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okujou_no_yurirei-san:2223

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一木羽美

あれ? 音七は?

双野沙紗

え? あれ? さっきまでいたんだけど……。

一木羽美

またぁ!?

教室の中、見回してみるけど、確かに音七の姿がない。

いつもだったら、この前までだったら、わたしと沙紗が起こすまでずっと突っ伏していた音七の机も空っぽ。

双野沙紗

これで三日連続かぁ……。

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そう、三日連続。今週に入ってからずっと。音七は放課後になると、いつの間にかいなくなってる。

わたしや沙紗も、なるべく音七がいなくならないように見張ってるはずなんだけど……。なんで、こういう時ばっかり、すっごい素早いの!?

部活で必要な時にはちゃんといてくれるんだけど……。

お昼の放送について打ち合わせしてる時とかは、ちゃんといてくれる。昨日の放課後とかもそうだったんだけど。

その後、ちょっといなくなることについて聞いてみたけど、用があるとか、ゆっくり寝たかったからとか、そう言って……、ごまかされたのかなぁ。

一木羽美

もしかして、音七……。

気付いちゃったのかな、わたしと沙紗が、変になっちゃってること。

わたしが、音七より沙紗のこと、気になってしかたないってこと。

そう考えたら、急に頭の中がずどーんと重たくなった気がした。

一木羽美

どうしよう……。

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双野沙紗

ダメだ、廊下にもいないよ、音七。ケータイも出ないしさ。

双野沙紗

……羽美?

一木羽美

沙紗ぁ、わたし、どうしよう……。

双野沙紗

どうしようって……、なにがだよ。

一木羽美

わたし、もう、これ以上、音七をほっとけないよ……。

双野沙紗

はぁ?

一木羽美

これ以上、音七のこと、ひとりぼっちにできないよ……。

双野沙紗

おい、羽美……。

一木羽美

音七、きっと、わたしが沙紗ばっか気になってたの、わかってるんだよ……。

双野沙紗

え? あ、ああ……。

一木羽美

だから、音七、自分から離れるようになっちゃったんだよ。だって、ここのとこ、ずっとそうじゃん!

双野沙紗

あー、まぁ、そうだけど……。

一木羽美

わたしたち、そうしないようにって気をつけてたのに。そんなことしちゃダメだってわかってたのに……。

一木羽美

音七のこと、放っておいてたんだよ……。

双野沙紗

羽美……。

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バカ、わたしのバカ!

沙紗から好きって言われて、自分でもそれがうれしくて……。

自分の中で、沙紗が特別になっちゃって……。でも、それで……。

音七のこと、ほっとくなんて……。

バカ! そうしちゃいけないってわかってたじゃん! だから、沙紗にも協力してもらって、音七との友情を大事にしようって言ってたのに……。

全然、それができてなかった! だから、音七は……。

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一木羽美

沙紗ぁ……。

一木羽美

わたし、もう、音七に隠し事、できない!

双野沙紗

え、ええ!? か、隠し事って……。

一木羽美

沙紗から好きって言われて、わたしも沙紗のこと、好きで、それで、三人の中で二人だけ付き合ってるみたいになって……。

一木羽美

それで音七をさびしがらせるなんて、できないよぉ!

双野沙紗

お、おい、羽美……。

一木羽美

沙紗! わたし、音七にちゃんと全部、話す!

一木羽美

沙紗と付き合ってること、話す! もし、それで……。

一木羽美

音七が、それを嫌がるなら、沙紗と付き合うの、やめる……。

双野沙紗

ええ!?

一木羽美

沙紗には悪いけど……、沙紗のこと、好きだけど……。だって、音七のことも大切なんだもん……。沙紗も音七も、二人とも大切な友達なんだもん……。

双野沙紗

羽美……。

一木羽美

勝手なこと、言ってごめんね、沙紗。でも……、わたし、もう、音七をこのままほっとけない! 隠しごとしたままにできない!

沙紗のことは好き。好きって言われた時、うれしかった。でも。

それで音七との友情を失っちゃうんだとしたら……、どっちか選べって言われたら……。

一木羽美

わたし、音七と友達でいたい……。

勝手かな? 勝手だよね。でも、わかってよ、沙紗。わたしたち、友達なんだよ? 三人で親友なんだよ?

それを壊すのなんて、わたしにはできない。できないよ……。

双野沙紗

……わかったよ。

一木羽美

沙紗ぁ……。

双野沙紗

羽美が音七に全部話したいって言うんなら、止めない。それでもし、あたしと付き合うことできないっていうなら……、わかったよ。あたしもそれ、受け入れる。

一木羽美

ごめんね、沙紗……。

双野沙紗

いいよ、わかったって。別に、さ、それで羽美と別れるわけじゃないんだし。付き合わなくても、友達でいていいんだろ?

一木羽美

もちろんだよぉ! 沙紗まで友達やめるなんて言わないでよぉ!

双野沙紗

わかったわかったって。だからさ、まずは音七を捜そう。

一木羽美

うん……。

一木羽美

あ、いた……。

沙紗と二手に別れて、学校中、音七を捜し回って、ようやく。屋上のベンチで寝ている音七を見つけた。

一木羽美

……あ、沙紗? 音七、いたよ。うん、屋上。早く来てよ。

すぐに、沙紗のケータイに連絡する。ほんの2分も待たずに、沙紗も屋上に来てくれた。その間、音七は起きる気配も見せなかったのはさすがというか。

双野沙紗

あ、ここにいたんだ。あれ? あたし、一回、屋上見たんだけどな。

一木羽美

ベンチで寝てたからね。見落としちゃったんじゃない?

双野沙紗

そうかな? そうかも。

一木羽美

ほら、音七、起きて。音七?

三山音七

ん……、んん……。

一木羽美

ねーなー、起きてー!

三山音七

んん……。ふ……、ふぁぁ……。あれ? 羽美? 沙紗もいるの?

一木羽美

いるよ! 当たり前でしょ!

三山音七

ふぁ……。ん~……、はぁ、見つかっちゃったのかぁ……。

一木羽美

見つかっちゃったって、なんでそんなこと言うのよ! どうしてそんな、隠れ回ってるようなこと言うわけ!?

三山音七

ん~……、どうしてって言われてもなぁ……。

一木羽美

あ……。

ちがう、そうじゃない。そうじゃないんだ。

今、音七を責めるのは、ちがう。責められるのは、わたしの方。音七に隠し事してた、わたしだ。

一木羽美

あ、あのさ、音七……。

三山音七

あー、ごめんごめん。確かにちょっと、逃げ回ってたかもしれないけどさ~。

一木羽美

ううん、ちがうの、音七!

三山音七

ん? なにが?

一木羽美

わ、わたし、音七にあやまって、伝えなきゃいけないこと、あるんだ。

三山音七

はぁ?

一木羽美

あ、あのね、音七……。

言わなきゃ。ちゃんと音七に伝えなきゃ。

一木羽美

わ、わたしね、さ、沙紗に……。

一木羽美

沙紗に、告白されたの! 好きって言われたの。

三山音七

………………そう。

一木羽美

それでね、わ、わたしも、沙紗に好きかも、うれしいかもって答えたの!

三山音七

……そうなんだ?

双野沙紗

……あー、まぁ、うん。

一木羽美

だ、だからね、へ、変に思うかもしれないけど、わたしと沙紗、その時から付き合ってることになるの!

一木羽美

お、女の子同士なんだけどね! でも、そ、そうなってるの!

三山音七

あー、うん、そうだね~。

もっとびっくりするかもしれないって思ってたけど、音七の反応はいつも通りの音七って感じで。

これって、どういうことなのかな? 怒ってるの、必死にこらえてるのかな? わかんない。でも、言わなきゃ。全部、言わなきゃ。

一木羽美

そ、それでね。

一木羽美

もし、ここんとこ、音七がわたしたちから逃げ回ってる理由が……。

一木羽美

わ、わたしと沙紗が付き合っちゃったせいで、音七に疎外感とかそういうの、感じさせていたなら……。

一木羽美

あ、あと、今のこと、聞いて、女同士なのに気持ち悪いとか思ってるなら……。

一木羽美

や……。

言わなきゃ。ちゃんと、言わなきゃ。ごめん、ごめんね、沙紗。好きって言ってくれたのに。わたしもそうかもって答えたのに。ごめんね。

一木羽美

やめるから……。沙紗と、付き合うの、やめるから……。

三山音七

……はぁ?

一木羽美

こっそり、付き合うとかしないから。だから……、今まで通り、三人で友達でいよう?

一木羽美

ね、音七!

三山音七

………………。

お願い、音七。ちゃんと言ったから。音七がイヤなら、やめるから。

だから、今まで通りに戻ろうよ、ね?

そう言って、音七。今まで通りにしようって。ずっと友達だって言って、音七。

黙ってないで、そう、言って。音七!

三山音七

……沙紗。

ゆっくりとベンチから起き上がって、屋上の手すりのとこに立った音七が、まず、声をかけたのは沙紗にだった。

双野沙紗

ん?

三山音七

沙紗、それでいいの? 今、羽美が言ったので、さ。

双野沙紗

あー、えっと……。

三山音七

付き合うの、やめちゃっていいの?

一木羽美

わ、わたしが沙紗にそうお願いしたの!

三山音七

羽美には聞いてない。

一木羽美

う……。

なんだろう、こんな音七の声、初めて聞く。寝てるとこを無理矢理起こした時だって、こんな声、しなかった。

三山音七

やっと告白したのにさ、やめちゃっていいの?

双野沙紗

あー……。まぁ、羽美がそう言うなら……。

三山音七

……ふーん……。

うう、これってやっぱり、怒ってるよね、音七。

やっぱり、わたしと沙紗、勝手に付き合ってたからかな? それとも、それで音七のこと、ほったらかしになっちゃってたからかな。

でも……、音七がなんて言おうとも、それを受け入れなきゃ。音七はわたしたちの友達なんだから。

今、どんなに怒られても、いい。音七の言うこと、ちゃんと聞かなきゃ。それで、ちゃんと友達に戻らなきゃ。

三山音七

あのさぁ……。

一木羽美

う、うん……。

三山音七

そういうの、やめなよね。

一木羽美

……う……。

やっぱり……、そうだよね……。変だよね、女の子同士なのに、付き合うとか。

沙紗、ほんとにごめん。やっぱり、沙紗と付き合えない……。

三山音七

せっかく付き合ってるのに、そんな簡単にやめるとか、さぁ。

一木羽美

うん……、やっぱり沙紗とは……。

音七の言う通り。せっかく付き合い始めたんだから……。

一木羽美

……え?

あれ? 今、音七、なんて言ったの?

三山音七

あのさぁ、羽美。

一木羽美

え、う、うん。

三山音七

沙紗はさぁ、やっと羽美に告白したんだよ?ずっと言い出せなかったのを、やっとだよ?

一木羽美

う、うん。

え? あれ?

ずっと言い出せなかったの? 沙紗が? それはそうかもだけど、あれ? 音七、知ってるの?

三山音七

羽美もさぁ、それでOKしたんでしょ?

一木羽美

う、うん……。

三山音七

だったらちゃんと付き合いなよ、沙紗とさ。沙紗のこと、好きなんでしょ?

一木羽美

う、うん……。でも……。

一木羽美

お、女の子同士、なんだよ? へ、変に思ったりしないの、音七。

三山音七

そんなの知らん。お互い好きなら、付き合えばいいじゃん。

一木羽美

え、あ、うん……。そ、そう……。

一木羽美

で、でも、音七が……。

三山音七

あたしは関係ないでしょ。沙紗が好きなのは羽美で、羽美も沙紗が好きなんでしょ?

双野沙紗

あ、う、うん……。

一木羽美

そ、そうだけど……。

三山音七

なら、いいじゃん。付き合えば。好きなだけ付き合えばいいじゃん。うまくいってたでしょ? なんかもう、目が合うだけでぼーっとしたりしてさ。

三山音七

それでいいじゃん。

一木羽美

で、でも……! わたしと沙紗が付き合ったら、音七が……。

三山音七

あたしは別に、羽美とも沙紗とも付き合ってないでしょ。

一木羽美

そ、そうだけど……。

三山音七

二人だけで楽しい時は、適当にほっといてくれていいんだよ。

三山音七

別に、それでさびしいなんて思っちゃないよ、あたし。

三山音七

むしろ、やっとこさ、沙紗が告白してうまくいって、ほっとしてるくらいなんだから。

一木羽美

え、ええ!? えっと、沙紗、どういうこと?

双野沙紗

えっと、その、音七にはなんか、バレてたみたい。

一木羽美

ええ!?

三山音七

あのさぁ、羽美。

一木羽美

は、はい。

三山音七

なんでかなぁ。なんで、沙紗が羽美のこと、好きって言ったの、大事にしてあげないの?羽美だって沙紗のこと、好きなんでしょ? それ、やめるなんて言っちゃうの?

一木羽美

だって、音七が……。

三山音七

沙紗の告白にOKしたんでしょ? それをあっさり、あたしがなんか言うかもってんでひっくり返すな。

一木羽美

う……。

三山音七

OKする前に相談するならまだしもさぁ、OKしといて後から、あたしのせいにしてやめるとか、カンベンしとくれよ、ほんと。

三山音七

羽美の気持ちはわからなくもないけど、やめてよね、そういうの。次、おんなじこと言ったら、絶交する。

一木羽美

えええええ!?

三山音七

当たり前でしょ? 別に、ほっとかれたなんて思ってなかったけどさ、そんなことでヘソ曲げる友情とかを気にして、付き合うのやめるなんて情けないこと言わないでよ。

三山音七

あたしは、羽美も沙紗も、そんなことでお互いの気持ち、切り捨てるヤツだなんて、思いたくない。

一木羽美

音七……。

三山音七

まぁ、確かに、ここんとこ、逃げ回ってたけどさぁ。うん、それは悪かったよ。でもさ。

三山音七

せっかく付き合いだしたんだから、二人でいる時間もいるかと思ってさ。あー、あたしなりに考えてたんだよ。

三山音七

その、そういうふうに断るのもどうかと思ったから、なにも言わなかったんだけどさ。

一木羽美

そうだったんだ……。

三山音七

あのさぁ、羽美。沙紗も。

一木羽美

うん……。

双野沙紗

あ、うん……。

三山音七

あたしは別に、二人が付き合ったって、変に思ったりもしないし、友達やめようとも思わないよ?

三山音七

二人が恋人同士で過ごす時間が増えたからって、別にさびしいとも思わないしさ。

三山音七

気にしなくていいんだよ、あたしのことはさ。その……、ちゃんと二人のこと、友達だって、親友だって思ってるからさ。

一木羽美

音七……。

三山音七

あのさ、よくわかんないけど、羽美がこういうこと、言い出しちゃうくらいにさ、恋愛の好きってさ、友情よりも不安定だと思うんだよね。

三山音七

だからさ、そんな粗末に扱うの、やめとくれよ。羽美も、沙紗も。もっと大事にしなよ。お互いに好きなんでしょ?

一木羽美

う……。

双野沙紗

うん……。

三山音七

かまうことないからさ、イチャイチャでもなんでもしていいよ。まぁ、鬱陶しいからちょっと、あたしゃ席外させてもらうけどさ。

三山音七

三人でなんかやりたい時だけ、いつもみたいに呼んでくれればいいんだからさ。あたしの友情はそれで十分だよ。

一木羽美

ね、音七ぁ~。

三山音七

うわ、な、なに、羽美?

一木羽美

でも、音七がいないとさびしいんだよぉ~。わたし、音七もさびしいと思ってさぁ~。

三山音七

そ、それはわかったからさ。ああもう、沙紗。

双野沙紗

あ、ああ?

三山音七

あたしのこと、かまわなくていいからさぁ、羽美のこと、もうちょっとつかまえといてくれよぉ。

双野沙紗

う、うん……。

三山音七

二人がイチャイチャしてる間は、適当なとこで寝てるから。終わったら起こしに来てくれればそれでいいからさ。

双野沙紗

うん……。その、ごめん、音七。

一木羽美

ごめんね、音七ぁ~。

三山音七

あやまんなってば、もう~。羽美、沙紗のこと、好きなんでしょ?

一木羽美

……うん、好き……。

三山音七

沙紗も、羽美のこと、好きだったんでしょ?

双野沙紗

うん……。

三山音七

だったらそれでいいよ。あたしは二人のこと、応援する。それで、二人とも、あたしの友達だよ。もう、なんでこんなこと、言わなきゃなんないかな……。

一木羽美

音七ぁ!

一木羽美

わたし、ちゃんと沙紗と付き合うからね? でもね? 音七もわたしの親友だからね?

三山音七

はいはい、わかったよ。それでいいんだよ。

一木羽美

沙紗も! 沙紗もちゃんと音七に言ってあげて!

双野沙紗

え、あ、あたしも!?

一木羽美

うん! 言って!

双野沙紗

あ、えっと……、あ、あたしも、羽美とちゃんと付き合うし……、その、音七も親友で……。

一木羽美

ね、これでいいよね!?

三山音七

はいはい、それでいいよ。

一木羽美

わたしたち、三人一緒で親友だからね! ね、音七! 沙紗!

三山音七

あ~、はいはい。

双野沙紗

ああ、わかったってば。

一木羽美

よかったぁ……!

胸のつかえがとれたって、こういうことなのかな。

ずっと、後ろめたい気持ちがあったから、音七に対して。でも、音七が全部、それをわかって、そして、それでいいって言ってくれた。

音七との友情も、沙紗への気持ちも、ダメにならなくてよかった。ほんとに、よかった。

やっぱり、わたしたち三人の友情は、強いものだったんだ!

ごめんね、音七。ごめんね、沙紗。そして、ありがとう。

わたしたち、ほんとに親友だよね!

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okujou_no_yurirei-san/2223.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)