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sapphism_no_gensou:1125

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[Soyeon] ……かー……

[Soyeon] ……かー……

[Anri] ソヨンの嘘つき……

[Anri] シンデレラじゃなくて、白雪姫じゃないか……それともいばら姫か?

[Anri] それとも、王子様のキスがあれば目覚めるのかい?

[Soyeon] ……かー……かー……

[Anri] ……ふぅ……

[Narration] 干し草のベッドの上で、ソヨンは可愛らしい寝息をたて丸くなっている。

[Narration] 杏里はその脇に頬杖をついて横たわり、まんじりともせず、月明かりに浮かぶ少女の寝顔を見つめていた。

[Narration] 運良く清潔な馬房を見つけ、ソヨンを降ろしたまではよかったのだが───

[Anri] そりゃあ、初デートの日に、ベッドを共にできるなんて、普通なら大喜びだけど……

[Anri] ……こんなのって無いよ。ボクはどうしたらいいんだ。

[Anri] ソヨンのいじわる。

[Narration] 杏里はむっつりと唇をとがらせた。

[Anri] ……あ……

[Narration] 身じろぎした拍子に、ソヨンの上着がずれ、肩に下着の紐がのぞいた。

[Anri] …………ソ、ソヨン……(ごくり)

[Anri] だ、ダメだよ、そんな……ああ……そんな無防備すぎる……あああ流れるような鎖骨のラインが……ああダメ、ダメェ……ッ

[Narration] 思わず伸びた右手を、左手が追いかけて押さえ込み、引きずり戻す。

[Narration] 杏里は決してソヨンに手を触れなかった。

[Narration] 意識が無いのを良いことに、相手を抱いたりするような行為は、杏里が自分に対して課したルールの中で、絶対の絶対の絶対にしてはならない禁忌の一つであった。

[Narration] 杏里は少女の体臭がうつったチョゴリの帯の端を手に持つと、ぎゅっと握りしめたり、頬ずりしたり、果ては口にふくんだり噛んだりして、ただ一人悶えた。

[Anri] ぐすっ…………ソヨンのバカ……ひどいや……

[Narration] 杏里は深い溜め息をついた。

[Anri] ……結局、ソヨンの心にはまだまだ手が届かなかったみたいだし……

[Anri] きみは思っていたよりずっと難敵だよ。

[Anri] だからこそ、ボクの心も燃え上がるけどね。

[Anri] ……ああ、でもやっぱりこれって据え膳だよ……サメライの血をひくボクとしては……いやいや……いけないいけない……!

[Anri] ぐすっ…………ソヨンのバカ……

[Soyeon] 杏里さん……

[Anri] ……え……?

[Narration] 涙ぐむ杏里を慰めるように、ソヨンが小さくつぶやいた。

[Soyeon] 杏里さん……ですよ……

[Anri] え? え……?

[Anri] ……寝言……かい?

[Soyeon] うふふ、そんなの……です……

[Anri] 何て言っているんだ。

[Soyeon] でも……ですし……

[Soyeon] もう……ですよ……

[Soyeon] ………………

[Anri] 全然わからないよ、ソヨン。頼むから船内標準語で!

[Soyeon] ……ごめんなさい……

[Anri] ……

[Anri] いや、寝てる時まで謝らなくても。

[Narration] ───その時、杏里は息を呑んだ。

[Narration] 伏せられた少女の目に、しずくが光り、頬を伝った。

[Soyeon] ごめんね……ヤーン……

[Soyeon] ……ごめん……あたしが………………ったから……

[Soyeon] ヤーン……ごめんね……っ……ごめん…………

[Soyeon] …………

[Anri] …………

[Anri] ……

sapphism_no_gensou/1125.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)