User Tools

Site Tools


okujou_no_yurirei-san:2211

Place translations on the >s

grpo_bu1

ああもう、ウザい。カンベンしとくれよ、ほんとに。

いつもの放課後、いつもの放送室、そしていつもの三人。

それはもういいよ、問題ないよ。でも。

grpo_bu1

grpo_bu1

一木羽美

もう、ほら、沙紗、聞いてるの?

双野沙紗

え? あ、うん、聞いてるって。で、なに?

一木羽美

聞いてないじゃん! 昨日の反省会やってるんでしょ!

双野沙紗

あぁ……、いつも通りだったんじゃない?

一木羽美

どーこーがーよー!

grpo_bu1

これだ。もう、ほんとどうにかしてほしい。

羽美がうるさい。うるさくて、おちおち寝ることもできやしない。

眠い、あたしゃ眠いんだ。

ゆっくり寝させてほしいんだよ。

あたしは小さいころからよく寝る子だったと言われていた。おかげで手がかからなかったとも。

でも、小学校に上がってからはそのせいで、まわりからの評価は悪くなった。授業中だっておかまいなしに居眠りしていたから。

だって、ほんとに眠いんだもの。

中学生になってからは、さすがに居眠りも叱られるようになったので、授業中は頑張って起きているようにはしている。

まぁ、ぼーっとしてるだけだけど。

運のいいことに、頭はそんなに悪くなかった。授業をなんとか聞いているだけで、なんとか見れる成績はとれて。

それでも、休み時間とかはやっぱり睡魔に負けて寝っぱなし。こんなんで友達なんてできるわけないんだけど。

もうひとつ運のいいことに、羽美が話しかけてくれた。沙紗も一緒に。

どんなに眠いって言っても羽美の方はおかまいなしで、あたしを引っ張り回す。

正直カンベンしてほしい時もあるんだけどさ。でもさぁ、羽美、うるさいんだよ。

うるさいのはいつものことなんだけど、ここのとこ、ちょっとひどくなっている。

まぁ、その理由はわかっているんだけど。

grpo_bu1

grpo_bu1

一木羽美

どうしたの、沙紗? ここんとこ、ちょっとおかしいよ?

一木羽美

ねぇ、なんかあったのなら話してよ! わたし、相談に乗るからさ!

双野沙紗

なんでもないってば。

grpo_bu1

嘘だ。なんでもないわけないじゃん。

grpo_bu1

そう、原因はこいつだ。沙紗だ。

あたしと一緒に、羽美に巻き込まれた友人。羽美と一緒に、ある日、あたしに突如、降ってわいた友達。

居眠り魔のあたしと、近寄りがたい雰囲気を全開にしている沙紗。でも、羽美はそんなことおかまいなしに、あたしと沙紗を結びつけた。自分にしっかりと。

沙紗。黒い髪と、隠そうとしないキツい視線。ちょっと怖いと思ってる人もかなりいるだろう。沙紗本人も意識してそう見せているみたいだし。

でも、けっこう付き合いはいい。最初はほんと、嫌がっていたけど、羽美に根負けしてからはあたしともちゃんと、友達づきあいしてくれる。

自分が他人からどう見られているか、ちゃんとわかってるし、それを気にしているんだろう。

だから、そっけない態度や、ズバって言っちゃうところ、直そうとしないんだろう。自分はそういうもんだって決めているんだろう。

そして、それでも離れていかない、羽美やあたしをちゃんと友達と認めてくれている。付き合えるところまで、付き合ってくれる。

けっこう、似たもの同士だよね、あたしと沙紗は。自分にどうにもならないとこがあるの、わかってる。

だから、それでも付き合ってくれる友達には、ちゃんと敬意を払えるんだ。

特に、羽美には。

でも、沙紗、最近、羽美に対する「特に」の部分が変わってきている。

わかりにくいけど、一緒にいることが多いんだから、あたしにはわかる。こいつ、羽美のこと、好きになってる。

羽美が沙紗にベタついてくると、見てわかるほど、動揺している。あんま、顔には出てないけど、すぐわかる。

grpo_bu1

沙紗が、羽美をねぇ。なんでかなぁ。

あたしも羽美は好きだ。でも、沙紗も同じくらい好きだし、特別だとは思わない。

友達だとは思ってる。大事で貴重なもんだとも。いなくなったら寂しいけど、あきらめはつくかな。でも、ずっと一緒に友達してるんだろうなって思う。

でも、沙紗は羽美に対して、もうちょっと踏み込んじゃったみたいだな。

沙紗、きっと今、羽美がいなくなったらすっごい落ち込むだろう。そんなこと考えたくないし、絶対そうなってほしくないって思ってるんだろう。そんな踏み込み方。

なんで、そんなめんどくさいとこまで行っちゃうかなぁ……。

ほんと、めんどうだよ? 相手のことばっかり考えるのって。でも、そうなっちゃったら仕方ないことなのかな。

世間じゃ恋ってそういうもんだって言ってるし。あたしにはよくわかんないけど。

羽美も沙紗も女なのはもっとどうでもいいや。もともとめんどうなことなんだもん、少しそれが増えるくらいでしょ。

ただ、さ。

grpo_bu1

grpo_bu1

一木羽美

もぉ~! なんか悩みがあるなら話してくれていいんだよ? 友達でしょ?

双野沙紗

だから、話すことなんてないってば。

grpo_bu1

らしくないんだよ、沙紗。羽美がなにかするたびに、そんな変わんない表情でハラハラしたり、キョドキョドしたりしてさ。

そんなに羽美が好きなら、そう言っちゃえばいいのに。

あたしならそうする。そんな問題、さっさと片付けて、ゆっくり寝たい。

だけど、沙紗はそうしない。なかなか羽美に言い出せないでいる。

あたしも、沙紗のこと、確かめるために何度か、羽美と沙紗を二人っきりにしてみた。どうなのかな、どうなるかなって。

でも、沙紗はなにもしない。それどころか、あたしが戻ってくると、みょうにほっとした顔、する。

三人に戻って、安心したみたいに。ああ、こいつ、怖いんだって思った。

羽美に言っちゃうと、嫌われると思っているのかな。それをあたしが知ると、避けられると思っているのかな。

そんなの、杞憂だよ。わかるけど。

言っちゃったらどんなことになるか、わからないんだよね、だから怖いんだよね、沙紗。

三人でいっしょにいられなくなるかもしれないって考えちゃうんだよね。わかるけどさ。

気にしなくていいよ、沙紗。特に、あたしのことは。あたしは、沙紗と羽美のこと、気にしてないからさ。特に離れていったりしないからさ。

それに、羽美もそうだよ。もしかしたら、うまくいくかもしれないよ?

言っちゃっても、それに羽美が答えられなくても、それでも羽美があたしたちと友達やめるなんて想像つかないんだよ。

「愛情はないけど、友情はあるよ!」ってあっさり流しちゃいそうなんだよ。まぁ、それはそれで、沙紗にとってはつらいかもしんないけどさ。

だから、いいから言っちゃいなよ。

でないとさぁ……。

grpo_bu1

grpo_bu1

三山音七

………………。

一木羽美

音七、起きてる!? 音七も沙紗になにか言ってあげてよ! 友達でしょ?

三山音七

え~、なんもないよ~。

ミキサーに突っ伏しながら、あたしはそばに置いていたケータイを見る。その中には、昨日の夜、羽美から来たメールが入ってる。読んだのは朝だけど。返事してないけど。

『ね、最近、沙紗の様子、変じゃない?』

『なんか、ぼーっとしてること、多くない? 沙紗、なにか悩んでること あったりするのかな? 音七、なにか聞いてない?』

『友達なんだから、 なんでも話してほしいよね! ね、音七、沙紗のこと、 助けてあげよう!』

『なにかあっても力になって あげようね!』

grpo_bu1

わかってないんだよ、羽美。肝心なこと、なにひとつ。

なのに、沙紗がちょっと変なことだけ、気付いているんだよ。こんなメール送ってくるくらいに。

羽美さぁ、そんなに沙紗のこと気にしているなら、もうちょっと気付いてあげようよ。

羽美。うるさくて、強引で、思い込みが激しい羽美。あたしをいつも安眠妨害してくる友人。

すっごい好奇心旺盛で、新しいことや自分が楽しそうなことには、すぐ飛びついていく。あたしと沙紗を巻き込んで。

そして、病気。あたしが睡眠病で沙紗がかっこつけ病なら、羽美は友達病。

とにかく友達だからとか友情だとか押し付けてくるくせに、あたしと沙紗のこと、絶対に疑わない。自分たちの友情を少しも疑ってない。

信頼されてるって思わせるのがうまいんだろうなぁ。そして、それを天然でやってるんだ。ちょっとは計算とかしなって思うんだけど。

カリスマってこんなのなのかなぁ。自立したかっこいい女性に憧れているみたいだけど……。だったら、ほんと、もうちょっと割り切ったとこ、憶えた方がいいよ。

あたしや沙紗にばっかりかまってないでさ。まぁ、羽美がいなかったら、あたしなんてどうなってたかわからないけど。

部活なんてするわけない。寝て、学校行って寝て、家帰って寝て……。その先は想像もつかない。

目を付けられた時は、めんどくさいの来ちゃったなぁって思ったんだけど……。

今はもう、この二人がちょっと調子がおかしいと、落ち着いて眠れなくなってるんだなぁ……。

grpo_bu1

grpo_bu1

三山音七

ちょっとジュース買ってくる~。

コーヒー牛乳飲みたい。よく眠れるために。

一木羽美

あ、わたしも付き合うよ!

え……、わかってたけど、なんでだよ。沙紗と一緒に待っててよ。

一木羽美

ほら、沙紗も一緒に行こ!

双野沙紗

えー、あたしは別に……。

一木羽美

一緒に行くの! 友達なんだから!

双野沙紗

はいはい、わかったよ。

grpo_bu1

そこで沙紗もすぐに折れちゃうしなぁ。ああもう、ほんとにめんどくさい。

なんとか、二人っきりにしてやんないと、きっと沙紗、羽美になにも言い出せない。

ということは、この状態が続くんだよね。羽美はもっと沙紗をなんとかしたいって張り切っちゃってさ。

うわぁ、ウザい、めんどくさい。これから梅雨に入るってのに、ほんとカンベンしとくれよ。

ゆっくり寝ることもできないじゃない。

grpo

grpo_ef

grpo_bu0

grpo_bu0

grpo_bu0

grpo_bu0

grpo_bu0

grpo_bu2

grpo_bu1

grpo_bu0

grpo_bu2

grpo_bu1

grpo_bu0

grpo_bu2

grpo_bu1

grpo_bu0

grpo_bu2

grpo_bu1

grpo_bu0

grpo_bu2

grpo_bu1

grpo_bu0

grpo_bu2

grpo_bu1

grpo_bu0

okujou_no_yurirei-san/2211.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)