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sapphism_no_gensou:3241

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[Anri] アイーシャ!

[Narration] 切れそうになる息をどうにかこらえて、杏里はアイーシャの名前を呼んだ。

[Anri] ここに、いたんだ。

[Aisha] すごい……。

[Narration] 駆けてくる杏里の姿を見て、アイーシャはわずかに目を見開く。

[Aisha] どうして、わかった……の? ここにいるのが。

[Anri] 運命がボク達二人を引き寄せたのさ。冗談。レーダー、嘘、勘かな? なんとなく、ここにいるかと思って。

[Anri] ほんとは、学園の中の方で捕まえたかったんだけど、見つからなくって……。

[Anri] 空き時間ってよくここにいるって前に聞いてたし。

[Aisha] わざわざ走ってこなくてもよかったのに。

[Anri] いや、気が急いちゃって……。

[Aisha] ゆっくり歩きましょう、杏里。ここの空気ってきれいなのよ。そのうち、呼吸も落ち着くから。

[Narration] 手を膝について息をつく杏里に、アイーシャは笑いをこらえた声をかける。

[Narration] 杏里とアイーシャは並んで、温室の木立の中に通された遊歩道を歩いていく。

[Aisha] ここって、本当に大きな温室……ね。

[Narration] 強いリクエストで、杏里に対して敬語を使うのをアイーシャはやめた。しかし、まだ一日では慣れないのか、時々、思い出したように言葉がつまる。

[Narration] それすらも、努力への必死さがうかがえて、杏里には心地よい。

[Anri] この船はなんでも少しはずれたスケールだけどね。

[Narration] 全長千メートルの巨船、その甲板の半ば近くを占める空中庭園。温室はその一部とはいえ、十分な広さを誇っている。

[Anri] 時々、樹の世話を手伝っている言ってたよね。

[Narration] 背の高い木々が並ぶ。自然と、二人とも上を見上げながら会話を続ける。

[Aisha] ええ。お水や肥料をあげたりするくらい……だけど……。

[Aisha] あとは……、スプリンクラーで散水するのを眺めたり。きれいなのよ、虹がぱーっと見えるの。

[Anri] ふーん、見てみたいな。今日はやらないの?

[Aisha] うん、もう、午後だから。樹の世話は、午前中にやるのよ。

[Anri] へぇ……。明日だったら見れるかな?

[Aisha] たぶん。私も、明日の午前中は授業がないから、少し手伝えるかなって思ってたんだけど。

[Anri] じゃ、ボクも一緒にいたいな。

[Aisha] ……じゃあ、明日、またここに来ましょう。ちょっと早くなるけど。

[Anri] うん!

sapphism_no_gensou/3241.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)