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okujou_no_yurirei-san:2232

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双野沙紗

あー、もう、ワケわかんなくなったぁ!

一木羽美

うわーん、もうダメだー! 絶対できないよ、こんなのー!

あたしと羽美、二人同時に叫び出す。

双野沙紗

だーかーら! なんで羽美はそんなに、オチをベッタベタにしたがるんだよ!

一木羽美

ベッタベタじゃないもん! これが王道だもん!

双野沙紗

王道にこだわるんだったら、なんで途中でこんな超展開いれるんだよ!

一木羽美

意外性ってのも必要なんだもん! あっと言わせる展開でしょ!

双野沙紗

それでツジツマ、あわなくなってるんじゃないか!

一木羽美

そんなことなーい! わたしの頭の中じゃ、全部きれいにつながってるんだもん!

三山音七

あ~もう、うるさい~。一度、だまんなよ、二人とも~。

双野沙紗

……はぁ。

一木羽美

……ふぅ。

別に、ほんとに腹を立てて言い争いしてたわけじゃない。それは、羽美も音七もわかってる。

じゃ、なんでこんなに大声で言い合ってるのかっていうと、単に、テンションが上がりすぎて声を抑えられてないだけで。

三山音七

いい加減にしてよ~。もう何度目なのさ~。

何回目だろ。今日だけでもう二回目か? こうやって音七に文句言われるのは。

昨日は確か、四回くらい? 一昨日は何回だっけ?

双野沙紗

あー、決まらないなぁ……。

一木羽美

あはははは、決まんないねー。

つまり、台本作りが難航しているってわけで。それなのに羽美が笑い出しているのはなぜかっていうと。

三山音七

もう、ほんとカンベンしとくれよ。ずっとこんなふうでさぁ~。一日目から、もう、ずっと。

寝不足でキレかけてるんだ。いや、もうキレてるのかも。あたしも同じ感じ。

台本の内容が決まらなくて、一日目からずっと、羽美と二人であーだこーだ言ってる。

合宿なのをいいことに、夜更かしして。うるさい親の目もないし、先生もそんなに細かいこと言わないし。

つまり、ずっと起きてても誰も文句言わない。あ、音七は文句言ってるか。ずっと安眠妨害されてるんだから。

三山音七

二人がうるさいから、全然、眠れないじゃないかさ~。

双野沙紗

あー、ごめん。

一木羽美

ごめんねー、音七ぁ!

三山音七

羽美、うるさい。

一木羽美

あはははは。

あたしは夜更かしは慣れてるけど、羽美はそうでもないみたい。三日目の夜明けくらいから、ずっとテンションがヤバい方向に行っている。

まぁ、あたしも今日の朝くらいからヤバいんだけど。

その羽美とあたしが、台本の内容、決めるんだからもう、うまくいくはずがない。お互い、とんでもない展開を思いついては、それを採用して、見直して没にして。

テーマだって、まだ決まってない。ほんと、どうすんだ、これ。

ほんとに、夏合宿中に台本できあがるのかな……。

決まってるのは、この学校をモデルにした学園を舞台にするってことと、物語の最初に転校生が来ることくらい。

その転校生を主役にするのか、しないのか、それさえ決まってない。

内容だって、学園ホラーになったり、異世界ファンタジーになったり、SFになったり。ラブコメが入ったり、ロマンス路線に切り替わったり。

三山音七

ほんとに、あたし眠いんだけどさぁ……。

あ、ほんとに音七もヤバい。

実際、音七の役割って、収録が終わった後の編集が中心だから、台本作りに関しては、アドバイザーというか、ちょっと意見を聞かせてくれるだけでいいんだけど。

でも、あたしと羽美がこの調子だから、意見どころかこうして煮詰まったところを止める仕事ばっかりになって。

あたしたちに付き合って、徹夜して、眠くなったらちょっと寝てなんてのに付き合ってくれなくていいんだけど。夜はちゃんと寝てくれていいんだけど。

二人して夜中も騒いでいるから、寝かせてやれてない。うん、音七、ほんとごめん。

三山音七

悪いけどさ、二人とも、ちょっと休憩してきたら? あたし、その間、ちょっと寝させてもらうけど。

一木羽美

う、うん……。

双野沙紗

そうだな……。

ほんとに、そうした方がいいかも。音七、今にも寝落ちしそうだし。あたしたちもちょっとは気分を切り替えた方がいいみたい。

双野沙紗

はぁ……、ちょっと散歩でもしよっか、羽美。

一木羽美

うん……。そうだね。

三山音七

そうしとくれよ~。行ってらっしゃい~。でもって、おやすみ……。

双野沙紗

ごめん、音七。

一木羽美

ゆっくり寝てていいからね?

三山音七

そうする……。ふぁぁぁ……。

あ、音七、完全にダメだ。布団にしがみついて、もう、寝息を立ててる。

一木羽美

行こっか、沙紗。

双野沙紗

うん。

あたしと羽美は、放送室を出る。なるべく、音を立てないようにして。

一木羽美

うわ、あっつい……。

双野沙紗

ほんとだ……。これは溶ける……。

8月の真ん中だしな。屋上は陽射しがすごくきつい。正直、あたし、強い陽射しは苦手だ。ほんと、溶けそうな気がする。

一木羽美

でも、屋上だとちょっと風があるから、気持ちいいね。

双野沙紗

そうか? まぁ、ちょっとはマシだけどさ……。

風なんか、ほんの少ししか吹いてない。それも、太陽でしっかり暖まった風。

一木羽美

日陰行けば、もうちょっと涼しいかもよ? ほら、あっち行こ。

双野沙紗

うん……。

まぁ、羽美もいい気分転換になってるみたいだし。音七をもうちょっと寝かせてあげなきゃだし。あたしもちょっと暑いのくらいガマンしなきゃ。

羽美に促されて、屋上への入り口の日陰側に回る。あ、確かにこっちはまだ涼しいかも。

一木羽美

うん、やっぱりこっちのが気持ちいいね!

双野沙紗

そうだな。

一木羽美

あー、いい天気!

双野沙紗

いい天気すぎだろ……。

一木羽美

合宿、楽しー!

双野沙紗

………………。

日陰に座ったまま、思いっきり背中を伸ばして、羽美がそう言う。

ほんとに寝不足でヤバいのかなって、一瞬思ったけど、羽美の顔はほんとに楽しそうで。

一木羽美

まだ全然、台本できてないけど、すっごい楽しい!

双野沙紗

そ、そっか……。

一木羽美

ね、沙紗は? 楽しくない? すごくおもしろくない?

双野沙紗

え……?

うん、まぁ……。羽美にそう聞かれると。

双野沙紗

あたしも、楽しいよ。

羽美と音七、三人でワイワイ話しながら夜更かしするのとか。

ほんとに全然、台本作るの進んでいないけど、羽美とハイテンションで内容をひっくり返したりするのは……。

双野沙紗

ほんと、楽しい。

一木羽美

だよね! よかったぁ!

ああもう、ほんと、寝不足に弱いんだから。こんなこと、あからさまに聞いてきてさ。まぁ、羽美はいつもそんなだけど。

でも。

双野沙紗

羽美のおかげで、楽しいよ。

一木羽美

え!?

双野沙紗

羽美と一緒だと、なんだかんだいって楽しい。ちょっとウザい時もあるけど、本気でウザい時もあるけど……。

双野沙紗

羽美と一緒にいるようになってから、楽しい。

双野沙紗

ありがと。

一木羽美

……え、あ……。

な、なにを言ってんだろ、あたし。あたしまで、寝不足でおかしくなっちゃったかな。

こんなこと、素直に言っちゃうなんて……。

一木羽美

あ、ありがと……。わたしも、沙紗にそう言ってもらえると、う、うれしいけど……。

双野沙紗

ん。

しょうがないかな。羽美が引っ張ってくれたから、友達になれたんだ。音七もあたしも。

羽美がいろんなこと、教えてくれて、誘ってくれるから、毎日、退屈しないですんでるんだし。

一人で、孤高とか気取ってなくてすむんだし。

一木羽美

わ、わたしね……。

双野沙紗

うん。

一木羽美

やっぱり、沙紗と付き合うのって不安だったの。

……そっか。それはそうかも。

一木羽美

だって、わたしたち、女の子同士じゃない?どうやって恋愛していいかもわかんないし、まわりからどう見られるかもわかんないし。

そうだよな。あたしは好きになった方だから。羽美を好きになって、告白した方だから、そんなの勝手に乗り越えちゃったけど。

羽美は、あたしに告白されて、初めて気付いてくれたんだから。あたしが言わなきゃ、ずっと友達同士だったんだし。

一木羽美

でも、沙紗と一緒なら、そういうの、あんまり気にしないですむなーって、思うんだ。

一木羽美

あの時は、よくわかんなくてOKしちゃったんだけどさ。でも、沙紗をどんどん好きになってから、気になんなくなっちゃった。

一木羽美

一緒なら、不安とか乗り越えられるよね、わたしたち。

双野沙紗

……うん。

きっとそう。大丈夫。だって……。

一木羽美

それに……。

一木羽美

わたしたちには、音七がいるしね!

双野沙紗

うん。

一木羽美

わかってくれる親友がいるんだもんね!

双野沙紗

うん。

一木羽美

こんなに心強いこと、ないもんね!

双野沙紗

うん。

音七がいなかったら、羽美もここまで吹っ切れなかっただろうな。それはあたしも同じ。

あたしたちの親友は、思ったよりもずっとあたしたちをよく見てて、そして気が利いてて。

夏休み前、羽美が空回りしてとにかく大切にしようって言ってたけど……。ほんとに、大切にしなきゃ。あんなやり方じゃなくてもいいから、もっと、自然にさ。

一木羽美

……うん、放送室、戻ろう、沙紗!

双野沙紗

え? いやだって……。

まだ、放送室を出てきてから、一時間もたってない。

一木羽美

なんか、すごいいい展開、思いついた、ドラマの!

双野沙紗

あー……。

うん、なんとなくわかる、それ。

双野沙紗

いいよ、皆まで言うなって。なんとなく、羽美の言いたいこと、わかったから。

一木羽美

ほんと!? やっぱ、わたしたちが作るんだから、絶対に外せないテーマがあるよね!

双野沙紗

だから言わなくていいからな。丸わかりだから。

一木羽美

さすが沙紗! さ、放送室に帰ろう! すぐにこのアイデア、まとめなくちゃ!

双野沙紗

はいはい。

あーあ、音七もかわいそうに。まだ、ろくに寝させてもらってないのに。

まぁ、音七もあきらめるだろ。それに、羽美がこうなったらほんと、あと少しで完成してしまいそう。

そしたら、思いっきり寝させてやればいいか。

一木羽美

行くよ、沙紗!

立ち上がった羽美が、もう、入り口の扉、開けて手を振っている。

ほんとに、ムダに元気で明るくて。真上に昇ってる太陽みたいなんだから、羽美。

あたし、夏の太陽ってほんと苦手なんだけどな。でも、羽美にはかなわない、ほんとに。

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okujou_no_yurirei-san/2232.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)