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okujou_no_yurirei-san:2814

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稲本美夕

きゃ……。……ああ、茉莉だったの。

網島茉莉

驚かせた? ごめん。

今、11時とっくに過ぎてる。当然、もう外は真っ暗。

この雲見櫓の外だけじゃない。廊下だって、真っ暗。

実はこの部屋だって消灯時間を過ぎてるから明かりは消していて。外からの月明かりと、ケータイのライトが電気代わり。けっこう明るいもんだ。

稲本美夕

そりゃ、びっくりするわよ。いきなりドアが開いたんだもの。

網島茉莉

幽霊だとか、思った?

稲本美夕

それはないわね。

網島茉莉

つまんない。リアリスト。

稲本美夕

悪かったわね。

ごめん、嘘。美夕は現実的なとこ、あるけど、いろんな夢とかちゃんと考えてるよね。そのためにいろいろできること、考えるのが得意なだけで。

稲本美夕

もう消灯時間、とっくに過ぎてるのよ。廊下、真っ暗だったでしょ。

網島茉莉

うん。

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お泊まりって言っても、夏合宿ってことで学校に泊まるんだから、一応、消灯時間は決められてる。

廊下とかは、その時間になると明かりを消してしまう。まぁ、部室とか教室とかはそんなうるさく言われないんだけど。

あたしが泊まってる部屋を出てきた時も、まだ、部屋の明かりは点いていた。起きてた子、いたしね。もう寝ちゃった子は半分くらいだったかな。

昨日までだったら、みんな、11時には寝てた。マジメに消灯時間守ってたわけじゃなくて、寝ないと体力もたないから。

今日は休養日ってことで、練習はなかったから。合宿も最後の夜だし、先生も大目に見てくれる。

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稲本美夕

暗くて、怖くなかったの?

網島茉莉

全然。ケータイのライト、点けながら来たし。

網島茉莉

美夕こそ、こんな時間にどうしたのさ。いないと思ったら、部室に来てるなんてさ。

稲本美夕

……嘘ばっかり。私が部屋を出て行くの、わかってたんでしょ。

網島茉莉

あ、やっぱバレた。下に行くから、部室かなって。

稲本美夕

ちょっと、ね……。

そう言って美夕は、机の上に広げていたノートとかに目を向けた。

えーと、あれ、なんのノートだっけ。記録帳と、あと、部活ノート、かな? いろんなこと、書き込んでおくヤツ。

稲本美夕

合宿も明日で最後だし。ちょっと、いろいろ読み返したくなっちゃって。

網島茉莉

ふーん……。

稲本美夕

この学校で最後の合宿でしょ。夏休みが終わったら、大きな大会はあと、国体くらいだし……。

網島茉莉

うん。

ほんとだったら、夏の大会が終わったら三年生は引退する。

ほとんどの三年生は、夏の大会の予選で負けたらってことになる。

だから、他の同級生の子は、予選が終わったら引退しちゃった。だから、この合宿にも参加してない。遊んだり、予備校行ったり、してるのかな。

あたしと美夕は、本選まで進めたから、それが延びただけ。

そして、国体にも出られること、決まったから、引退をその後に延ばしただけ。だから、合宿にも参加して、部長副部長の引継ぎも秋まで延ばして。

他のみんなより、ほんのちょっと長く、部活が続けられてる。

それでも……。

この夏が終わって、国体が終わったら、この学校での部活は終わり。

夏のメインイベントの夏合宿。それも明日で終わりだから。

稲本美夕

古いノートとか、読みたくなって。ちょっと、いろいろ思い出しちゃった。

美夕が、そんな気持ちになるのも、わかる。

網島茉莉

どんなこと、書いてあった?

稲本美夕

そうね……。

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あたしは、椅子に座ってる美夕の後ろに立つ。

稲本美夕

一年生の時のとか、懐かしいことばっかりよ。

そして、美夕の背中に体を預けて、肩越しに腕を回す。

稲本美夕

ちょっと、茉莉……。

網島茉莉

いいでしょ、今くらい。誰もいないんだしさ。

稲本美夕

もう……。

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ほ、セーフ。これが、ギリギリかな。

あたしと美夕の間で決めてある、ルール。人前でベタベタしてこないこと。

他にもいろいろあるけど、あたしにとっては特にこれがキツい。

とにかく美夕は、あたしとの関係が誰かに知られるのを嫌う。

誰かにバレて、それがお互いの家に知られるのを怖がってる。

それは、わかるけど。特に、美夕の家は厳しいみたいだから。

きっと、女同士で付き合ってるなんてことがバレたら大騒ぎになる。絶対に許してもらえないって思ってるみたい。

だから、あたしたち二人だけでちゃんと生活できるようになるまで、人にバレたくないって思ってる。

そのために、ルールを決めて。それを頑なに守ってて、あたしにも、守るようにって。

わかるけど。わかるけどさ、でもさ。

その、もうちょっと、フレキシブルに適用してくれない? そのルール。

あたしはもうちょっと、美夕とイチャイチャしたいんだよね。美夕のこと、いっぱいさわりたいんだよね。触れ合っていたいんだよね。

だから、まぁ、こんなギリギリのラインとか、美夕に怒られながら見極めたりしてるんだけど。

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稲本美夕

誰か来たら、離れてよ?

網島茉莉

誰も来ないってば。うちの子はもう、大半寝てるし、他の部の子だって、こんな夜中によその部室に入ってこないってば。

稲本美夕

こんな夜中だから、明かりが点いてたらのぞいてみたりしないって考えないの?

網島茉莉

わかったってば。

こういう時の美夕には、あまり口ごたえしたくない。せっかく、このポジションをキープできたんだから、機嫌を損ねてほしくないし。

網島茉莉

で、どれ? どれが懐かしいって?

稲本美夕

ここ。入部してすぐの時のこと。憶えてる?

網島茉莉

んー、あんまりよく憶えてないなぁ……。

ちょっと書いてあること読んでみたけど、すぐに記憶が出てこない。

稲本美夕

あとはね……。

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そう言って、美夕がノートをめくりながらいろいろ話してくれるけど。

確かに、憶えていることもあるけど、実は、ノートの中味には、あたしはあんまり、集中してなかった。

じゃあ、なににって言うと、もちろん、今、さわってる美夕の方。

黒くて、まっすぐな髪。あたしよりはマシだけど、少し傷み気味。副部長になった時に、バッサリ切っちゃったんだよね。ポニーテールがなくなってがっかりしたっけ。

日焼け止め、どんなに塗ってもやっぱりちょっとは焼けちゃってる肌。柔らかいとこと、引き締まって固いとこがあって、さわってて楽しい。

そして、美夕のにおい。こんなに近くにいなきゃ、かげない。今はシャンプーとソープの香りがするけど、一緒にベッドに入った時はまた、別のにおいがして……。

ん? ちょっと待った。

あたし、いつから美夕とHしてない?

えっと、夏大の予選が始まる前から、部活の方が忙しくて、ほとんど土日も練習ばっかだったよね。

じゃ、その前? あれ? うそ、もう、春くらいからずっと!?

うわ、あたし、そんなに長いこと、美夕とHしてなかったんだ。

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網島茉莉

なんてこと……。

稲本美夕

え? なにが?

網島茉莉

あ、いや、なんでもない。

稲本美夕

……そう。

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なんでもなくない。これは大ごとだよ。

そんなにずっと、美夕の体、お預けされてたんだ。そう言えば、夏大の予選の前に話してたっけ。これから、引退まではずっと、部活中心になるって……。

え、もう何ヶ月たってる? 今みたいに、こうやって時々さわらせてくれるけど……。これだって、美夕の機嫌のいい時狙って、なんとかだってのに!

もっといろんなとこさわれる、もっとすごいいろんな声聞ける、あの瞬間ってそんなにご無沙汰だったっけ!?

うわぁ……、すごい青春、浪費した気がする……。

ただでさえ、互いの家に誰もいない日にお泊まりするしか、チャンスはないってのに。ホテルは一回、誘ったらすごい怒られたしなぁ。

しかも、合宿中、ずっと同じ部屋で寝泊まりしてたのに! この一週間、ずっと美夕と一緒にいれたのに!

な、なんにもなし!? え、このまま、秋まで!?

そんなのガマンできないよ!

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稲本美夕

なんだか、ずっと上の空ね、茉莉。

網島茉莉

え?

稲本美夕

あなた、別にノートなんて見てないでしょ。

そんなの見てる場合じゃないって!

稲本美夕

声、かけても返事もろくにしないし。

だって!

稲本美夕

ま、もういいわ。そろそろ離れて。私たちももう戻って寝ましょ。

それはただの睡眠だよね!? 待った待った。ここまで来て、そんなのない!

網島茉莉

ね、美夕……。

稲本美夕

なに? だからそろそろ離れて……。

稲本美夕

……んん!

離れるわけないじゃん!

網島茉莉

美夕……。

軽く美夕の耳を噛んだ口を離して、名前を呼ぶ。

稲本美夕

ちょ、ちょっと茉莉……。なに考えてるのよ……。

網島茉莉

なにって……、美夕のこと。

稲本美夕

そうじゃないでしょ……! ここ、どこだと思ってるのよ……!

低く抑えた美夕の声。外に声が聞こえないか気にしてる時の声。

網島茉莉

大丈夫だって、誰も来ないってば。……ん。

稲本美夕

あん! そ、そんなこと……。

耳にキスしながら、美夕だけに聞こえるように囁き続ける。

網島茉莉

声、聞こえないようにするからさ……。

稲本美夕

だめ……、んっ、だめ、だってば……。

網島茉莉

ふ……。

稲本美夕

ふぁん……!

耳、弱いよね、美夕。もうちょっとガマンしててね。すぐにスイッチ入れてあげるから。

稲本美夕

や、やめて……。ん……! ルール、忘れたの……!

網島茉莉

わかってるけどさ。でも……。ん……。

稲本美夕

んんっ!

えっと、あとは、うなじと……。

網島茉莉

だって、美夕、陸上部のことばっかり思い出してるからさ……。

稲本美夕

そ、それが……。

網島茉莉

あたしだって、最後の夏なんだし、思い出、ほしいんだよ。美夕との……。

稲本美夕

そ、そんな……。あ、んんっ、そこ、だめ……!

肩口。それに……。

稲本美夕

やぁ……! やめて、茉莉……!

胸……。あたしは美夕のTシャツの下に手を入れる。

おっぱいも、好きだよね、美夕。左の方が、ちょっとだけ、いい声、出すよね。

稲本美夕

だ、だめってばぁ……。ここ、部室……。

網島茉莉

うん……。

稲本美夕

学校なのよ……! あっ、んんっ!

網島茉莉

わかってる……。

稲本美夕

わかったら、手を、離して……!

網島茉莉

わかってる。だから、もういっこ、思い出、作っておこ……。

稲本美夕

あっ、んんっ……! そ、そんなの……! ん、ふぁ……!

だんだん、美夕の声が変わっていく。あの時の声に、変わってく。

稲本美夕

大事な、時期なのよ……?

網島茉莉

そうだけどさ……。

稲本美夕

国体も、あるし……。あんっ!

網島茉莉

うん……、わかってるけど。

稲本美夕

大学のことだって……、考えなきゃ、いけなくて……! ん、ふぁ!

網島茉莉

でもさ……。最後の夏だって、美夕も言ったでしょ……。

稲本美夕

こんなこと……、して……、不祥事とかになったらぁ……!

網島茉莉

大丈夫、平気だよ……。

あと、ちょっと。もう、きっと大丈夫。

網島茉莉

美夕……。愛してる……。

あたしは、手を美夕のパンツの中へと潜り込ませようとして……。

稲本美夕

っ……! だ、だめ!

網島茉莉

あいたっ!

思いっきり、手首をつかまれた。握りつぶされるかと、思うくらいに。

稲本美夕

どうしてこういうことするのよ!

痛みに手を引っ込めた隙を突かれて、美夕に逃げられた。

美夕はさっと、あたしから体を離すと、うわ、すごい顔、ものすごく、怒ってる……。

服の裾、直しながら、すごいにらみつけてきてる。これ、本気で怒らせちゃったかな。

稲本美夕

なんで、わかってくれないの!? 二人で決めたルールじゃない!

網島茉莉

う、うん、そうだけどさ……。

でもさ、あたしの気持ちもわかってほしい。

稲本美夕

私、茉莉とのこと、ちゃんと考えてるのよ!

網島茉莉

あ、あたしだってそうだけどさ! でもさ!

美夕のこと、こんなに好きなのに、夏合宿中、ちょっとさわっただけでも、ずっと怒られてきたんだよ?

ううん、その前から。いくらなんでも、ガマンの限界なんだってば!

網島茉莉

美夕こそ、こっちのこと、もうちょっとわかってよ!

稲本美夕

わからない!

稲本美夕

学校の、部室で、こんなことしてくる茉莉の気持ちなんてわからないわよ!

稲本美夕

今まで、ここまで、ずっと隠してきたじゃない! あとちょっとなのよ!? 大学に行ったら、二人で暮らせるのに!

稲本美夕

そういうの、全部、ダメになっちゃうかもしれないのよ!? どうしてそれがわからないのよ!

網島茉莉

あたしだって、わかってるってば! でも、少しくらいはこうして美夕にさわったりしないと、わかんなくなっちゃうんだよ!

網島茉莉

美夕だって、あたしのこと、ちゃんと好きなのかどうかって!

稲本美夕

そんなことこそ、わかってることでしょ!もう……!

稲本美夕

茉莉が、比奈みたいにマジメに考えてくれる人だったらよかったのに!

網島茉莉

はぁ!?

ちょっと待って、なんで比奈!?

稲本美夕

茉莉より、比奈の方がちゃんとわかってくれるわ! 決めたことだって、わかってくれるのに!

な、なにそれ? あたしより? あたしよりってどういうこと!?

そのことを聞き返そうとしたのに、あたしの口からは全然、ちがう言葉が飛び出した。

網島茉莉

な、なにそれ! あたしだって、美夕より比奈の方がいい! かわいいし、素直にあたしのこと、好きになってくれるだろうし!

な、なに言ってるんだろ、あたし。

なんで、目の前の美夕より、比奈の方がいいって言ってるんだろう。

あたしと美夕、二人して。こんなこと、言ってるんだろう。

稲本美夕

……ま、茉莉を比奈が好きになるわけないでしょ! あなたみたいないい加減な人を!

網島茉莉

なにそれ! 美夕のほうこそ、比奈に好かれると思ってるの? こんな頑固者なのにさ!

稲本美夕

なんですって!?

網島茉莉

なんだよ!

二人して、声をあげて、にらみあってる。深夜の部室で。なに、この状況。

こんなの、考えてなかった。こんなふうに美夕と話したかったんじゃない。でも。

稲本美夕

どう考えても、比奈に好かれるのは私の方でしょ! いっぱい面倒だって見てあげてるんだし。

網島茉莉

なに言ってるの? あたしの方に懐いてるじゃん、比奈は。美夕なんて口うるさく思ってるにちがいないよ。

稲本美夕

茉莉の適当さにきっとあきれてるのよ! 茉莉がかまうから付き合ってるだけでしょ!

こんな、ケンカ、美夕と付き合ってから、初めて。いつも、あたしが怒られることはいっぱいあったけど。

こんなふうに、言い合いするなんて。お互いのこと、悪く言って。

稲本美夕

茉莉に比奈を渡すわけにはいかないわ。

網島茉莉

ちがうでしょ、比奈に好かれてるのは、あたしの方だってば。わかんないの?

稲本美夕

茉莉なんて、比奈に相手にされないわよ。私の方が、比奈に好かれてるのよ。

言うだけ言って、また、にらみあって。

このまま、収拾もつかないで。

思いっきり、比奈のこと、巻き込んで。

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okujou_no_yurirei-san/2814.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)