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okujou_no_yurirei-san:2212

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いよいよ梅雨も本格的で、雨の日が多くなってきた。

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学校行くの、めんどくさいなぁ。サボるなんて、羽美が許してくれなさそうだけど。

羽美も沙紗も相変わらず。あたしも相変わらず眠い。

沙紗はまだグズグズしていて、羽美になにも言い出せないでいる。

羽美は羽美で、そんな沙紗をなんとかしようとやっきになって、あたしを巻き込んでくる。

悪循環ってのだなぁ、どうにもなんないよ、沙紗がなんとかしてくんないと。

あたしも、ちょっとしたことで二人っきりにしてあげようとしてるんだけど、羽美がついてきちゃうし、沙紗も引っ張ってきちゃうし。

ああもう、ほんとめんどくさい。

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今日も、三人で一緒に登校。家の近くの駅で待ち合わせして、一緒に電車に乗って、新町からここまで歩いてきて。

正門をくぐって、玄関ホールに入ろうとしたとこだった。

一木羽美

うわっ!

急な突風。

沙紗はもう傘を閉じていたし、あたしは最後だったから、まだしっかり傘、持てていたんだけど。

羽美はちょうど、傘を閉じようと傾けたとこだった。風を傘でまともに受けてしまった。

一木羽美

きゃっ、ひわっ、うわわっ!

一木羽美

あ……、あぁ……、あー……。

あーあ、見事に羽美の傘はお亡くなりに。ビニールが骨から離れてるし、その骨も反対側に曲がっちゃってるし。

一木羽美

うそぉ……、なんなの、今の風ぇ……。

双野沙紗

あーあ、日ごろの行いだな。

一木羽美

そんなことないもん! 今のは天気が悪い!

一木羽美

あーあ、まぁ、ビニ傘だからいいんだけどさぁ。

ちなみに、あたしもビニ傘。沙紗のはちゃんとしたヤツで、こだわりでもあるのかな、黒い傘。

一木羽美

でも、どうしよう、わたし、置き傘なんか持ってないし……。ねぇ、今日、一日雨って予報だったよね?

双野沙紗

さぁ? 知らない。

あたしも知らない。朝、雨が降ってたから差してきただけだもん。

一木羽美

帰り、どうしよう。誰か、余ってる傘、ない?

双野沙紗

ない。

あたしと沙紗、二人同時に首を横に振る。

一木羽美

えー!? もう、なんで置き傘とか、予備の傘とか持ってないのよ、二人とも!

自分のこと、棚に上げないでよ、羽美。あたしがそんな準備のいいこと、してるわけない。

一木羽美

そうだ! ね、帰る時まで雨が降ってたら、どっちか、入れてくれない?

ん?

双野沙紗

え……? あ、あたしヤだ。音七のに入れてもらいなよ。

一木羽美

えー、なんで断るの!? 沙紗の傘、おっきいじゃん! 入れてよ、友達でしょ!?

ん、これは……。

雨は放課後になっても降り続いていた。

このままだと、今日も三人一緒に帰ることになる。そして、傘は三人で二本。

沙紗の傘、おおきいのだから、このまま行けば羽美は沙紗の傘に入ってくだろうな。

うん、それなら、もう一押しかな。あたしが学校に残ったりすれば、二人だけで帰るかな。一本の傘で。

そこまですれば、沙紗も羽美に言えるかもしれない。というか、言ってほしい。

うーん、なにか用事、思いつかないかな……。

忘れ物したって言ってみようか? でも、羽美のことだから、絶対待ってる。というか教室までついてくる。

どうしよう……。

とりあえず、言うだけ言ってみよっかって思った時だった。

阿野藤

あ、いたいた~。ねな~。

あれ? 阿野?

声をかけてきたのは、城女に入ってからできた友達。去年、一緒のクラスで、DVD鑑賞の趣味がみょうにあって、お薦めの貸し借りしたりしてる。

その後ろにいるのは誰だっけ? あ、確か遠見さんだっけ? 阿野の友達だったはず。ん?前にもこんなことあったような。

三山音七

あ、阿野~。どうしたの~?

阿野藤

いや~、それがさ~。

阿野藤

昨日、教えた動画、あるでしょ~。あれ、なんか、削除されちゃったみたいでさ~。

三山音七

え~、ほんと~?

そう言えば、そんなメールくれてたっけ。

阿野藤

うん~、なんか、投稿者削除されちゃってましたよ~。

三山音七

あ~……、やっぱすぐ見ておけばよかったかなぁ。でも、夕べはもう眠くってさぁ~。

阿野藤

ふはは、だと思ったよ~。だが、こんなこともあろうかと!

三山音七

お?

阿野藤

しっかり、ダウンロードしておきました!

三山音七

おお~。

阿野藤

どう? さすがの阿野さんでしょ~?

うん、さすが。でも、この後の展開も十分読めてる。

三山音七

うん、で、そのファイルは?

阿野藤

ケータイの中!

三山音七

で、ケータイは?

阿野藤

教室に忘れてきた!

三山音七

さすがだね、阿野~。

阿野藤

あははははは~。

うん、予想通り。そして、期待通り、かな。

阿野藤

悪いけど、ちょっと取りに来てくれる? それとも、教室で一緒に見てく?

三山音七

ん~……。

うん、これは都合いいんじゃないかな。

このまま、阿野に付き合おう。一緒に阿野の教室に行って、動画を見せてもらおう。

ついでに、他の動画とか見れば時間もつぶせるし。いざとなったら教室で一眠りしてけばいいや。

うん、十分、時間がかかる用事だ。阿野、ありがとう。

三山音七

しょうがないな、阿野は~。んじゃ、ちょっと教室までお邪魔させてもらうよ~。

ごめん、しょうがないじゃなくて、感謝してるけどね。

あたしは羽美と沙紗を振り返る。

三山音七

んじゃ、そういうわけだから~。悪いけど、二人、先に帰っててくれる?

一木羽美

えー、ちょっと音七!

あ、やっぱり羽美は不満みたい。でも、これも予想通り。

三山音七

ごめんごめん、でも、これ逃すと、阿野のことだから、また忘れられちゃいそうなんだよね~。

阿野藤

いや~、お恥ずかしぃ~。なんか照れちゃうなぁ~。

ほめたことじゃないけど、よくやってくれたよ、阿野。

一木羽美

でも、沙紗の買い物、一緒に行くって言ったじゃない!

そう。今日はこの後、沙紗の買い物に付き合う約束をしていた。

羽美はそういうこと、三人一緒じゃないと許さないもんね。でも、今日はごめん。

三山音七

だからごめんってば~。そっちはそのうち、埋め合わせするからさ~。

一木羽美

んー……。わかった。どんくらいかかるの?待ってるからさ。

あーもう、やっぱり。粘るなぁ、羽美は。

三山音七

やだよ、待ってる必要ないってば。

一木羽美

音七、置いていけないでしょ!

三山音七

ありがたいんだけどさ、それは。でも、あたし待ってると、沙紗の買い物、時間なくなっちゃうよ?

一木羽美

え、そんなに時間かかるの?

三山音七

動画見たり、いろいろするから。あたし待ってて、沙紗の買い物の時間、なくすの?

一木羽美

え? う、うーん……。

沙紗のこと気になるから、今日も買い物に付き合うんでしょ? あたしを待ってそんな本末転倒、ないでしょ?

沙紗のこと、まかせるよ、羽美。と言うより、羽美じゃなきゃ、なんとかできないんだってば。なんかするのは沙紗なんだけどさ。

三山音七

ごめんってば。次はちゃんと付き合うからさ~。

一木羽美

……もう、しょうがないなぁ……。

一木羽美

でも、次は絶対、三人で行くからね!

三山音七

はいはい、ごめんよ~。

はぁ、羽美の方は、やっとあきらめてくれた。

あとは……。

三山音七

そゆわけで、沙紗、ごめんね~、付き合ってあげられなくてさ~。

双野沙紗

ん? あ、ああ、いいよ、気にしなくて。

三山音七

ん、そんじゃ、羽美と二人で行っといでよ。

双野沙紗

あ、うん……。

んー、余計かもしれないけど。

あたしは、沙紗にだけ聞こえるように、そっと。

三山音七

がんばんな。

けしかけるとか、背中を押すとか、そんなんじゃなくて。

三山音七

いいからやっちまいなって。

ちょっと言っておきたかったんだ。あたしにかまうことないって。そういうつもりで。

双野沙紗

……!?

沙紗、軽く目を見開いてる。そんな顔に出さなくていいよ。声に出さないでよ?

あたしは、沙紗がなにか聞き返してくる前に、羽美に向かって手を振る。

三山音七

それじゃ、またね~。

一木羽美

うん、ばいばい。音七、用がすんだら、ちゃんと家に帰るんだよ? 学校で寝たらダメだよ?

三山音七

はいはい、わかってるよ~。

ごめん、うまくいってちょっとほっとしてるから、それは約束できないよ。

沙紗と羽美、二人してあたしの方を気にしながら、玄関ホールの出口へと向かう。

沙紗が、傘を開く。沙紗の黒い髪とお揃いの黒い傘。そこに、羽美が入っていく。沙紗が微妙に間を空けたのもわかった。

逃げないでよ、沙紗。ほんと、なんとかしてよ。

二人が歩いていったのを見届けて。阿野と一緒に教室に向かいながら、あたしは思わず、声に出してつぶやいた。

三山音七

やれやれ~、やっと帰ってくれたか~。

あ、聞こえちゃったかな。隣にいた遠見さんに。でも、いいか。

阿野の友達。去年のクラスメイトだけど、ほとんど話したことなかった。

三山音七

ようやく、二人っきりにできた~。これで沙紗もなんとかしてくれるといいんだけど。

こんなこと、前にもあったな。確か、先月。どっかの部長さんのインタビューに行く途中だったかな。

今と同じように、阿野が話しかけてきて、あたしはそれに付き合って、羽美と沙紗を別行動にできた。

その時も、遠見さん、いたよね。だからいっか。

三山音七

世話が焼けるったらないよ~。ね、遠見さん。

遠見結奈

え……?

三山音七

あれ~? 遠見さんも気付いてたんじゃないの? 沙紗のこと。

遠見結奈

え、あ、あの……。

確信があるわけじゃない。むしろ、遠見さんが気付いている方がおかしいかもしれない。

でも、今までだってほとんど、阿野と一緒でもあたしに話しかけてきたことのない遠見さんが、同じように二度も、こういうとこにいたのが気にかかる。

知ってたから、あたしに用がある阿野と一緒に声をかけてきたのかなって。でも、阿野の忘れ物って計算じゃないよね。

わざとってもんじゃなくて、天然物だから、阿野のは。でも、話しかけてあたしを引き留めることはできそう?

でもなんで、遠見さんが羽美と沙紗のこと、気にかけるんだろう。まるで理由がないのに。

まぁ、そんなこと、どうでもいいか。

遠見さんが沙紗のこと、知ってても知ってなくても。結果は結果、うまくいったんだから。

遠見さんのこと、よく知らないけど、無闇にこういうこと、人に話したりしないと信じたいし。

あたしは、ただ、沙紗にチャンスをあげたかったんだ。

らしくない沙紗を見てるの、やだし。それを心配して暴れる羽美に付き合うの、しんどいし。

どうなるかわからないけど、言わないより言っちゃった方がいいと思うんだよ。

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三山音七

まぁ、羽美が沙紗のこと、好きかどうかわかんないけどさ。

三山音七

そんでも、沙紗の場合、言っちゃった方がいいと思うんだよね~。

三山音七

羽美も、だからって沙紗のこと、嫌いになると思わないしね~。羽美のアレ、友達ってもう、病気だからさ~。

三山音七

ちょっとここのとこ、それがさらにすごくってさぁ。あたしもちょっと困ってたんだ。沙紗もかわいそうだしさ~。

三山音七

まぁ、ちょっとしたお節介なんだよ。うまくいってもいかなくても、羽美が沙紗と友達、やめるわけないと思ってるんだ、あたし。

遠見結奈

そう……。

うん、まぁ、ちょっと反応に困るよね、遠見さん。こんなこと、話してごめん。

阿野藤

あれ~? なに二人してひそひそ話してるの~?

阿野にはどうかな? 聞こえてたかな、今の。まぁ、阿野に聞かれてもいいんだけどね。

阿野藤

なになに~? いつの間に二人、そんなに仲良くなったの? あれですか? もしかして新ジャンル? ゆなねなってありですか?

遠見結奈

なに言ってるのよ……。

三山音七

やめてよね~。そんならあたしゃ、阿野結奈をおしちゃうよ~。

阿野藤

ぎゃ~、カンベンしちくり~!!

あたしはこうして、今日は別行動。

あとはうまくやんなよ、沙紗。

どういうこと……?

どういうことなんだ、これ……。

羽美と二人で、柿坂を歩いてる。

学校の正門を出て駅のある新町へ向かう途中の、柿坂。山の真ん中にある学校と麓の新町を結んでる坂道。

坂を下りていく。羽美と二人で。二人っきりで。

同じ傘に入って!

羽美と一緒に帰るのは、毎日のことなんだけど。でも、今日はいつもとちがう。

音七が、いない。いつも一緒にいるはずの音七がいない。

音七だけ、阿野に呼び止められて、学校に残った。つまり、これから駅について、買い物をして、電車に乗って、いつもの朝の待ち合わせ場所で別れるまで……。

ずっと、羽美と二人っきり!?

こ、これって……。

滅多に、ないこと、だよね?

二人っきりになることは、そこまでめずらしいことじゃない。

朝、待ち合わせの場所にちょっと早く行けば、音七が来るまでの間、二人っきりになれたりする。

でも、そのうち音七がくるし、それ以外の時も、そんな感じ。

そう言えば、こないだも二人っきりになれた。放課後、陸上部の部長にインタビューに行く途中。

しかし、あの時はすぐに終わってしまった。部長の教室についてしまった。

あの時も、音七は途中で別れた。今日と同じように、阿野に付き合って。

そう、あの時と同じように、さっきも。そして。

「がんばんな」

「いいからやっちまいなって」

今日は、そんなことを言って。

それって、どういうこと?

がんばれってなにを? やっちまえってなにを?

思い当たることなんて一つしかない。羽美に、言うこと。言いたかったこと、言えなかったこと。

羽美に、好きだって、言うこと。

音七は知ってたのかな? 気付いていたのかな。

そうとしか考えられない。さっきの様子とか、あの言葉とか。

気付かれてたんだ……。ヤバい、そんなにわかっちゃうくらい、あたし、顔に出てたのかな。

もしかして、羽美にも気付かれていたのかな……。

そう考えると、恥ずかしくて、逃げたくってしょうがない。

でも……。

一木羽美

なに買うか、もう決めたの、沙紗。

双野沙紗

え、あ、うーん……。

一木羽美

いいよいいよ、一緒に選んであげるよ!

いつもと変わらない、羽美。とても気付いているようには思えない。

と言うことは……。

あたしが言わなきゃ、わかってもらえないってこと。

そして、今、同じ傘に入って二人きり。

つまり、これは絶好のチャンス!

どうしよう……、言った方がいいのかな。好きだって言っちゃった方が、いいのかな。

わかってる、言わないともう、どんどん自分が変になる。羽美を意識して止まらなくなる。

そんなあたしを見て、羽美は心配するだろう。音七も、気付いてる。

一木羽美

どこ行く? 駅ビルの中、片っ端から回ってみる?

双野沙紗

う、うん……。

言わなきゃ。

言ったらどうなるかわからないけど。羽美がどう答えるかなんてわからないけど。

言った後、羽美の態度、どんなふうに変わるかわからないけど。

あたしは羽美を信じてる。

羽美が、あたしの気持ちに答えてくれるってとこじゃない。こんなことを言っちゃうあたしでも、羽美は友達でいてくれる。きっと。

音七も、信じてる。だから、言ってくれたんだ。がんばれって。

一木羽美

ね、沙紗、どっから……。

双野沙紗

羽美。

あたしは、ぎゅっと傘の柄を握りしめて、羽美の名前を呼んだ。

一木羽美

ん?

双野沙紗

あ、あのね、羽美。

一木羽美

ん、なに? どうするか決めた?

うん、決めた。だから、聞いて。

双野沙紗

あたしね、羽美のことが好きなんだ。

絞り出すような感じ。勇気を、かな。でも、声はけっこうはっきりと出てくれて。

一木羽美

え?

羽美にも、届いてくれて。

ぽかんとした顔。間抜けで、かわいい顔。

歩くのも忘れるくらいだったのか、立ち止まった羽美。あたしも慌てて立ち止まる。

一木羽美

………………。

双野沙紗

………………。

羽美は、あたしの隣で、ぽかんとしたまま。あたしも、なにも言えなくて。

しばらく、お互いに黙ったままで。

やっぱり、ダメだったかな……。こんなに驚くなんて。固まっちゃうなんて。

突然すぎたかな。それとも、ほんとに驚いているのかな。あたしが、こんなこと考えていたなんて、思ってもみなかったのかな。

そして……、さすがにそれはないってことなのかな。

なんて、言えばいいのかな。今なら、ごまかしたりできるのかな。冗談って言えば、元に戻るのかな。

双野沙紗

あ、あの、羽美……。

一木羽美

っ……!

なにか、声をかけなきゃって思った時、とりあえず、名前を呼んでみた時。

羽美の顔が真っ赤に変わっていった。

双野沙紗

え……?

一木羽美

あ、あのさ、沙紗……。

双野沙紗

う、うん……。

真っ赤になって、どことなく目を逸らしてる羽美。でも、声はあたしの方に向いていて。

一木羽美

それって……、友達としてって……、ことじゃなくて……?

双野沙紗

……うん。

あたしは答える。うん、そう。友達としてじゃなくて、好きなんだ。いつも羽美が言ってくれる、友達としてじゃなくて。

一木羽美

そ、その、さ……、それって、変じゃ、ない?わたしたち、女の子同士なのに、さ……。

双野沙紗

……うん、そうかも。

そんなこと、わかってる。

双野沙紗

でも、あたし、羽美のこと、好きなんだ。

双野沙紗

あたし、変でもいいよ。でも、好きなんだ。ずっと、言いたかったんだ。

一木羽美

そ、そっか……。

双野沙紗

うん、そう。

一木羽美

………………。

また、羽美が黙り込む。真っ赤な顔のまま、あたしからちょっと目をそらして。

双野沙紗

………………。

羽美、なにを考えてるのかな。

ずっと、黙ったまま。あたしも、なにも言えない。しばらく、黙ったまま、二人で。

柿坂の真ん中で、立ってた。

一木羽美

あのさ、沙紗……。

双野沙紗

う、うん。

そして、すごい長い時間、そうしていたような気がして、ずっとこのままかなとか思った時。

一木羽美

あのね、わたし、よくわかんないんだけど……。

一木羽美

なんだか……、うれしい、かも。

うれしい? えっと、うれしいって……、どういう意味、だっけ……。

一木羽美

よくわかんないんだけどね? その、沙紗に好きって言われて、うれしいかも。

一木羽美

わたしも、沙紗のこと、好きだよ? その、よく、わかんないけど……。

一木羽美

変、だね。

双野沙紗

う、うん。

羽美の言ってること、よくわからない。わからないけど、うれしいって言葉が、頭の中を回っている。

一木羽美

買い物、行こっか。

双野沙紗

うん……。

羽美の声だけが、頭の中、いつまでも回ってた。

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okujou_no_yurirei-san/2212.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)