] プロペラって、飛行機とかについてるブンブン?

[Tenkyouin] ヘリコプターなんかについてるブンブンだな。

[Narration] 杏里はミキサーだらけの天京院の部屋を見回し、これが全部プロペラになってる様子を想像した。

[Tenkyouin] で、父は婿養子で家に入ったんだけど、これがまた無類のドリル好きで。

[Anri] 今度はドリル?

[Tenkyouin] うん。──で、両方の血を引いて生まれたのが、あたし。

[Anri] (プロペラ+ドリル=ミキサーか)

[Narration] なるほど、と感心してよいものだろうか?

[Tenkyouin] 両親とも、あたしには自分の跡を継いでほしかったらしくてね。

[Tenkyouin] ことあるごとに、プロペラもいいよ、ドリルもいいよ、って言ってくるんだよね。

[Anri] そうするとかなえさんは、将来ミキサーの権威になるのか……。

[Narration] はっきりいって、どんなものなのか想像できなかった。

[Tenkyouin] あたしの夢は、いつか月面に大きなミキサーを作ることなんだ。

[Anri] (何の役に立つのかは…… 聞いちゃいけないのかなあ?)

[Tenkyouin] 杏里もミキサーの用があったら、いつでも言ってくれよ。

[Anri] えーと、……そうね。

[Narration] ……かくあるように、天京院鼎は変人なのであった。

sapphism_no_gensou/4801.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)