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sapphism_no_gensou:2701

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[Narration] 金曜日、夜。

[Narration] 杏里は明日のことを考えて、ひとり悶々と過ごしていた。

[Narration] 土曜日は、天京院との約束の日だ。杏里の集めた情報をもとに、天京院が推理をおこなう。

[Narration] ……だが、明日はきっと、それでは終わらないだろう。

[Narration] いまだ確信が持てないのに、不吉な予感だけは強くなっていく。

[Narration] あの写真……アイーシャが襲われた直後の、決定的な写真。証拠。

[Anri] でも……どうして?

[Narration] 思わずつぶやきが洩れた時、チャイムが鳴った。

[Alma] 申し訳ありません、杏里様。あまり遅い時間に出歩かないよう、言われていましたのに……。

[Anri] そうだよ……ううん、でも来てくれてありがたいや。

[Anri] なんだか、ひとりだと考え事がどんどんとりとめも無くなっていってね。

[Anri] 誰かと話して、落ち着きたかったんだ。

[Alma] そうですか……。

[Narration] アルマはすすめられるまま、ソファに腰をおろした。

[Narration] 杏里と向かい合う形で座り、じっと顔を見つめる。

[Anri] どうしたの、アルマ。今日はなんだか……とても凛々しいね?

[Narration] その軽口には答えず、アルマはゆっくりと口を開いた。

[Alma] 杏里様、明日……わたしも連れていってください。

[Anri] ……連れて行く?

[Alma] はい、天京院様のところへ。

[Narration] きっぱりと断言する。

[Narration] 杏里は眩しそうな目をした。

[Anri] いきなり……何故?

[Alma] 自分なりに、ずいぶん考えて出した結論のつもりです。

[Alma] わたしに、杏里様のお手伝いをさせてほしいのです。

[Narration] アルマは深々と頭をさげた。

[Anri] アルマ……。

[Alma] 自分が、己の無知すら知らない愚か者であることは、承知しています。

[Alma] でも、杏里様をひとりで戦わせたくないのです……。

[Anri] 戦うって、そんな……。

[Alma] でも、そうなのでしょう?だから杏里様は、躊躇っていらっしゃるのでしょう?

[Alma] どうか……ご自分を誤魔化すのは、おやめください。

[Alma] そうしないと……杏里様が辛そうで、見ていられません……。

[Anri] ボクが、自分を誤魔化している?

[Alma] そう思います。

[Narration] アルマは、ぼんやりと見返す杏里の瞳を正面から受け止めていた。

[Narration] 天京院鼎と、戦う?

[Narration] 杏里・アンリエットが、天京院鼎と戦うのか?

[Narration] そうかもしれない……と、杏里は思考の片隅で考えていた。

[Narration] 天京院が事件に絡んでいるかどうかは、まだわからない。

[Narration] けど、問いたださなければいけない事は確かにある。

[Narration] ──なら、それは杏里にとって、戦いなのかもしれない。

[Anri] アルマの言う通りだ。

[Alma] 杏里様……。

[Anri] いずれにせよ、明日はタイムリミットの1日前だ。

[Anri] これはきっと、正念場なんだろう。

[Alma] お供します、杏里様!

[Narration] アルマは力強く微笑んだ。

sapphism_no_gensou/2701.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)