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okujou_no_yurirei-san:2601

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今までのオレは死んでいた。

断言したっていい。今までのオレは死んでいたんだ。

いやいや、生きていたけど。でも、死んでいた。リビングデッド!

この学校に入って、オレは生まれ変わったんだ! リヴァイヴ! フェニックス!

もう、なにもこわくねーってくらいに、完全に、カンペキに!

古場陽香

やっべー! 太鼓なってねー!? ロッケンロール!

全力ダッシュするオレの耳に、ちょっとソウルの足りない、つまんねー太鼓の音が聞こえてくる。

でも、まだ間に合う。アウトじゃねー。

ギリギリ、ギリギリ! オレは最後の力を振り絞って、あのクソッタレな正門を駆け抜けた。

古場陽香

セーフ!

いや、マジ、ギリギリじゃん。オレが正門を駆け抜けると同時に、太鼓の音が止んだんだから。

うあー、マジ、ヤバかった。

ジマンじゃねーけど、朝は弱い、まともに起きる気がしねー。

だから、いっつもこんなギリギリの時間になっちまう。あー、今はオレの心臓がロックだ。超ハードなツーバスブッ叩いてる。

正直、ロッカーなオレとしては、遅刻の回数なんかどーでもいいんだけど。

オレの入った学校、シロジョは、校則、けっこー全然ユルユルなのに、遅刻だけはすっげー厳しく取り締まりやがる。

なんでも、「キメる時はキメろ」ってことらしい。時間ゲンシュが校風なんだと。いーじゃん、ロックだ、気に入った。

だけど、遅刻5回連続のバツだけは最悪だ。一週間の太鼓当番。当番中、毎朝、遅刻せずに学校に来て、あの気合いの入らねータイコ、叩かなくちゃならねーなんて!

そんなの、ぜってーゴメンだ! だから、オレは5回目の朝だけは、こうして必死に走る。今日もなんとか間に合った。オレのロックは守られたんだ。

古場陽香

あー……、疲れた。

オレは正門を振り返る。太鼓の音が止まった正門は、もう、きっちりと閉められてる。

正門の脇の通用門だけが開けられて、間に合わなかったアワレな連中がかわいそうに取り締まられてる。

ほら、今日もあの、風紀委員に!

古場陽香

へ、へへ……。

ヤベぇ、笑いがこみ上げてきた。

おっと、クールにいかなきゃ。ヘラヘラ笑ってちゃ、ロッカーはつとまんねぇ。

そして、オレはまだ息が荒いまんまだけど、通用門の前に立つアイツを見た。

古場陽香

よっ!

声かけてやる。どーだ、このよゆー。

でも、アイツはこっちのことなんか見向きもしない。ちぇ、カッコいいじゃん、風紀委員のくせに。

古場陽香

今日は間に合ったべ? なんせ、横断歩道で困ってるバーサンがいなかったからな!

カンペキ!

どうよ。さすがにアイツも振り返るだろ。なんかちょうど、遅刻者の群も途切れたみたいだし。ほら。

「そう、よかったな。来週はおじいさんに気をつけろよ?」

オーケイ、わかってる。

「早く教室に行け。ここで間に合っても出席に遅れたら遅刻だからな」

あーもう、わかってるって。ほんとにクールだよな、イカしてる。

オレは腰をあげて、玄関ホールに向かう。朝の楽しいヒトトキは、これでお終い。

へへ、やったぜ!

オレの体にロックがおりてきやがったのは、4月の始業式の日だった。ついこないだの。

無事に進級できたし、春休みで気のゆるみまくったオレに、シギョーシキとはいえ、遅刻すんなってのが無理な話だった。

やっぱ、タイコの音が聞こえていたんだけど、気合いなんて入るわけねー。ダラダラと閉じちまった正門の横、通用門をくぐろうとした時だった。

「学生手帳、出しなさい」

ウムを言わさねーってのは、このことだった。理由も事情も聞きやしねー。

古場陽香

あ、いや、その、さ。ちょっとヤムニヤマレヌ事情ってのがあってさ……。

我ながら、情けねーこと、言ったと思う。しかし、そいつはオレのそんな言い訳、耳を貸す気もなかった。

「出しなさい」

ただ、それだけ。

もう、ダメだ、その瞬間だった!

全身がシビれた。雷に打たれたらこんな感じじゃねーのかってくらい。

オレはもう、その場で膝を付きそうになっていた。そんだけ、体中から力が抜けた。入んねー。

そのまま、頭を下げて、許しを請いたい気分だった。オレの目の前に立ってるのはカミサマなんじゃないかと思った。

そんだけ、オレは目の前のコイツにアットーされていた。そして、同時に。

体はシビれて動けねーのに。

なぜか、心臓だけが、すっげーロックを鳴らしていることに気付いた。

ソイツの名前は、有遊愛来(ありう・あき)。同じ二年生。

後から聞いた。二年生になったその日から、風紀委員会の正門遅刻取り締まりの責任者になったって。

オレも今まで、遅刻の常習犯だったから、一年の時も顔を合わせたこともあった。でも。

二年生になって、責任者になった瞬間、有遊サマの威厳、いや、オーラはそれまでと比べものもなく、強くて、まぶしくて、神々しくて。

オレにはほんとに、ロックのカミサマに見えたんだ。もちろん、マリリン・マンソンには全然似てねーんだけど。

なんてことない、昼休み。

なんとか、午前中の授業は切り抜けた。すげーマジメに授業受けてきた。

オレは別に、大学行きたいとか、そーいうのは考えてない。ロックで食ってくつもりだし、ロックに勉強は関係ないと思ってる。

でも、ロッカー=バカと思われるのは仕方ないけど、バカ=ロッカーと思われるのはガマンならないじゃん?

オレは世界のロッカーの名誉のために、必死になって睡魔と戦ったんだ。

そんな激闘のあとの昼休み。

学食に行ったオレは、そこで有遊サマを見つけた。

おおう、少し離れていてもわかる、神々しさ。ダメだ、このままちょっとでも近づくと、土下座したくなる。

ほんとに、ダメだ。どうしちまったんだ、オレは。毎日、少しずつ、転がる石のように、どんどんダメになっていく!

わかってる、わかってんだ。

オレは完全にイカれちまったんだ、有遊サマに。ヤられちまったんだ。

ガッチリ、心臓、つかまれちまったんだ。

朝は、いい。遅刻寸前の時間は、オレのステージだ。ロックがオレをステージに立たせてくれる。だから、なんとかちょっとだけ、話すこともできる。

でも、それ以外の場所じゃダメだ。こんなふうにすぐにヤられちまう。目もあわせらんねー。話しかけるなんてぜってームリ!

でも。

このままじゃ、ダメだ。イヤだ。たとえ相手が有遊サマであっても、オレはロックでいたいんだ。抗って抗って、叫び続けなきゃならないんだ。

なにを? もちろん、知ってる。愛をだ!

この愛を叫んで、叩きつけて、有遊サマをコイビトにしねーと、オレのロックは達成されないんだ!

だけど、これ以上近づけない。あとちょっとでも近づくと、オーラにヤられちまう。

どーすりゃいいんだ……? オレ、こんなこと初めてだから、どうしていいかわかんねー。

どうやったら、オレは完遂できるんだ?

この胸の、ロックを!

ロック!

うわ、閃いた! マジで? そうだ、オレ、ロッカーじゃん!

ロッカーなら、いや、ロッカーだからできること、あるじゃん! そうだよ! ロッカーには歌があるじゃん!

ステージの上なら、オレは無敵だ。ゼッタイ、有遊サマにも届く歌をカマすことができる!

やった!

これなら、イケる! オレは、この想いを歌にして、有遊サマに愛を告げるんだ! サイコーのロックで!

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okujou_no_yurirei-san/2601.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)