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sapphism_no_gensou:3351

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[Anri] (そう言えば……、ヘレナがソヨンから話を聞いてくれるって言ってたっけ……)

[Anri] (二、三日って言ってたから、そろそろかな? 聞きにいってみよ)

[Anri] (ソヨンが、ボクが犯人じゃないって証言してくれたら、みごとに濡れ衣を晴らすことができるんだけどな)

[Anri] (いや、いやいや! 無実が証明されるだけじゃダメだ。真犯人を見つけださなきゃ!)

[Anri] ヘレナ、いる……?

[Narration] 杏里はノックしたあと、ドアを開ける。

[Helena] あら、杏里。

[Narration] ドレッサーの前に腰掛けたヘレナが杏里を振り返る。ヘレナはそのまま手早く髪をまとめあげ、服装を整えて立ち上がる。

[Anri] やあ、ヘレナ、ごきげんよう。……どこか出かけるの?

[Helena] ええ。今、PSの方から連絡があって……。前に話したでしょう? ファンさんから話を聞けるかもしれないって。

[Anri] ああ、ボクもそのことを聞きたかったんだ。これからなの?

[Helena] ええ。ファンさんも落ち着いたみたいで。

[Anri] ……ねえ、ボクも行けないかな?

[Helena] 無理よ。

[Narration] ヘレナは即答する。イライザの協力で自室謹慎こそ有名無実と化しているものの、PSにとって杏里は最有力の容疑者にちがいない。

[Narration] レイプ事件の被害者に会わせることなどもってのほかで、できるなら連行して尋問したいというのが彼らの正直なところだった。

[Helena] お願いだから、おとなしくここで待ってて。彼女から話を聞いてきたら、あなたにちゃんと教えてあげるから。

[Narration] ヘレナはそう告げると、荷物をまとめるために忙しく部屋の中を駆け回る。

[Anri] ちぇ、つまんないな。

[Narration] そんなヘレナを目で追いながら、杏里は中に入る。ベッドに腰をおろし、肘を膝の上について部屋を見回す。

[Narration] 見慣れた部屋だ。何度もここで朝を迎えたことがある。掃除の行き届いた床、きれいに整えられたシーツ。

[Narration] イライザに聞いた話だと、ヘレナは掃除、洗濯も自分でする奇特な学生らしい。

[Anri] らしいとは思うけどね。

[Helena] 何が?

[Narration] ファイルをいくつか抱えたヘレナが杏里のつぶやきを聞きつける。体を少しかがめて、ベッドに座った杏里の顔をのぞき込む。

[Helena] 急いでいてごめんなさいね。眠かったら……、寝てても、まあ、かまわないわ。戻ったら、起こしてあげるから。

[Helena] じゃあね、急がなきゃ遅れてしまうから……。……? あ、杏里? どうしたの?

[Narration] ドアへ向かうために体を返したヘレナが、再び杏里を振り返る。杏里は、反射的にヘレナの手をとっていた。

[Helena] な、なに、杏里? その、用がないならはなしてちょうだい。

[Narration] 手をつかんだままの杏里に、ヘレナは言葉をかける。日頃の杏里の強引さと場所の選ばなさを実感してるため、ヘレナの思考はどんどん悪い方向に向かっていく。

[Helena] ね、遅れそうなのよ。ファンさんの面会時間は限られているんだから。わ、わかるでしょ? ね、杏里ってば!

[Helena] ま、まさか、また変なことを考えてるんじゃないでしょうね! その、ダメよ! こんな時に……。い、いえ、どんな時でもだけど……!

[Helena] あ、杏里……! はなしなさい、杏里!

ヘレナを捕まえた! どうする?

情欲のために押し倒す

[Anri] ヘレナぁ!

[Helena] あ、杏里! だ、だめ! やめなさい!や、やめなさいってば! あ、だめ、や、やめてぇ!

[Anri] うふふふふふ……。

[Helena] あ、あぁ……! だめ、いく、いくぅ……! あぁ……、うぁ、あ、ああああっ……!

[Anri] ふぅ……。

[Helena] うぅ、ううううぅ……。

[Narration] 杏里はヘレナの手を握ったまま、腕に力を込めて引き寄せる。

[Helena] ちょ、ちょっと杏里、な、何よ、いきなり……。

[Helena] あ、きゃ、きゃあ!

[Narration] 思い起こされた記憶を活かす間もないうちに、ヘレナの身体は、引き寄せられる杏里の勢いそのままに、床に押し倒される。

[Helena] い、いや! あ、杏里! 悪ふざけはよしてって言ってるでしょう!

[Anri] 心外だな。ふざけてなんかいないよ、ヘレナ。ボクはいつだって真剣さ。そうだろ?

[Helena] じゃ、じゃあ、なおさらよ! 離れなさい! こ、こんなところで!

[Helena] 杏里、お願い、やめて!

[Anri] もう、遅いよ。

[Narration] その言葉の通りだった。すでにヘレナの手足は絶妙の力加減で押さえ込まれ、髪も服も乱れている。

[Narration] そして、杏里の責めはもう始まっていた。

[Helena] あ、はぁ、……いやぁ!

[Helena] や、やめて、いやぁ……! あ、ひぁ、杏里、おね……お願いだから……、んあぁ!

[Narration] ヘレナの哀願を無視して、杏里は身体を貪る。そして、ヘレナにとって認めがたい感情の暴走が始まる。

[Helena] あ、あぁ、ん、そ、そこは……、あぁ!

[Helena] い、いやぁ……、だめ、だめよ……! ふぅん、あ、あん、うあぁ……!

[Narration] 舌技に応えて跳ねる腰を押さえるのに杏里が苦労するほど、ヘレナの身体は激しく反応する。

[Anri] さ、ヘレナ、もうすぐだよ。また、素敵な世界を見せてあげる。

[Helena] いや、いやぁ……、あぁ、うあぁ、あ、あん、あんん……!

[Helena] 杏里、お願い、もうやめて……。あぁ! そ、そこは……、あん、あぁん、うぁ! ああっ!

[Helena] いやぁ、つ、強くしないで……、あ……、だめ……。あん! あん、あぁ……!

[Helena] ふあぁ、あ、あ、だめ、いく、いくぅ……! ふ、うぅ、あ、あ……!

[Helena] ああああぁっ……!

[Narration] 杏里は無言でヘレナを見つめたまま、腕に力を込めてその体を引き寄せる。

[Helena] あ、きゃ、きゃあ!

[Narration] 巧みな力加減で、ヘレナの体を床へと転がし、その上に自分の体を覆い被せる。

[Helena] あ、杏里! や、やめなさい! じ、時間がないのよ!

[Narration] 不吉な予感が現実となってしまったことに目を見開くヘレナ。震える声で杏里をたしなめる。

[Narration] その視線と声を受け止めながら、杏里は今、自分の身体が求めるものの正体を知った。

[Anri] 大丈夫だよ、ヘレナ、すぐにいかせてあげるから……。

[Helena] はぁ……、はぁ……。

[Narration] 絶頂を迎えたヘレナは、荒い息をつきながら、しばらく床に突っ伏していた。

[Helena] ……あ、杏里……!

[Narration] しかし、ゆっくりと体を起こすと、脱がされた衣服をかき集め、そして杏里をにらみつけた。

[Anri] あ、もう復活した。

[Helena] ……もう復活したじゃないわよ!

[Narration] 怒鳴りつけると、ヘレナはすさまじい勢いで髪をまとめ、衣服を着直した。眼鏡を鼻の上にのせ、机の上の時計に目をやる。

[Helena] ああ、もうこんな時間じゃない! もう、本当にあなたって人は!

[Anri] ごめんごめん、ヘレナとHするのも久しぶりだったから、ついつい楽しんじゃって。もっと早くいかせるつもりだったのになぁ。

[Helena] そういう問題じゃないわよ!

[Anri] でも、ご無沙汰だったヘレナもすっごい感じてたよね?

情報のために我慢する

[Anri] ねぇ、ヘレナ……。

[Narration] その手をとったまま、杏里はヘレナを見つめて声をかける。

[Anri] この手を……、はなしてもいいのかな……?

[Helena] ……!

[Narration] 杏里の視線と言葉にヘレナは息を飲む。そしてすぐに勢いよく首を横に振り、迫りあがってきた情念を否定する。

[Helena] え、ええ! 早くはなしなさい、杏里!あ、あなたのために、ファンさんの話を聞きにいかなくちゃいけないのよ!

[Anri] ボクの、ため?

[Helena] ええ、そうよ!

[Anri] ボクが、今、どうしたいのか、何をしたいのか、ヘレナにはわかるの?

[Helena] わ、わかります! 杏里は、自分の無実を証明するために、私に情報を集めに行ってほしいと思ってるに決まってるもの!

[Narration] ヘレナは答えながら杏里の手をほどこうとする。しかし、その手はしっかりと押さえられ、逆にヘレナの体を引き寄せる。首筋に杏里の息がかかる。

[Anri] じゃ、ヘレナは今、ボクに何をしてくれるのかな……?

[Helena] あ、あ……。

[Narration] 耳にかかる息の感覚を、体をわずかに震わせながらヘレナは耐える。

[Helena] だ、だめよ、杏里……。あ、ファンさんから話を聞かなきゃいけないの……。いけないのよ……。

[Anri] どうしても……?

[Helena] ど、どうしてもよ……。どうしても……。

[Narration] 顔を紅潮させ、熱い息をもらすヘレナ。かすかな、泣くような声が続いてこぼれる。

[Helena] あ、もう、どうでも……。

[Anri] あーあ、ダメか。

[Narration] ヘレナの理性がまさに決壊しようとする直前に、杏里はつかんでいた手をはなした。

[Helena] あ……。

[Narration] ヘレナは糸が切れたように、その場に座り込む。溢れ出かけた欲情が、熱い息となって口からこぼれる。

[Helena] あ、杏里……?

[Anri] いやー、ごめんごめん。ついヘレナがパタパタ支度してるのを見てたら、押し倒したくなっちゃって。

[Anri] うんうん、あやうくヘレナが大切な情報を手に入れるチャンスを逃すとこだったよね。よかった、思いとどまって。

[Helena] あ、え、ええ……、そうね……。

[Narration] 呆然と杏里を見上げながら、ヘレナはうなずく。早打つ鼓動をおさえるように、胸に手を当てている。

[Anri] ごめんね、足止めさせちゃって。さ、時間に遅れちゃうよ。……ヘレナ?

[Helena] あ、な、なあに……?

[Anri] もしかして……、ご無沙汰だったから、一気にやっちゃった方がよかった?

[Helena] はぁ……、はぁ……。

[Narration] 絶頂を迎えたヘレナは、荒い息をつきながら、しばらく床に突っ伏していた。

[Helena] ……あ、杏里……!

[Narration] しかし、ゆっくりと体を起こすと、脱がされた衣服をかき集め、そして杏里をにらみつけた。

[Anri] あ、もう復活した。

[Helena] ……もう復活したじゃないわよ!

[Narration] 怒鳴りつけると、ヘレナはすさまじい勢いで髪をまとめ、衣服を着直した。眼鏡を鼻の上にのせ、机の上の時計に目をやる。

[Helena] ああ、もうこんな時間じゃない! もう、本当にあなたって人は!

[Narration] ファイルを再び抱え、ヘレナはドアに向かう。そして、ドア口のところで杏里に振り返った。

[Helena] いい、私が帰ってくるまで、そこにいるのよ! 道徳心とはどういうものかを、今日こそはしっかりと理解してもらうんだから!

[Anri] はーい、待ってるよ。帰ったらまた、Hしようね。

[Helena] しないわよ!

[Narration] その言葉と同時に、ドアは勢いよく閉められた。

[Narration] ヘレナが戻ってきたのは、それから一時間ほどしてからだった。

[Narration] 当然のようにベッドの上で丸くなって寝ていた杏里は、ヘレナに叩き起こされる。

[Anri] ん〜。

[Helena] しゃきっとしなさい、だらしのない!

[Narration] 話している最中、何度となく睡魔にとらわれそうになる杏里を、そのたびにヘレナが叱咤する。

[Anri] ……それで、ソヨンの様子はどうだったの?

[Helena] 何度、同じことを話させるのよ、もう……。ファンさんは心配したよりも元気だったわ。まだちょっと、怯える様子が残ってたけど……。

[Anri] そっか……。

[Narration] さすがの杏里も、ソヨンが受けたショックを思いやって、一瞬、神妙な顔つきになる。

[Anri] ……それで? その、ソヨンは犯人のことについては、何か言ってなかった? えっと、その、ボクじゃないって言ってくれなかった?

[Helena] 残念だけど、あなたじゃないって断言してはくれなかったわ。

[Anri] うーん、そっかぁ……。

[Helena] 無理もないわよ。その、襲われている最中は、ずっと目隠しをされていたそうだし。でも、杏里じゃなさそうだって言ってはくれたけど。

[Anri] 本当かい!?

[Helena] ええ。でも、それであなたが無実だっていう証拠にはならないわね。PSはそれでもあなたを疑っているみたいだし。

[Anri] うーん。

[Helena] それにね、ファンさんが感じたことなんだけど、襲われている最中の、犯人の息づかいや、肌の感触、体の匂いとか……。

[Helena] そういうものを思い出してみると、犯人は女性だと思ったんですって。

[Anri] ……それ、ボクにとって有利な証言かな?

[Helena] 思いっきり不利よ。でも、ファンさんも立派だわ。つらいことだったのに、そこまで思い出してくれたんですもの。

[Anri] そうだね……。うん、ソヨンのためにも、なんとしても犯人を見つけなきゃね。うん、もっともっと手がかりが必要だ。

[Helena] ええ、そうね。頑張ってね、杏里。

[Anri] うん!

[Helena] ……! あ、杏里!

[Narration] 杏里の言葉に一瞬、息を飲むと、ヘレナはすさまじい声をあげた。

[Anri] ひゃ、は、はい!?

[Helena] あなたって人は……! ちょっとここに座りなさい! 悪ふざけにもほどがあるわ!

[Anri] え、あ、で、でも、ヘレナ、出かけなきゃ……。

[Helena] あなたのさっきの不謹慎な態度を放っておけますか!

[Anri] でもでも、ソヨンの話を聞いてきてくれるんじゃ……。

[Helena] そっちは後で調書を見せてもらいます!いい、杏里、しっかりお聞きなさい! そもそも道徳観というのは、人間が集団で社会を形成するにあたって……。

[Anri] へ、ヘレナ〜、ごめん、ごめんってば〜。

[Helena] 黙って聞きなさい!

[Narration] ヘレナが部屋を出たのは、それからたっぷり三時間、杏里にお説教をしてからだった……。

sapphism_no_gensou/3351.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)