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okujou_no_yurirei-san:3162

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明日から夏休み。今日はその前の最後の日ってことで、授業は午前中だけでおしまい。長めのホームルームで休み中の注意を受けて、早くも放課後。

いつも通りの放送室だけど、いつもより一人少ない。

双野沙紗

夏休みを一日早めるなんて、音七らしいっていうかさ。

一木羽美

もー、沙紗、音七は病気で休んでるんだから、そんな言い方しなくてもいいじゃん!

そう、今日は音七がお休み。朝、いつもの待ち合わせの場所で、沙紗と音七を待ってる時に、メールが入った。

双野沙紗

いや、冗談だけどさ。

一木羽美

それはわかってるけどさ。

熱出してだるいから休むって。一日寝てるって。

熱が出た時の対処法としては間違ってないんだろうけど、一日寝てるって言い方がまた、音七らしいっていうか。

双野沙紗

どうする? 音七、いないけど、昨日の放送の反省会とかやる?

一木羽美

あ、そっかぁ。

いつもだったら、放送の次の日は、反省会。今週はテストがあったから、木曜日がわたしたちの放送だった。だから、今日は反省会、やるはずだったんだけど。

ついでに、来週の放送の内容、決めたりしてたんだけど。来週、もう夏休みだしなぁ。

一木羽美

合宿前に、一度、買い物とかにも行くし、その時にする?

双野沙紗

別にいいけど、反省すること、忘れてるかも。

一木羽美

うーん、そっかぁ。それじゃ、わたしたちだけでもやっとく?

双野沙紗

別にいいけど。

一木羽美

それじゃ、沙紗、なんか反省することある?

双野沙紗

羽美が変なキャラ出してきて、ウザかった。

一木羽美

ふぇ!? そんなことしたっけ?

双野沙紗

しただろ! 雑誌の性格診断なんか鵜呑みにして、気持ち悪い言葉遣いしてきてさ!

一木羽美

あ、ああ! だってあれは!

やっぱり、雑誌に性格診断とか載ってると、つい、やってみたくなっちゃうじゃん!

一木羽美

しょ、しょうがないじゃん! わたしも、沙紗と音七にウザがられてるとか思ったら、不安になっちゃうんだもん!

双野沙紗

そ、そうだけどさぁ。なにも、あんな気持ち悪いキャラ出してくることないだろ。

一木羽美

き、気持ち悪いって! それは、確かにちょっと、似合わないかなぁ、とか思ったけど……。

双野沙紗

音七が気付いてくれなかったら、ずっとあのまま押し通すつもりだったのか?

一木羽美

そんなつもりなかったけど……。すごいよね、音七、わたしの選んだの、全部、見抜いちゃったんだよね。

双野沙紗

ああ……。一昨日といい、羽美は音七に迷惑かけてばっかだよな。……あたしもだけどさ。

一木羽美

そうだねぇ……。

一昨日、わたしと沙紗は、放課後の屋上で、音七に説教をくらってしまった。あんなにまじめで、ちょっと怒った感じの音七、初めて見た。

そこで音七は、わたしと沙紗が恋人同士ってことを認めてくれて、その上でちゃんと友達でいるから、しっかり付き合えって言ってくれて。

わたしと沙紗のこと、認めてくれた。うん、すごくうれしかった。沙紗と恋人でいれること、それでも音七が親友でいてくれること。

不安になっていたわたしには、すごく心強い言葉だった。

でも、それだけ音七に心配かけてたってことだよね……。あのめんどくさがりな音七に、お説教させちゃうほど、わたしたちは。

一木羽美

よし、沙紗! 音七にお見舞いのメールをしよう!

双野沙紗

はぁ? 突然だな。

一木羽美

突然でもいいの! 音七は親友なんだから!ほら、ケータイ出して!

双野沙紗

え? 別々に出すのか?

一木羽美

当然でしょ! わたしからと、沙紗から!きっと音七、一人で寝てて、さびしいと思うんだから!

双野沙紗

いや、絶対にぐっすり寝てると思うけど。

一木羽美

そうかもだけど、メールするの!

双野沙紗

はいはい、わかったよ。

わたしも、ケータイを出して、音七へのメールを打ち始める。沙紗と二人で、ケータイでメールに文字を打ち込んでく。

双野沙紗

音七ってさ。

一木羽美

うん。

メールの文章、考えて、それからケータイに打ち込んで。それを繰り返しながら、沙紗と話を続ける。

双野沙紗

案外、鋭いとこ、あるよな。

一木羽美

うん、そだね。

音七、わたしと沙紗が付き合いだしたこと、ちゃんと知ってた。

それどころか、沙紗がわたしを好きだってことまで気付いてた。いっつも眠そうな感じなのに、ちゃんと気付いてた。

双野沙紗

正直、あたし、音七にバレてると思わなかった。でも、ちょっと考えてみたら、けっこう、納得しちゃってさ。

一木羽美

……そだね。確かにそうかも。

前に一度、音七に小学校の時のアルバム、見せてもらったことがある。

その写真の音七は、けっこうぱっちり目が開いてて、すごい頭がよさそうに見えた。でも、ちょっと気むずかしそうで。あまり、笑ってる写真もなかったような。

一木羽美

きっと音七って、ほんとはすっごい鋭いんだよ。観察眼あるっていうのかな。

普段の音七を見てると、そんなふうに思えないけど。でも、放送の時、いつもささっとこっちを助けてくれるのは、いつも音七。

トラブルが起きても、いちばんいい方法で解決してくれるし。よっぽど注意してないとできないことだと思う。

きっと小さいころは、もっとそういう鋭いとこ、表に出してたんだろうな。だから、あんな顔が写ってたんだ。

双野沙紗

普段、寝てる分だけ、起きてる時は鋭いのかな。

一木羽美

その反動で寝てばっかなのかな?

双野沙紗

逆かも。

どうなんだろ。鋭いのに疲れちゃったから、眠ってばっかいるようになっちゃったのかな?眠くなってきたから、鋭いの目立たなくなっちゃったのかな?

今の音七、見てると、眠たい顔してるのが、自然な音七に見えるけど。

双野沙紗

まぁ、さ。

双野沙紗

あたしたち、三人とも、めんどくさいとこあるからさ。性格的に。

双野沙紗

もうちょっとまともだったら、もっと普通のヤツと友達になってるよな。ワケあり物件だから、三人でくっついたんだろうな。

一木羽美

そうだね……。ん?

一木羽美

ちょっと? それって、わたしもワケあり物件ってこと!?

双野沙紗

そうだろ? 羽美みたいな友達依存症、あたしや音七みたいなヤツじゃないと、まともに付き合わないって。

一木羽美

えー、なにそれ! ひどい、沙紗!

双野沙紗

なら、友達やめる?

一木羽美

……やめない。

双野沙紗

ほら見ろ。

そう言って、沙紗はちょっと笑った。

やだ。絶対に、沙紗と音七と、友達やめるなんてできない。もちろん、沙紗とは別れたくないし。

だから、別にワケあり物件でもいいや。ちょっと釈然としないけど。でも、いい。

一木羽美

ね、ねぇ、沙紗。

双野沙紗

ん、なに?

一木羽美

夏休み、ど、どっか行かない?

双野沙紗

え? ……え、えっと、それって、二人で?

一木羽美

う、うん……。も、もちろん、音七と一緒に遊びに行く日もあるけど! そ、それ以外でも……、ど、どうかな?

双野沙紗

い、いいけどさ……。……プールでも行くか?

一木羽美

え? プ、プール!?

双野沙紗

……合宿の後でもいいよ。

一木羽美

え、えっと、それなら……。

双野沙紗

合宿の前だと、羽美、ダイエット間に合わないだろ?

一木羽美

な、なんでそこまで言っちゃうのよ! そこはわかってても口に出さないでよ!

双野沙紗

わかりやすいんだよ、羽美は! 今日だって、ジュース、カロリーオフのにするか、迷ってただろ。

一木羽美

こ、これからがんばるんだもん!

双野沙紗

うん、がんばれ。水着、買いに行こ。

一木羽美

う、うん……。

それじゃ、2回、デートできるかな……? それまでに、なんとしてもダイエット成功させなきゃ。

沙紗のスレンダーな体の前で、絶対に今のままじゃ、水着なんて着れないし!

双野沙紗

ん、こんなもんかな。うわ、けっこう長いメールになっちゃった。

一木羽美

あ、わたしも。

今日、あったこととか、合宿に必要なものの買い出しのこととか。熱がひいたら遊びに行こうとか、いろんなこと。

全部、打ってたらすごい量。沙紗も同じくらい、指を動かしてたから、二人して長文メールになっちゃった。

双野沙紗

どうしよ。このまま送る?

一木羽美

うん、送っちゃお。いっせーのせでね? せーの。

一木羽美

送信!

双野沙紗

ん。

ケータイの画面に、送信中のアイコンが出てる。うん、これで音七に届くはず。

一木羽美

返信、来るかな?

双野沙紗

こないだろ。絶対、寝てるって。明日の朝に返信来てればいい方じゃない?

一木羽美

だろうね。しかも、すっごい短い返事だよ、きっと。

双野沙紗

はは、想像できる。

うん、いつも音七からの返信って、そんな感じだし。でも、それもいつも通りのことだから。

音七はそう、それでいつも通りで、変わらない。変わらずに、わたしと沙紗の友達でいてくれる。

きっと、明日くらいに来る短い返信にも。そのメールの言葉にも。

音七の友情がいっぱい詰まってるんだよね!わたしと沙紗の、長文のメールに負けないくらいの!

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okujou_no_yurirei-san/3162.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)