User Tools

Site Tools


sapphism_no_gensou:1063

Place translations on the >s

[Anri] ま、人生には休息も必要だよ。

[Anri] ビジタークラスは今日は何を?

[Clare] えっと、美術の時間です。

[Clare] ルネサンス時代の絵画とか、彫刻とか、ぜんぶ実物で鑑賞しました。

[Anri] ははぁ……船上グランド・ツアーだね。重苦しい作品ばかりで、息が詰まったろう?

[Clare] それより、立ちっぱなしのままコレクションルームを歩かされたのが……

[Anri] ハハ、違いない。

[Mirriela] あたしはへいちゃらだったけど。ただ後半のコレクション自慢には、もううんざり。

[Clare] 本当に綺麗な絵もあったよ?あの天窓から光がばぁーって───

[Mirriela] あんなのすぐ飽きるって!

[Mirriela] あたしは“シャラク”とか“ホクサイ”とか日本の版画が面白かった。

[Anri] へえー。

[Mirriela] べっ、べつに、杏里先輩が日本人だからって、お世辞言ってるんじゃないけどっ。

[Anri] いや、嬉しいよ、ミリエラ。ありがとう。

[Narration] ミリエラはぷいと頬をそむけた。しかし白い頬は赤くなっている。

[Anri] ところで、シャラクとホクサイって、どっちがウタマロだったけ?

[Clare] (がくっ)

[Mirriela] ぜんぶ別人!ウタマロは、ウタマロです。

[Anri] あれ? そうなの?ボクにはみんな同じに見えるんだけどな。どう違うの?

[Mirriela] だ、だから、ウタマロっていうのは───

[Clare] ウタマーロ、ウタマーロ繰り返さないでよ。恥ずかしい!

[Mirriela] そんな事いったって。

[Narration] 少女たちのかけあいを杏里はニコニコと眺めている。

[Narration] ふと横をみると、コーが一人でぽつんと立っていた。

[Anri] あれ、コー。ニキは?

[Coe] しらないよ。

[Anri] えっ、そんなっ?

[Narration] 早足で出入り口に戻り、うす暗い大図書館内部をのぞき込む。

[Narration] すると、ちょうど遙か書棚の彼方へ、ニキの姿が消えるところだった。

[Anri] ああ、しまった……!

[Coe] 帰っちゃったの?

[Narration] 杏里を真似て、三人も入り口に立つ。杏里は額に手をあて嘆息した。

[Anri] しまった……ボクが悪いや。

[Mirriela] 一人になりたいなら、放っておけば?

[Anri] そうはいかないよ、ミリエラ。ニキはボクの大切な人なんだ。

[Narration] 杏里は三人にウインクすると、階段の手すりに飛び乗って、一気に滑り降りた。

[Narration] みとがめた司書に睨まれて、ぺこぺこしながら杏里は早足で部屋を出ていく。

[Clare] やっぱりかっこいいなあ、杏里先輩。

[Coe] ちょっとおバカだけどね。

[Mirriela] だったら……

[Narration] ミリエラは不機嫌そうな顔をさらにしかめた。

[Mirriela] ……だったら、ソヨンちゃんはどうなるんだ? 杏里先輩。

sapphism_no_gensou/1063.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)