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okujou_no_yurirei-san:2422

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有遊愛来

はい、これで全部だ。

剣峰桐

うわー……。

合宿も二日目。参加してる部活も本格的に活動を始めてる。

そして、合宿対策室というか、夏合宿本部というか。月代ちゃんがいつもいるこの部室も本格的に忙しくなってきた。

というか、すでにすごい忙しい気がする。

剣峰桐

これだけだったら、たいしたことないように思えてきた……。

有遊愛来

まぁ、これだけだったらな。

私の目の前には、有遊さんがたった今、印刷室から運んできたばかりの、刷り立てほやほやのプリントの山。印刷の時の熱がまだ顔に当たるくらいほやほや。

有遊愛来

これを、こう組みにして、こう折って、ホチキスで留めて、完成だ。

剣峰桐

で、これをいくつ作るわけ?

有遊愛来

とりあえず、120組、刷ってきた。

剣峰桐

そんなにー!?

有遊愛来

そんなに、たいした量じゃない。

grpo_bu1

そう言うけどさ! 有遊さんにとってはそうかもしれないけどさ!

……なんで有遊さんがここにいるかというと、それは簡単に言えば、ヒマだから。

いや、有遊さんも風紀委員で学校に来てるんだからヒマじゃないんだろうけど。

補習参加者が全員、ちゃんと登校してきているかを確認したら、補習授業中はヒマなんだって。

それで、昨日のこの部室の様子を見て、もしかしたら人手が必要かもしれないと思って、手伝いに来てくれたんだって。

おのれ、私の月代ちゃんとの二人っきりタイムを邪魔しおって……。

と言いたいところだけど、大助かり。だって、結局、昨日は仕事をするための仕事の整理とか、そんな段階で一日、終わっちゃったんだもん。

あーもう、月代ちゃん、仕事集めすぎ!

実際、これから作るプリント冊子以外にも、いろんな書類やファイルが机の上に山になっていて、座ってると対面が見えないくらいなんだもん。

お願いだから、これ以上、増えないでほしいな。なんて思ってたんだけど。

「こんにちは……。うわ……」

grpo_bu1

今度は誰だろう。もう、部室のドアが開くたびに、誰かが仕事を持ってきたんじゃないかって思える。

つまり、誰も来てほしくないというか、これ以上、仕事が増えてほしくないというか。

でも、ドアは無情に開いてる。誰だ? 誰が来たんだ? もう、座ってるとプリントの山が邪魔で見えない。

grpo_bu1

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園生月代

あ、はい。どなた?

ああ、月代ちゃん、出ないで。用件、聞かないで。思わず、声に出して叫んでしまう。

剣峰桐

えー、ちょっと待って! 今、こられたら困る。絶対、混乱する。なにやっていいかわからなくなるー!

隣で立ち上がりかけた月代ちゃんの手を引っ張りたいくらい。

有遊愛来

園生先生、私が用件を聞きますから。二人は今の作業を続けてください。

園生月代

あ、うん、有遊さん、お願いね?

お願い、有遊さん。どうか、その人、仕事を持ってたら追い出して。

剣峰桐

月代ちゃん、これ、どうすればいいの~?

有遊さんにはそう念じながら、目の前のプリントへの対処を月代ちゃんにすがった。

ああ、こういう時、有遊さんのその態度、かっこよく思える。そのまま、威圧して追い出してくれないかなぁ。

「あ、用があるんじゃないんだけど……」

有遊愛来

そうか、ならご覧の通り、ここは今、大変取り込み中だ。用がないなら出直してきてくれ。

「あ、えっと、そうじゃなくて。ええと、あなた、有遊さんよね?」

有遊愛来

ああ。あなたは?

「あ、ごめん、私は遠見結奈。あなたのこと、陽香から聞いたこと、あったから」

え? 遠見さん? 合宿に参加してたんだ?

有遊愛来

陽香から?

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そんで、陽香? 去年、一緒のクラスだった、あのおもしろい子。ちょっと大きいからかわいくないけど、とにかくおもしろい。

勢いだけで生きてるって感じがみょうに共感しちゃって、友達になった。二年になってクラスは一緒じゃなくなったけど、時々、話もするし。

へぇ、陽香って、有遊さんと知り合いだったんだ。まぁ、あいつ、よく遅刻してたから、風紀委員の有遊さんと知り合いでもおかしくないかな。

ってそれより、これ、どうしよう。どうしようっていうか、やんなきゃいけないんだよね。プリント冊子作り……。

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遠見結奈

ええ。陽香とは中学で同じクラスだったから。今でも、時々話すしね。

有遊愛来

そうか。しかし、言ったとおり、今、私もちょっと忙しくて。話なら後にしてほしいんだけど。

遠見結奈

ああ、ごめんなさい。ちょっと差し入れを持ってきたの。よかったらお昼に食べてもらおうと思って。

有遊愛来

差し入れ?

その言葉を聞いた瞬間、お腹が鳴るかと思った。……鳴ってないよね?

遠見結奈

ええ。私、陸上部の食事当番で合宿に参加してるから。えっと、陸上部の先生から、ちょっとここが忙しいそうだからって言われて。

剣峰桐

あ、遠見さん? 差し入れ!? なに?

思わず立ち上がって聞いちゃった。あ、今日はあの強かわいい子、一緒じゃないんだ。いや、それより差し入れ!

遠見結奈

お握りと、あと、いろいろ。

剣峰桐

やったぁ! ちょっとお腹空いてたんだ! もう、マジ忙しくて、朝ご飯買いに行ってる暇もなくってさぁ。

遠見結奈

そう? よかった。

遠見結奈

えっと、有遊さんはどうしてここに?

有遊愛来

私も、夏合宿の風紀監督に来てるからな。ここにいれば、都合がいいことも多い。それに……。

有遊愛来

ちょっと、この状況を放っておくわけにもいかなくてな。

遠見結奈

そうね……。

わかってくれる? この惨状。

私も月代ちゃんも、ほんとに朝からずっと仕事してるのに、全然、片付いてる感じしないんだよね。

とりあえず今は、遠見さんが持ってきてくれたおにぎり! 月代ちゃんと二人で、さっそくいただきます。

遠見結奈

よかったら、私も手伝おうか? 食事当番以外の時間は、自由にしていいって言われてるから。

剣峰桐

ほんと!?

園生月代

こら、剣峰さん! そんな簡単に頼っちゃダメ! 遠見さん、かなり大変なのよ? 大丈夫?

遠見結奈

え、ええ。まぁ、ちょっと暇にしてますから。できることだけでも手伝います。

剣峰桐

やったぁ!

園生月代

ごめんね、でも、ありがとう。すごく助かるかも。

遠見結奈

いえ……。えっと、なにをすればいいですか?

園生月代

そうね、えっと……。

うわ、この助っ人獲得のチャンス、逃せない!私はすかさず、おにぎりを持ったまま、手を挙げた。

剣峰桐

こっちこっち! 私の方、手伝ってよ! この合宿参加者への通達のまとめ作り! もう、何人分あるのかって感じでさぁ!

遠見結奈

合宿参加者への通達?

有遊愛来

ああ、昨日だけでも、かなりいろいろ問題が起きていたからな。私の提案でまとめた。シャワーや調理室などの設備の使用時間や、布団の貸し出しの規則とかだ。

遠見結奈

ああ……。

余計な仕事、増やしてくれてほんと……。でも、月代ちゃんはこういうのがあると、すごく助かるって言ってた。

みんなが見られる形にしておけば、わからないことがあった時は、まずそれを見てくれるからってことらしい。

有遊愛来

ただ、全員に周知させないと意味がないからな。

だけど、それで120冊なんだよね……。

剣峰桐

それで全員分、プリント作ったらこの有様だし! しかも、それを私だけにやれってどういうこと?

有遊愛来

園生先生は、他にもいろんな用件を抱えているからだ。私も手伝うと言ってるだろう?

わかってるけどさー! 有遊さんより、月代ちゃんと一緒に仕事したいじゃん!

剣峰桐

言い出しっぺがやってよー!

有遊愛来

本来は夏合宿監督教師の仕事の領分だ。だから、提案したのだし、それを容れてもらったから、手伝うと言ってるんだ。

園生月代

あ、あの、二人とも……。

ああもう、けっこう融通きかないのかな、有遊さんって。月代ちゃんが困ってるのがかわいくて、それでいてすまない気持ちなんだけど。

有遊さんも、手伝ってくれるのはうれしいんだけどー!

遠見結奈

わかったわ。私も手伝う。でも、これって、合宿参加者全員に配るんでしょう?

え? 遠見さん? なに、手伝ってくれるの?

剣峰桐

うん、そう。

遠見結奈

何人いるの?

剣峰桐

100人くらい……? 作るのは120冊だけど。

遠見結奈

そう。じゃ、二人でやっても一時間くらいで終わるわよ。まずは、別の広い場所に移りましょ。

剣峰桐

え?

ほんとに、そんなすぐに終わるの?

遠見結奈

ここじゃ、園生先生たちの仕事の邪魔になると思うの。空き教室のどこか、借りましょう。そこにプリントをページごとに積んで、組みにして、綴じる。その方が効率いいでしょ?

剣峰桐

え……? あ、うん、そうだね。

確かに……。もう、この部室、かなりいろんなものが入ってきてるし。机の上にスペースないもんね。

有遊愛来

なるほど。

遠見結奈

剣峰さんは、園生先生の手伝いに、ここに残った方がいいかな? 有遊さん、一緒にこれ、やっちゃいましょう。

え? ほんと? 私、ここに残っていいの?遠見さん、マジ、天使みたい!

有遊愛来

あ、ああ。そうだな。それがいい。

遠見結奈

お願い。それじゃ、まずはプリント、運びましょ。有遊さん、二階の空いてる部屋、探してもらえる?

有遊愛来

ああ。

遠見結奈

剣峰さん、プリント運ぶのだけ、手伝ってもらえる?

剣峰桐

う、うん。

遠見結奈

お願い。さっさとやっちゃいましょ。私も、お昼前には戻らないといけないから。

そう言って、遠見さんは机の上に転がっているホッチキスとその針を集めてる。

え? あれ? いつの間にか、仕事の割り振り、決まってる?

有遊さんも遠見さんも、部室を出て行こうとしている。私も慌てて、プリントを抱えて後を追う。

有遊愛来

ありがとう、遠見さん。

遠見結奈

え?

有遊愛来

私もちょっと余裕がなくなってたみたいだ。よく考えれば、ここだけで作業しなくてもいいってわかることなのに。

遠見結奈

あ、ううん。ごめんね、でしゃばっちゃって。

有遊愛来

気にしないでいい。私も、昼にはこの仕事を片付けておきたかったんだ。

遠見結奈

そ、そう? ならよかったんだけど。

遠見結奈

その、時々、手伝いに来ようか? 忙しいみたいだし。

有遊愛来

そうしてくれると、助かる。遠見さんなら特に。

二人、そんなことを話してる。え、なにこれ、二人とも、すごくデキる女って感じ。いや、なに、この置いていかれた感じ……。

実際、二人はそれから30分くらいで、冊子を作り終えて戻ってきてしまって。

私は、月代ちゃんの手伝いをしてはいたんだけど、ついでにまだ、余ってるおにぎりをちょうど食べていた最中で。

剣峰桐

うわ、このお握り、すっごいおいしい。

うん、ほんとおいしい。これ、遠見さんが作ったんだよね? 料理もできるんだ、この人。

遠見結奈

あ、いえ。

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その後も、有遊さんと遠見さん、二人がバシバシ仕事を片付けていって。月代ちゃんももちろん、二人に指示を出しながら、仕事をこなしている。

あー……、なんだか、私だけ、端っこで雑用してる気分。いや、ちゃんと月代ちゃんから仕事、もらってるんだけど。

もうちょっと、がんばらないとダメだなぁ……。

かなり、強敵が現れた感じ。もし、この二人が月代ちゃんに気があったりしたら、かなり私、苦労しそう。

仕事ができるってとこじゃかなわないもん。頼れるのは愛だけってのは、ちょっとさびしいなぁ……。

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okujou_no_yurirei-san/2422.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)