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sapphism_no_gensou:2291

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[Wells] 如何なるご用件でしょうか?ただいま、お嬢様はご気分がすぐれないので、どなたともお会いになりません。

[Anri] ………………。

[Narration] ピッ、と杏里はドル紙幣の束をウェルズの裾に押し込んだ。

[Narration] 無表情のまま、お目付役は一礼して席を外す。

[Narration] 杏里はアルマの部屋のドアに手をかけた。

[Anri] ……鍵がかかってるのか……。

[Narration] 気分がすぐれないと言って、今日は授業も休んだらしい。

[Anri] アルマ、ボクだけど……。

[Narration] ドア越しに声をかけ、ベルも鳴らせてみる。返事はなかった。

[Narration] それでもインターホンを通じて、彼女の声は中に届いているはずだ。

[Anri] アルマ、ソヨンのことで……。

[Narration] 言いかけて、やめた。

[Narration] ソヨンが襲われた事件によって、杏里への風当たりはますます強くなった。こうして出歩くのも危険なほどだ。

[Narration] 当然のように学生たちは杏里が犯人であろうと噂している。アルマの耳にも入っただろう。

[Narration] それをひと言弁明したかったのだが……。

[Anri] ……犯人はボクじゃない。

[Narration] あらためて、それだけ言った。

[Anri] 真犯人は、きっと見つけるよ。

[Narration] 決意を込めて誓う。

[Anri] じゃあね……。

[Narration] ………………。

[Narration] 杏里が立ち去ってすぐ、アルマはそっと廊下に顔を出した。

[Alma] ……杏里様……。

[Narration] 考え事にふけって、しばらく彼女は立ちつくしていた。

sapphism_no_gensou/2291.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)