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okujou_no_yurirei-san:3172

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コロコロ、コロコロ。

口の中で、飴玉が二つ、コロコロ、コロコロ。

甘さが二つ、コロコロ、コロコロ、コロコロ。

いつの時代も女の子はおまじないが大好きなのね。それは、不意に現れて、そして、広まっていく。

なんの根拠もなくても、女の子はそれが大好き。どんな不思議な方法でも、女の子はそれに、ささやかな願いを乗せる。

小さなことでもコツコツと。手を変え品を変え、その時、唐突に流行るおまじないに、女の子は願いをかける。

小さなこと、ささいなこと、でも、大切なこと。密かに暖めていた思いを、心に浮かんだちょっとしたことを、願い事と名前をつけて、おまじないに乗せる。

そして、かないますように、と祈りながら、繰り返しながら、おまじないを続ける。

基本は、誰にも願い事を伝えずに、こっそりと。でも、仲のいい人にはそっと打ち明けてみたりして。

さぁ、今、この学校に流行っているのは、どんなおまじないかしら。

用意するものは、二つの飴玉。種類のちがう、二包み。それをぽいっと口の中に放り込んで、ゆっくりゆっくりとかしていく。

うまく最後まで、噛んで割ったりしないで、小さな粒が口の中で消えたなら。

あなたの願いはきっとかなう。そんな他愛もない文句を信じて。

今日もどこかで、誰かが飴玉を口に放り込む。そして、始めるの。

コロコロ、コロコロ。

コロコロ、コロコロ。

牧聖苗

ちょっとこれ、作業中には難しいですよねぇ。

相原美紀

ふふ、そうかもね。

牧聖苗

んぐ、とと、あぶない。やっぱり、ちょっと荷物を持ち上げようとしたら、うっかり噛んじゃいそう。

相原美紀

そうね、気を付けないとね。

牧聖苗

美紀さんは、どんなお願い事、してるんですか?

相原美紀

ん、そうね……。牧ちゃんは? 先に教えてくれたら、わたしのも教えてあげる。

牧聖苗

わたしは、えっと……、早く学園祭の仕事が片付いて、美紀さんと休憩所でゆっくりできますように、です。

牧聖苗

あ、あと、美紀さんの受験、うまくいくといいなって。

相原美紀

あら、二つもあるの、お願い事。

牧聖苗

ええ、大丈夫です。四種類、四つ、なめてますから。

相原美紀

けっこう欲張りなのね、牧ちゃんって。

牧聖苗

美紀さんのお願い事はなんですか?

相原美紀

そうね……。牧ちゃんの期末のテスト、うまくいきますように、かしら。

牧聖苗

あぅ……。

相原美紀

ちょっと、中間、よくなかったんでしょ?

牧聖苗

け、けっこうがんばったんですよ、あれでも……。も、もうちょっとがんばれたかなぁって思いますけど。

相原美紀

ふふ、10月になったら、勉強、見てあげましょうか?

牧聖苗

ほ、ほんとですか!? ぜ、ぜひ、お願いします!

口の中で、飴玉が二つ、コロコロ、コロコロ。

甘さが二つ、コロコロ、コロコロ、コロコロ。

コロコロ、コロコロ。

一木羽美

わたしの願い事は一つ! 三人の友情がいつまでも変わらずに続くことだよ!

双野沙紗

あ、そ。

一木羽美

ね、ね、沙紗のは? 沙紗はなに、お願いしたの?

双野沙紗

小遣いアップ。

一木羽美

あ、あれぇ!? ちょ、ちょっと! それはないんじゃない、沙紗! 沙紗もちゃんと友情を願ってよね。

双野沙紗

えぇ? 別にいいだろ、そんなの。

一木羽美

よくないってばぁ! ほら、飴玉あげるから、今から願い事変えて!

双野沙紗

やだよ、めんどくさい……。

一木羽美

だめ! 三人で一緒なら、きっと願いも強くなるよ!

双野沙紗

……羽美。

一木羽美

なに?

双野沙紗

愛してるぞ。

一木羽美

!?

一木羽美

あー! か、噛んじゃったぁ!

双野沙紗

あはははは、ひっかかった!

一木羽美

あーもう、ひどいよ、沙紗ぁ!

三山音七

んー、もう、うるさいなぁ~。

一木羽美

あ、音七! 音七は? 音七はなんの願い事した? 飴玉、なめてたでしょ?

三山音七

はぁ? そんなのもうとっくになくなっちゃったよ。

三山音七

でも、やっぱりこんなの迷信だね。ちっともかないやしない。

双野沙紗

あ、読めた。

一木羽美

えー、そんなことないと思うけどなぁ。最新のおまじないなんだよ? すっごい効果あるって評判なんだから。

三山音七

ほんとかね、それ~。ちっともなんだけど。

一木羽美

なんの願い事したの?

三山音七

安眠祈願。

口の中で、飴玉が二つ、コロコロ、コロコロ。

甘さが二つ、コロコロ、コロコロ、コロコロ。

コロコロ、コロコロ。

剣峰桐

んー、組み合わせ失敗したかなぁ……。しょっぱい飴と甘い飴ってあんまり合わない……。

園生月代

あら、なにしてるの?

剣峰桐

ちょっと流行ってるおまじないがあってさ。やってみてるの。

園生月代

あら、どんなの?

剣峰桐

2種類の飴をなめて、噛んだりしないで、最後までなめ切ったら、願いがかなうんだって。

園生月代

へぇ、そうなの。私が学生の時にも、そういうおまじないって色々流行ったなぁ。なんだか懐かしい。

剣峰桐

月代ちゃん、おばちゃんくさい。

園生月代

し、失礼ね。それで? 桐はどんなことお願いしたの? 言ったら無効になっちゃうかしら?

剣峰桐

そんなことないみたいだけど。私はねぇ、月代ちゃんが他の人の前でも、桐って呼んでくれますようにってお願いした。

園生月代

そんなことできるわけないでしょ!

剣峰桐

さ、成功したらかなうかなぁ。

園生月代

かないません!

剣峰桐

月代ちゃんもやってみない? ほらほら、飴、あげるから!

園生月代

んー……。いいわよ、いただきます。……んぐ。あら、おいしい。

剣峰桐

で、月代ちゃんはなにをお願いするの?

園生月代

そうねぇ……。やっぱり、みんなが元気でいますように、かな。

剣峰桐

……なんかウソくさい。

園生月代

う、嘘なんかじゃありませんよー。

剣峰桐

ね、ほんとは別にお願い事、あるでしょ?

園生月代

……ざ、残業が減ったらいいなぁって……。

剣峰桐

……あはは、そうだよねぇ……。

園生月代

学園祭前で、毎日、深夜に帰ってるのよ~!たまには9時くらいには帰りたい!

剣峰桐

それでも十分、遅いよねぇ……。

口の中で、飴玉が二つ、コロコロ、コロコロ。

甘さが二つ、コロコロ、コロコロ、コロコロ。

コロコロ、コロコロ。

古場陽香

おわっ! また噛み砕いちまったぁ!

有遊愛来

なんだ? あのおまじないか?

古場陽香

お、おう、そうだけどさぁ。なんかどうしても失敗しちまうんだよなぁ。

古場陽香

どうも、ずっと飴なめてるの、苦手でさぁ。ちっちゃくなってくると、つい……。

古場陽香

ロックンロール! って感じで、バリっとやっちまう……。

有遊愛来

ふふ、陽香らしいな。

古場陽香

あー、ちくしょう! もう一回!

有遊愛来

そんなに必死になって、なにを願っているんだ?

古場陽香

ナニってそりゃ、学園祭のステージがバッチリ成功しますようにって、それしかねーだろ!

有遊愛来

それを今から神頼みしてどうする。まだ、日にちはあるだろう?

有遊愛来

おまじないをする時間があったら、少しでも練習した方が成功する可能性は高くなるんじゃないのか?

古場陽香

オウ!

有遊愛来

まぁ、学校では練習もできないだろうから、そういうことに時間を使うのも悪くはないと思うが。

古場陽香

そ、そう、そっちの方向で。愛来は? なんか願い事ないのか? 飴、やるぜ?

有遊愛来

……そうだな。それじゃ、ちょっとやってみようか。

古場陽香

お、ナニ? ナニをオネガイするんだ?

有遊愛来

陽香が遅刻しませんように、だ。

古場陽香

あれ!?

有遊愛来

これについては、何度も指導してるし、今、できる限りのことはしてるつもりだからな。

有遊愛来

人事は尽くした。だから、あとは神頼みしても文句は言われないだろう。

古場陽香

いえ、あの、その、だな。えっと、もっと努力します……。

有遊愛来

ああ。9月に入ってからは遅刻してないからな。この調子で頼むぞ。

古場陽香

はい……。

口の中で、飴玉が二つ、コロコロ、コロコロ。

甘さが二つ、コロコロ、コロコロ、コロコロ。

コロコロ、コロコロ。

網島茉莉

………………。

稲本美夕

………………。

網島茉莉

(なんだよ、美夕のヤツ……)

稲本美夕

(ほんとに、茉莉ってば……)

網島茉莉

(絶対、美夕が悪いって)

稲本美夕

(悪いのは茉莉の方。私は悪くないわ)

網島茉莉

(だって、もうずっとHしてないんだよ?ちょっとくらいさわらせてくれたっていいじゃん)

稲本美夕

(二人で決めたルールなのに、学校であんなことするなんて……。誰かに見つかったらどうするっていうのよ)

網島茉莉

(あーあ……)

稲本美夕

(ほんとに……)

網島茉莉

(比奈の方がよかった。美夕よりかわいくて素直だしさ)

稲本美夕

(少しはマジメな比奈を見習えばいいのよ。比奈が彼女だったらよかったのに)

網島茉莉

(絶対、学園祭では美夕より比奈を楽しませてやるんだから)

稲本美夕

(茉莉には絶対負けられないわ。学園祭、比奈を楽しませるにはどうしたらいいかしら……)

網島茉莉

(………………)

稲本美夕

(………………)

網島茉莉

(あーあ……)

稲本美夕

(はぁ……)

網島茉莉

(早く……)

稲本美夕

(ほんとに……)

網島茉莉

(美夕があやまってくれればいいのに)

稲本美夕

(茉莉があやまってくれればいいのに)

口の中で、飴玉が二つ、コロコロ、コロコロ。

甘さが二つ、コロコロ、コロコロ、コロコロ。

コロコロ、コロコロ。

阿野藤

このおまじないってさぁ~。

狛野比奈

ん。

阿野藤

手軽に何度でもためせるのはいいんだけどさ。お金的にも? そんなにかかんないしさ~。

狛野比奈

ん。

阿野藤

ほんのちょっと、カロリーが気になっちゃうよねぇ~。飴玉だって、いっぺんに二つもなめたら、ちょっとしたおやつ程度になっちゃうしさ~。

狛野比奈

ん? そう?

阿野藤

比奈ちゃん、気にならない?

狛野比奈

ん。なんない。

阿野藤

うらやましぃ~。そりゃ、陸上部で体動かしてるもんねぇ~。体もこんなに細くて引き締まってるし~。ぐへへへへ~。

狛野比奈

んー! アノちゃん、さわんないで。

阿野藤

ありゃ、つれないなぁ~。で、比奈ちゃんはなにをお願いしてるのかな~?

狛野比奈

んー。晩ご飯。お肉がいい。今日は、チキングリル、食べたい。

阿野藤

あのさ、それってさ、結奈に直接頼んだ方がよくない?

狛野比奈

結奈ねぇにはもうお願いしてある。

阿野藤

なんじゃそりゃ~。今さらおまじないする必要なさそ~。

狛野比奈

アノちゃんは? なにをお願い、してるの?

阿野藤

んふふ、あたしはねぇ、昨日出した懸賞が当たりますようにって。これぞまさしく、神頼み!

狛野比奈

なんの懸賞?

阿野藤

あ、ごめん、それはちょっと言えない。比奈ちゃんにはちょっと早いかも~。

狛野比奈

んー……。

口の中で、飴玉が二つ、コロコロ、コロコロ。

甘さが二つ、コロコロ、コロコロ、コロコロ。

コロコロ、コロコロ。

遠見結奈

さすがに、一度に六つも飴玉、口に入れるの、大変なんだけど。

永谷恵

うわっ、結奈の口の中、すっごい甘い!

永谷恵

あら、これ、ちょっとえぐみがあるのねぇ。なに味かしら。

遠見結奈

食べさせておいて、勝手なこと言うんだから……。

榎木サチ

ごめんなさいね。みんな、やってるみたいだから、つい、試してみたくなって……。

永谷恵

やっぱり、おまじないって女の子の必修科目ですよね!

遠見結奈

恵は呪う方のおまじないでしょ。

永谷恵

あ、あのねぇ、わたしだって、ちゃんとしたおまじないとかやったりしたわよ!

榎木サチ

私の時にも、それなりにいろいろあったわね。やっぱり、いつになっても女の子は大好きなのね。

遠見結奈

まぁ、こういうの、しょっちゅう流行りますよね。しかも、毎回、なんだかいろいろちがうのが。

永谷恵

結奈、ちゃんと飴、なめなさいよ? 噛んだりしちゃダメなんだからね?

遠見結奈

わかってるわよ……。でも、こんだけ口の中いっぱいだと、つい、噛み砕きたくなっちゃうんだけど。

永谷恵

まじめにやりなさい!

遠見結奈

はいはい……。

榎木サチ

三人分ですものね。それで、結奈さんはなにをお願いしたの?

遠見結奈

え? あ、えっと……。まぁ、特に個人的にはお願いすることなかったから……。

遠見結奈

サチさんと恵がいつまでも仲良くいられますようにって。

永谷恵

……!

榎木サチ

あら。

永谷恵

な、なに言ってるのよ! そ、そんなのお願い事にしなくても当然のことでしょ! もっと他のこと頼みなさいよ!

遠見結奈

いいじゃない、こんなの適当で。まじめな願い事なら、ちゃんとお寺か神社に行くわ。

永谷恵

な、なによ、適当って! 失礼ね!

榎木サチ

ふふ、ありがとうね、結奈さん。

遠見結奈

……それで、サチさんと恵はなにをお願いしたの?

永谷恵

え……? えっと……。

榎木サチ

私は、結奈さんが幸せになりますように、よ。

永谷恵

わ、わたしは……、結奈が思いっきり長生きできますようにって。

遠見結奈

っ!

遠見結奈

んぐっ! ぐっ、けほ、ごほっ! けほっ、けほっ!

永谷恵

きゃあああっ、結奈!? 大丈夫!?

遠見結奈

だ、大丈夫……。あー、喉、痛い……。思いっきり飲み込んじゃった……。

永谷恵

えー!?

榎木サチ

あら……、噛んで割ったんじゃなくて……。飲み込んだ場合って、どうなるのかしら?

遠見結奈

さぁ……。

口の中で、コロコロ、コロコロ。

甘さがいくつも、コロコロ、コロコロ。

女の子の願いをのせて、コロコロ、コロコロ。

飴玉にこめられて、今日もみんなの口の中で、みんなの願いがとけていく。

がんばって、女の子。あなたのその願いが、どうか、かなえられますように。

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okujou_no_yurirei-san/3172.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)