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sapphism_no_gensou:1155

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【00:25:55】

[Narration] プチッ……プチッ……プチプチッ……

[Anri] ………………

[Soyeon] ………………

[Narration] ……プチッ……プチッ……

[Anri] ………………あつい……

[Soyeon] ……ですね……

[Soyeon] …………なんの音です?

[Anri] エアーキャップ……通称“ぷちぷち”。

[Anri] これをつぶしてると、熱さを忘れられるような……頭が真っ白になっていくような……

[Soyeon] ふだんから持ち歩かれてるんですか?こんな、入浴する時まで……

[Anri] ううん。そこのピルケースにあったから……

[Soyeon] ピルケース……?

[Narration] ……プチッ……プチッ……

[Nicolle] …………

[Narration] ……プチッ……プチッ……

[Anne Shirley] …………

[Soyeon] あ、あれ?ニコルさん? アンさん?いつの間に?

[Narration] 向かいの長椅子には、ニコルとアンシャーリーが腰かけている。

[Narration] アンシャーリーは妙にウキウキしているし、ニコルはといえば杏里に負けないくらいグッタリしている。

[Nicolle] …………

[Anne Shirley] ……こんばんわ、ソヨン。

[Soyeon] いつの間にいらっしゃったんですか!……き、気がつかなかったぁ!

[Anne Shirley] こっそり入ってきたの。それで濡れ場はもうじき?

[Soyeon] えっ? や、やですよ、アンさん!みんな、からかうの好きなんだからっ!

[Narration] アンシャーリーはなにくわぬ顔で壁の時計をみあげた。

[Anne Shirley] あと90秒以内に、杏里がソヨンを押し倒すと、あたしが10ドル。

[Anne Shirley] それよりあとなら、ニコルが10ドル。

[Nicolle] ………………………………………あちぃ……

[Soyeon] あたしと杏里さん、賭けの対象なんですか?

[Anne Shirley] 言い出したのはニコルよ?

[Nicolle] そうだけどさあ……もうどうでも……

[Nicolle] よく考えたら……あたしゃ……フロも……暑いのも……大の苦手なんだ……

[Collone] ウォゥ〜……

[Anri] ……ハッ!

[Narration] プチプチプチプチッ!!

[Soyeon] きゃっ!

[Anri] 完全に……意識が飛んでたよ……

[Anri] ……ニコル……アンシャーリーも……?

[Narration] さらに隣りに座るソヨンを、膝の上に抱き寄せた。

[Soyeon] ひゃっ……杏里さん……っ

[Anri] ……もしやここって天国……?ボク、美少女のパラダイスに来てしまったの……?

[Nicolle] ……バーカ。

[Anne Shirley] 杏里、あと20秒よ。

[Nicolle] メインディッシュは出来る限り我慢したほうがおいしいぞ?

[Anri] よーし……ボクは頑張るよ……

[Soyeon] ちょっ……あ、杏里さん……!

[Anri] …………んー……

[Soyeon] きゃあっ!

[Nicolle] いったいった。ちぇっ、意外に速い展開だ。

[Anne Shirley] ……でもそのあとはまったく動かないわね。

[Nicolle] …………? マグロプレイ?

[Soyeon] あの、杏里さん……っ?杏里さん!?

[Narration] 椅子にうつぶせになった杏里の下からソヨンが腕をふって叫ぶ。

[Soyeon] 杏里さん、気絶してます!

[Nicolle] え? マジ?

[Anne Shirley] あら。……すると杏里が倒されたことになるのかしら?賭けは不成立?

[Nicolle] 写真判定にもつれ混んだかな。とにかく人を呼んでくる!アンは杏里を見てやってくれよ。

[Anne Shirley] わかったわ、まかせて?

[Nicolle] ……やっぱり、やめた。あたしが残るから、アンが誰か呼んできて。

[Anne Shirley] うん。

[Collone] ウォ〜ウ……

[Nicolle] だから外で待ってろつったのに!アンについてきな!

[Anri] (ああ…… ひんやりしていい気持ちだ……)

[Anri] (ああこれは……)

[Anri] イライザの香りだね……

[Eliza] ……コロンを変えましたのに。どうしてわかってしまうのでしょうね。

[Anri] わかるさ……

[Narration] サウナルームを囲む熱帯植物。その脇に並ぶ長椅子の一つに、杏里は横になっていた。

[Narration] 額から眼窩にかけての冷たい感触と、首のうしろに感じる太もものぬくもりとの対比が気持ちよかった。

[Eliza] のぼせて気絶されていたんですよ。杏里様にしては珍しいですね。

[Anri] やっぱりかあ。ソヨンは……?

[Eliza] いま、お召しものを取りに行ってくださっています。

[Eliza] それまでは私が杏里様を看ていてさしあげますわ。だから、しばらくこうして安静になさっていてください。

[Narration] 氷嚢をずらし、杏里はイライザの顔を見あげた。

[Anri] …………

[Eliza] いかがいたしました?お水をお飲みになります?

[Anri] うん……ありがとう。

[Anri] ふぅ……

[Anri] ……イライザはこうして、サウナでも働いているんだね。それと浴場でも。

[Eliza] はい。メイドは当番制で職場をローテーションしております。

[Anri] それでなんだけど。このサウナや浴場の中で、見かけたことの無い人っているかい?

[Eliza] ポーラースター在校生についてのお話しですか?

[Anri] うーん……学生に限らず、さ。

[Eliza] PSとクルーは、こちらでの入浴は許されておりません。

[Anri] うん。なるほど。

[Eliza] そうなると、学生と……教職員ということになりますね。

[Eliza] 宗教上の理由で、肌を見せない人も、ここには男性の目もありませんし。

[Eliza] 知らない者同士でごった返すようなことはございませんから、のびのびと入浴されていらっしゃいますね。

[Anri] うん。いいことだ。彼女らの肌をおし隠すだなんて、神に対する冒涜だよ!

[Eliza] 反イスラム的な発言は当船内では慎んでくださいまし。

[Eliza] ……となればニキ様ですとか……

[Anri] ニキも脱ぐとスゴいんだ。

[Eliza] ハ?

[Anri] いや、ニキはついさっき見かけたばかりだよ。

[Eliza] その通りです。私がお部屋まで送り迎えいたしました。

[Eliza] では、学生では見かけたことの無い方はいらっしゃいませんわ。残るは教職員となります。

[Eliza] 教職員の方も、よく利用されておりますけれど……ああ、アウストリッツ様はお見かけしたことがございませんわ。

[Anri] ソフィア先生か……

[Eliza] お歳ですし、ご自分の部屋でゆったりと入浴されているのでは?

[Anri] いやいやどうして、かくしゃくとしているさ。

[Anri] あの人は飲酒するのさ、お湯につかりながら。だから、人目を避けているんだ。

[Eliza] そうなのですか? でも、そのほかにいらっしゃいましたかしら……?

[Narration] イライザはつぎつぎと教員の顔を思い浮かべては、消去している。

[Eliza] ああ……

[Anri] 誰か思いついたかい?

[Eliza] フォックス様ですわ。あの方はお見かけしたことがございません。

[Anri] フォックス様……って、レイチェル先生のことだよね?

[Eliza] まあ。覚えてらしたんですか。

[Anri] いや、いいかげんボクも担任の名前くらい覚えないと。

[Anri] へえ、あの先生が? 意外だな。

[Eliza] はい……ですけれど。

[Narration] イライザは、それが何か? といわんばかりのけげんそうな顔をしている。

[Anri] ふーん。そうか……レイチェル先生は、内湯派か……

[Anri] (あんなに美少女好きな人が、この楽園みたいな場所には現れないなんて、そんなことあるんだろうか?)

[Anri] (あやしい……すごくあやしい……)

[Eliza] 杏里様……よろしければ、フォックス様を見張りましょうか?

[Anri] ふふ……イライザに隠し事は出来ないなあ。

[Narration] そもそも、一度として杏里には隠し事のできた試しがない。

[Anri] 危ないよって言っても、やってしまうんだろう?なら、頼むよ。でも無理はしないで。

[Eliza] ええ。おまかせください。杏里様のためでしたら、イライザは悪魔にでも魂を売り渡します。

[Narration] 瞳にいたずらっぽい光を浮かべ、杏里の顔をのぞきこむイライザ。

[Anri] だめだよ。イライザの魂はボクのものだ。

[Narration] 杏里はそんな少女の細い首へ手をのばして熱い吐息のなかへ迎え入れる。

[Narration] 唇が触れあい、さらに舌を求めようとしたイライザの背に声がかかる。

[Soyeon] 杏里さんの服、持ってきました!

[Narration] 丸めた背をぴんと伸ばしてイライザがたちあがると、杏里の頭がごとんと落ちた。

[Anri] 痛───い!

[Soyeon] 大丈夫ですか?

[Eliza] ご心配なく。杏里様はとってもお丈夫ですから。

[Eliza] ありがとうございます。ご足労をおかけしました、ソヨン様。

[Eliza] 杏里様もどうぞおはやく。今度は湯冷めいたしますわよ。

[Anri] ……痛ぁ……わかったよ。

sapphism_no_gensou/1155.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)