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okujou_no_yurirei-san:3174

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屋上から、放課後の学校を見下ろしている。

もうずっと、長いことこうしてきた、毎日。恵と会う前は、一人で。恵と会ってからは、こうして、二人で。

校舎から、校庭から、伝わってくるのは、大きな行事の特にないこの時期の、穏やかだけど確かにみんながいるという、学園の息吹みたいなもの。

部活に、委員会に、友達とのおしゃべりにと、放課後を過ごす、みんなの声。

校庭から声をあげる運動部の子たち。奥校舎に残って勉強する三年生の子たち。文化部の部室棟からも、星館の校舎からも、声が聞こえてくる。

そして、玄関ホールから正門へ向かう子たち。

放課後特有の、にぎやかさと寂しさ。それは、いつの時代も変わらない。

いつもの、光景。ずっと二人でながめてきたもの。

永谷恵

今日は結奈、もう屋上に来ないんですよね。

榎木サチ

ええ、そうね。

私たち二人の友人、結奈さんは、今日は早く帰ると言っていた。

近所のスーパーで買い物があるからと、そう言っていた。ほんとは特売日の水曜日にすることなのに、今日は特別。

だって、明日はスーパーに寄ったりはできそうにないからと。

そう、明日……。

永谷恵

いよいよ、明日ですねぇ……。

榎木サチ

ええ……。

明日は、10月最後の日。そして、この学校の創立記念日の前日。そして。

たぶん、私たちがこの学校で過ごす、最後の夜。

ずっと夢見てきた、恵との初体験を迎える日。その想いが果たされた時は。

私と恵は、ともに帰ることができる。どこに?それはわからないけど。

もう、この世にいることはできなくなる。それだけは、わかってる。

私も恵も、突然に死を迎えて、幽霊になった。死に対する実感は未だに、よくわからないのだけど。

だからこそ、なのかしら。幽霊になったからこそ、自分たちが帰れる時を知っている。それは、確信に近い。

その時が、いよいよ、明日に迫っている。結奈さんと比奈ちゃんの体を借りて、私と恵が身も心も一つに重なりあう夜が。

榎木サチ

こうして、恵と二人で、学園の様子を見ていられるのも、あと少しなのね……。

永谷恵

そうですね……。

恵も、私と同じ気持ち、そして、同じことを感じているんだろう。この世にいる時間が、もう少ししか残っていないことを。

怖くはない。悲しくもないだろう、きっと。幽霊である自分が、やっと想いを果たして、帰ることができるのだから。死ではなく、旅立ちなのだから。

それでも……。

榎木サチ

ずっと見てきたこの学園にお別れするのは、やっぱり寂しいわね。

永谷恵

ええ……。

榎木サチ

もうすぐ、結奈さんもみんなも、帰ってしまうのね。

永谷恵

ですね……。

そして、二人きりの夜が来る。きっと、今夜は長い夜だと感じられそう。明日が待ち遠しいような、そうでないような。

でも、明日の夜は、きっともっと、忘れられないものになりそう。変な話ね、帰る直前の夜だというのに、わすれられないなんて。でも、きっとそう。

永谷恵

まだ、みんな学校に残っているのかな?

榎木サチ

ええ、たぶん。まだ、誰も正門から出て行ってはいないし。

永谷恵

えっと、サチさん、わたし……。

榎木サチ

なぁに?

永谷恵

みんなに、ちゃんとお別れ、言ってきてもいいですか? みんなに会えるかどうか、わからないけど……。

みんな? そう、みんなね。結奈さんと一緒に、お手伝いした子たち、みんな。

そして、この学校のみんな。ちゃんとお別れをしないと……、寂しがってくれたりはしないだろうけど、私たちには心残りになりそうだし。

榎木サチ

そうね、行きましょうか。

永谷恵

ええ!

榎木サチ

一緒に行ける場所ばかりではないけど、手分けすれば、きっとみんなに会えるわね。

永谷恵

はい!

そう、最後だから。

最後にもう一度、あなたたちを見守らせて。素敵な恋を実らせた、あなたたちを。

一木羽美

ねぇ、これ、おもしろそう!

双野沙紗

やれやれ、また始まったよ……。

三山音七

今度はなにさ……。

この三人って相変わらずね。今日も放送室で三人一緒。

羽美さんと沙紗さんが恋人同士になっても、音七さんも一緒の三人で、今日も楽しそうに部活してる。

相変わらず、羽美さんがなにか言い出して、沙紗さんがそれに口では文句を言いつつも、付き合ってる。音七さんが眠そうなのもいつも通り。

一木羽美

あ、なんかもう、最初っから聞く気がないって感じ! もっとちゃんとマジメに聞いてよね!

三山音七

ちゃんと聞いてるよ。あたしは寝てるけど、沙紗が。

双野沙紗

え、なんであたしだけ!?

今日も最初の言い出しっぺは羽美さんみたい。ほんと、羽美さんってまっすぐな人。いろんなものに興味を持って、それにとても素直。

沙紗さんって、最初はちょっと怖い感じがしたけど、ほんとは他の二人よりも三人一緒でいることが好きみたいに思える。

沙紗さん、羽美さんに告白すること、ずいぶん慎重になってたものね。でも、勇気出してよかったね。

そして、音七さん。三人のうち、二人が恋人同士になっても、ぜんぜん動じなかったの、すごい。眠そうなふりして、二人のこと、しっかり見守ってた。

羽美さんが音七さんのこと、気にしすぎて沙紗さんと別れるって言い出した時。音七さんが二人を叱ったの、すごいかっこよかったよ。

三人が三人とも、友情を大事にしてたよね。だから、羽美さんと沙紗さんも恋人になれたんだと思う。それでも、友情が変わらなかったんだと思う。

三山音七

いいじゃん、たまには二人でデートしてきなよ。あたしゃ、家で寝てるからさ。

一木羽美

えー!?

双野沙紗

あー、その、音七。あ、あたし、羽美とはこないだ、デートしてきたから。

一木羽美

さ、沙紗!?

双野沙紗

だから、次は三人で一緒に遊びに行こう。

三山音七

……はぁ、わかったよ。で、羽美、どこに行きたいの?

一木羽美

あ、う、うん。えっとね、このページにあるイベントなんだけどね……。

三人とも、ちょっと普通じゃないとこ、いっぱいあるけど、羽美さんが引っ張って、沙紗さんと音七さんがそれにくっついてけば、大丈夫だと思うよ。

いつまでも、三人で仲良くね。もちろん、羽美さんと沙紗さんは、ずっと恋人同士のままでね。

古場陽香

あ、あのさ、愛来!

有遊愛来

ん、なんだ、陽香。

古場陽香

そ、その、今度、オレ、ライブが、あ、あるんだけどさ。

有遊愛来

そうか。

ロック大好きで遅刻ばっかりの陽香さんと、風紀委員の愛来さん。

ちょっとあり得ない組み合わせだと思ってたけど、思ったよりずっとお似合いだったな。

古場陽香

そ、それでさ、その、チケットが、あるんだ。あの、もし、よかったらだけどさ……。

有遊愛来

うん。

わたし、ほんとに陽香さんっておもしろかったし、大好きだったよ。屋上で詞を考えてる時とか、ずっと叫んだり転がったりしてて。

結奈からこっそり聞いてた最初の方の詞は、さすがにひどいなーって思ってたけど、学園祭でのステージは、ほんとかっこよかったし。

あの詞が完成した時は、よかったねって思ったし。すごい、かっこよくて、愛来さんにピッタリの曲だったよね。

古場陽香

オ、オレのライブ、聴きにきてくれないか!?

有遊愛来

ああ、いいよ。いつなんだ?

古場陽香

あ、あれ? あっさりOK!?

愛来さんは、風紀委員で毎朝、がんばってたよね。そして、陽香さんのこと、少しずつ、気になっていったんだよね。

ちょっとおっかないとこ、あったけど、陽香さんを楽しそうに見てる時の顔は好きだったな。

そして、学園祭でステージに駆け上がってキスまでしちゃった時は、ちょっと感動しちゃった。

見かけによらず、情熱的なんだなぁって。

有遊愛来

一度、陽香のライブに行きたいって言っただろう。やっと誘ってくれて、うれしいよ。

古場陽香

あ、ああ、そっか。学園祭まではオタノシミってことにしてたんだっけ。

有遊愛来

ああ。陽香と一緒にバンドをやってる人たちにも、興味があるし。

古場陽香

ええ!? あいつら、バカばっかだぜ?

有遊愛来

でも、陽香と一緒にやってるんだろう?

学園祭の後から、愛来さんってほんと、陽香さんへの好きって気持ち、隠さなくなったよね。

ちょっとビックリするくらい大胆なとこ、あるみたい。でもね、陽香さん。

わたしね、実はちょっと気になってるんだ。愛来さんって、実はけっこう、嫉妬深いというか、独占欲強いんじゃないかなぁって。わたしとちょっと似た感じで。

有遊愛来

女性ばかりなんだろう? 陽香がどんなふうに扱われてるかとか、とても興味深い。

古場陽香

あー、けっこうバカにされてばっかなんだけどなぁ……。

ノリとかで浮気すると、すっごい怖いことになりそうだから、気を付けてね。

でも、陽香さんだったら、その心配ないかな?ロッカーな陽香さんと、怖いけど情熱的な愛来さん、いつまでも仲良くね。

牧聖苗

美紀さん、受験勉強いいんですか? ほんとに、手伝ってくれなくても大丈夫なんですよ?

相原美紀

ちゃんと勉強はしてるから大丈夫よ。今日はちょっとだけお手伝いさせて?

牧聖苗

え、ええ。わ、わたしはうれしいんですけど……。

今日も、誰かのお手伝いをしてるのね、牧ちゃんと美紀ちゃん。

でも、今はみんなの仕事を引き受けているのは牧ちゃんの方で、美紀ちゃんがそのお手伝いをしてるのね。

牧聖苗

美紀さんって、大学はどこの学部を受けるんですか?

相原美紀

一応、志望は家政学科なの。

牧聖苗

そうなんですか!

相原美紀

ええ。できれば、福祉の仕事とかしてみたくて。でも、他にもいろんな勉強をしてみたいから。

美紀ちゃん、ほんとに明るくて、楽しそうに毎日を送れるようになったのね。前のような、がんばってるけどつぶれてしまいそうな、危うさもなくなって。

それも、隣にいる牧ちゃんのおかげね。牧ちゃんの明るさと真っ直ぐさが、美紀ちゃんを助けてくれたのね。

自分のやりたいことを、そうやって楽しそうに話せる姿が見られて、うれしいわ。

相原美紀

聖苗は、将来のこととか考えてるの? まだ一年生だから、ちょっと早いかしら。

牧聖苗

うーん、今は特にこれってのはないんですけど……。家の手伝いするなら、簿記とか事務関係の資格、とりたいなぁって。

牧聖苗

大学はあんまり考えてなくって。短大でもいいかなぁとか、そのくらいで。

相原美紀

あら、おうちの仕事なら、建築関係とかの勉強したいとかはないの?

牧聖苗

そっちもおもしろそうなんですけどね。家族はなんでも好きなことやっていいって言ってくれてるんですけど。

強い力で、美紀ちゃんを引っ張った牧ちゃん。学園祭直前の勇姿は、すごい迫力でとてもかっこよくて、ちょっと怖くって。

でも、その牧ちゃんの力があったから、美紀ちゃんはやっと、他人を気にしすぎる自分から、本当にやりたいことが言える自分になれたのね。

牧聖苗

特に今、将来これがやりたいってものがなくって……。

相原美紀

まだ聖苗は一年生だもの。これからゆっくりと見つけていけばいいと思うわ。

牧ちゃん、これからも美紀ちゃんの手を握って、引っ張っていってあげてね。

美紀ちゃんも、牧ちゃんの手をしっかり握ってあげてね。二人一緒で、ちょうどいい速さで歩いていけると思う。

立ち止まりそうになったら、牧ちゃんが引っ張って、急ぎそうになったら、美紀ちゃんが引っ張って。

そうやって、いつまでも二人で歩いていってね。

剣峰桐

うーん、これがいいかな、こっちがいいかなー。

園生月代

悩むんだったら、両方とも借りていけば?

剣峰桐

そうかな? あんまり最初にたくさん渡すと、ちょっと腰がひけちゃわない?

園生月代

大丈夫よ。少しずつ読んでもらえばいいんだし。

月代先生と桐ちゃん。今日の放課後は、二人で本を探しているみたい。

剣峰桐

せっかくの新入部員なんだし、最初っからあんまり押し付けちゃかわいそうかなって思っちゃうとさぁ。

園生月代

心配いらないわよ。楽しそうだからって入ってくれたんだし。どっちもおもしろそうな本だと思うわよ。

桐ちゃんの最初の告白は、月代先生に勘違いって言われて、ちょっとかわいそうだったけど。

あの勘違いって言い方は、私もちょっと、あんまりだと思ったけど、今思えば、月代先生なりの慎重さだったと思う。

でも、月代先生だって気付いてなかった気持ちを、桐ちゃんはあきらめないことで勝ち取ったんだと思うわ。

剣峰桐

ねぇ、月代ちゃん、私、本当に先輩やっていけるのかなぁ……。

園生月代

大丈夫よ。桐はちゃんと新しい部員の面倒、見れてると思うわ。

先生と学生、顧問と部長、どうしても年の差、立場の差はあるけど。でも、月代先生と桐ちゃんなら、乗り越えていけると思う。

月代先生の、一生懸命なところ、大人としての態度、小さな体につまったがんばりは、私、素直に尊敬できる。

でも、月代先生。あまり体は丈夫じゃないから、無理しすぎないように気を付けてね。

桐ちゃんが、しっかり支えてあげられるとうれしいわ。年上の恋人に物怖じしないで、相手のことをよく見てる桐ちゃん。

意外と、相手を支えるタイプだったのね。これからも、がんばる月代ちゃんを支えてあげてね。

網島茉莉

美夕、来週のセレクション、受けに行くんでしょ?

稲本美夕

ええ。茉莉は免除だったんでしょ?

最後の最後で、すごくハラハラさせてくれた、陸上部の二人。

そして、卒業まであと半年、今、みんなの中でいちばん、将来に向けての選択に頭を悩ませている二人。

網島茉莉

うん、でも、参加しようと思って。

稲本美夕

あら、なんで?

網島茉莉

合同セレクションでしょ? いい記録出せば、もうちょっと推薦もらえるとこ、増やせるかと思って。

稲本美夕

ふぅん……。狙いはこの大学でしょ。

網島茉莉

あ、ばれた?

稲本美夕

私が行きたいって言った学部があるとこだもの。

ずっと一緒にいようって、約束していた二人。その約束のために、ちょっとだけすれ違っちゃったけど、最後にちゃんとわかりあえてよかった。

卒業してからも、いつまでもずっと一緒にいる方法を考えて、がんばってたのよね。

稲本美夕

うれしいんだけど、もう少しうまくごまかしてよね。

網島茉莉

ちぇ、やっぱりお見通しかぁ。

稲本美夕

でも、ちょっと惚れ直したわよ。私も、この大学、気になってたから。

網島茉莉

ほんと? 美夕、愛してる!

稲本美夕

声が大きいわよ。

ケンカもしたけど、それで絆はいっそう深まったと思うわ。学園祭前のケンカで、本当にわかりあえたとも思う。

ずっと一緒にいようって言う二人は、とても素敵だった。卒業して、新しい生活を、二人で一緒に始めるのね。

その暮らしが、いつまでも続くことを、祈っているわ。

永谷恵

よかったぁ、みんなに会えて。

榎木サチ

そうね。会えなかった子たちにも、恵が代わりに挨拶してくれたのだし。

永谷恵

ええ、ちゃんと。サチさんも、わたしの分、伝えてくれたんですよね。

榎木サチ

ええ、もちろんよ。

学校中をひと巡りして、戻ってきた屋上。

こうしてまた、恵と二人で、学園を見下ろしている。正門から外へ、家へと帰っていく子たちの姿は、多くなって。

その中に、さっき、お別れの言葉をかけてきた子たちも混ざっている。

どうか、みんな、いつまでも元気で。そして、仲良しでいてね。もう一度、屋上からそっと声をかける。

永谷恵

あ……。

榎木サチ

あら……。

そして、今、また正門へと向かう子の中に。

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永谷恵

結奈だ……。

榎木サチ

ええ、比奈ちゃんと一緒ね。

見慣れた後ろ姿。この半年間で誰よりも私たち二人が世話になった子。仲良くなった子。そして、明日、最後に会う子。

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永谷恵

まだ、学校に残ってたのね、結奈。

榎木サチ

ええ、きっと比奈ちゃんを待ってたのね。

結奈さんも、最後に本当にかわいい恋人を見つけることができた。ずっと近くにいた比奈ちゃんの想いに答えた。悩みも迷いもしたけど、それが、結奈さんが見つけた答え。

榎木サチ

私たち、いちばんお世話になったのは結奈さんね。明日、ちゃんとお礼を言わなくちゃだめかしら。

永谷恵

えー、でも、比奈ちゃんと恋人になれたのは、きっとわたしたちがウジウジ悩んでる結奈の背中を押してあげたからですよ。それでおあいこだと思うなぁ。

榎木サチ

そうかしら?

永谷恵

そうですよぉ!

きっと恵は、正面から結奈さんにお礼を言うのが照れくさいのね。私も、ちょっと同じ気分。照れくさいというか、改まってなんて、水くさいって言われそうで。

でも、私たちの感謝も、ちゃんと結奈さんには伝わっていると信じたい。人の気持ちに敏感な結奈さんだから。

永谷恵

もう、明日なんですねぇ……。

榎木サチ

ええ、そうね……。

やっと、明日、私と恵は結ばれる。

二人だけで、ただ、屋上から学校をながめていた日々では、成し遂げられなかったことを、この半年で達成できたのは、確かに結奈さんのおかげ。

あなたがいなかったら、私たちはきっと、今もただ、屋上から学園をながめているだけだった。

こんな気持ちで、ながめることなんてできなかった。期待を胸に秘めながら、寂しさを感じている、こんな気持ちで。

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永谷恵

あ……、結奈、こっち向いた。

榎木サチ

ええ、そうね。挨拶してくれたのかしら。また明日って。

本当に、いくら感謝しても足りないくらい。この学校に。出会えた子たちに。そして、結奈さんに。

もうすぐ、私と恵が帰る瞬間が近づいてきてる。

ちゃんとうまくできるのかしら、でも大丈夫、みんなが教えてくれたから。でも、不安はつきない。それでも。

きっとうまくいく。私と恵は、ちゃんと結ばれる。そして……。

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榎木サチ

夕陽がきれいね。陽が落ちるのも早くなったのね。

永谷恵

ええ。

もうすぐ、夜が来る。そして、夜が明ければ朝が来る。最後の日の朝が。

今日はちゃんと眠れるかしら。でも、もし、眠れなくても大丈夫。恵と話すことならきっといっぱいあるだろうから。

長い長い幽霊だった生活の最後の一日を、私たちはそうして迎えるのだろう。

結奈さん、最後までよろしくね。正門を出て、椿小路へと向かう、小さくなっていく結奈さんに、そっと心の中から声を送る。

また明日、と。

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okujou_no_yurirei-san/3174.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)