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sapphism_no_gensou:2471

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[Narration] アルマが部屋を訪ねてきたのは、明日の準備のため杏里が情報の整理に四苦八苦しているところだった。

[Narration] 入ってきた途端、床一面に散乱しているメモの束に唖然となる。

[Alma] どうなさったんですか、杏里様!?

[Anri] いや、明日かなえさんのところで、この1週間の情報をもとにミーティングをするんだ。

[Anri] そのための資料を整理しているところだよ。

[Alma] これ、全部ですか……。

[Narration] アルマは手近に並べてあるメモに目を通した。

[Narration] 『火曜日、ベーカー・セクルカの一番人気はクロワッサン。16:11に売り切れ』

[Narration] 『木曜日、10:15。購買部通りのカフェの客は9人』

[Narration] 『金曜日、昼食のハンバーグの重量は137グラム……』

[Alma] ……あの、これ全部、あの事件のための手がかりなんでしょうか?

[Anri] そうだよ。

[Narration] 事も無げに杏里は言った。

[Anri] とにかくボクの役目は、船内の情報をひとつでも多く集めること。

[Anri] そこから意味を引き出すのは、かなえさんがやってくれるからね。

[Alma] 天京院様って、すごいんですね……。

[Anri] うん、本当に天才だよね。

[Narration] きりのいいところでメモ整理の手を止めると、杏里はようやくアルマの方を向いた。

[Anri] 悪いね、訪ねてきてくれたのに、こんな散らかっていて。

[Alma] いいえ、お気になさらずに。

[Alma] ……あの……。

[Anri] なんだい?

[Alma] 杏里様がお忙しいのはわかっているのですが……日曜日、少しお時間はありますか?

[Anri] 日曜日?

[Alma] はい、お昼に、3時間ぐらい。

[Anri] 平気だよ。何かあるの?

[Alma] 実はコースの使用許可を取ったので、その日はゴルフでもプレイしようと思っているのですけど……。

[Alma] よろしければ、杏里様もいかがですか?

[Anri] ゴルフ?アルマ、ゴルフなんてするんだ?

[Narration] アルマは恥ずかしそうに頷いた。

[Alma] お父様に教えていただいて、何度か。ヘタですけれど……。

[Alma] あの、いかがでしょう?

[Anri] もちろん、アルマからのデートのお誘いを断るなんて、そんな罰当たりな真似はしないとも!

[Alma] デート……これも、デートなのですか?

[Anri] そうとも!好意をもつものが、ふたりの時間を過ごす……それがデートだからね。

[Anri] ボクはアルマが好きだよ!アルマは?

[Alma] あ……わたしも、杏里様は好きです。

[Anri] ほら、デートだ!

[Alma] まあ……わたし、デートって初めてです。

[Anri] 素晴らしいデートにしようね!

[Alma] はい。

[Narration] 若干、互いの認識に差はあったが、それは問題ではなかった。

[Narration] もともと、ふたりの認識は常に大きくずれていたからである。

[Alma] それでは、日曜日に。

[Anri] うん、楽しみだね!

sapphism_no_gensou/2471.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)