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okujou_no_yurirei-san:3161

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稲本美夕

美紀、引退おめでとう。

そう言って、稲本先輩が持ってきた花束を美紀さんに渡したのが皮切りだった。

相原美紀

わぁ、美夕、悪いわね、こんなに素敵なお花。

稲本美夕

気にしないで。今までお疲れさま。

えっと、陸上部の副部長さんだよね、稲本先輩って。

網島茉莉

おつかれさん、美紀。

相原美紀

ありがとう、茉莉さん。でも、二人も引退したんでしょう? お疲れさま。

網島茉莉

ん、ありがと。やっと肩の荷が下りたって感じだよね。

相原美紀

ふふ、そうね。

稲本先輩と一緒にいるのは、やっぱり陸上部の網島先輩。部長さん。

そっか、お二人も陸上部、引退されたんだ。すごい強い選手だから、今日まで引退が伸びてたって、比奈が言ってたっけ。

昨日は、委員会の定例活動の日で、10月のこの日はだいたい、どの委員会でも新委員長が決まって、三年生の委員が引退する日だった。

だから、美紀さんも昨日で整美委員会を引退した。最後まで美紀さん、立派に仕事して、挨拶もすごいかっこよくて。

わたしは感動で泣き出しそうだった。まぁ、委員会が終わった後、すぐに最後の仕事が入ってきちゃったから、それも引っ込んじゃったんだけど。

その翌日の今日。今日からやっと、いろんなお手伝いからは解放された美紀さんに、もう一度、わたしからお疲れさまって言いたくって、美紀さんの教室に来たんだけど。

同じクラスの網島先輩と稲本先輩が、美紀さんに花束を渡しているわけで。

しまったぁ、わたし、花束なんか用意してなかった! バカバカ、美紀さんの引退にそんな大事なプレゼント、忘れてるなんて!

うう、陸上部のお二人に、すっごく負けた気分……。

でも、美紀さんの引退を喜んでくれるのは、この二人だけじゃなかった。

有遊愛来

相原先輩。

相原美紀

あら、有遊さん。

有遊愛来

今まで、お疲れさまでした。

あ、風紀委員会の有遊先輩。

園生月代

相原さーん、今までお疲れさま。学園祭の時は本当に、いろいろ手伝ってくれてありがとうね。

園生せんせまで!

美紀さん、すごい。整美委員会だけじゃなくて、いろんな人から引退を喜んでもらえるなんて!

もちろん、やっと引退してくれたなんて悪い意味じゃなくて、ほんとにお疲れさまって言ってもらえてる。惜しまれつつっていうのかな?ちょっとちがうのかな?

みんな、美紀さんが今までがんばってたの知ってたから、引退を喜んでくれているんだ。

稲本先輩と有遊先輩は、花まで持ってきて。わたし、なにも持ってこなかったのに……。

相原美紀

ありがとう、有遊さん。園生先生も、わざわざありがとうございます。

相原美紀

有遊さんは風紀委員長になったのよね? これからもがんばってね。

有遊愛来

ええ。先輩のように、とは行きませんが、うまくやっていくつもりです。

相原美紀

ふふ、なんだか頼もしい感じね。

網島茉莉

いや、ちょっと怖そうじゃない? 鬼の風紀委員長って感じで。

稲本美夕

茉莉は卒業でよかったわね。

網島茉莉

うん、ちょっとほっとしてる。あ、でも、朝練なくなったから、遅刻したら愛来ちゃんに怒られちゃうのか。

有遊愛来

遅刻しないようにしてください、先輩。

網島茉莉

はいはい。

美紀さん、すごいなぁ、ほんと。陸上部の部長さんと副部長さん、風紀委員長さん、先生にまで。すごい人たちに囲まれてる。

あ、わたし、すごいおまけっぽい……。美紀さんを早く、休憩所に誘いたかったんだけど……、これじゃ、ちょっと言い出せない……。

有遊愛来

ああ、牧さん。

牧聖苗

あ、はい!

有遊愛来

牧さんは、来年も整美委員会を続けるんだろう?

牧聖苗

あ、はい、そのつもりです!

有遊愛来

うん、がんばってほしい。相原先輩のように。まぁ、先輩はちょっとがんばりすぎていましたが。

園生月代

そうかもね。でも、牧さんならその心配もなさそうね。

網島茉莉

ああ、そうかもね。気に入らない仕事があったら、暴れちゃうかもだもんね。がおーって。

牧聖苗

え、えええ!? あ、暴れるって……。

相原美紀

もう、茉莉さん、聖苗はそんなに簡単に暴れたりしないわよ。

牧聖苗

え、ええ……、たぶん……。

うう、やっぱりわたし、そんなに有名になっちゃったんだぁ……。後悔してないけど、暴れん坊ってイメージはちょっとなぁ……。

園生月代

そうね。冷やかしてごめんね、牧さん。

牧聖苗

あ、いえ……。

園生月代

でも、なにかあったら、まずは先生に相談してね?

牧聖苗

はい……。

網島茉莉

そうそう、困ったことあったら、あたしになんでも相談しな。どんなことでもいいからね。人間関係とかでも、OKだよ? 恋愛相談でもね?

牧聖苗

え、ええ!?

網島茉莉

あとで、メアド教えてよ。あたしのも教えるからさ。

稲本美夕

ナンパみたいなことしてるんじゃないわよ、茉莉。

網島茉莉

うわ、美夕、怖い。

先輩たちや先生の笑い声が、美紀さんを中心にして響いている。

ちょっとドギマギしちゃったけど、なんとなく、うれしい。美紀さんが今までがんばってきたことが、いろんな人に認められてたんだって気がして。

だから、美紀さんの引退の次の日に、こんなに人が来てくれる。そして、喜んでくれる。

わたしも、それがちょっと誇らしい。美紀さんのお手伝いができたこと。そして、その美紀さんがわたしの大切な人であるってこと。

わたしも、これから美紀さんに恥ずかしくないような、学園生活、送らなくちゃ!

牧聖苗

はぁ……。

やっと、休憩所まで来れたって感じ。

ソファのそばに、ここまで運んできた、美紀さんがもらった花束を置いてある。どれも、そんなに大きくないけど、とてもきれい。

相原美紀

ごめんね、みんなとの話が盛り上がっちゃって。

牧聖苗

ううん、気にしないでください! だって、みんな、美紀さんの引退を祝ってくれたんですもの!

牧聖苗

よかったですね、美紀さん! お花ももらえて! やっぱり美紀さんすごいです!

相原美紀

ふふ、そうね。

牧聖苗

え? 美紀さん……。

わたしの隣に座った美紀さんが、そっとわたしの肩を抱いた。そして、両手でわたしを抱き締めてくれる。

牧聖苗

あ……、美紀さん……。

え、なんで? う、うれしいけど、なんで?

相原美紀

これもみんな、聖苗のおかげよ。

牧聖苗

え、ええ……、そ、そんなことないですよ!

相原美紀

ううん、聖苗のおかげ。

抱き締めてくれる美紀さんの声が、わたしの耳のすぐそばで響く。

牧聖苗

そ、そんなこと……。美紀さんががんばってきたから、みんな、喜んでくれたんですよ……?

相原美紀

ううん……。聖苗がいなかったら、きっとわたし、こんな晴れ晴れとした気持ちで引退できなかったもの……。

牧聖苗

え……?

相原美紀

たぶん、花束はもらえたかもしれないけど……、でも、さっきみたいに、わたし、笑えていたかしらって思うの。聖苗がいなかったらって考えると。

相原美紀

さっきみたいに、みんなと話していられたかしら、同じ気持ちでうけとれたかしらって、思うの。

相原美紀

きっと、どこか心にひっかかるものを残しながら、受け取っていたんじゃないかしら。悪く思われたくなかっただけだったって思いを引きずったまま、ね……。

牧聖苗

美紀さん……、そんなこと……。

相原美紀

聖苗がいたから、あの時、聖苗がわたしのために怒ってくれたから、わたし、全部、吐き出せたと思うの。

相原美紀

あなたに好きだって言えたから、今日、こんなにうれしい気持ちで、みんなから花束を受け取れたんだわ。

牧聖苗

わ、わたし……、そんな、美紀さんのためにってわけじゃなくて……。あの時は、ほんとに頭きてたから……。

牧聖苗

そ、その、それじゃ、二人で一緒にできたってことじゃ、ダメですか? あの、わたしも一緒に、美紀さんの引退を祝ってもらえたんです。

牧聖苗

あの、わたしは、ほんのちょっとですけど、ね?

相原美紀

ふふ……。

きゅって、美紀さんがわたしを抱き締める力が少し強くなって。わたしはその分、美紀さんの胸の中に埋まるようになって。

相原美紀

そうね、聖苗と一緒に、みんなからの花束を受け取ったのね。その方が、わたしもうれしいわ。

美紀さんのにおい、いいにおい、いっぱいになって。

牧聖苗

美紀さん……。

相原美紀

なに、聖苗。

牧聖苗

引退、しちゃったんですね……。

相原美紀

ええ……。

牧聖苗

受験、がんばってくださいね……。

相原美紀

ええ、がんばるわね。わたしね、地元の大学に行きたいの。家からでも通えるように、ね。

牧聖苗

え……。

相原美紀

卒業してからも、聖苗と一緒にいたいから。

牧聖苗

美紀さん……。

相原美紀

推薦も、がんばればもらえそうなの。もし、早く決まったら、冬休みは一緒に遊びましょうね。

牧聖苗

はい……。

相原美紀

卒業してからも……、それからも、ずっと、一緒にいましょうね。……いてくれる?

牧聖苗

はい……、もちろんです……!

うわぁ、ずっと、聞きたかった言葉だった……。美紀さんが卒業した後のこと、ほんのちょっとだけ、不安だった。

離れちゃったら、どうなるんだろうって。もし、美紀さん、他の県の大学に行ったらどうしようって。でも、ちょっと怖くて聞けなかった。

でも……。

美紀さん、ずっと一緒にいてくれるんだ。そう考えてくれてるんだぁ……。

牧聖苗

わたしも……、美紀さんと一緒にいたいです。いつまでも、ずっと……。

相原美紀

うん、わたしもよ、聖苗……。

牧聖苗

美紀さぁん……。

あ、また、美紀さんが抱き締めてくれる力、強くなった。もう、ぎゅって感じで。美紀さんのにおいでいっぱいに包まれてる。

もう、頭、クラクラしちゃいそうなくらい。美紀さんの腕の中、胸の中、抱き締められて、わたし、美紀さんでいっぱいになっちゃう……。

牧聖苗

み、美紀さん……。

相原美紀

聖苗……。

牧聖苗

こ、これ以上、ぎゅってされたら、ダメ……。わたし、爆発しちゃいますよぉ……。

相原美紀

ふふ……、そう? こんなふうにされたら?

牧聖苗

あ……。

ちょっと、美紀さんの腕に別の方向の力が加わって。

ぼふって、わたしと美紀さん、そのままソファに横になって倒れ込んで。

あ……、また、わたし、美紀さんの、上に……。

また、押し倒しちゃった……。

牧聖苗

み、美紀さん……。あ、あの……。

美紀さん、わたしを見上げながら、それでも腕を離してくれない。

相原美紀

ええ……。

も、もう、また止まらなくなっちゃうのに……!

相原美紀

いいわよ……、聖苗……。

も、もう、どうにでもしてください! い、いや、どうにかしちゃうの、わたし!? わ、わかんない、わかんないけど!

牧聖苗

美紀さん……!

美紀さんの唇が近づいてくるのが、止まらなかった。

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okujou_no_yurirei-san/3161.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)