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okujou_no_yurirei-san:2233

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一木羽美

お、終わったぁ……。

直前まで猛然とノートPCに向かってキーを叩いていた羽美が、そうつぶやいてから突っ伏した。

双野沙紗

ああ、お疲れ。

三山音七

はぁ~、やっと終わったかぁ……。

一木羽美

つ、疲れた……。

さんざんもめたラジオドラマの内容は、結局、なんか三周くらい回って、学園ホラーものに落ち着いた。

内容がだいたい決まったのが今日の昼過ぎだったから、それから夕飯挟んで5時間くらいかな、羽美がずっとカタカタとノートPCに向かっていたのは。

夏だから、夕飯に行く時はまだギリギリ夕方っぽかったけど、もうすっかり外は真っ暗だ。

一木羽美

やっと、できたぁ……。

双野沙紗

ああもう、ヘロヘロだな、羽美。

一木羽美

だってぇ……、沙紗も音七も手伝ってくれないんだもん……。

三山音七

そんなこと言ったってさぁ、台本書くのは羽美の役って決まってたじゃん。

双野沙紗

そうそう。そのノートだって羽美が家から持ってきたヤツだしさ。

一木羽美

そうだけどさぁ……。

まぁ、実際、たいしたもんだと思うけど。あたしは台本書くなんてできないからさ。

双野沙紗

ま、なんとか合宿中に終わってよかったな。

一木羽美

ほんと~、にへへ~、終わったぁ……。

双野沙紗

変な笑い方すんなよ、キモい。

一木羽美

にへへ~。

あ、ダメだ、これ。羽美、なんか変なスイッチ入ってる。

一木羽美

これはもう、三人で作り上げた台本だよねぇ~。

双野沙紗

書いたのは羽美だろ。

三山音七

あたしら、適当にアイデア出しただけだよ~。

一木羽美

ちがうちがう、二人がいなかったらできなかったよ~。

双野沙紗

三人いたから、なかなか内容が決まらなかったんじゃないか……。

三山音七

もう、何回、やりなおしたんだかさぁ……。

一木羽美

それでも! 三人で力を合わせたから、いいものができたんだよ! うん、これ、最高の台本! わたしたちの友情の結晶だね!

双野沙紗

キモいんだよ、その言い方。

一木羽美

キモくてもいいもん! これはアレだね! 歴史に残るね!

双野沙紗

なんの歴史だよ。

一木羽美

三人の友情の歴史だよ!

双野沙紗

……キモ。

一木羽美

て・れ・る・なよ~。

ああもう、ほんとにダメだ、羽美。寝不足と台本が完成した達成感で変なテンション、入ってるよ、これ。

三山音七

……ぐぅ。

双野沙紗

うわ、音七! 寝るな!

三山音七

もういいでしょ~……。寝かせとくれよぉ……。

双野沙紗

寝るならせめて、布団を敷いて寝ろ!

一木羽美

え、もう音七ダメそう? でも、どこに布団敷く? すごい散らかしてたから、片付けないと。

双野沙紗

そ、そうだな。

ここまでずっと、夜もまともに寝ないで、話し合ってたから。

放送室の中は、お菓子やら、資料のつもりのマンガやらが散乱してて、とてもじゃないけど布団をすぐに敷けるスペースはない。

三山音七

うう、もうダメ、眠い。起きてらんないよ~。

双野沙紗

も、もうちょっとがんばれって!

三山音七

ダメ、あたしゃ寝る。今すぐ寝る。

双野沙紗

だから! 布団敷くとこ片付けるから、もうちょっと起きてろって!

一木羽美

あはは、沙紗、お母さんみたい~。

双野沙紗

羽美も変なテンション入ってないで、音七を起こすなり片付けるなりしろよ!

一木羽美

あはははは~。

うわ、もう二人ともダメだ。そういうあたしも、かなり眠いし。やっと台本が完成したってわかったから、なんか急に疲れと眠気がやってきてる。

三山音七

う~……。……そうだ、結奈んとこ、行ってくる。

双野沙紗

はぁ? 結奈? 遠見?

三山音七

ん。さっき夕ご飯の時、寝かせてくれるって言ってたから。今日はあっちで寝る。

一木羽美

えー! せっかく台本終わったのにぃ! 今日はみんなで一緒に寝ようよ~。

三山音七

そうしたいのはやまやまだけどさぁ~。ダメ、もう眠い。これ以上、起きてられない。ぐっすり寝たい。

三山音七

今のテンションの羽美、ぜったい夜まで騒いでそうだもん。ごめん、今日だけは熟睡させとくれ。ほんとに眠いんだよ~。

一木羽美

もう……。

三山音七

ほんじゃ、行ってくる……。

一木羽美

あ、ちょっと音七? シャワー使える時間だよ?

三山音七

いい。一日くらい使わなくたって死にゃしないよ。ほんじゃね~。おやすみ~……。

双野沙紗

ああもう! ほら、布団くらい持っていけってば!

三山音七

ん~……。

かろうじて、音七の手に掛け布団を持たせる。敷き布団は重たいのか、持ち上げる気もないみたいで、薄手の布団の端っこだけ持って、音七は放送室を出て行ってしまった。

一木羽美

あーあ、行っちゃったぁ……。

双野沙紗

まぁ、しょうがないだろ。音七にしてはがんばって、今まで付き合ってくれたんだからさ。

一木羽美

そうだけどさ……。せっかく終わったんだから、今日はいろんなこと、おしゃべりしようと思ってたのに。

双野沙紗

いや、今日くらいはゆっくり寝させてやろうって。かわいそうだろ。

一木羽美

そだね。じゃ、沙紗は付き合ってくれるよね?

双野沙紗

え?

そう言われて。

あたしは気付いた。そうだ、音七がいなくなってしまったんだ。つまり。

今日は、沙紗と二人っきり? この後、ずっと? 夜の間、ずっと?

一木羽美

ね?

双野沙紗

あ、ああ……。

いや、ちょっと待て、あたし。なにを考えてるんだってば。確かにこれから夜、あとは適当におしゃべりして寝るだけだけど。

でも、二人っきり。羽美と。

一木羽美

とりあえず、シャワー、使ってきちゃおっか。ちょうど、わたしたちの使用時間だし。

双野沙紗

う、うん……。

ば、バカバカ! 変なこと、考えるな、自分!

タオルとかを取り出すために、自分の荷物をひっくり返し始めた羽美の背中を見ながら、あたしは思いっきり頭を振った。

一木羽美

ふぁ~、気持ちよかったねぇ。

双野沙紗

あ、ああ……。

放送室に戻って来るなり、羽美は畳んであった布団にダイブした。

一木羽美

………………。

双野沙紗

お、おい、羽美? まさか、そのまま寝たりしてないだろな。

一木羽美

………………。

双野沙紗

羽美?

一木羽美

にへへ~。

一木羽美

あ~、布団も気持ちいい~。

双野沙紗

……はぁ、なんだ、起きてるじゃん。

一木羽美

ほら、沙紗もこっちおいでよ~。

双野沙紗

あ、ああ……。

ああもう、ずっとこんなテンションだな、羽美。よっぽど、台本終わってうれしいのかな。気が抜けてるっていうか、突き抜けてるっていうか。

あたしの方は……、全然、普通じゃいられないってのに。

積み上げた布団を背もたれ代わりにしている羽美の横に、なんとか平気な顔のふりをして、腰を下ろす。

一木羽美

お布団、ふわふわで気持ちいい~。

双野沙紗

そうか? けっこう暑いんだけど。

一木羽美

まぁ、それは夏だから仕方ないね~。にへへ~。

双野沙紗

もうずっとその笑い方、やめろってば。

一木羽美

だってぇ、顔がゆるんじゃうんだもん~。

ほんと、顔がゆるんでる。そんな間抜けでかわいい顔、さらさないでよ。頼むから。

一木羽美

にへへ~。

双野沙紗

な、なんだよ。

一木羽美

ようやく台本、完成したね~。

双野沙紗

そ、そうだな。よくがんばったよ、羽美。

一木羽美

そう? もっとほめてほめて? 頭なでてもいいんだよ? ほらほら。

双野沙紗

バ、バカ! そんなことまでするか!

一木羽美

え~、よくやったっていうなら、そのくらいしてよ~。ほらほら~。

双野沙紗

……もう、ほら、これでいいだろ。

一木羽美

うわっ! ちょ、そんなクシャクシャにすることないじゃん! せっかくきれいに乾かしたのに!

双野沙紗

うるさい。

髪をさわるだけで、あたしがどんだけ、ドキドキしてるのかわかってんの?

一木羽美

でも、沙紗ってほんと、いいシャンプー使ってるんだね。さっきシャンプー借りてよくわかったよ。なんか、すっごいサラサラになってるんだもん。

双野沙紗

別に……。変わんないよ、羽美の髪はいつも通りだよ。

一木羽美

あーもう、またぁ!

自分とおなじにおいが、羽美の髪からもしてるって思うと、それだけでなんだかすごい落ち着かない。

ボディソープまで、一緒だから、今日は。すぐ隣にいる羽美からのにおい。

落ち着かない、それどころじゃない。どうにかなっちゃいそう。

一木羽美

今日はゆっくりできるね。

双野沙紗

そ、そうだな。

一木羽美

あーあ、音七も一緒だったらよかったのに。こういう解放感、一緒に味わいたかったなぁ。

双野沙紗

気持ちはわかるけどさ。音七もいい加減、倒れる寸前だったみたいだし、今日くらいはゆっくり寝させてやれよ、ほんと。

一木羽美

わかってるけどさぁ。それじゃ、今日は沙紗と……。

一木羽美

……ぁ……。

一木羽美

二人っきり、なんだ……。

双野沙紗

っ……!

あ、ヤバい。

一木羽美

あ、そ、そっか……。

気付いた。羽美も、気付いてしまった。今、音七はいない。遠見のとこに、寝に行っちゃったから。

あの様子だったら、きっと朝まで戻ってこない。つまり……。

一木羽美

二人っきり、か……。

そう、朝まで、羽美と。

一木羽美

な、なんか変だね。

双野沙紗

な、なにが……?

一木羽美

ほ、ほら、合宿中、ずっと三人一緒だったからさ。

双野沙紗

あ、ああ、そうだな。

一木羽美

な、夏休みの前だったよね、音七に怒られちゃったの。

双野沙紗

う、うん。

一木羽美

そ、それからさ、別に二人でいてもいいってことになったけど、さ。よく考えたら……。

一木羽美

それ以来、二人っきりってこと、なかったよね……。

双野沙紗

う、うん……。

別に、そんなことはない。音七がいなくて、羽美と二人っきりになったこと、けっこうあった。

でも、この合宿中は、そういう時も、二人っきりになれたって気分にならなかったのは、確か。

別に、音七に気を使ってたわけじゃない。そういうこと、しなくていいって音七が言ったんだし。

でも、合宿に入る前に何回か、会った時も三人一緒だった。合宿の買い出しとか、資料集めとかだったから。それは三人一緒じゃないとできないし。

合宿中もずっと、三人一緒って意識してた。たぶん、部活してるのが楽しかったからかな。台本作るのに頭がいっぱいになって。

音七も無理にあたしたちを二人っきりにしようとして抜け出さなかったし。

あたしも羽美も、そんなこと、考えなかったし。

二人っきりになろうなんて。でも。

一木羽美

………………。

双野沙紗

………………。

今は、二人っきりだ。あたしと、羽美だけ。

一木羽美

え、えと……。

双野沙紗

う、うん……。

ど、どうしよう。なにを話せばいいんだろう。なにしたらいいんだろう。

一木羽美

あ、あのさ……。

双野沙紗

あ、ああ……。

なんにも思いつかない。いざ、こんなふうになったら。羽美も、あたしも、お互い意識しちゃって。

一木羽美

え、えと、なんでもない……。

双野沙紗

う、うん……。

二人っきりってことばっか、考えちゃって。

話したいこと? そんなの思いつかない。じゃ、何かする? なにを? 羽美と二人っきりで、なにをする?

羽美からの言葉が途切れると、そんなことが頭の中を駆け巡る。

一木羽美

え、えっと……。

したいこと? そんなの……。

一木羽美

あ、さ、沙紗……。

双野沙紗

あ、えっと、な、なに?

決まってる、けど。それを必死に押さえつけてる自分がいる。だって、そうしてないと、止まらなくなりそうなんだもん。

なのに……。

一木羽美

こ、これ、さっき買ってきたジュース。

双野沙紗

う、うん……。

一木羽美

飲んでみる? おいしいんだよ、これ。

双野沙紗

……ん。

羽美が差し出してきたのは、さっき買ってたパックのジュース。ストローが差してある。羽美が口をつけたストローが。

あたしは、そのパック、受け取ろうとしたんだけど。

一木羽美

……え……?

どうしてか、伸ばした手はそれを通り過ぎて。

一木羽美

さ、沙紗……?

隣に座っていたはずなのに、体を起こしていて。手は自分を支えながら、羽美を逃がさないように、布団の山にも。

双野沙紗

羽美……。

小さくそう名前を呼んで。

双野沙紗

ん……。

どんどん大きくなってく羽美の顔、途中で目を閉じてそのまま、自分の唇を。

一木羽美

んん……。

羽美の、唇に。

双野沙紗

ん……。

押し当てて。

唇から伝わってくるのは、感触とか、よくわかんない。やわらかいって感じだけ? でも、じわって伝わってくるのは。

双野沙紗

……は……。

離しても、まだ、残っているのは。

双野沙紗

……ほんとだ、おいしい。ちょっと甘すぎるかもだけど。

たぶん、ジュースの甘さで。それは、羽美の唇に残っていたもので。

一木羽美

……沙紗……。

確かに、今、羽美と……。

一木羽美

……い、いきなりだよ……。

キスしたんだ、あたし……。

双野沙紗

ごめん。イヤだった?

一木羽美

い、イヤじゃなかったけど……。その、びっくりするじゃん……。

双野沙紗

ごめん。でも……、羽美。

一木羽美

う、うん。な、なに?

双野沙紗

もっかい、キスしていい?

一木羽美

え? い、いい、けど……。

いいんだな? ほんとに、いいんだな、羽美。だって……。

双野沙紗

もっかいしたら、今度は……、舌、入れるかも。

一木羽美

え、ええ!?

双野沙紗

そんで、そっからはもう、止まんないかも。

一木羽美

……え、えっと……。

これでも、ガマンしてた。そういうこと、考えないようにしてた。でも。

双野沙紗

なにするか、わかんないかも、あたし。

一木羽美

……さ、沙紗……。

止まんない。羽美の顔見て、ジュース差し出されて、キスしちゃって。ここまで来ちゃったから。

双野沙紗

どうしていいかわかんないけど、止まんないよ、あたし。

一木羽美

……え、えっと……。

イヤなら、止めてよ、羽美。ほんと、止めて。でないと……。

双野沙紗

それでも、キスして、いい?

止まんないんだってば。

一木羽美

………………。

イヤって言ってくれたら、元に戻るから。そしたら、このまましばらく、適当に話してから、眠れるはずだから。なんにもしないですむんだからさ。

イヤって言って。頼むから。

一木羽美

……う、うん……。

うなずかれたら、あたし……。

一木羽美

わ、わたしも……、もう……。

もっかいキスしちゃうよ? そしたら、そのまま……。

一木羽美

わかんないよ……。

もっかい、今度はもうちょっと長くキスして、宣言通り、あたしは舌で羽美の唇、なめたりして。

もう片付けとかどうでもいいから、とにかく敷き布団を一枚、引きずり出して床の上に広げて。

一木羽美

……ぁ……。

あたしはそのまま、羽美を抱き締めて、その上に転がった。押し倒したって言うのかな、これも。二人一緒に、横になってるけど。

双野沙紗

う、羽美……。

ど、どうしたらいいのかな。どうしたらいいのかなんてわからない。

一木羽美

さ、沙紗……。

少し震えた感じの羽美の声。ちょっと、そんな声、出されたら……。

どうにかしなきゃって思っちゃうだろ。もっと、そんな声、聞きたいって。そんな顔見たいって。

双野沙紗

う、うん……。

で、でも、どうしていいかわかんない。目の前に羽美の顔があって、ちょっと不安そうにあたしのこと、見てて。

手とか足とか、さわってんのに。倒れた拍子に、シャツとかちょっと裾が乱れてて、羽美の肌、見えてるのに。ソープのにおいとか、いっぱいなのに。

双野沙紗

う……。

どうしていいか、わかんなくて、あたしは固まってて。どうすればいいんだっけ? わかんないよ、こんなこと、したことないんだし。

でも、どうにかしたい。

一木羽美

あ、あのさ、沙紗……。

双野沙紗

う、うん……。

一木羽美

そ、その……、やっぱ、さわったり、するの……?

双野沙紗

え? あ、ああ……。

そ、そっか、さわればいいんだ。……どこを?

一木羽美

その……、む、胸とか……? やっぱ、さわったりする……?

そ、そっか、胸か!

双野沙紗

う、うん……。

うなずいて、羽美の胸に、手を伸ばす。

一木羽美

……っ、ひ……!

双野沙紗

あ……!

指先がほんのちょっと触れた瞬間、羽美の体がびくって震えて、慌ててあたしは手を引っ込めた。

双野沙紗

ご、ごめん。やっぱ、気持ち悪い?

一木羽美

う、ううん、ちがう。その……、びっくりしちゃうんだもん。

双野沙紗

さ、さわってもいい?

一木羽美

う、うん……。でも……。

真っ赤な顔した羽美が、あたしを見てる。たまんない顔して、見てる。

一木羽美

そ、そっとね? その、今……、沙紗になにされても、びっくりしちゃうから……。

双野沙紗

うん……。

もっかい、羽美の胸に、手をのばす。指が、胸に、触れる。ちょっと固い感触。あ、これ、ブラか。

双野沙紗

あの、さ、羽美……。

一木羽美

な、なに?

双野沙紗

ブラ、とってもいい?

一木羽美

……え!? あ……、う、うん……。でも……、とらなきゃダメ?

双野沙紗

うん……。

だって、ブラ、とらなきゃわかんないだろ。あたしは、抱きかかえるみたいに、羽美の背中に手を伸ばしたけど。

一木羽美

ひ、ひゃ、うう、ダメ、やっぱダメ。自分で外す!

双野沙紗

え、ええ? い、いいけど……。

一木羽美

そ、それから!

一木羽美

さ、沙紗も、ブラ、外してよね。

双野沙紗

え、ええ!? あ、あたしも?

一木羽美

だ、だって、わ、わたしばっかじゃ恥ずかしいもん!

双野沙紗

い、いいけどさ……。

二人でごそごそ、Tシャツの下に手を突っ込んで、ブラを外す。あ、少し、ほっとした。心臓がすごいドキドキしてた分、外した瞬間、なんか。

外したブラは、そこらへんに放りすてて。羽美も、布団の脇に。ギリギリのCカップ。

双野沙紗

じゃ、さわる。シャツ、そのまんまでいい。

一木羽美

え? で、でも……。

横になったまんまで外したから、シャツの裾は二人とも、胸が見えるくらいまでたくしあがってる。

一木羽美

み、見えちゃってるじゃん。

双野沙紗

だから、それでいいんだってば。

一木羽美

で、でも……。……んっ!

今度は、指からじゃなく、手のひらから。すごい、柔らかい、感触、伝わってきた瞬間に、また、羽美がびくってなった。

一木羽美

んっ、やっ……!

双野沙紗

まだ、びっくりする……?

一木羽美

う、うん……。だ、だって……! さ、沙紗がさわってるんだもん……!

さわってる。うん、さわってる。あたし、羽美の胸、さわってる。でも、それだけなのに。

ちょっと手が動いただけで、羽美がびくってなる。揉んでるつもりないのに。まだ。

すごい……、あたし、羽美にこんなことしてるんだ。羽美を、こんなふうにさせてんだ……。

一木羽美

……ひゃん! さ、沙紗……、どこ、さわって……。

双野沙紗

どこって、脇腹?

一木羽美

そ、そんなとこ、触んないでよぉ……。

双野沙紗

……やだ。

一木羽美

やだって、そんなぁ……。んん!

さわってるだけだよ。だって、それ以上どうしたらいいか、わかんないし。でも、それだけでも、羽美はびくってなってくれる。それって、うれしい、楽しい。

もっと、そんな羽美を、見たいんだ。

一木羽美

沙紗ぁ……。ひゃ……!

双野沙紗

気持ち悪かったら言いなよ、羽美。……別のとこ、さわるから。

一木羽美

もう……! ひぅ! さ、沙紗ぁ……。

双野沙紗

なに?

一木羽美

わ、わたしも……、沙紗のこと、さわってもいいのかな……?

双野沙紗

……え? ど、どこを……?

一木羽美

……お、おっぱいとか、お腹、とか……。

え? い、いいのかな? でも、ダメってこと、ないよな。羽美が、さわる? あたしの?胸とか?

双野沙紗

え、え、えっと……。

一木羽美

ダメ……?

ダメじゃ、ない。羽美にさわられる? 想像した瞬間、頭の中がすごく熱くなった。体の、真ん中とかも。

双野沙紗

い……、いいよ……。

一木羽美

い、いいの……? じゃ、じゃあ、さわる、ね……?

双野沙紗

うん……。

あたしの手は、羽美の体にひっついたまんま。あたしの体は動かすこともできなくて、ただ、羽美の手が伸びてくるのを見てる。その手が、あたしの胸に触れる瞬間まで。

双野沙紗

ふぅん……!

うわ、じわっときた……。羽美の手にさわられた瞬間、そこが、熱くなる。

一木羽美

ど、どう……?

双野沙紗

ど、どうって……?

一木羽美

びくって、ならない?

双野沙紗

な、ならない……。なんか、すっごく、あっつい感じで……。

一木羽美

ど、どうして?

双野沙紗

わ、わかんないよ、そんなの。

一木羽美

……っ……。

双野沙紗

……はぁ……。

そのまま、ちょっとの間、お互いの手、引っ込めることもできなくて、さわったまんま。

一木羽美

……ひん……!

双野沙紗

……ぁ、はぁ……。

羽美は時々、びくってなって、あたしはただ、羽美の手のひらが触れてるとこが熱くてしょうがなくて、息をつくばっかりで。

一木羽美

……んっ、な、なんでかな……。

双野沙紗

……え?

一木羽美

なんで、こうしてさわってるだけなのに、同じとこ、さわってるだけなのに……。

一木羽美

わたしだけ、びくってなってるのかな……。……っ!

双野沙紗

し、知らないよ、そんなの……。

一木羽美

なんで、わたしだけ……。ひん、こ、こんなふうになるのかな……?

双野沙紗

わ、わかんない。……羽美、イヤ? あたしにさわられて、そういうふうになるの、やだ?

一木羽美

え……? ん、そ、そんなの、わかんない……。そうなっちゃうんだもん……。

一木羽美

わ、わかんない、けど……。や、やじゃ、ないよ……、沙紗……。ふぅん……!

一木羽美

さ、沙紗は……? わたしにさわられるの、いや?

双野沙紗

ううん……。すごい、ぼぉっとなるくらい。たぶん……、気持ちいい……。

うん、気持ちいいんだ、これ。羽美に触られてるとこが、すごく気持ちいいんだ、あたし。

一木羽美

ほんと……?

双野沙紗

うん……。

一木羽美

わ、わたしも……、さ、沙紗にさわられて、びくってなるの……、気持ち、いいかも……。

双野沙紗

ほんと……?

一木羽美

ねぇ、沙紗……。

双野沙紗

ん?

一木羽美

もっと……、さわっても、いい?

双野沙紗

……う、うん……。

どうしよう、どうなるんだろう。今でもすごい、体が熱くてしょうがないのに、もっと羽美にさわられたら、どうなるんだろう。

胸だけじゃなくて、いろんなとこ。背中とか、お腹とか、頬とか、肩とか? そんなことされたら、どうなるんだ、あたし。

わかんない。でも、さわってほしい。羽美にもっとさわってほしい。どうなるかわかんないのに、うなずいて。

双野沙紗

あたしも、もっと羽美にさわるよ?

一木羽美

え……。

双野沙紗

羽美にさわられると、気持ちいいからさ……。だから、もっと羽美にさわるよ? いい?

一木羽美

……え、えっと……。

ちょっと、羽美は、真っ赤な顔のまま、口ごもって……、そして……。

一木羽美

う、うん……、いいよ……。

笑った。

一木羽美

さわって、いいよ。沙紗……。

そう言って、笑った。あたしも、羽美につられたみたいに、笑う。熱くって、ドキドキしっぱなしなのに、顔だけがゆるんだみたいに。

一木羽美

な、なんか、ちょっと怖いけど……。

双野沙紗

怖い?

一木羽美

だって……、んんっ! も、もっと、こんなふうになっちゃうかもしれないじゃん……。

双野沙紗

う、うん、そうかも。

一木羽美

へ、変な声、出ちゃったらどうしよう……。

双野沙紗

別に、気にすんなよ、そんなの……。あ、あたしも……。たぶん、出ちゃうかもだしさ。

うん、きっと出る。息つくだけじゃすまない。でも……、羽美のそんな声、聞いてみたい。

さっきまでより、もっと、変な声、出るよね、きっと。聞きたい。聞かせてよ、羽美。

双野沙紗

あたしも、怖いけど、さ。羽美にもっとさわられたら、どうなっちゃうかわかんない。でも。

双野沙紗

羽美に、さわりたい、もっと。

一木羽美

……うん、わたしも。……一緒だね、沙紗……。

双野沙紗

うん、一緒。

一木羽美

うん、じゃ、いいよ。さわって……、いいよ、沙紗。わたしも……、沙紗のこと、いっぱいさわるから、ね……。

双野沙紗

ん。羽美……。

くっと、羽美の胸にさわってた手の指に、力をちょっと入れて。

一木羽美

ひっ、ひぅん!

びくってなった羽美の息が、前髪を揺らして。同時に、羽美の胸に触れた指に力が入って。

双野沙紗

あ……、は、あ……。

そこがすっごく熱くなった時、声が、出た。一緒に、言葉も、出た。

双野沙紗

羽美……、あ、あの、さ……。

一木羽美

んっ、う、うん……!

双野沙紗

だ……、大好き、羽美……。

一木羽美

わ、わたしも……! 沙紗……!

だめ、もう、ダメ。なんか、視界がぼんやり霞んできた。でも。

羽美の笑った顔だけは、はっきりとわかった。あたしは、自分がすっごいゆるんだ顔で、笑っているのがわかった。

そして、その後。

二人で、いろんなとこ、さわった。お互いの体の、いろんなとこ。

一木羽美

ひぅ……! んっ、あ、や……! さ、沙紗ぁ……!

双野沙紗

あ、はぁ……、ん、……ぁ……、羽美……。ん、んん……。

胸とか、背中とか、顔とか、髪とか。キスも、した。何回も。

あたしはもう、羽美のどこ、さわってるのかわからないくらい、体中がぼぉっとしていて。ただ、夢中で羽美にさわって、震える体を抱き締めて、キスしてた。

お互い、そんなこと言葉にして決めたわけじゃないのに、下半身はお尻までってことにして。それ以外の場所を、ベタベタとさわりあって。

一木羽美

さ、沙紗ぁ……! んっく……、ひん、ふぁ、あ、あぁ……。

双野沙紗

あ、はぁ……、ん、はぁ……。羽美……、羽美……。んん、……ぁ、あ……。

どっちが先かなんて、わからない。

体中が羽美にさわられた熱でいっぱいになって、ゆっくりと落ちていった。

抱き合ったまま、眠りに落ちていった。

双野沙紗

ん……。

なんか……、久しぶりにぐっすりとよく眠れた気がする。

そうだよな、合宿中ずっと、どうしようもなくなってちょっと眠るくらいってのを繰り返してたんだし。

熟睡したって感じ。だから、割とすぐ、頭もハッキリしてきて……。

一木羽美

ん……。

目の前に、羽美の顔があるのに、気付いた。

双野沙紗

……羽美?

あ、寝ぼけた声。

うん、羽美だ。ちゃんといる。夢かと思ったけど、ちがったんだ。え、なに? 夢?

ううん、夢じゃない。昨日のあれ、夢じゃない。うん、あたし、羽美と……。

双野沙紗

……羽美と……、って……、え!?

双野沙紗

羽美!?

一木羽美

ん~……、なに、沙紗ぁ……。

あ、すごい甘えた声。羽美の寝起きの声。うわ、たまんない。いや、そうじゃない。

双野沙紗

羽美!? ちょ、ちょっと起きな! 今、何時!?

一木羽美

え~、何時でもいいよ……。もうちょっと寝かせて……。

双野沙紗

バカ! 音七が帰ってきたらどうすんだ!

一木羽美

音七ぁ……。……っ、ね、音七!?

あ、起きた。お互いの顔、間近にあって、なんでこんなに間近にあるかっていうと、二人とも抱き合ったままで。

あ、足とか絡めたまんまだし、シャツだって盛大に胸、出したまんまだし。

つまり、あのまんま、昨日、寝ちゃったから。

一木羽美

さ、沙紗!? ちょ、ちょっと、うわっ! ち、近い!

双野沙紗

ち、近いのは羽美だろ!

一木羽美

や、は、離してよ、沙紗!

双野沙紗

あ、ご、ごめん。

あ、あたしが抱きついてたんだ。

一木羽美

い、今、何時!? 音七、まだ戻ってきてないよね!?

双野沙紗

た、たぶん。

慌てて羽美を離して、ケータイを探す。まぁ、もし、音七が戻ってきてたとしても、このあたしたちの恰好見たら、出直すと思うけど。

双野沙紗

え、えっと、まだ、7時、ちょっと過ぎたくらい。

一木羽美

ほ、ほんと? あ、ほんとだ。ま、まだ、音七、寝てるかな?

双野沙紗

昨日の様子じゃ、昼まで起きてこなさそうだったけどな。

一木羽美

う、うん、そうだよね……。あ、わたし、ブラ、どこやったっけ?

双野沙紗

あ、そっち。あたしのは……、あ、あったあった。

そんな身支度を整えるために、一度、目を離したら……、う……、もう一回、目を合わせるの、すごい恥ずかしくなってきた。

一木羽美

あ、あの、さ……。

双野沙紗

う、うん、なに?

一木羽美

ま、まだ、朝ご飯にはちょっと早いし、その……、ちょっと散歩でも、行かない?

双野沙紗

あ、ああ……。

一木羽美

……えっと……。

双野沙紗

……あ、うん……。

目を合わせようとすると、ふいっと羽美が視線を逸らすし、あたしも羽美がこっちを見ようとすると、慌てて向こうを向くって感じで。

中庭まで、歩いてきたものの、まだ、羽美と目を合わせることもできないまま。でも。

なんでか、自然に、手だけはつないでいて。

一木羽美

あの、さ……。

双野沙紗

うん……。

会話にならない、そんなことばっか繰り返す。ゆっくりと歩きながら。ちょっと赤くなった顔を、お互いに見ないようにしながら。

昨日、あれ。あれで、よかったのかな。

よかったかどうか、わかんない。でも、あれって確かに、その、羽美とやっちゃったことになるんだよな。

双野沙紗

(うわ、うわわわ……)

思い返すと、顔がいっそう、熱くなる。あたしはもう、途中からなにをしてるのかさっぱりわかんなくなっていて、よく憶えてない。

ただ、羽美にさわって、抱き締めて、キスして……。

双野沙紗

うわ……。

一木羽美

……え? なんか言った……?

双野沙紗

な、なんでもない……。

恥ずかしくて、こんな顔、羽美に見せられない。でも、なぜだか、羽美もおんなじこと、考えてるじゃないかなって。

一木羽美

う、うん……。

ぎゅっと握った手から、わかっていて。

どうなんだろう、これから。こういうこと、きっとこれから、何回も、羽美とすることになるのかな。

そのうち、もっとよくわかってくるのかな。どうすればいいのかってことも、わかってくるのかな。

昨日の羽美の声とか、さわった感じとか、あんなこと、繰り返してくうちに、もっとわかってくるのかな。……羽美のこと。

双野沙紗

羽美……。

一木羽美

え?

なんていうか、羽美がかわいくてたまらない。好きで、たまらない。なんにも言えないけど、顔、見せられないけど。

つないだ手をひいて、もっとそばに寄りたいって気持ち、伝えてみた。

一木羽美

あ……。沙紗……。

羽美が、あたしの顔、ちょっと見上げて、名前、呼んでくれて、そして、もうちょっとだけ、そばに寄ってきてくれて……。

「おはよう、一木さん、双野さん」

一木羽美

ひぅ!?

双野沙紗

うわっ!

び、びっくりした! びっくりした! だ、誰だ!? いきなり声、かけんな!

って、と、遠見……?

一木羽美

と、遠見ちゃん? あ、お、おはよう。

双野沙紗

ああ、お、おはよ。

遠見結奈

ご、ごめん。そんなにびっくりするとは思わなかった。

するよ! こ、声が裏返りそうだった! 急に声かけてくるんだから! ……こっちが遠見に気付くどころじゃなかったのは確かだけど。

一木羽美

あ、ううん、いいのいいの。ちょっとびっくりしただけだから。

双野沙紗

あ、ああ。

あー、顔から火が出そうだ。隣の羽美も真っ赤だし。うう、なんかバレたりしないか、これ。

一木羽美

え、えと、なんか用?

遠見結奈

あ、えっと……、挨拶に声、かけただけだから。えっと、二人とも、昨日はちゃんと眠れた?

一木羽美

え……? あ、う、うん……。

双野沙紗

い、一応……。

遠見結奈

そ、そう。じゃ、よかった。もうすぐ朝ご飯だから、ちゃんと時間に食堂に来てね?

遠見結奈

音七さんも、起こして連れて行くから。

一木羽美

う、うん。

双野沙紗

わ、わかった。

一木羽美

そ、それじゃ、ね。

双野沙紗

ま、また、後で!

どちらからともなしに、手をひいて、遠見の前から駆け出す。

振り返って、遠見の反応、見てみたい気もする。バレたりとか、変に思われたりしてないかって。でも、とてもじゃないけど、振り返ることなんてできない。

一木羽美

……ぷ、くく……。

双野沙紗

へ? 羽美……?

一木羽美

ご、ごめん。なんか、すっごい慌てちゃったのが、おかしくなっちゃって……。

双野沙紗

……ふ、そ、そうだな。

確かにそうかな。あたしたちがなにをしてたかなんて、遠見にわかるはずないか。それなのに、あんなに慌てて。かえっておかしいだろ。

双野沙紗

はは、あはは……。

一木羽美

あはははは!

走りながら、二人して、笑う。

そう、だよな。これからも羽美とはずっと一緒にいるんだから。

恥ずかしいこと、あっても、いつものあたしたちに戻れなかったら意味、ない。

昨日みたいなことがあっても、羽美は羽美だし、あたしはあたし。ああいうことしても、一緒。

つないだ手は、告白する前から変わったことだけど、それ以外は変わってないんだから。

一木羽美

ねぇ、沙紗!

双野沙紗

ん?

一木羽美

もう、合宿でやること終わっちゃったんだしさ! 今日と明日は、思いっきり遊ぼう!

双野沙紗

はぁ? また、いきなりだな、ほんと、羽美は。

変わらない。変わってない。あたしたちは。

双野沙紗

……まぁ、いいよ、付き合うよ。音七も一緒だろ?

一木羽美

もちろん! 三人でね!

あたしと羽美、あたしと音七、音七と羽美。そして、三人。

あたしたちは、変わらない。

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okujou_no_yurirei-san/2233.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)