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okujou_no_yurirei-san:2012

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こうして、わたしは休み時間とかを利用して、その計画を実行に移すための場所を探すことにした。

先輩と二人だけの秘密の場所でゆっくりとお話する計画!

でも、どこがいいんだろう。

星館校舎。うーん、ここはちょっとダメかも。

いっぱいあるけど、空いている、使ってない部屋はない。新しい校舎だもんね……。

教室、資料室、特殊教室……。

どこだって、先輩を探しに来た人になら、すぐに見つかってしまう。

鍵は職員室に保管されてるし、南京錠くらいなら家にあるけど、勝手に付けるわけにはいかないし。

そして、外はダメ。

これから梅雨に入るし、風が強い日とかは大変だし。夏になると、蚊も出るし。

星館!

外側は洋館風なのに、二階は畳の大座敷になってるのがおもしろくて素敵。

壁や窓の星飾りがかわいくて、扉の上のアーチが落ち着いていてかっこいい。

でも、ここにもいい場所は見つからない。大座敷に付いてる座布団入れの小部屋があるけど、明かりのない押し入れだし、それはちょっと。

密かに期待していた雲見櫓。

だけど、ちょっとここも空振りだった。

一階は部室が並んでいて、こんなとこ先輩が歩いたら、逆に仕事が増えちゃう。

二階は合宿所だから、許可がないと使えない。畳がしいてあって、ちょうどいいのに。

鍵がかかってるわけじゃないんだけど、勝手にここに隠れてるのがバレたら、まずいよね。

でも、ここって本当にお城みたいだなぁ。この学校、もとはお城だったから当然なんだけど。

がっしりとした木の柱、梁、こういうのに感動しちゃうのって、女の子としてちょっと変かな。うちのお父さんやお兄ちゃんたちならわかってくれそうだけど。

お城らしく、どっかに隠し扉があったりしないかなって思って探してみたけど、なさそう。構造的に隙間がない。

残念。

そんなふうに、あちこち探し回ってみたけれど、なかなかいい場所は見つからない。

でも、それにしても!

こうやってあちこち、今まで入らなかった場所とかを見て回るうちに、わたしはどんどん、この学校が好きになっていた。

古い建物はそのままに、新しい校舎と一体となっていて、こんなとこで学校生活を送ることができるなんて!

しかも、相原先輩みたいな素敵な人を好きになれて、友達になれて、一緒に過ごすことができるなんて!

これで、もっと二人だけでいろんなお話ができるようになれたなら! 先輩がもっとわたしを好きになってくれたなら!

やっぱり、あの計画はなんとしても成功させなくちゃ!

そう決心をあらたに、わたしは校内を歩き回るのだった。

でも、見つからないなぁ……。

もちろん、昼休みや放課後は、わたしは相原先輩と一緒にいる。毎日ってわけにはいかないけど。

今日も、先輩を手伝って、こうして、先生から頼まれた仕事をこなしている。一緒に。

頼まれたのは、荷物の移動。ダンボール10個分の教材を、昇降口から資料室に運ぶ仕事。

ねぇ、これって先輩に頼む必要あるの!?

そうは思うけど、口には出さない。ダンボール一個一個はそんなに重くないけど、大きくて数があるから、何往復もしなくちゃいけない。

まぁ、先輩と一緒に歩けるからいいんだけど。お話も、できるし。

相原美紀

ごめんね、また手伝わせちゃって。

牧聖苗

いいんですってば。こういうことなら、わたしも得意ですし。

これなら転ばない限り、失敗しないし。

相原美紀

けっこう重いでしょ?

牧聖苗

え? 全然そんなことないですよ?

うん、軽い軽い。もうちょっと箱が小さかったら、二個くらいいっぺんにいけるのに。

相原美紀

牧ちゃんって、ほんとに力持ちなのね。

牧聖苗

ちょっと自信はあるんです。ほら、うち、工務店やってるから、物を運ぶこと多くて。

相原美紀

そうなんですってね。

こうして、少しずつ、先輩と話をして、少しずつ、先輩のことを知って、わたしのことを伝えて。

それはうれしいし、楽しいけど、やっぱ、荷物がちょっと邪魔……。

ほんと、早く秘密の場所を見つけないと……。

牧聖苗

相原先輩。

相原美紀

なぁに?

牧聖苗

整美委員会っていつもこんなに忙しいんですか? その、わたしも整美委員会入っちゃいましたけど、先輩みたいにたくさん仕事来ないですし。

そう、わたしは整美委員会に入った。少しでも先輩の手伝いをしやすいように。

そして、入ってみてわかった。確かに、委員会の仕事はいっぱいあるけど、それでも先輩みたいに放課後毎日、やらなきゃいけないってことはない。

相原美紀

そうね、ちょっとわたしが特別みたい。つい、いろいろ頼まれちゃって。

やっぱり、先輩に仕事が集中してるんだ……。

相原美紀

どうもわたし、頼まれやすいみたいね。ごめんね、いつも牧ちゃんに……。

牧聖苗

だから、わたしはいいんですってばぁ!

あああ、この流れ、ループしすぎ!

相原美紀

でも、こういうのも、10月までかな。

牧聖苗

え? なんでです?

一瞬、わたしはうれしくなった。先輩がこのゲキムから解放される日が来るのかと。でも、それは。

相原美紀

10月になれば、三年生は委員会も引退だからね。受験勉強とかあるし。

牧聖苗

あ……。

そうだった。先輩は三年生なんだ……。

引退……、そしたら、次は……。

卒業……。

そうだ……。先輩、来年の春には卒業しちゃうんだ……。

なんだか、すごく悲しくなってきた。先輩がこの学校からいなくなっちゃうなんて。

まだ出会ったばかりなのに。好きになったばかりなのに。友達になったばかりなのに。

これから、先輩をもっと好きになって、先輩にわたしを好きになってもらうつもりなのに……。

先輩は、わたしより先に卒業しちゃうんだった……。

胸が、締め付けられる。痛い。

もっともっと、好きになってもらいたいのに、友達よりもっと。

そのために、もっと、いろんな話をしたいのに。二人だけの話をしたいのに。

そう思ったら。

牧聖苗

先輩……。

相原美紀

なぁに?

聞かずにはいられなかった。

牧聖苗

先輩、同性愛ってどう思います?

相原美紀

え、ええ!?

って、ちょっと飛びすぎたー!

牧聖苗

あああ、え、えっと、その、わ、わたし、わたしって!

牧聖苗

その、自分がそういう人だっていう自覚とかなくて、別にそう思ってるわけじゃないんですけど!

牧聖苗

その、やっぱり先輩のこと、好きなんです。先輩、女の人なのに好きなんです! ほんとに!

牧聖苗

だ、だから、先輩がそういうの嫌だったらやだなって、その、でも先輩好きなのはほんとで、あれ、あれ?

相原美紀

ま、牧ちゃん、落ち着いて。

牧聖苗

は、はい……。

うう、何口走ってんだろう、わたし……。

相原美紀

その、ね……。

相原美紀

えっと、同性愛とかそういうの、よくわからないの。いいとか、嫌とかそういうのも。

相原美紀

もちろん、牧ちゃんがそうなのかどうかも、ね。

よくわからない、かぁ……。まぁ、自分でもわかんないんだけど……。

相原美紀

でも、牧ちゃんのこと、好きよ。

え!?

相原美紀

妹ができたみたいで。とても、かわいくて。

ええ~~~。

まぁ、それはそれでうれしいんだけど……。もしかして、友達よりランク下がってないかなぁ……。

牧聖苗

それじゃ、先輩。先輩は男の人と女の人、どっちが好きですか?

相原美紀

ええ? そ、それもよくわからなくて……。牧ちゃんは?

牧聖苗

先輩が好きです!

相原美紀

ありがと。わたしも牧ちゃんが好きよ。

うん、これはごまかされたってわかる。でも、これ以上、強く聞くこともできない。

うう、なんかもやもやする。もうちょっと、はっきり答えてほしいなぁ……。

でも、こんなことって、やっぱこうやって廊下で荷物運びながらする話じゃないよね。誰に聞かれるかわからないし。

やっぱり、ちゃんとお話できる場所を見つけよう!

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okujou_no_yurirei-san/2012.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)