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okujou_no_yurirei-san:3112

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放課後。有遊さんがやってきたのは、私が机に積まれたファイルとにらめっこをしている時で。

積まれた、というか積み上げられた、というか。

有遊愛来

園生先生、これは?

彼女も気付いたみたい。ファイルの中に、学園祭関連の資料が混ざっていたことに。

園生月代

ええ、見ての通り、学園祭についての資料あれこれよ。先生ね、学園祭実行委員の顧問もやってるからね。

有遊愛来

学園祭もって……。確かにそうでしたが。

私はなんでもないように振る舞ったつもりだったのに、有遊さんの眉間に少し皺、寄っていくのがわかる。

有遊愛来

園生先生は、夏合宿の監督も担当しておられたでしょう?

まあそうなんだけどね。有遊さんもその件で相談か報告に来たみたいだし。

有遊愛来

その上に学園祭の仕事ですか? こういうのはなんですが、少しオーバーワークではないですか?

園生月代

いいのよ。私、夏休みの間も学校に来るんだし、そのあたりのことはやれる人で兼任兼任。私みたいな若い先生は重宝されてるのよ。

有遊愛来

そうはおっしゃいますが……。

やっぱり、まだ有遊さんは納得いかない顔つきで、自分の用件は口にもしないで学園祭の資料を見つめたまま。

ちょっと空気が重たくなってしまって、私はできる限り何事もないような口調で、彼女にとりなす。

園生月代

大丈夫大丈夫。それにほら、先生、去年も同じようなこと、やってたじゃない。

有遊愛来

それはそうですが。でも先生、最後の方は、ほとんど死にかけてたじゃないですか。はたから見てもわかるくらいに。

う……。やっぱり、見るところは見ているのねこの子。

でもそれでも、教師が学生に心配されるなんて本末転倒だもの。

笑いかけて、心配を吹き飛ばすように手をひらひらさせて。

園生月代

いいの、本当に。私、こういうこともしたくて、先生になったんだもの。

園生月代

みんなが一生懸命になって、そして最後には、みんなで笑ってよかったねって、そう言えるイベントなら、先生は喜んでそのバックアップ、しちゃうんだから。

これは、本音だ。

学生たちとまったく同じ立場で、というのはできないこと。でもそれなら、みんなを後ろから支えてやりたいと思う気持ちは嘘じゃないもの。

有遊愛来

もちろん先生にそうまで言ってもらえるのは、とてもうれしくはあります。ただ、先生はあまり体力が余っているというタイプでもないんですから。

なんだか、私の方がお説教されている気分。どうしたものかしらね、これ……。

だから、場の雰囲気が沈みかけてきた時に剣峰さんが戻ってきてくれたのは、ありがたかった。

剣峰桐

月代ちゃんただいまー。……あれ、どしたの有遊さん。

有遊愛来

ああ、私は合宿の件で。……剣峰さんは知ってるのか、園生先生が学園祭実行委員の顧問まで引き受けてることを。

剣峰桐

ああ……。うん、そりゃ、まあ、ね。

剣峰さんは戻ってきたばかりだったけど、私の様子と有遊さんの口振りから、場の流れを察してくれたみたいで。

剣峰桐

まあ、確かに月代ちゃんも大変だって思うけどさ。でも今年は私も最初っから手伝うし。

剣峰桐

だからさ、あんまり月代ちゃんのこと、ガミガミ言わないで、大目に見てあげてよ。

一応はそうとりなしてくれたけれど。

もう、どうして剣峰さんまで、諦めまじりの笑い顔なのかしら。

なんだかほんとに、立場があべこべでしょう、こんなじゃあ……。

なにも心配はないってこと、今のうち、しっかりこの子たちに言い聞かせておかないと。

園生月代

もう、2人とも。そんなに先生のこと、壊れ物みたいに気にしなくっても大丈夫なんだから。

園生月代

去年はその……、ええと、ストレス。そう、ストレスだったのよ、ほら、慣れない仕事の兼任で。それでちょっと、疲れちゃっただけで。

みんなのために働くことを、ストレスだと感じたことはない。でも、オーバーワークだったなんて、この場で正直に言えるわけないし。

剣峰桐

今年もそうならないって言う保証は?

園生月代

こ、今年はドライブ行くから! あ、準備の買い出しのついでだけど。

剣峰桐

買い出しのついでって、それ、本当にドライブ? 普段の通勤より距離短くない?

園生月代

ほ、ほんとのドライブだってするわよ。それでばーってストレスなんて吹き飛ばしちゃう。ばーって運転して、ぶおーって遠出して、パーってスピード出して!

有遊愛来

スピードを出すのは、ほどほどにしてください。

うん、そうしよう、本当に。スピードはほどほどにして。

身分証明書代わりに取った免許だけど、実際に車を運転してみると、これが意外に楽しくって。

学校に来る時に毎日乗ってるけど、やっぱりたまには遠出もしてみたい。

想像すると、ちょっと楽しくなってきた。自分でも子供じみているかな、と思っても、気持ちが明るくなってきたのは本当。

剣峰桐

月代ちゃん……。その、ぶぉー、とか、ぱー、とかって、身振り手振りまでしなくっても……。めちゃくちゃかわいすぎて悶えそう。てか、それ、私を誘ってるの、ねえ!

剣峰桐

ともかく、その車の買い出し、私もついていくね、なんか心配だから。

有遊愛来

剣峰さん、少しいろいろ、自省した方がいいんじゃないか? あと、月代ちゃんではなく、ちゃんと園生先生と呼んだ方がいい。

あ、有遊さん、いいこと言った!

有遊愛来

それから……。わかりました。先生がそこまでおっしゃるなら、私から言うことはもうありません。でも、私にもできる限り、手伝わせてください。

剣峰桐

え、有遊さんまで!? でも月代ちゃんのナビ席、そいつは譲れないなぁ。有遊さんは後部シートっていうことでいい?

有遊愛来

いやドライブの話じゃない。私も、先生の仕事を手伝うと言ったんだ。

有遊愛来

どれだけ力になれるかはわからないが。夏休みは私も学校に来る機会も多い。夏合宿中には、遅刻者の罰補習もあるので。

有遊愛来

先生の仕事場に、顔を出していいですか?

え。なんでそういうことになるの? 剣峰さんもいてくれるし、そこまでしてくれなくても……。

ステアリングの形に振り上げていた手を慌てて下ろして、ダメ、ダメと強く振る。

園生月代

ダメよ、有遊さん、あなただっていろいろ忙しいんだし、夏休みはちゃんと休んで……。

有遊愛来

いいえ。学生のために教師が頑張るのなら、私たちのほうもそれに応えないのはおかしいと思います。

有遊愛来

手が空いた時には、うかがいます。手伝えることがあったら、言ってください。

強く言いきる有遊さんを、どう説き伏せたものか戸惑っていると。

剣峰桐

あー、正直そいつは助かるかも。月代ちゃん、引き受けちゃった仕事はどうしたって譲らないし、だったら他の人にも手伝ってもらえたら……。

園生月代

剣峰さん、あなたまで!?

剣峰桐

いいじゃん、月代ちゃん。有遊さんにも手伝ってもらわないことには、車とか出してる暇もないよ、きっと。

剣峰桐

ぶぉーとか、パーっとかできないよ?

もう、剣峰さんったら、私の口真似までしてくれちゃって。

結局、みんなの厚意をそれ以上むげにもできず、有遊さんにまで、もしかしたら仕事を手伝ってもらうことになるなんて。

いいのかしら、これ……。

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okujou_no_yurirei-san/3112.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)