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sapphism_no_gensou:2621

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[Narration] ニキがわざわざ杏里の部屋を訪ねて来たのは、たまたま杏里が自分の部屋で休んでいたところだった。

[Anri] ニキ……わざわざ、ボクのところへ来てくれたのかい?

[Narration] いつもなら、部屋でじっと杏里の来るのを待っているニキが、自分から訪ねてくるなど珍しい。

[Narration] ニキはいつもの訴えかけるような目で、じっと杏里を見つめた。

[Anri] ──ん、どうしたの?

[Narration] ニキは必死に、杏里に何かを伝えようとする。

[Narration] そして最後に、そっと杏里の手を取ると、自分の胸に押し当てた。

[Niki] ………………。

[Narration] ぼそっ、と何かつぶやき、走り去ってしまう。

[Anri] あ、ねぇ、ニキ!

[Narration] 呼び止めようとしたが、もう廊下にも姿は見えなかった。

[Anri] ……わざわざ来てくれたのか。

[Narration] 自分の胸に杏里の手を押し付けながら、去りぎわに言ったひとこと。

[Narration] それは、確かに「頑張って」と杏里には聞こえた。

[Anri] 頑張って……か。

[Anri] 確かに、ここまで来たら、もうそれしかないもんな……。

sapphism_no_gensou/2621.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)