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sapphism_no_gensou:2671

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[Narration] ドアチャイムの音に生返事をして、ドアを開けたら立っていたのはイライザだった。

[Eliza] ──まぁ、杏里様ったら、そんな格好で出てくるなんて。

[Narration] イライザが呆れた通り、杏里は風呂あがりのバスローブ姿だった。

[Narration] が、当人はまったくそんな事を気にした様子はない。

[Anri] どうしたんだい、イライザ?何か緊急の手がかりでも?

[Narration] その、どことなく焦っている気配をイライザは敏感に感じた。

[Eliza] 杏里様、アイーシャ様のことは……。

[Anri] うん、いくら秘密にしても、やっぱり噂はね……。

[Anri] 学園側も脅迫事件のせいで、本格的な箝口令をしくようになってるみたいだけど……。

[Eliza] そうですね……若い女性がこれだけいるところで、秘密を保とうというのが無理なのかもしれません。

[Narration] アイーシャ・スカーレット・ヤンが襲われた事実は、これまで以上に厳しく秘匿されていた。

[Narration] おそらく、学園全体には噂も広まっていない。

[Narration] ──しかし、杏里のように独自の情報網を持っている人間には、すぐ知れ渡る内容だった。

[Anri] (結局、新しい被害者を許してしまった──くそっ、情けないや!)

[Anri] (ソヨン、アイーシャ……かなえさんの推測通り、次々と襲われている)

[Anri] (だとすると、次は……アルマ)

[Narration] それだけは、断固として阻止しなくては。

[Anri] お金が絡んで、ようやく本腰をいれる学園のやり方も頭にくるな。

[Eliza] どうせ犯人も女だから、レイプ事件というよりイジメ……ぐらいで処理したかったのでしょう。

[Eliza] 学園側の考え方もわかります。──支持はいたしませんけれど。

[Narration] 杏里もやれやれと首を振った。

[Anri] ああ、ところで、どうしたの?ひょっとしてアイーシャの話?

[Eliza] それもあったのですが、ついでの用件がひとつ……。

[Narration] そう言って、イライザは細長い金属製のものを取り出した。

[Anri] ……なに、これ?

[Eliza] 実は、天京院様のクリーニングに紛れていたんです。

[Eliza] お返ししようと思ったのですが……しばらく誰にも会う気はない、とすげなく追い返されてしまって……。

[Anri] かなえさんが?

[Eliza] はい、杏里様ならお会いになる機会もあると思いますので、申し訳ありませんが、天京院様にお返し願えますか?

[Anri] 別にいいよ、渡しておこう。……でも、メイドにも会わないって、何か研究で派手な失敗でもしたのかな?

[Eliza] さあ?

[Narration] イライザが帰ったあと、杏里は彼女の置いていった金属製品をしげしげと眺めた。

[Anri] なんだろう……コンピューターの部品かな?

[Narration] まあ、会いに行ったついでに渡せばいいだろう……と、杏里はそれを制服のポケットに押し込んでおいた。

sapphism_no_gensou/2671.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)