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okujou_no_yurirei-san:3101

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連休明けたばかりで、授業の方はいまいち身が入んなかったけれど、放課後、部活となれば話は別。

準備する手にも熱が入らざるをえないね! でも。せいぜい軽い掃除とお茶とお菓子の用意くらいなんだけど。

それでも。

剣峰桐

はああ……。早く来ないかなぁ、月代ちゃん……。

月代ちゃんが来るの、待ち遠しくってたまらない。

連休のあいだ月代ちゃんの顔を見られなかったのが、こんなにもダメージとしてたまるとは思わなかった。

今までなら、連休とか長い休みとかは普通に喜んでたのに。暇を持て余すなんてことも、そうそうなかった。

けど、この学校に入ってから、月代ちゃんと会ってからは話は別。

剣峰桐

連休中、適当な理由つけて、一度くらい押しかけておくべきだったかなぁ。

そんなストーカーまがいの不穏な考えまで浮かんでしまうくらいで。

どんなかわいいものだって、そのうち見慣れる、飽きる、なんて言うけれど、少なくとも私にとっての月代ちゃんについては、それは当てはまらない。

もういつでも、どんな場所でも愛でていたい。

朝から晩まで、月代ちゃんを抱っこして撫で撫でできる!

剣峰桐

月代ちゃんと二人きりとか! そりゃもう、抱っこして、たまに抱っこして、飽きたらまた抱っこして、そして抱擁したり抱きしめたりハグしたり……。

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剣峰桐

ふおおおお、と、止まらん。なにこの素敵妄想。よ、涎がでちゃうほど強烈!

園生月代

……先生、ちょっと保健の先生に相談に行ってくるわね。

剣峰桐

あ、あれ!? つ、月代ちゃん!?

剣峰桐

な、なし、今のなし、私のバカーーっっ! そして月代ちゃん、カムバァァッックク!!

あふれだした妄想に私がうっかり浸っていた間、部室の扉から顔をのぞかせていて、そしてそそくさと引き返していく月代ちゃんに必死で飛びつき、呼び戻そうとした。

ああもう。部活自体はマジメにやっているつもりなんだけど、月代ちゃんと二人きりでいられる時間ってだけで、どうにも歯止めがきかなくなってしまう。

去年からこんな調子だ、私、変わらない。この潰れかけてた数理部を、立ち上げなおしたときから、ずっと。

もともと数学は好きだったけれど、数理部なんて部活のことはよく知らなかったし、入ろうなんて考えてもいなかった。

それよりも、入学式の後からずっとずっと気になって、学校にいる間はもちろん、家に帰っても頭から離れず、眠っている間も夢に見るようになってしまった、月代ちゃんのこと。

もうどうしようもなくなって声をかけたあの日から。

園生月代

そうなの? それじゃ、数理部とか、入ってみない?

剣峰桐

へ? 数理部? なんで?

園生月代

先生、数理部の顧問なの。

剣峰桐

え? なんで? 先生、古文の先生でしょ?

園生月代

そうだけど……、数理部の顧問の先生が、私と入れ替わりで転任されちゃったから……。

こんなやりとりがあって。

剣峰桐

数理部かぁ……。

園生月代

どう? 今年の春、最後の部員が卒業しちゃったから、今、誰もいなくなっちゃって。このままじゃ、廃部になっちゃうの。

剣峰桐

え!? そうすると、顧問一人、部員一人!?

園生月代

そ、そうなるけど……。すぐに部長さんになれるわよ?

剣峰桐

すると、放課後はずっと、二人っきり……。うわっ、は、入る! 私、数理部に入る!

こういう流れがあって、私はけっきょく、顧問一人、部員一人の数理部の部員になっていた。

もちろん最初は、放課後、月代ちゃんと二人っきりになれるって不純な気持ちがあったのは、そう、うん、否定しない。ていうかそれが100%。

けれどそれだけじゃ、ここまではしなかったってのもまた本当。

月代ちゃんのことだけで首突っこんだつもりが、なんか、数学のことで火がついちゃったっていうか。

いろいろあったなぁ……。やっぱり部員一人だけじゃ存続自体が難しかったし、なにより難関は、部室ジプシーになりそうだったところ。

数理部のもともとの部室は、その時点で他の部活に譲られちゃってたから、替わりの部屋を確保すんのが大変で大変で。

結局はあれこれ粘って、物置にされてた教室見つけて、それくらいならうちの部室にくださいよって交渉した。その時のしつこさは我ながら見上げたものだって思ったねー。

園生月代

それじゃあ、数理部の再出発を祝って、乾杯ね。本当にがんばったわね、剣峰さん。

剣峰桐

はい! 私がんばったよ月代ちゃん! なんで、ご褒美にぎゅーってして下さい。ううん私がぎゅーっとします。ていうかさせろください。

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園生月代

ちょ、ちょっと剣峰さん、ジュースこぼれる!

缶ジュース片手にお祝いするまで、掃除とかなんやかんやで一週間近くかかったっけ。

ま、それも今となっちゃ、よい想い出だけど。そしてそれ以来、放課後の幸せは続いているわけだけど。

園生月代

じゃあ、報告始めさせてもらうから。いい? 落ち着いた、剣峰さん? もうあんな、ふざけたりは、だめだからね。

剣峰桐

私は最初から最後までマジメでーす。

私を見るなり回れ右した先生を、どうにかなだめすかして部室に連れ戻して、今日の部活が始まる。

まず始めは、いろんな会議の報告会から。

いつもはあんまり盛り上がる要素のない退屈な打ち合わせなのに。

まぁ、私にとっては、月代ちゃんといられるだけでテンションはだだ上がりなんだけどね!

でも、今日はちがった。

園生月代

よい知らせがあるの。

剣峰桐

なになに? 月代ちゃんが二人に増えて、かわいさも増量二倍キャンペーン中になったとか? うわ、なにそれすごい、もうたまらない。

園生月代

剣峰さん、マジメに聞いてってば。

剣峰桐

私、月代ちゃんのことに関しては、いつでも大マジメなんだけどなー。

園生月代

剣峰さん!

剣峰桐

ごめんなさい。それで、よい知らせってなに、月代ちゃん。

園生月代

あのね、去年は数理部、部費、おりなかったでしょう、時期とかの都合で。

たしかに。なんで去年からこっち、部活にかかるいろいろな費用は、おもに月代ちゃんが自腹を切ってくれてる。

まぁ、数理部って、PCでもやらない限り、あまりお金がかかるような部活じゃないけど。だって数学なんて、紙と鉛筆があればできる学問だしね。

園生月代

今期から、部費が出るようになりました。

剣峰桐

へえ……、なんだかほんとに部活動みたい。

園生月代

……一応、ここも、ちゃんとした部活動なのよ。ともかく、やっと学校から許可が出たの。

園生月代

ただ、申し訳ないけど、たくさんはないの。というか、ちょっと、いいえ、かなり少なくってね。

剣峰桐

今までゼロだったのが出るようになっただけでも、大ちがいじゃん。

これで部室内の備品、少しずつ揃えていけるかなあ……。まぁ、雑誌を買うくらいしか、すぐに思いつかないけど。

園生月代

で、せっかく部費が出るようになったんだから、先生、目標ができたって思う。

剣峰桐

うん、まずはもっとかわいい小物とか増やして、先生とのこの空間をもっとステキかわいく……。

園生月代

……まずは、部員を勧誘しましょうね。

剣峰桐

はへ? 部員!? 月代ちゃん、私だけじゃ不満ていう……。えー……? それなんか、えー……。

先生の目が、困り果てたような呆れ果てたような色を浮かべたのに、慌てて言い直す。

剣峰桐

ち、ちが、別に今までそういうの、勧誘とかさぼってたってわけじゃないよ、ないからね、月代ちゃん。ぜんぜん、考えてもなかっただけで。

剣峰桐

ただその、こういう部活には、ほんとに好きな人に来てもらったほうがいいかなあ、って思うからさ、ね、ね?

剣峰桐

好きでもない人、強引に勧誘するのも、なんかちがうみたいな気もしてるんだ。

園生月代

それはそれで、確かに言えてることではあるんだけど。でも、ね。やっぱり部活動なら、そのあたりから整えていかないと。

剣峰桐

うん……。

園生月代

まあ、確かに、今の予算だと、部員が急に増えても困っちゃうんだけど。少しずつ、地道にってことになるかしら。

先生の言うことももっともで、そして月代ちゃん自身も今のところは派手に宣伝とかは考えてないみたい。

少しだけほっとした、かな。

正直なところ、今どき数理部っていって人が集まるとは考えにくいし。時期だって勧誘シーズン、外れちゃってる。

それに。月代ちゃんと2人だけで過ごす時間、場所って言うのは、私にはことのほか心地いいわけで。

もう少しだけ、こんな毎日が続かないかなって想いのほうが強いんだ。

ごめんね、月代ちゃん。私、先生のこと、独り占めにしたいのかなあ……。

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okujou_no_yurirei-san/3101.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)