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okujou_no_yurirei-san:3054

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なんだろう、なんだろう。この違和感、落ち着きの悪さは、いったいなに。

確かに日数にしてみれば、ほんの三日。たった三日間。このくらい、ちょっとひどい風邪をひいたりすれば、学校休むことだってあるよね。

でもわたしにしてみれば、どこか別の惑星に長いこと隔離されてたみたいな、そんな三日間。

狛野比奈

聖苗。

なのに戻ってきてみたら、学校も、クラスも、みんなも、まばたき一つ置いたくらいにも変わってない。

狛野比奈

聖苗?

牧聖苗

あ、うん。

狛野比奈

どうかした? さっきからお弁当、全然、食べてないけど。

牧聖苗

う、うん。

狛野比奈

………………。

牧聖苗

………………。

机を寄せて一緒にお弁当を食べてる、この比奈ちゃんとのやりとりにも、デジュ・ヴュってのを感じてしまう。

牧聖苗

あ、うん、なんでもないんだけどね。

狛野比奈

そう。ならいい。

まぁ、比奈ちゃんだったら、なにごとにも動じない感じだし、変わらずに迎えてくれるかもって予感はあったけど。

でもそれが、クラス全部がそうってなると、これ、どうにも落ち着かないんだけど。

クラスの中はなんにも変わらない、ように見える。少なくとも見た目は。

わたしが、停学になった前と後とで。なんにも変わっていない、みたい。

停学の原因になったことについては、なんにも後悔してないし、家のみんなも納得はしてくれた。先生たちだって、わたしの言い分はちゃんと聞いてくれたし。

けど暴力沙汰は暴力沙汰だよね。久しぶりに暴れちゃったって感じだし。

どんな事情があるにしたって、そういうことをしでかした人には、白い目っていうのかな、そういうことになって当然、なのに。

もっと腫れ物にさわるって感じになってもおかしくないのに。

なのに、今のところ、それらしい感じも、ひそひそ話とかも全然聞こえてこないんだけど。

だったらわたしも、なにも気にすることはないのかも。でも、なんだろ、このすわり心地の悪さったら。

たぶんそれは、どんなに気にしないつもりでいても、やっぱりわたしのどこかに身構えるところ、あったから、なのかな。

うん、ならこれはきっと、わたしの自意識過剰なのかも。引け目っていうのかな、これはそういう感情。

狛野比奈

あのね、聖苗。

牧聖苗

あ、うん。なに?

狛野比奈

聖苗が学校、来てなかった時に、園生せんせから聞いたんだけどね。

牧聖苗

う、うん。

狛野比奈

「当事者同士が手打ちにしたんだから、それで話は終わり。遺恨は無しが城女の伝統」

狛野比奈

なんだって。

牧聖苗

え……。

ケンカ両成敗……、とはちょっとちがうよね?

宵越しの銭は持たないとも、ちょっとちがう。えっと、なんて言えばいいんだろう。勝っても負けても恨みっこ無し?

よくわかんない。とにかく。

牧聖苗

(わたしのあれが、理由のあることで、もうケリがついたことだから)

牧聖苗

(停学くらいで、いちいちクラスメイトのこと、特別に扱ったりしないってことなのかな?)

でも、そう考えると、なんだかすごい、すっきりする。すっきりして、わたしの気持ちも落ち着いてくる。

牧聖苗

そっかぁ。

牧聖苗

(そう考えると、わたしにも、みんなにも、入学してからこの半年の間に)

牧聖苗

(この学校の、城女の伝統が、すっかり染みついてたってことになるのかな)

牧聖苗

(ふふ、それもなんか素敵)

停学明けたばかりなのに、わたし、なんだか昨日までの三日間が急に誇らしく思えてきて。もちろん、ちょっと勘違いだとは思うんだけど。

大好きな学校の気風が身についたって考えると、うれしくて、楽しくなってきて。

一緒にお弁当を食べている比奈ちゃんに、そっと顔を寄せて。

牧聖苗

……いい学校だよね、ここ。

いろんな気持ちが入っちゃって、出てきたのは、その一言。いきなり話しかけたのに、唐突だったかな? でも。

比奈ちゃんは、別になにも慌てたりもしないで。口の中のご飯、飲みこんでから。

狛野比奈

ん。

狛野比奈

いい学校だよ、ここは。

こちらも短い台詞。いつもとあまり変わらない表情だったけど、なんとなくわかる。うれしいって思ってるんだよね。

そんな、比奈ちゃんの気持ちもこもった声、みたいな。

牧聖苗

(これって、もしかして。なんとなく、だけど。きっと比奈ちゃんにも、なにかいいこと、あったんだね)

牧聖苗

(ここで、この学校で)

牧聖苗

比奈ちゃん、もしかして、なにかいいこと、あったりしたの?

狛野比奈

ん、あった。

比奈ちゃんは、別に気取りとかもったいつけとかもなく、わたしに答える。

狛野比奈

でも、内緒。

前みたいに、それがなにかは教えてくれなかったけど。

牧聖苗

そっか、内緒なんだ。

狛野比奈

ん。

でも、いい。友達だからって、全部を話せるわけじゃないもんね。

狛野比奈

聖苗も、いいことあった? 声、明るい感じ。

牧聖苗

うん、あったよ。……わたしも、内緒だけど。

わたしだって、美紀さんとのことは、比奈ちゃんにだって簡単には話せないし。

狛野比奈

ん。よかったね、聖苗。

美紀さんとのことは、わたしたちの胸の中にだけしまっておけばいいことだものね。

秘めごと、って古めかしい言葉だけど、そういうことにしておきたいから。

共有できる秘密、できない秘密、そんなコトを抱えこみながら、付き合っていけるのがいい友達だって、勝手かもだけどわたしは思う。

そんな友達、比奈ちゃんだから、停学の間あれこれ考えていたことを聞いてもらいたい。

牧聖苗

ね、比奈ちゃん。

狛野比奈

ん?

牧聖苗

わたしね、お休みしてる間に考えたこと、あるんだ。聞いてもらって、いい?

狛野比奈

ん、いいよ。なに?

美紀さんのこと、この学校のこと、友達って言える人たちのこと。みんなが大好きだから、いろいろ考えて、最後に思いついたのは。

自分でもおかしいくらいに、無茶で大胆な結論だった。

牧聖苗

わたしね。

牧聖苗

この学校の学生会長になろうって思うの。

比奈ちゃんの、次の言葉、表情を待つまでもなく。わたしは、彼女がどう答えてくれるのか。それは話した時から、もうわかってたんだけどね。

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okujou_no_yurirei-san/3054.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)