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okujou_no_yurirei-san:2231

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一木羽美

だから! やっぱり出だしはインパクトがいるんだよね。

双野沙紗

わかったけどさ。転校生がやってくるとこから始まるのはいいんだよ。

双野沙紗

で? その転校生の正体って?

一木羽美

だから、それを一緒に考えてよ~。

双野沙紗

なんでなんにも決まってないんだよ……。

ああもう、昨日から一歩も進んでない。何度、この会話、繰り返してるんだ、あたしたち。

一木羽美

沙紗が、わたしが考えてきたのじゃいまいち面白くないって言ったんじゃん。

双野沙紗

あたしだけじゃないだろ。羽美だっていまいちなんだよって言ってたじゃん。

一木羽美

だから、考え直してるんでしょ。さ、一緒に考えよう!

双野沙紗

もう、何回目だよ、それ……。

書きかけというより、出だしの一行以外、真っ白な羽美のノート。

この前のページには、それなりにいろいろ書いてあるんだけど、もうそれは全部、没になってるし。

昨日からずっとこんな感じ。羽美とノートを見ながら、あーでもないこーでもないって。

三山音七

そんじゃ、そろそろ行ってくるね~。

そんなあたしたちを見ていた音七が、ケータイで一度、時間を確認してから立ち上がった。

双野沙紗

ああ。もうそんな時間かぁ……。

そして、放送室の隅に置いてあったスーパーの袋を持ち上げる。中味は、昼過ぎに買ってきた野菜とか。夕飯の材料。

いつものように三人でスーパーに行って、メニューをなににしようかって話しながら決めたもの。

三人とも、料理、そんなに得意じゃないから、量とか全然、適当だけど。

三山音七

言っとくけど、ほんと期待しないどくれよ?あたし、料理なんて全然したことないんだからさ~。

双野沙紗

わかってるって。ん、まぁ、がんばれ。

そう、今日の料理当番は音七。合宿前にジャンケンで担当を決めておいた。全員、自信なんてないから、必死になって。

昨日の夕飯はあたしの当番だった。けど、料理なんてまともにやったことないし。ズルっぽいけど、家で作ってもらったお弁当を持ってきて出した。

あたしが料理するよりその方が百倍マシだしさ。

一木羽美

でも、音七、ほんとに大丈夫? わたしと沙紗も手伝おうか?

三山音七

いいよ、なんとかなるでしょ、一人でも。羽美と沙紗も大変なんだしさ。

一木羽美

う、うん……。

そう、あたしと羽美は、この合宿中にラジオドラマの台本を完成させなきゃならない。

中味を書くのは羽美の役目だけど、ネタ出しと演出を考えるのはあたしの役目だから、一緒に考えなきゃならない。

でも、お互いにどうも、おもしろいと思える内容が決まらなくて。昨日の午後から学校に来て、ずっと話し合ってる。

とりあえず、転校生が来て話が始まるのは決まった。でも、ほんとにそこだけ。

設定からして、学校を舞台にするのはいいとして、ラブコメにするのか、SFにするのか、ホラーにするのか、それさえ決まってない。

というか、何度も決めてはやっぱりやめてっていうのを繰り返していて。

三山音七

できたら、ケータイで教えるからさ、学食に来てね~。

一木羽美

うん、わかった。

三山音七

そんじゃ、ごゆっくり~。

一木羽美

……!

ああもう、一言余計なんだよ、音七! 羽美の顔、真っ赤じゃないか。

一木羽美

もう、音七ったら……。あ、沙紗、顔真っ赤だよ?

双野沙紗

……羽美もだよ。

夏休みに入る直前、あたしと羽美は、屋上で音七に説教を喰らった。羽美とあたしが勝手に音七に気を使いすぎてて、それが音七の気に障ったというか。

友情と恋愛の順番、間違えるなって叱られた。正直、音七にあんなこと、言われるなんて思わなかった。

自分の睡眠以外には全然興味ないと思ってたのに。意外とあたしたちのこと、見ていてくれて。

それ以来、肩の荷が下りた気がしてる。

音七は大事な友達だけど、あたしと羽美は付き合ってる。三人のうち、あたしたち二人だけが特別な感情を持ってしまったことを羽美は気にしすぎていた。

それを、音七に叱られた。そのくらいでどうこう言わないって。そのくらいで友情が変わったりしないって。

それは羽美にとってもずいぶん、救われる言葉だったみたいで。ずっと隠していたやましさを取り除けたみたいで。

一木羽美

それじゃ、夕ご飯ができるまでに、内容、決めちゃおう! 今度こそ!

双野沙紗

うん。

こうして、あたしと二人っきりになっても、音七のことばかり気にすることはなくなった。

あたしのことも気にしてくれる。そして、このとっかかった台本にも。いい意味で全開。そんな羽美を見てると、あたしも楽しくなる。

一木羽美

……なに?

双野沙紗

え? あ、いや、なんでもない。

一木羽美

そ、そう……? ……あ、あんまりじっと見つめないでよ。集中、できなくなっちゃうじゃん……。

双野沙紗

あ、わ、悪い……。

……大丈夫かな。こんなんで、ちゃんと台本、できるのかな。

一木羽美

ねぇ、沙紗。

双野沙紗

う、うん。

一木羽美

すごいラジオドラマ、作ろうね。

双野沙紗

うん。

一木羽美

三人で、いい合宿にしようね。

双野沙紗

うん。

そうだな、三人で。もう、その言葉にあきらめみたいな気持ちはない。心から、そうしたいって思える。

……とりあえず、内容、決めなくちゃ。

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okujou_no_yurirei-san/2231.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)