User Tools

Site Tools


okujou_no_yurirei-san:3164

Place translations on the >s

有遊愛来

ん……。

古場陽香

ん、んん……!

私は、陽香の唇を自分のもので塞いでいる。キスをしている。

驚きとともに、身を反らせるようにした陽香を、その背中の扉に押し付けるようにして。

自分の唇を押し当てている。強く。舌は入れてないけど。

昼休み。大座敷からつながる星館の2階のトイレの個室の中。キスをする場所としては衛生的にどうかとは思うけど、他に人目を忍ぶ場所もなかったので。

有遊愛来

ふぅん、ん……。

古場陽香

ん、ん、んん……。

もう、何十秒もずっと。陽香の胸に自分からすがるように、体を押し当てて。

有遊愛来

ん……、ん、ん……。……んはぁ……。

古場陽香

……は、はぁ、はぁ……。

ようやく唇を離すと、それまでずっと息を止めていたのか、陽香が大きく息をついた。まだ、目は大きく見開かれたまま。

有遊愛来

ふふ……。

私は笑った。陽香の目にはどう見えただろうか。

妖艶に笑ったように見えただろうか。それとも、仕方のない子供をあやした後の微笑み?

どっちでもない。私はただ、陽香とキスできたことのうれしさに、思わず笑いがこぼれてしまっただけ。

有遊愛来

……満足したか?

古場陽香

お、おう……。

私がそう聞くと、陽香はただ、首を縦に大きく振ってうなずくだけ。

事の起こりは、陽香の一言だった。

学園祭の一件で生活指導室に呼び出されてから。陽香と体を重ねたあの日から、陽香はずっと無遅刻を続けていた。

その前から、夏休みが終わった9月から、陽香は遅刻せずに登校を続けていたが、生活指導室とその後の太鼓櫓で誓ってからも、無遅刻のままだった。

もともと、深い反省とともに、心を入れ替えて遅刻をしなかったわけではないと思う。そういう部分は少しはあるとは思うが。

どちらかというと、陽香なりの意地だろうか。あと、うれしいことに、私との約束を守ろうという意志もあると思う。

今までの生活習慣を矯正して早起きを続けている。私も毎日、陽香に朝、電話をして協力しているが。

それだけに、この無遅刻の維持には、かなりのエネルギーを使っているんだろう。それなりに、ストレスも感じているのだろう。

だから、私との会話の中でも、多少の愚痴が出てしまうのも仕方ないと思う。私もそれを咎めるつもりはない。

その上で、陽香はがんばってくれると信じているから。

だから、ここまで遅刻しなかったことに、多少のご褒美を求めるようなことを言っても、それは邪気のない発言で。

陽香の、子供らしい部分、ほめてほしいという素直な言葉だったのだと思う。

むしろ……、邪な気持ちがあったのは、私の方で。

有遊愛来

ふぅ……。

私は、息をつく。それが、ため息とは陽香に気付かれないように。

ため息だと陽香にバレてしまっては、誤解されると思ったから。私が、陽香のおねだりに仕方なくキスをしたと思われたくなかったから。

だって、これは……。

自己嫌悪のため息なのだから。

あの日、太鼓櫓で陽香と抱き合って以来。

私は、陽香に触れていたくて仕方ないと感じている自分を、自覚している。

陽香にすっかり、惚れ込んでいる自分を自覚している。ささいな言葉を口実に、トイレにまで連れ込んで、キスをするほど。

有り体に言えば、容易く陽香に欲情している自分がいることを。

有遊愛来

陽香、すまない……。

古場陽香

お、おお? な、なにが?

有遊愛来

少し、強引すぎたな、私。

自分でも、認めるしかない。認めて、陽香に伝えるしかない。

こんなにも陽香が好きで、自重も簡単にできなくなっている自分の現状を。確かに私は、陽香が好きになりすぎている気がする。それを悪いこととは思っていないのが、また。

陽香と知り合ってから、ずっと陽香に興味を抱いていた。陽香の言動はとても興味深く、私の好奇心を満足させてくれていた。

そして、あの、告白。その前からきっと、私は陽香のことが好きだった。同性ではあるが、恋愛の対象として見ていた。

いつ、陽香に告白されても受け入れられると思っていた。そして、陽香はちゃんと、最高の舞台で私に告白してくれた。

きっと、あれで私のタガはどこか、緩んでしまったのだと思う。そして、太鼓櫓での時間が、とどめになって。

それ以来、笑う顔を見るたび、声を聞くたび、何気ない仕草を目にするだけでも、陽香に触れたくて仕方なくなっている。

どう考えても、これは、おかしい。

古場陽香

あ、ああ……。ん、まぁ、ちょっとイキナリだったけどさ。

古場陽香

うん、でも、すげぇ感じた。愛来、すげぇ、セクシーだったぜ。これ、とんでもねぇゴホービだよ。

有遊愛来

セクシー、か……。ふふ……。

相変わらず、陽香の言葉はおもしろい。少し、今の私の心を軽くしてくれる。

有遊愛来

うん、すまない。やっぱり、いきなりキスするなんて……。私、おかしいな。

古場陽香

え? あ? なに言ってるんだよ!

古場陽香

いや、こんなハードなキス、オレ、初めてだぜ? しかも愛来からしてきてくれるなんてさ!

古場陽香

マジ、サイコーにハッピーだ!

有遊愛来

そう、か?

古場陽香

ああ! だってオレ、今、すげぇドキドキしてるし! うん、ガッコーのトイレで、こんなクールでアツいキス、カマしてくるコイビト、愛来しかいねぇって!

古場陽香

おかしい? ちがうちがう。愛来、これ、ロックだぜ。すげぇ、最高のロック!

有遊愛来

ロック?

古場陽香

そ、ロック! オレにとってのサイコーのキスだぜ。オレまでイカれちまうんだもん。

それは……、うれしいな、陽香。

陽香にとって、ロックは最上位の褒め言葉で……、いや、褒め言葉ではなく、生き様か? それを表しているのだから。

その言葉を自分の免罪符にしてしまうのはどうかと思うが、陽香が賛辞と最上の好意とともに受け入れてくれているのはわかる。

古場陽香

陽香がおかしくってもさ、そのキスでオレもイカれちまうんだ。なんも変なことないよな、これ。

古場陽香

今の、オレたちにとってのサイコーのキスだってこと。いや、もう、クラクラきちまってんだけど。

有遊愛来

ふ、ふふ……。

ああ、だめだ。本当におかしい。うれしい。陽香、愛してる。陽香みたいな表現はできないけど、私も最高に陽香を愛してる。

有遊愛来

そうか……。うん、それはよかった。

古場陽香

お、おう!

有遊愛来

陽香を、好きになってよかった。

古場陽香

え、ええ!? あ、お、オレもだ! 愛来のこと、愛してる! 好きになってよかった!

こんなこと、素直に口から出せる自分を知らなかった。陽香と出会う前までは。

思ったことは正直に言うべきだとは思っていたが、こんな、好きだとか、愛してるとか。

やっぱり簡単に口には出せない。受け止めてくれるのが、陽香でなければ。

有遊愛来

陽香の前だと、私はすぐに変になってしまうな。あまり、私をそんな気持ちにさせないでくれよ?

古場陽香

はは、ノープロブレム! どんと来い! まかせろ!

有遊愛来

く……、ふふ……。

顔を真っ赤にしながら、胸まで叩いてみせるのか。ほんとに、陽香ときたら。

どこまでも、身を任せたくなってしまう。陽香に、そして、自分の気持ちに。

でも、もう少し、私も自重しなくては。太鼓櫓ではああ言ったが、節度ある交際を求められているのは確かだ。

私自身も、あまり情欲に溺れっぱなしでいたくはない。自分の弱さを陽香のせいにしたくはないし。

ああ、でも、今だけは、もう少しだけ。

言葉に甘えてもいいか、陽香。まかせろって言ったのだから。

私は、もう一度、陽香に身を寄せる。

古場陽香

え、あ、愛来……?

有遊愛来

もう少しだけ、受け止めてくれ、陽香……。

古場陽香

お、おう……。あ、でも、ほら、もうすぐ授業が……。

有遊愛来

大丈夫だ。

時計は見ないでもわかる。どんなに陽香にドキドキさせられても、時間は正確だ。

有遊愛来

あと、5分はある……。

この昼休みが終わるまでのその間、キスを、続けさせてくれ。

grpo

grpo_ef

grpo_bu0

grpo_bu0

grpo_bu0

grpo_bu0

grpo_bu0

grpo_bu2

grpo_bu1

grpo_bu0

grpo_bu2

grpo_bu1

grpo_bu0

grpo_bu2

grpo_bu1

grpo_bu0

grpo_bu2

grpo_bu1

grpo_bu0

grpo_bu2

grpo_bu1

grpo_bu0

grpo_bu2

grpo_bu1

grpo_bu0

okujou_no_yurirei-san/3164.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)