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okujou_no_yurirei-san:3143

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網島茉莉

暑っつ~。急に暑くなりすぎでしょ。

あんまり暑かったんで思わず愚痴ったけど、このところずっと晴天続きなのは、陸上部部長としては本当にありがたい。

網島茉莉

(梅雨の屋内練習の時のテンションの低さったらなかったもんね)

またグラウンドで練習できるようになって、みんなも前みたいに精力的に練習に打ち込んでくれてる。

網島茉莉

(合宿が楽しみだな、こりゃ)

いちばんの頭痛の種だった合宿のご飯の件も何とかなりそうだし。後はひたすら練習に打ち込むだけ。

網島茉莉

(あたしも飲み物買って戻らないと。ん?)

網島茉莉

うわっ、最悪。アクエリ全部売り切れてんじゃん。

あたしの前で無慈悲に点灯する「売り切れ」「売り切れ」「売り切れ」の赤ランプ。

網島茉莉

しゃーない、コーラでいいや。

腰に手を当てて、風呂上がりのおっさんスタイルでごくごくと一気飲み。乾いた喉を炭酸がじゅわっと伝っていく感触が気持ちいい。

網島茉莉

ぷっはー。この一杯のために走ってるぅ!

美夕がいたら、「親父臭い」とか「炭酸は控えろ」とか「冷たい物は一気に飲むな」とか、小言のオンパレードをくらいそうだけど。

網島茉莉

鬼のいぬ間のなんとやらってね。あれ?

「……他に気をつけておくべきことはありますか?」

「家庭用コンロと違ってスイッチ一つで火が点くわけじゃないところかね。元栓開いてチャッカマンで火を点けなきゃいけないのよ」

「えっ。そういうものなんですか?」

「そうなのよぉ。点火ミスは気付きやすいけど、調理中いつの間にか火が消えてガスだけ漏れてるってこともあるから気をつけてね」

「はい、注意します」

網島茉莉

(学食のおばちゃんと話してるあの子……)

網島茉莉

あっ。やっぱり、結奈ちゃんじゃん。

遠見結奈

あ……、網島先輩。

「それじゃぁね。あたし、明日の仕込みがあるから」

遠見結奈

あ、はい。ありがとうございました。

網島茉莉

どしたのさ、こんなところで。

遠見結奈

ええと……、合宿の件で、厨房の機材の確認をしておこうと思って。

網島茉莉

えっ、なにそれ? 今日頼んだばっかりなのに、もうそんなことしてくれてんの?

遠見結奈

ええ、まぁ。こういうこと、すぐに確認しておかないと気がすまなくて。

網島茉莉

そうなんだ。まぁ、なんか細かいこと、好きそうだもんね、結奈ちゃん。

遠見結奈

細かいっていうか……。引き受けた以上、できるだけのことはしておきたいですから。

網島茉莉

そうなんだ。正直、比奈から頼まれて、嫌々引き受けてくれたのかなって思ったてから、そこまでやってくれるなんて感激だよ。ホントありがとね?

遠見結奈

いえ……。

口ごもりながらうつむく。別にはにかんでるってわけじゃないよね。それにしても……。

網島茉莉

(改めて見ると結構いい線いってるかも)

網島茉莉

結奈ちゃんって、かわいいね。

つい口から出た。こういうこと、すぐに出ちゃうんだよね。

美夕はよく、「余計なことまでしゃべらない」なんていうけど。ちゃんと口に出さなきゃ気持ちなんて伝わらないと思うしね。

遠見結奈

え? ……はぁ、どうも。

気の抜けた返事が返って来る。抜けているのか抑制が利いているのかよくわからないけど。比奈とまた違った不思議さを持った子だな。

稲本美夕

あ、いたいた、結奈さん。

遠見結奈

あ……、稲本先輩。

網島茉莉

あれ、美夕。どうしたの?

稲本美夕

茉莉こそ。練習抜けてなにやってるのよ。みんな探してたわよ。

網島茉莉

ちょっと水分補給をね。

稲本美夕

あ、また炭酸なんて飲んで。

網島茉莉

だってアクエリ売り切れてたからさぁ。

稲本美夕

まったくもう……。って、あ、ごめんなさい、結奈さん。

遠見結奈

いえ。

稲本美夕

比奈から聞いたわ。明日でいい?

遠見結奈

問題ありません。

網島茉莉

えっ? なになに? なんの話?

稲本美夕

合宿に参加する子の好き嫌いとか、アレルギーがないかとか教えてほしいって。

網島茉莉

えっ。なに、そんなことまで?

驚いた。熱心にやってくれてるなとは思ったけど。なんだろう、この行動の早さは。

網島茉莉

前にもよくこういうことやってたわけ?

遠見結奈

……いえ。

あれ? 今なんか困らせちゃったかな、あたし。

遠見結奈

そろそろ帰らないと。それじゃ、失礼します。

稲本美夕

気をつけてね。

網島茉莉

あ。ありがとね、結奈ちゃん。

会釈していそいそと立ち去る結奈ちゃんを見送る。

網島茉莉

へぇ……、すごい子がいるもんだねぇ。

なんつーか、凄腕のビジネスマンかなにかを見てる気分。

稲本美夕

ほんとね。ほしくなっちゃうわね、あの子。

隣でぼそりと美夕がつぶやくのをあたしの耳は聞き逃さなかった。心臓がドキリと跳ね上がる。

網島茉莉

えっ!? そ、それってどういう……!?

あたしみたいなガサツでいい加減なヤツよりやっぱりああいう繊細でマジメな子の方がいいってこと?

稲本美夕

バカ、マネージャーにほしいって話よ。

誤解を察した美夕が苦笑する。

網島茉莉

あ……、ああ、なんだそう言うことか。

ほんと、何を焦ってんだろ、あたし。

網島茉莉

(でも……本当にすごい子だよね)

責任感だけじゃなくて実行に移す行動力もある。好き嫌いやアレルギーにすぐ気が回るだけの頭と配慮もある。

正直、リーダーとかに向いてそうなのに、比奈から聞いた話じゃ、結奈ちゃん、部活とかはやってないってことだし。

網島茉莉

(なにか理由あるのかな……?)

「前にもよくこういうことやってたわけ?」そう、何気なく聞いた時の結奈ちゃんのあの顔は、何か見覚えあるような気がした。

網島茉莉

(どこでだったかな……)

稲本美夕

どうかしたの、茉莉?

網島茉莉

ん? いや、なんでもない。

心配そうにのぞき込んでくる美夕の顔を見て、ああ、そうかって思った。

あたしたちのことは秘密にしなきゃダメって言ってる時の、美夕の困ったような顔に、さっきの結奈ちゃん、似てるんだ……。

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okujou_no_yurirei-san/3143.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)