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okujou_no_yurirei-san:3035

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狛野比奈

ふぅ……。

お風呂から上がって、自分の部屋に戻って、まっすぐベッドに倒れ込んだ。

頭、ぐわんぐわんする。そんなに長く、お風呂に入ってたかな、こんなにのぼせるなんて。

体中が熱い。心臓、すごいバクバクいってるし。でも、なんだかふわふわした気分。

……あれ? なんだか、前にもこんなこと、あったような。

狛野比奈

あ……。

これは、あれだ。あの日と似てるんだ。結奈ねぇに好きって言った、告白した学園祭の日に。あの日の夜も、こんな感じだったっけ。

狛野比奈

んー……。

ちがうかな、あの時よりも、もっとドキドキしてる。顔だけじゃなくて、体中が熱い。

それなのに、こんなにうれしい。幸せってこういう気持ちなのかな。

狛野比奈

結奈ねぇ……。

口にだして名前をつぶやくと、ほんとにそう思う。幸せって。

今日、朝、ご飯を食べた後、アノちゃんが帰って、結奈ねぇと二人で後片付けをしていた時。

ついに、結奈ねぇが返事をくれた。あたしがした告白の返事を。好きって言ったあたしへの答えを。

狛野比奈

へへ……。

思い出したら、なんだか笑いがこみ上げてくる。だって。

狛野比奈

大好きって、言ってくれた……。

あたしのこと、大好きって。結奈ねぇもあたしのこと、好きだって。

うれしくて、思わず結奈ねぇに抱きついてしまった。でも、結奈ねぇはあたしを受け止めてくれた。

受け止めて、そして抱き締めてくれた。

あったかくて、やわらかくて、優しい結奈ねぇに、あたしは抱きついて。

甘えるみたいに、頭をすりつけて。だって、ほんとにうれしかったから。

待たせてごめんってあやまってくれたけど、そんなのぜんぜん、気にしてない。

だって、あたしの方がいきなり、結奈ねぇに告白しちゃったんだから。ビックリさせちゃったから、驚かせちゃったから。

その後ずっと、今日まで、結奈ねぇを悩ませちゃってたから。

狛野比奈

ごめんね、結奈ねぇ。

ずっと、結奈ねぇがあたしのことで、考えて、悩んで、迷ってるの、わかってた。

だって、ずっと結奈ねぇのこと、見てたから。今までと同じように。

もし、今度なにかあったら、結奈ねぇの力になりたいって思ってたけど、その今度は、あたしが悩ませちゃった。

あたしが原因だから、なにもできなかった。ごめんって言うわけにもいかないし、好きっていったのをなしにすることもできないし。

だから、ずっと、結奈ねぇが返事をくれるのを待っていた。ドキドキしながら。でも、結奈ねぇにこれ以上心配かけないように、平気なフリして。

ずっとずっと、待ってた。

狛野比奈

よかった……、待ってて……。

どんな答えでもよかったけど。でも、こんな、いちばんうれしくて幸せな答えをくれるなんて。やっぱり、結奈ねぇ、大好き。

あたし、これでやっと、結奈ねぇと恋人になれたんだ……。

返事を聞いた瞬間、うれしくて、抱き締められて、うれしくて、大好きって言ってくれて、うれしくて。

狛野比奈

そして……。うわぁ……。

思い出しちゃった。そして、あたし……。

狛野比奈

キス、したんだよね、結奈ねぇと……。

あれ、夢なんかじゃなかったよね? 結奈ねぇの顔が近づいてきて、目を閉じたら、唇になにか、さわって。あれは、確かに、結奈ねぇの……。

唇、だよね。キス、だよね。

狛野比奈

ファーストキスまで、しちゃった……。

抱き締めた枕を、中味が出そうなくらいに押しつぶす。

狛野比奈

うわぁぁぁぁ……。

ほんとに、恋人同士になれたんだ、結奈ねぇと。キスだってできるくらいに。

狛野比奈

あああ……。うう、ダメ、熱い!

もうガマンできない。立ち上がって、体を冷ますために、あたしはベランダに出た。

狛野比奈

あ……。

ベランダに出て、まず深呼吸しようと思ってた。そんなとこまで、あの日とおんなじにしなくてもいいんだけど、体を冷ますにはいちばんだと思って。

でも、あの日とちがうのは、ベランダに出たら。

結奈ねぇがいたこと。隣の、ベランダに。

遠見結奈

比奈……。

狛野比奈

ゆ、結奈ねぇ……。

う、うわ、また顔が熱い、体が熱い。真っ赤になる。

恥ずかしくて、目を逸らしたいのに、そんなことできない。結奈ねぇを見ていたい。

だって、こんなふうに会えるのだって、うれしいんだもん。

遠見結奈

どうしたの?

狛野比奈

ん、ちょ、ちょっと……。

結奈ねぇの声、そんなに大きくないのに、はっきりと聞こえる。

顔を隠すこともできないから、きっと、真っ赤なの、バレちゃってる。どうしよう、恥ずかしい。

狛野比奈

し、深呼吸、しに。

遠見結奈

深呼吸?

うん、深呼吸しに。でも、とてもじゃないけどできない。だって、胸が詰まりそうなんだもん。うれしくて。

なんだか、すごく照れくさい。恋人同士になったのに、こんな気持ちになるなんて。恋人同士になったからなのかな?

狛野比奈

(あ……)

よく見れば、結奈ねぇの顔も、ちょっと赤い?

狛野比奈

(結奈ねぇも、おんなじなのかな……?)

ちょっと照れくさくて、恥ずかしくて、うれしいのかな? だから、顔が赤くなっちゃうのかな?

遠見結奈

………………。

狛野比奈

………………。

しばらく、なにも言わずに、二人で一緒に、ベランダに立ち尽くしてた。

もう、夜はけっこう寒い。熱かった体も、少しずつ冷えていく。胸の真ん中はまだ暖かいけど、肌は夜の風に冷えていく。

不意に吹いた風が、さらに肌を冷やして、あたしはちょっと震えた。

遠見結奈

比奈、お風呂から出たばっかでしょ? まだ髪が濡れてるわよ。

狛野比奈

ん……。

遠見結奈

湯冷めしちゃうわよ。もう、中に入りなさい。

狛野比奈

ん。

そう言って、結奈ねぇも自分の部屋のサッシに手をかける。

遠見結奈

おやすみ、比奈。

狛野比奈

ん。

返事をして、一緒に部屋に戻る。でも、それだけで、すごくうれしくて、幸せで、あたしはまた、すぐにベッドに倒れ込んだ。

ほんとに、今日は忘れられない日になった。一生、あたし、今日のこと、憶えていると思う。

結奈ねぇと恋人同士になった日。大好きって返事をもらえた日。

今までずっと一緒にいた結奈ねぇと、これからもずっと一緒にいられると思えた日。

結奈ねぇのくれた答えは、一生忘れない。初めてのキスも。

狛野比奈

それから……。

結奈ねぇが話してくれた、もう一つのこと。

こっちは正直、まだちょっと、どういうことかわからなかった。

屋上に幽霊が二人いて、結奈ねぇはずっとその二人と友達で?

結奈ねぇはその二人に力を貸したいと思ってて? それで、あたしと一緒に、その二人に体を貸して?

そして……?

狛野比奈

んー……、わかんない。

わかんないけど、結奈ねぇの頼みだから、あたしは断るなんて考えもしない。

よくわかんないけど、結奈ねぇには、いいよって返事をした。何度も念を押して聞き返されたけど、いいよって。

体を貸すってことがどういうことかわからない。幽霊ってのもよくわからないし。

でも、結奈ねぇが変なデタラメ言うわけがない。結奈ねぇが言うんだから幽霊とかでも本当なんだろうし、体を貸す? うん、でも、平気。

だって、結奈ねぇも一緒に貸すんだし。

狛野比奈

んー……。

でも、わかんない。一晩、体を貸すことになって、それで、学校に泊まる?

その、いろいろするってことだよね? そういう意味だったんだよね?

狛野比奈

……わかんないことばっか。

どうしよう。結奈ねぇの頼みだから、わかんないけど、絶対引き受ける。

でも、わかんないことはどうしよう。こういうことって、誰かに聞いた方がいいのかな?

結奈ねぇ、幽霊のことは内緒にしてって言ってたから、それ以外のこと。学校に泊まって……、いろいろすることの方。

狛野比奈

茉莉先輩と美夕先輩に聞いてみようかな。

あの二人だったら、いろいろ教えてくれるかも。茉莉先輩、いつも、相談に乗るって言ってくれてるし。

狛野比奈

ん、相談してみよう。

先輩たち、引退したから、部活ではいつでも会えるわけじゃないけど……、会いに行ってもいいよね?

ん、明日か明後日、会いに行こう。いろいろ聞いてみよう。

そう決めたら、なんか、わかんないってもやもやしてたことが、消えていった。

うん、これなら、すぐに眠れそう。

狛野比奈

おやすみ、結奈ねぇ。

壁の向こうにいる結奈ねぇに、そう言って。

あたしは、掛け布団を頭から被った。恋人の結奈ねぇに、おやすみって言ったのが、なんだか急に恥ずかしく思えて。でも、とても、うれしくて、幸せで。

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okujou_no_yurirei-san/3035.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)