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okujou_no_yurirei-san:3045

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恥ずかしい!

うう、いろいろ自分の体質が恨めしい。この恥ずかしがり屋さんなんて甘いもんじゃない赤面症でアガリ症なとことか、ちょっと幽霊さん見えちゃうとことか。

あたしがもうちょっと、恥ずかしさにテンパるとこがマシだったなら、この霊視能力で探偵にでも死神にでもなってるんだけど、そんなに世の中甘くない。

幽霊がちょっと人より見えちゃうのは悪くないんだ。まぁ、特技だと思えばいいんだけどさ。

でも、そんなの言いふらしたら、あっという間に注目のマト。いい意味でも悪い意味でもさ。

注目!? うわ、考えただけでも震えてくる。顔が赤くなっちゃう。カンベンしてほしいよ、もう!

そんなあたしだから、朝からすでに恥ずかしさ全開のこの状況は、いつもだったら四方八方にとにかく逃げ出したい状況なんだけど。

でも、さ。

今、あたしが感じている「恥ずかしい」は不思議と気持ちがいい。

一昨日。あたしは自分の秘密を明かして、壮絶にちょっと自爆しちゃった後、結奈から意外な恋の相談を受けた。だから、あたしは今、結奈と会うのが恥ずかしいんだ。

でも、あたし、イヤじゃない。この恥ずかしいは、別。自分でも不思議だけど。悪くない。

なんだろうね。これって。

月曜日。朝の登校。

いつも通りの月曜日の風景、朝の空気。いつもの時間にあたしは登校していた。

あたしの経験からすると、月曜の朝ってのはだいたい微妙な気分になるもの。あーあ休み終わっちゃったとか、でも休み中に会えなかった友達に会えるしいいよねとか。

授業めんどくさいなー、もあるかな。生活のリズムが休みの日と授業ある日で変わっちゃうのがよくないんだと思うけど。

まあ、でも。いつもはあんまりそんなことも考えない。大体は話の種をなにかしら見つけておくし、結奈やみんなに会えるのも楽しいし。

教室に入っての第一声はいつも明るく。これはあたしのルールでもある。

……そうなんだけど、今日は。ちょっと。

阿野藤

そーっと……。

廊下で立ち止まって、教室の様子をそっとのぞいてみる。いるかな。

阿野藤

(……いた)

いた。結奈、もう登校してる。いつも通り。あたしよりだいたい、早いもんね、マジメなんだな、結奈ってば。

阿野藤

(よし。うん。そうだよ、いつも通り)

阿野藤

(よしっ)

教室に入ろう。で、いつもみたいに明るい声で挨拶して、夕べ見た、テレビの話でもしながら……。

ん……。あれ?

おやおや。どうした、阿野藤クン、前に進めてないぞー。なにしてんだ、あたしは。

足が前に行かない。金縛りにあったわけじゃないのはちゃんとわかる。でも、足が動かない。ううん、そうじゃなくて動かしてないだけ。

気が進まない、とか、入りづらい、とか。そういうものがあたしの中で渦巻いてる。

阿野藤

(こらこらどーした、あたし、恥ずかしいのなんてわかってたことでしょ!)

阿野藤

(でも……)

でも。恥ずかしいんだよ。

冗談で笑い飛ばしたりしないで、ちゃんと、真剣に話をして。自爆していろいろカミングアウトして、恋愛相談、とかまで、結奈から聞いてしまって。それが。やっぱり。

どうしようもなく恥ずかしい。照れくさい。ああいう非日常の出来事を踏まえて、どういうふうに話せばいいのかわからなくなる。

阿野藤

(やっぱり……)

阿野藤

(緊張、してる……! あたし!)

そう、ものっそい緊張してる!

ああ、自覚してしまった。そうしないように朝からがんばってきたのに!

どのくらい緊張してるかというと、気を紛らわすために何度も何度も確認したせいで、今日だけは忘れ物なんてしてないって断言できるくらい!

ああ、そうだよ。そうですよ、あたしは朝からずっと緊張しっぱなしですよ!

阿野藤

(うう)

日曜日、あたし、朝ご飯食べたらすぐに帰っちゃったけど、結奈は比奈に答えてあげられたんだろうか。

それ以前に、あたしの言ったことって、結奈にとって、ちゃんと役に立ったのかな。

なんとなく、朝ご飯の時の結奈、ちょっと緊張してたみたい。でも、悩んでぼーっとしてた様子はなくなってたと思う。

だから、あたしも安心して帰ることができたんだけど。いや、まだ恥ずかしさが残ってて、早く逃げ帰りたかったってのもあるんだけど。

うん、一晩たって、また恥ずかしくなってしまったのだよ。結奈から相談されたこと、思い出してさ。

あたしはここまで踏み込んでよかったの? 結奈の内側にまで踏み込み過ぎてない?

お気楽で、明るい女の子。それがあたしの作ってるあたし自身。阿野藤っていう女の子はそういう子なのさ。でも、その範疇に収まらないことをあたしはしていない?

素のあたし自身を晒したこと、結奈はどう感じたんだろうとか。家に帰ってから、そのことをぐるぐると考えてる。

今日になってもまだ、ぐるぐるしてる。緊張してる。しっぱなし。

阿野藤

(ああ、本当、あたしって)

阿野藤

(気が弱いっていうか、バカっていうか)

阿野藤

(どうしよう)

どうしよう。どうするって、そんなの限られてる。このまま教室に入るか、回れ右して、家に帰って、ほとぼり冷めるまで不登校決め込むか。

不登校か~。それは、ダメだよね。

結奈はきっと心配する。比奈ちゃんと両想いになったんだから、これから大切な時間が始まるっていうのに。なのに、きっとあたしに時間を割こうとしちゃうしね。

阿野藤

……うん、やっぱダメだよねぇ。

阿野藤

じゃあ、ひとつしかない!

阿野藤

よし! ぱんつぁーふぉー!

阿野藤

やー! おはよう! 結奈!

勇気を振り絞って一歩、さらに声も。変なふうに震えたり擦れたり、裏返ったりしてませんように!

表情もちゃんと、いつも通りにね。あたしの心配なんかさせてられないっての!

遠見結奈

おはよう、阿野。

あ、いい顔。学校で結奈のこんな顔見るの、久しぶりかも。

ふっと余計な力が抜けていく。がちがちに緊張していたあたしの心と体から、いらないものが抜けて、ああ、本当のホントに。

心も体も、いつも通りになっていく。

ああ、ちょっとちがうかも? なんだかいつもより、リラックスさえできてるぐらいに。

遠見結奈

阿野、今日は忘れ物ない?

阿野藤

ん……。

お、さすが結奈はいつも通りクールだ。言葉のチョイスも結奈らしい。

って、あれ? あれ、よくよく顔を見ると?

いつもよりいい顔してるな、って思ったけど。よく見たらちょっと顔が赤い。あれ?

そうだよこれは。心なしか……。

阿野藤

(照れくさい感じ?)

遠見結奈

な、なに?

阿野藤

ううん、なんでも。結奈もそっか。まあ、お互いそうならおあいこってことでひとつ。

遠見結奈

うん?

阿野藤

いいのいいの。

お互い同じ感じ。じゃあ、もしかしたら結奈もあたしの気恥ずかしさに気が付いてるかも知れない?

こういうのって、親友ならでは、なのかな。う、親友か……。

そういう踏み込んだ名前は恥ずかしいな。でも、うん。そうだよ。あたしはずっと感じてるはずだ。

この恥ずかしさは悪くないかも、って。イヤだと思ってた感じとは違うよ。

遠見結奈

阿野?

阿野藤

ふふふ、忘れ物ね。忘れ物。聞いて驚きなさいな。なんと!

阿野藤

今日は、忘れ物がないのだよ!

笑顔と一緒に。Vサイン、ひとつ。

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okujou_no_yurirei-san/3045.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)