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okujou_no_yurirei-san:3021

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永谷恵

あ、結奈。

サチさんと二人だけで過ごしてきた日々に、不満なんて少しもないけど。

でも、廊下で知り合いを見つけるとか、声までかけちゃうとか、ほんと憶えてないくらい久しぶり。なんだか新鮮。

遠見結奈

あら、恵。

しかも、こうして答えまで返ってくるなんて。ちょっとうれしい。

永谷恵

(ま、そんなこと、結奈には言えないけどね)

遠見結奈

どうしたの? なにかあった?

永谷恵

え? えーっと……。

人目のある周囲を気にしながら、小さな声で聞いてくる結奈。

声をかけたくって声をかけた、なんてそれこそ絶対言えないわ。なんかシャクだし。

永谷恵

うーんと、その……。

でも、結奈と話すことなんて思いつかない。必要なことなら、たいてい屋上で話しちゃってるし。

と、言葉に詰まっていたら、結奈の方から話題を振ってきた。

遠見結奈

そういえば、前から聞きたかったんだけど。

永谷恵

な……、なぁに?

遠見結奈

その……。

すでに人通りの少ない廊下の端に移動しているのに、結奈はさらに声を落として。

難しい顔で口ごもってる。なに、なんなの。

遠見結奈

ちょっと聞きづらいことなんだけど……。

永谷恵

なによ。はっきり言いなさいよ。

ま、まさか……、結奈もサチさんの虜になった、とか? ライバル宣言?

永谷恵

(あああ、最初からイヤな予感がしてたのよ、サチさんに憧れない子なんているわけないんだしー!)

遠見結奈

あなたたち、なんで、その、悔いなき初体験、ってのにこだわるの?

永谷恵

へ。

遠見結奈

その……、や、やり方とかわからなくても、その、手探りでもいいんじゃない? あ、愛し合ってるんでしょう?

永谷恵

………………。

やだもう、驚かさないでよ。紛らわしいんだから。なにかと思えば、そんなこと。

なんで悔いなき初体験にこだわるのかって? 愛の力さえあれば、手探りでもきちんと結ばれるですって?

永谷恵

甘いわね、結奈!

遠見結奈

……?

永谷恵

初体験は、そんなに甘くないわよ。ほんとはそりゃ危険なものなんだから。取り扱い注意なんだから!

遠見結奈

……は?

なに、そのポカンとした顔は。

しょうがないわね、ちゃんと教えてあげなくっちゃ。まったく、最近の子は危なっかしいんだから。

永谷恵

あのね、わたしが生きてた時、クラスの進んでる子が言ってたんだけど……。

髪を染めて、すっごい長いスカートで、不良の彼氏と付き合ってた子。

クラスでは浮いてたけど、でも彼女がアレやコレやの話をする時、みんな興味津々で耳をそばだててた。わたしもそう。

その子が初体験について語ってた時なんか、もう話をこっそり聞いてるだけじゃガマンできなくて、あれこれ質問したものよ。

永谷恵

結果、わかったこと。初体験は、とっても危険!

遠見結奈

……なにがどう、危険だったの?

わかったようなわからないような顔の結奈。……うーん、しょうがないわねぇ。

わたしは結奈の耳にひそひそと、具体的なところを囁いた。結奈以外には聞こえないってわかってるけど、大きな声でなんて言えないわ。

永谷恵

えっとね、まず彼氏の方が……、……で、……したら……、……ってなってね。

遠見結奈

ええ……。

永谷恵

……して、……ちゃったんだって。で、仕方ないから……、……たけど、もうすごい量の……、が……。

永谷恵

翌日も、……が、…………で、……のまま……。ガマンするしかなくて……。

永谷恵

……そりゃあもう痛くて、つらくて、疲れるだけの体験だったって。

遠見結奈

………………。

離れて顔をのぞき込んだら、結奈はちょっと血の気の引いた顔で黙りこんじゃった。

永谷恵

どう、ヒサンでしょ?

遠見結奈

そ、そうね……。でも、それって、男の人が相手の話だからじゃないの?

永谷恵

そうかもしれないけど、そうじゃないかもしれないじゃない。やってみてダメだったら、どうするの。

遠見結奈

そ、そうだけど……。

永谷恵

せっかくの初体験なのよ、初めてなのよ。たった一度きりのことなのに、台無しなんて許せない!

永谷恵

サチさんにこの話をしたら、『私たちは慎重にいきましょう』って言ってくれたし……。

永谷恵

わたしとサチさんは相思相愛、完璧な絆で結ばれた完璧なカップルなんだから、初体験も完全無欠じゃなきゃいけないの!

ああ、ほんと、その通り。自分で自分に拍手したいくらい。

わたしたちほど完璧なカップルじゃなくたって、そうよ。

好きな相手と初めて結ばれる時、一生の思い出になるようなすてきな体験にしたいって思うのは、当たり前のことじゃない。

なのに結奈ったら、相変わらずなにを考えてるのかわからない顔で、ひとつうなずいて。

遠見結奈

まあ、わかったわ。……ありがとう。

なんて、つまらない返事。

そのまま、授業が始まるから、って言い残して、教室に入っていっちゃった。

永谷恵

(……ま、いいか)

結奈、そんなものかしらって顔してたけど。まだまだお子さまだから仕方ないわ。

いつか、このわたしの言ったこと、わかる日がくるんだから。その時、人生の先輩に感謝したって遅いんだからね。

永谷恵

(先輩、か)

そういえば、誰かに「先輩」として話しかけるのも、ずいぶんと久しぶり。

見た目は時間が止まっちゃってるから実感ないけど、人生経験は一世代分、恋愛経験は百歩も二百歩も、わたしのほうが先輩なのよね。

永谷恵

(先輩、後輩かぁ……)

うん、悪い気はしないわ。なかなか使える後輩だし。……結奈の方がわたしのこと、先輩だと思ってるフシがまるっきりないのがシャクだけど。

これからも、結奈を見かけたらちょくちょく話しかけてあげようっと。

先輩だからわかること、いっぱいあると思うし。……それに。

サチさんに色目使ったりしないように、きっちり見張っておかないといけないしね。

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okujou_no_yurirei-san/3021.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)