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sapphism_no_gensou:4621

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[Anri] やぁニキ、調子はどうだい!

[Anne Shirley] あたしはアンシャーリー・バンクロフトだけど、あなたはだあれ?

[Anri] ……ひどいな子猫ちゃん。ボクの顔を忘れてしまったのかい?杏里・アンリエットだよ。

[Anri] ところでアン、ボクの記憶が確かなら、ここはニキの部屋だと思ったんだけど。

[Anne Shirley] 世の中に確かなことなんて一つもないわ。あるとすれば、それは甘くて苦い恋の味、隠し味にケチャップをどうぞ。

[Anri] 甘辛そうだね。

[Anne Shirley] それでもやっぱりデビューは無理ね、だってとても麗しの巴里では振袖大火。私には妻も夫もいるんだから?

[Narration] どうやらアンの心は旅行中らしい。

[Narration] これ以上まともな会話は無理だろう。杏里は小さくため息をついた。

[Narration] 原因はテーブルに置かれたふたつのカップと、それに注がれた紅茶にあるのだろう。

[Narration] アンの入れるお茶は、いつも……。

[Anri] まてよ、ここにカップがふたつあるということは……?

[Niki] やあぼくのかわいいこここねこちゃん?

[Anri] わあっ!ニ、ニキ、いたのか?

[Anri] 脅かさないでおくれよ、突然現れたらびっくりするじゃないか。

[Niki] ああぼくのかわいいあんりそんなにかなしいことをいわないでおくれぼくはいつでもきみのこころのなかにすんでいるんだとつぜんなんてことがあるものかそうだろう?

[Anri] ニ、ニキ?なにを普通にしゃべってるんだい!?

[Niki] なにをいっているんだいぼくがしゃべれなかったことなんていちどだってあったためしがないよそうともきみはぼくでぼくはきみなんだいってることまちがってるかい?

[Narration] と、言いながらニキは杏里のあごに手をかけて、そっと上を向かせ……

[Narration] そしてそのまま眠ってしまった。

[Anri] ……けっこう驚いた。

[Anne Shirley] それはきっと理想の自分の姿なのよ。憧れのあの人に常に己の姿を重ねていた悲しい少女の胸のうち。

[Anne Shirley] お茶を飲んだら出て来たのかしら?

[Anri] アン?アンシャーリー・バンクロフト、もしかしてキミは何か知っているのかい?

[Anne Shirley] もちろんそんな考えは間違っているわ。本物でない輝きでは無理があるもの、やがてそれは壊れて消えてしまう。

[Anri] じゃあ、その輝きが消えたときは……

[Anne Shirley] 電池を入れ替えるのよ。当たり前でしょ?

[Anri] はぁ?何の話をしてるんだい?

[Anne Shirley] そこの壁に備え付けてある懐中電灯よ。ボゲードンは最近、家電製品が大変お気に入りなの。

[Anne Shirley] なかでも特に光るものが好きみたい。

[Anri] へーえ。

[Narration] しかし、杏里は備え付けの非常灯を見て首を傾げた。

[Anri] ……懐中電灯って、家電なのかなぁ?

sapphism_no_gensou/4621.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)