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okujou_no_yurirei-san:3092

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あ~、暑い~。

真夏の炎天下、正門の前に立ってるって、ちょっとした拷問だよね、これ。

まぁ、太鼓櫓があるから、ちょっとした日陰はあるから、そこに逃げ込んでるんだけどさ。

今日から、夏合宿。あたしたち放送部も、全日参加で、ラジオドラマの台本作り。まぁ、放送部で参加してるの、あたしたちだけだけどさ。

あたしたちってのはもちろん、羽美と沙紗とあたしの三人。ま、ラジオドラマも三人で作るわけだしね。

で、なんで、合宿の初日から正門なんかで立っているのかっていうとさ。

双野沙紗

暑いな。

三山音七

そだね~。

沙紗と二人で、羽美を待ってるからでさ。

羽美、ちょっと待ち合わせに遅れてる。

正確には、朝の駅での待ち合わせには来なかった。ケータイで連絡してきたけど、なんでも、合宿に持ってくる荷物が多いから、家から車で送ってもらうことになったんだとさ。

いったい、羽美ってば、合宿になにを持ち込むつもりなんだか。

仕方ないから、あたしと沙紗で、先に学校に来て、こうして正門で羽美を待ってるわけだ。

双野沙紗

昨日はよく眠れた?

三山音七

おかげさんでね~。

放送室で待ってればいいのにって思うけど、羽美が荷物、運ぶの手伝ってほしいって言うからさ。

それに、先に放送室に入ってると、羽美が拗ねそうだし。合宿のスタートは三人一緒じゃなきゃって言い出してさ。

あー、ウザい。まぁ、いい加減慣れたけど。

双野沙紗

なんか、おもしろいことあった?

三山音七

ん~、とくにはないな~。

双野沙紗

そっか。……暑いな。

三山音七

そだね~。

あれ、何回目だ、この会話。

ん~、羽美を待ってるだけだから、あたしと沙紗の組み合わせの場合、別に特に話すことなくても大丈夫なはずなのに。

お互い、なんの会話もしなくても、ぼーっと待ってるだけでも、別に変じゃないでしょ?

黙りっぱなしでも気にしないじゃん、あたしも沙紗も。会話がないと間が持たないなんてこと、ないよね?

羽美がいたら話は別だけどさ。羽美はとにかく話しかけてくるから。

そして、その羽美が今、たまたまいなくたって、それで会話がなくったって、別に気まずいわけでもないんだけどさ。あたしと沙紗なら。

双野沙紗

羽美、遅いな。

三山音七

そだね~。

ああ、これはなんか、言いたいことあるんだな、沙紗。

言い出すタイミング、計ってるんだろうな。ほんと、普段は死ねとかウザいとか言うくせに、こういう時は度胸がないんだから。

素直になりにくいヤツだよね。まぁ、あたしもたいがいだけどさ。

しょうがない、ちょっと助けてやるか。

三山音七

でも、まだもうちょいあるからね。羽美がこっちに着くって言った時間までさ~。

双野沙紗

あ、ああ……、そっか……。

さて、これでどうかな?

双野沙紗

………………。

ま、別に無理に言わなくてもいいんだけどさ。

双野沙紗

……あのさ、音七。

三山音七

ん~?

双野沙紗

その、ありがと。

お、言ったか。そして、ありがと、かぁ。

なんのつもりで言ったんだろうな。まぁ、言葉の通り、あたしに感謝してるんだろな。お礼で間違ってないと思う。こんな時に嫌味を言うヤツじゃないしさ。

ありがと、かぁ。どれかなぁ。

羽美への告白するのに、やっちまえって言ったことかな? それとも、夏休みに入る直前に、二人と話したことかな?

それとも、その両方? うーん、まいったなぁ。お礼言われることじゃないんだけど。だってさぁ。

ほんと、沙紗のこと、見てられんかったんだし。でもって、羽美と沙紗の勘違い、なんとかしたかったんだし。

あたし別に、羽美と沙紗のこと考えて、言ったんじゃないんだよね。ただ、気になることがあると、よく眠れないからさ。

自分の安眠のためだったんだよ。わかってくれないかなぁ、そのへん。お礼なんて言っちゃってさぁ。

なんか、沙紗の顔、まともに見れないじゃん。

三山音七

ん。まぁ、気にしないでいいさ~。

ほんと、気にすんな。今まで通りでいいからさ。

双野沙紗

うん……。

あれ、沙紗の声も、ちょっと遠くから聞こえる。ああ、きっと沙紗も、こっちのこと、見てられないんだな。

はは、羽美がいないとこうなのか、あたしと沙紗って。まぁ、悪くないけどさ。

でも、早く羽美、来てくれないかな。あたしと沙紗の真ん中に入ってきてくれないと、この間、持たないよ。

と、思ってたら。柿坂の方から、赤い軽自動車が登ってきた。あたしと沙紗の前で止まる。

一木羽美

お待たせ~!

ほら、来た。羽美だ。

一木羽美

ごめんね! なんかいろいろ準備したら、すっごいことになっちゃってさぁ! ね、これ、運ぶの手伝ってよ!

ああもう、いつも通りの羽美だ。てかさ、なにそれ、なんで一週間ちょっとの合宿で、クーラーボックス二つも持ってくるわけ?

羽美の持ってこなきゃいけない荷物って、ノートPCくらいじゃなかったっけ? 台本作るのに使うさ。

一木羽美

ほら! 一人一個! わたし、自分の荷物、運ぶからさ!

双野沙紗

はいはい……。ったく、遅れてきて荷物持たせるのかよ……。

ぶつくさ言いながら、沙紗が羽美のとこへ歩いてく。ああもう、こいつもダメだな。

文句言いながらのくせに、なんだ、そのうれしそうな背中は。

三山音七

はぁ~……。

あたしもその沙紗のあとについていく。羽美には聞こえないように、その背中に声を投げつける。

三山音七

ちゃんと二人っきりの時間も作ってあげるからさ。

双野沙紗

!?

三山音七

キスくらいは迫ってみれば?

双野沙紗

なっ……!

はは、驚いた顔して振り返ってきた。うん、その顔が見れたから、ま、暑い中待たされたのもチャラにしよ。

いらん気を遣わなくても、もう大丈夫だとは思ってる。羽美と沙紗、付き合ってるけど、あたしたち三人はちゃんと友達だ。

夏合宿、少しは楽しくなりそうだな。ちょっとうるさいだろうけど、ぐっすり眠れそう。よかったよかった。

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okujou_no_yurirei-san/3092.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)