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okujou_no_yurirei-san:2032

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学園祭まで、あと、二日。もう、明後日から学園祭!

そして、相変わらず忙しい!

昼休みも放課後も、美紀さんと一緒に、仕事してる。もちろん、整美委員会の仕事じゃなくて。

廊下をちょっと歩くたび、美紀さんが誰かから頼まれる、仕事。今は学園祭関係一色で。

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今週に入ってから急に、先生から用事を頼まれることは減ったみたいなんだけど……。

代わりに、これでもかってくらいに、学園祭関係の仕事、用事、お手伝い。

整美委員会の花壇の世話だって満足にできないくらい。

さすがに、これじゃ、美紀さんだって大変じゃないかなって思う。ちょっと疲れてきてるように見えるし。

だから、わたしががんばって美紀さんを手伝ってあげなきゃって思ってるんだけど……。

それにしても、この仕事の量って、なんなの……。

ねぇ、ほんとに大変なの? 大変だから、美紀さんに頼んでるの? そう聞き返したくなることだってある。

でも、美紀さんが引き受けちゃうから、仕方ないんだけど……。

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相原美紀

わたしも、最後の学園祭だしね。引退まであと少しだし、できるだけ、がんばりたいの。

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そう言われたら、ちょっとは休みましょうなんて言えないし……。

ああもう、わたしもがんばるしかない! 力仕事ならまかせてくださいよって、言うしかない。

力仕事しか見せ場がないんだけど……。

牧聖苗

……暗幕も20枚ってなると、さすがに運ぶの、大変ですよね……。

えっと、これ、力仕事かな? わたしの見せ場かな? いやでも、これってどう考えてもついでの雑用、だよね……。

美紀さんが引き受けたから、文句は言わないけど。

相原美紀

ふふ、そうね。

牧聖苗

倉庫から出してきたばっかだから、ちょっとほこりっぽいし……。

牧聖苗

それで、これ、どこに持っていけばいいんですか?

相原美紀

えっと……、あら? ごめんなさい、教えてもらってなかったわ。

牧聖苗

ありゃ。

相原美紀

ごめんね、今、聞いてくるから。

牧聖苗

あ、いいですよ。わたし、聞いてきます。……誰から聞いてくればいいんです?

相原美紀

ああ、わたしと同じクラスの写真部の人たちなの。まだ、教室にいると思うんだけど……。いっそ、直接、渡した方がいいのかしら。

牧聖苗

あ、いいですよ、わたし、ちょっと聞いてきますから。美紀さん、ここで待っててくださいね!

相原美紀

あ、牧ちゃん!

牧聖苗

すぐ戻ってきますから!

もう、こんなことで美紀さんをいちいち走らせたりできないじゃん。

こういうことは、わたしがやらなきゃ。ただでさえ、わたし、美紀さんのお手伝いしかできないんだから。美紀さんの方が、何倍も働いてるんだから。

えっと、美紀さんのクラスってことは、奥校舎だよね……。

あ、名前、聞かなかった。まぁ、いっか。誰かがいたら、その人に聞いてみればいいんだし。

牧聖苗

えっと、あの暗幕運んだら、次は……、なんだっけ?

牧聖苗

もう、後から後から、みんな仕事頼みすぎ! いくら学園祭前で忙しいからってさぁ……。

牧聖苗

いくら美紀さんだって、これじゃ、忙しすぎて倒れちゃう……。

「相原もさぁ」

え? 美紀さん? あ、気付かなかった。ここ、美紀さんのクラスの前だ。うわ、通り過ぎるとこだった。

えっと、ということは、この声、美紀さんのクラスメイトかな? それじゃ、写真部の人?よかった、暗幕の運び先を……。

「ほんとよくやってくれるよねー」

牧聖苗

………………。

ちょっと、なんか、チクっときた。あのさ、今、美紀さんは……。

「ほんと、助かるわぁ。頼めばなんでもやってくれるんだもん」

先輩たちから頼まれた仕事……、やろうとしてるんだよ? そうだよ、先輩たちが頼んだから。

「楽できるよねぇ」

牧聖苗

……!

楽、できる……? じゃあ、誰が忙しいと……、思ってるの……?

「やっぱ、クラスに一人はいてほしいよね、ああいうの。ありがたいって」

美紀さん、なんだよ……?

「ほんと、頭下がるー」

「あれってさぁ、絶対……」

「マゾだよねー」

牧聖苗

……!

次の瞬間、わたしは教室の扉、思いっきり、叩きつけるようにして、開けていた。

「え!? だ、誰!?」

見覚え、あるんだかないんだか、そんな顔。三人。教室の真ん中あたり? 机と椅子、それぞれ勝手に腰掛けて。

びっくりした顔で、わたしのこと、見てる。でも、あんたたち、ついさっき。

牧聖苗

……笑ってなかったか?

「あ、あれ……? あんた、確か……、相原の……」

そうだよ、美紀さんといつも一緒に仕事してるんだよ。いろんな人から、美紀さん頼まれちゃうから、手伝ってるんだよ。

それは、わたしが美紀さんが好きだから、手伝ってるんだよ。美紀さんのために、手伝ってるんだよ。

あんたたちのためじゃ、ない。

まっすぐに、わたし、教室の中に入っていく。その三人が座ってるとこに。

「あ、あれ、どうしたの……?」

三人の顔、にらみつけながら。

牧聖苗

どうしたの、じゃ、ない……。

牧聖苗

あんたら、今、さぁ……。

「え、ちょ、ちょっと……、なに? なんの用……」

三年生が、三人。だから? わたしはその三人の前に立つ。そして。

牧聖苗

誰のこと、笑ってた? なんつった?

「なに言って……」

思い切り。

蹴り飛ばした。そのうちの一人が腰掛けてた、机の脚を。

「きゃあ!」

牧聖苗

ふざけんなぁ!

机ごと、そいつが、三年生の一人が床に転がったところに、声をあげて、飛びかかる。

「ひっ、やっ!」

牧聖苗

あんたらなぁ! 今、なんつった!? ああ!?

馬乗りになって、そいつの胸ぐらをつかみあげる。

「ひ……、ひぃ……」

牧聖苗

言ってみろ、もっかい言ってみろぉ!

つかみあげて、揺すり立てる。泣いてんじゃねぇ!

牧聖苗

マゾ、だぁ!? マゾって言ったのか!? てめぇ、美紀さんのこと、マゾって言って笑ったのか!?

「ちょ、な、なにこいつ!」

牧聖苗

黙ってろ!

残った二人を怒鳴りつけてから、もっかい、わたしの下にいるヤツをにらみつける。

牧聖苗

なんで、てめぇが……。

牧聖苗

美紀さんのこと、笑ってんだぁ!

アタマきた。完全に、アタマきた。

美紀さんに仕事、頼むのはいい。美紀さんが引き受けたんだから、それはいい。

でも、なに? 楽できる? そして、なんだって? 美紀さんのこと、マゾだって!? そう言って、笑ってたの!?

牧聖苗

美紀さんに仕事、押し付けて、てめぇは楽して、そんでもって美紀さんのこと笑ってんのかぁ!

牧聖苗

もっぺん言ってみろ! 美紀さんのこと、マゾだって言って笑ってみろ!

牧聖苗

二度とそんなこと言えないようにしてやる!

胸ぐらつかんでいる三年生が、もう、マジ泣きしてる。だからどうした。

泣くくらいだったら、最初っから、陰で人のこと笑うんじゃない!

「ちょ、ちょっと牧さん!」

なんだよ、うるさい! 止めるな!

「もうやめて!」

やめるか!

「あ……」

土下座、させてやる! 美紀さんの前で、こいつ、土下座させてやる!

「ま、牧ちゃん……!」

だって、こいつ、美紀さんのこと……! だって!

牧聖苗

てめぇが美紀さんのことを……!

相原美紀

聖苗!

え……。

わたしの名前。呼んだ、その、声。

振り返った。手はまだ、相手の服、つかんだままで。

そこには。

牧聖苗

美紀さん……。

相原美紀

はぁ、はぁ……。だ、ダメ、聖苗……。

ここまで、走ってきたのかな。息を切らせた、美紀さんが立ってた。

相原美紀

もう離してあげて。……ね?

そう言われて、一気にわたしの手から、力が抜ける。

相原美紀

乱暴なこと、しちゃ、ダメ。ね、聖苗。

牧聖苗

……はい……。

わたしは立ち上がる。同時に、今まで組み伏せていた相手が、顔を強ばらせたまま、わたしの脚の間から這い出して、そして、立ち上がる。

み、見られちゃった……。美紀さんに……。

相原美紀

どうして……、こんなこと、したの?

牧聖苗

………………。

相原美紀

話して、くれる?

美紀さんの声は、やさしい。わたしのこと、問い詰めたりするわけじゃない。

牧聖苗

そ、その……、こいつ……、こ、この人たちが……、その、美紀さんのこと……。

「あ、相原……、あたしたち、別に……」

牧聖苗

っ、黙ってろ!

牧聖苗

あんなこと言っておいて、馴れ馴れしく美紀さんに声かけんな!

相原美紀

聖苗!

牧聖苗

っ……、だって!

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相原美紀

もう、いいから……。

そう言って。美紀さんは、わたしの手をとって。

相原美紀

そんな大きな声、出さないの。

引き寄せた。そして。

わたしの肩を抱いて、そっと、小さな声で。

相原美紀

……わかったから。

そう、言った。

わかったから……? なにが? そう聞き返そうとしたけど、美紀さんはわたしがさっきまで押さえつけてた人の方を見てて。

相原美紀

あの、ね……。

相原美紀

わたしも、できる限り、みんなのこと、手伝いたいって思ってるの。

相原美紀

今、みんな、忙しいから、ね。だから、できるだけ、いろんな人の。

相原美紀

だから……。できることは、自分でやってほしいの。それでも大変な時は、いつでも言ってくれていいから。

相原美紀

それなら、わたしもよろこんで、手伝わせてもらうから。これからは……。

相原美紀

わたしが手伝わなくても大丈夫そうな時は、断っても、いいかな?

相原美紀

わたしも、聖苗も、手伝った人が、助かったって思ってほしいから。誰かの手伝いをするなら……。

相原美紀

そういう気分のいいことを、したいから。ね……。わかってもらえる?

静かな声で、美紀さんは相手に、そう言った。泣きべそを残したまま、バツの悪そうな顔で、うなずく相手に。

いつもの美紀さんと変わらない、優しい言葉で。

断っても大丈夫そうな仕事は、断りたいって。そう言った……。

だから、さっきの、「わかったから」って言葉は。わたしに言ってくれた言葉は。

わたしのこと、わかってくれたって、ことだったんだ……。

牧聖苗

美紀さん……。

まだ、わたしの肩、抱いてくれている美紀さん。肩に置かれた手、少し、震えてるみたい。

そうだよね、美紀さんにとって、今みたいなことを言うのって、すごい思い切ったこと、だよね。

でも、言ったんだ。それは、もしかして。

牧聖苗

美紀さん、わたしの、ために……。

相原美紀

ううん、自分のため。ごめんね、聖苗。嫌な気持ちにさせて。

牧聖苗

あ……。

う、やだ、言葉が詰まった。言わなきゃ。なにか、言わなきゃ。ありがとう、か、ごめんなさい、か。それとも……。

牧聖苗

美紀、さん……。

なんとか、言葉をしぼりだそうとした時……。

「ケンカをしてるのは、ここか!?」

先生が、教室に入ってきた。生活指導の。あ、誰かが呼んできちゃったんだ。

「ケンカの当事者は誰だ!?」

で、わたしは。

牧聖苗

ケンカじゃないです! 殴ってもないし、殴られてもいません!

反射的に、答えてしまった。もちろん、すぐに、生活指導室に連れて行かれてしまった。

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okujou_no_yurirei-san/2032.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)